GBのアームチェアCinema見ist:みをつくし料理帖

みをつくし

みをつくし料理帖

監督 角川春樹
脚本 江良至/松井香奈/角川春樹
原作 田郁
出演 松本穂香/奈緒/若村麻由美/浅野温子/窪塚洋介/小関裕太/藤井隆/石坂浩二/中村獅童/薬師丸ひろ子
音楽 松任谷正隆
主題歌 手嶌葵「散りてなお」(作詞・作曲:松任谷由実)
制作 2020


日曜朝一番、「チケット取れたからね」。
カミさんと映画に出かける。

作品は…
多分これが三度目の映像化。
事前情報や予告編で“う〜んキャスティングがなぁ…”と思っていたのだが、まぁ、カミさんが見たいというのなら。

シネコン、小さめのスクリーンなので最後列。
やはり未だ客が帰ってきていないのか、それとも鬼滅フィーバーにやられたのか封切り直後なのにガラガラ。
鬼滅映画は公開初日の16日だけで興行収入(興収)10億円を突破したそうな。
鬼滅は優れた作品だとは思うけれど、まぁ、あれだけスクリーンを独占すりゃあねぇ。


原作『みをつくし料理帖』は、田郁による長編小説。
全10巻と登場人物達の後日譚『特別編』、レシピやエッセイ、主人公達の少女期を描いた短編収録『みをつくし献立帖』が出版されている。

映像作品は、2012年および2014年にテレビ朝日の北川景子主演単発ドラマ、2017年および2019年にNHKにて黒木華主演の連続ドラマ。
本作は角川春樹の最後の監督作品として制作された。

完璧ではない物の、NHKのTVドラマ版のキャスティングが秀逸だったが故に、本作には最初から余り興味を惹かれなかった。
(テレ朝版のキャスティングは論外)
本作のキャスティングは全般的に各配役が“若すぎる”気がする。

原作にないキャラクター、「八人の剣士が戦う物語を書いた」戯作者の妻として薬師丸ひろ子が出演しているのはかつての大ヒット角川映画(1983)へのオマージュなのだろうか?
そして、この戯作者の配役は…ううむ…
五月蠅い、鬱陶しい、作品の品位が…

お話しはエライ速度感で疾走する。邦画としては長尺の130分越えだが、とにかく急ぐ急ぐ。
映画作品と言うよりも長編小説のつまみ食いダイジェストの如き。
演出そのものは結構ゆったりとしているのだが、お話しを端折りすぎ。
急いで急いでどこまで行くの?と思っていたら、何だか中途な位置、小説で言えば中盤にも至らない所で綺麗にすとんと落としてしまった。
これは…“最後の監督作”等と言いながら、続編で儲けようとしているのか?
と、思っていたら、ラストワンシーンで完結させてしまった。
ううむ…なんだこりゃ。
このラストシーン、あまりに酷い安っぽい合成なのは、良いのか?これで。

原作では完結編のラスト、絢爛豪華なシーンが最高なんだけどね。
時代考証が…等と野暮な事を言うのはもう、止めにしよう。

キャストは…劇場の椅子に落ち着くと何となく慣れる。ま、悪くは…ない…かな…

料理に関してはなかなか美しく撮られている。
まぁ、服部先生の監修だし。そのレシピが劇場パンフレットの綴じ込み付録小冊子になっているのは一寸得した気分ではある。

松任谷正隆の劇伴とYuming作、手嶌葵の主題歌は悪くなかったよ。贔屓目ではなく。



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