GBのアームチェアCinema見ist:レッドクリフ Part-II

レッドクリフ Part-II

レッドクリフ Part-II-未来への最終決戦-(原題:赤壁下:決戰天下)

監 督 呉宇森(ジョン・ウー)
脚 本 呉宇森/陳汗(チェン・ハン)/盛和U(シェン・ホーユィ)/郭筝(グオ・ヂョン)
出 演 梁朝偉(トニー・レオン)/金城武/張豊毅(チャン・フォンイー)/林志玲(リン・チーリン)
原 作 三国志演義
音 楽 岩代太郎
製 作 年 2008 中国 香港 日本 韓国 台湾


レッドクリフ Part-II 赤壁(せきへき)

中国湖北省を流れる長江の支流漢水沿いにあったという崖に挟まれた地形。
「三国志・赤壁の戦い」で知られる中国の地名。
その具体的な場所には諸説あるらしい。
有名なのは湖北省の蒲圻の西(西北)という説であろうか。(現在、蒲圻は赤壁市と改名)他に「嘉魚県東北」説、「武昌県西南」説などがある。

赤壁の地名は、本来なら赤色の岸壁のことを言のだろうが、ここでは、連合軍が敵の軍船を焼き払ったときに燃えた炎が長江の岸壁まで赤く染めたことを表現すると言う説もある。
赤壁古戦場と呼ばれる、湖北省の南部に位置する1700年の歴史を誇る都市、そこにある赤壁古戦場は赤壁市の北西約38kmのところを流れる長江の中流にある。
西暦208年に起こった赤壁の戦いは、数に劣る呉・蜀の連合軍が魏の大群を破った戦いで、中国の古典小説『三国志演義』の最高の山場となっている。
この赤壁市の赤壁岸壁には大きな「赤壁」の二文字はが刻まれているそうである。
言い伝えでは当時の呉の都督・周瑜を記念するためのモノであるという。



と、言うわけで見てきました。

いつもの様に、着席前にパンフレットを買って、座席でパラパラ。
ちょうど真ん中当たりのページに(日本版イントロダクションの監修をした人かな)大東文化の教授の一文が載っていた。

“『レッドクリフPart-I』は壮大な予告編であった。『Part-II -未来への最終決戦-』を観ると、なぜ『Part-I』が必要であったか分かる。”

って…あ〜たね…
おっしゃりたいことは非常によく解るが、おそれおおくも観客の皆様は「金を払って劇場まで向かう」のだよ。
予告編に金を取って良いという論法はむちゃくちゃだ。

レッドクリフ Part-II とはいえ、確かに本作はそんな印象を持った作品ではある。
前作“Part-I”では、各登場人物のキャラクターを紹介し、戦闘場面もそれを強調したタイマン勝負。
“Part-II”では、総力戦になり、大集団戦闘なので、各キャラクターここの活躍シーンなどそうそう描いてもいられないというのは事実だろう。
個人的に大好きな関羽(巴森扎布:バーサンジャブ)の大活躍がなかったのが少々欲求不満ではあるが…
実際に、この作品は元々1本完結で作られる予定が長くなりすぎて二分割されたという経緯もあるらしい。


さて、今回も本編の前に物語の背景や主要人物のキャラクターを説明するナレーション(日本版独自)が挿入され、これも非常に理解の助けになる。
(多分、これを監修したのが前述の大東文化の教授先生)

レッドクリフ Part-II 映画版オリジナル・キャラクターの中村獅童はかなり美味しい役回りであった。
金城武演ずる諸葛亮孔明が超能力者や魔法使いの様に描かれていないのもよろしい。

そして何と言っても小喬を演じたリン・チーリン。
凛とした美しさが際だっていた。

小喬は、「一顧傾人城、再顧傾人国」=一度会えば城が傾き、再会すれば国が傾く程の美女と言われた女性。
なかなかのキャスティングであろう。

そして、もちろんジョン・ウー映画。今回も白鳩も飛ぶ!
ただ飛ぶだけではなく、ちゃんと役柄を持って。


既に述べているが、前作の個人戦から集団戦に変わって迫力がさらに増している。
前作では“これは「武侠映画」なのだから。”と思ったが…
本作は、ジョン・ウー版古代中国スターウォーズだと思ってみるのが吉かも知れない。

そうして観れば、壮大なスケールの大スペクタクル巨編としては大成功なのではないだろうか?
たびたび書くが、映画はそもそもエンタテイメントなのだから、ましてやドキュメンタリーでもないのだから、素直に映像世界を楽しまないとチケット代がもったいないのである。


レッドクリフ Part-II しかしなぁ…
冒頭で「歴史は勇気ある人たちの行動により成り立っている」(たしか…)と言う様な能書きが出てくるが…
結末は「少数の権力者の無能さエゴで無数の兵士が無駄死にした」と言うイメージがなきにしもあらず。

激しい戦いの後、累々と横たわる死体。そしてラストのメッセージは、「戦争に勝者はいない」だ。
黒澤か??

ジョン・ウー監督は「西洋人にも通じる様な三国志を描きたい」と語ったそうだが…
そうだね、これは西洋人には絶対に受けるだろうな。
全編これ、ジョン・ウー節炸裂だし。

説明と人物紹介に割かれてしまった一作目と違って、ハイスピードで戦闘に突入できるし、後半は超強力アクション満載なので、その分での期待は裏切らない。
要するにアクション映画としては大成功だろう。

ただ、あのラストはなぁ…

そして、前作“Part-I”は、教授先生がおっしゃる様に異様に長い説明を行う予告編を「有償で観せられた」と言うことなのだろうか?

劇場の売店で昔大流行して、今又リバイバルしている、立方体の色を揃えるパズルの色面が各キャラクターの写真になっている物を売っていた。
よく見なかったけれど…商品名が「劉備っく・キューブ」だったら…

ワシ、ちょっと怒るぞ。


return目次へ戻る