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日本のいちばん長い日

日本のいちばん長い日(THE EMPEROR IN AUGUST)

監督 原田眞人
脚本 原田眞人
出演者 役所広司/本木雅弘/松坂桃李/堤真一/山崎努
音楽 富貴晴美
製作年 2015


日本のいちばん長い日
大宅壮一の名で発表されたノンフィクション『日本のいちばん長い日』(文藝春秋社、初版1965年)を、東宝創立35周年記念作品のひとつとして1967年(昭和42年)に岡本喜八監督による作品が公開されている。本作をきっかけとして「東宝8.15シリーズ」として1972年(昭和47年)の『海軍特別年少兵』まで6本の映画が製作された。
本書の著者、半藤一利は、1965年当時は文藝春秋新社の社員であり、営業上の理由から「大宅壮一 編」として出版された。序文のみ、大宅が書いている。

そして今年、2015年、半藤一利の『日本のいちばん長い日 決定版』を原作に、原田眞人監督により再び映画化された。

観たいと思っていたら、カミさんからのお誘い。
文句なし同行。

で…スクリーンちっさ…
その上前席、頭デカっ!

それはさておき、
本作の核となるのは「宮城事件」。
1945年8月14日深夜から15日にかけて、一部の陸軍将校たちによって起きたクーデター事件。

教科書ではわずか数行で片付けられてしまう日本史の小さな出来事…
実はこの事件こそ近代日本史上最も重要な24時間“日本のいちばん長い日”の裏側で起きていた重大な出来事。

前作岡本喜八作品は、子供の頃観ている。「東宝8.15シリーズ」も確か全作観ている。
が、本作と岡本作品を比較するのは止めよう。
なにせ前作は48年も前。
今とは社会情勢が全く違うのだから。
なにせ、未だ昭和天皇役の八代目松本幸四郎を正面からフレーミングする事が憚られた時代。

昭和天皇と阿南惟幾、鈴木貫太郎の3人を中心とする「家族」を描きたかったと監督は言う。
「反乱軍」の将校達を狂気とはしたくなかったとも監督は述べる。

思考形態はどうあれ、当時はどれもが「愛国心」。
しかしながら、「2000万人が特攻すれば日本は勝てる」と言い放つ軍人は狂気でしかないのではあるが。

映画は丹念に描かれている。
人々の所作、特に軍人の動きが美しい。
逆にそれがとても哀しいのだが…

淡々と言うよりも山崎努のキャラクターだろうか、飄々とした食えないイメージで難局を乗り切るという印象はある。
よって、緊迫感には少々欠ける。
役所広司は、人としての存在は魅力的だが、苦悩の軍人としては少々弱かったか。
優しすぎるんだな、この人。
本木雅弘の昭和天皇は…これは圧巻であった。凄いな、この人。
ただの草食系イケメン君だと思っていた松坂桃李も実に良かった。
一筋縄ではいかない鈴木貫太郎の山崎努は別として、出演者達の所作が本当に美しい。
無名に近い俳優だが、東条英機も凄かったな。

国民を玉砕させて守ろうとした陸軍の国体とは…何だったのか。
昭和天皇が守ろうとした国体とは民であった。
本木は控えめに、しかし毅然として演じきっていた。

前作にはなかった“THE EMPEROR IN AUGUST”と言う副題が象徴する様に、これは戦争と昭和天皇を描きたかった作品なのだろう。

日本のいちばん長い日は、軍隊を捨て、国民を生かし、大日本帝国が消滅して新生日本国が誕生した日。 (学術的には日付には諸説有るが…)


博士の異常な愛情のラストでも使われた Dame Vera Lynn / We'll Meet Again が実に印象的に挿入されていた、


デイム・ヴェラ・リン (Dame Vera Lynn, DBE, 本名:Vera Margaret Welch (ヴェラ・マーガレット・ウェルチ), 1917年3月20日) は、第二次世界大戦期に称賛を受けたイギリスの歌手、女優。
第二次世界大戦中、リンはイギリス軍が戦っていたエジプト、インド、ビルマで慰問コンサートを開いており、「イギリス軍の恋人」として記憶されている。リンが歌った歌でもっとも知られている曲は『ウィィル・ミート・アゲイン(We'll Meet Again)』と『ザ・ホワイト・クリフズ・オブ・ドーバー(The White Cliffs of Dover)』である。

彼女は大戦がはじまると、自身のラジオ番組で海外にいる兵隊向けのメッセージを送ったり、病院へ慰問するなど、軍隊の恋人(forces' sweetheart )と呼ばれた。
戦後はこの功績からだろうが、女公 (Dame) の称号も与えられた。

「We’ll Meet Again」(1943)は、彼女が主演した同名のミュージカル映画の主題歌。

この歌は第二次世界大戦において従軍した兵士への想いを歌い、戦時歌謡としても使われた。

We’ll Meet Again

作詞:Hugh Charles (Hughie Charles)
作曲:Albert Rostron Parker (Ross Parker)

We’ll meet again,
Don’t know where,don’t know when.
But I know we’ll meet again, some sunny day.

Keep smiling through ,
Just like you always do,
Till the blue skies chase those dark clouds, far away.

So I will just say hello,
To the folks that you know,
Tell them you won’t be long,
They’ll be happy to know that as I saw you go
You were singing this song

We’ll meet again,
Don’t know where,don’t know when.
But I know we’ll meet again, some sunny day.


また、逢おうね

また、逢おうね
いつか どこかは 分からないけれど
でも、きっと 逢えるね 晴れた日に

笑顔を絶やさずにいてね
いつも いつまでも
青空が雨雲を追い払うまで

挨拶を交わそう
君が知っている人々に
きっと 私は、もうじき戻る
知らせはきっと届くだろう
この歌を歌う君の許に

また、逢おうね
いつか どこかは 分からないけれど
でも、きっと 逢えるね 晴れた日に
(意訳;GB)

日本のいちばん長い日 そして、本日の復習。




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