GBのアームチェアCinema見ist:キツツキと雨

キツツキと雨

キツツキと雨

監 督 沖田修一
出 演 役所広司/小栗旬/高良健吾/臼田あさ美/古舘寛治/嶋田久作/平田満/伊武雅刀/山崎努
脚 本 沖田修一/守屋文雄
音 楽 omu-tone
主題歌 星野源「フィルム」
製 作 年 2012


カミさんがね、また映画観たいって言うのよ。

「南極料理人」の沖田修一監督が、無骨な木こりと気の弱い映画監督の出会いから生まれるドラマを役所広司と小栗旬の初共演で描く。とあるのどかな山村に、ある日突然、ゾンビ映画の撮影隊がやってくる。ひょんなことから撮影を手伝うことになった60歳の木こりの克彦と、その気弱さゆえにスタッフをまとめられず狼狽する25歳の新人監督・幸一は、互いに影響を与えあい、次第に変化をもたらしていく。そして、そんな2人の交流が村と撮影隊の奇妙なコラボレーションを生み出していく。
2011年・第24回東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞。

何だか、今年は年明けから映画マニア全開だな…
で、ほぼ毎週映画観ているが、それが全部邦画ってのも自分的に珍しい。
年末の“RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ”から連続6本目の邦画である。

“聯合艦隊司令長官 山本五十六”と“麒麟の翼”以外は“ALWAYS 三丁目の夕日'64”、“しあわせのパン”とこの“キツツキと雨”、全て平穏な一般庶民の日常に起こる小さな出来事。
まぁ、これは伝統的日本映画の一つの大きなジャンルでもある。

で、本編。
はっきり言って、何が起こる訳ではない。
人によってはもしかしたら退屈な二時間かも知れない。
同じ監督の“南極料理人”程の「期せずして感動的なシーン」がある訳でもない。
極めて平坦な物語である。

あるが…

決してこれは悪くない。
役所広司…
上手い、途轍もなく上手い。

冒頭シーンのとぼけた(決して「ふざけた」ではない)演技だけでも気持ち持って行かれてしまう。
この間、聯合艦隊司令長官を演じていた人物だと言うことをすっかり忘れて鑑賞してしまった。

そして、随所に仕掛けられた「爆笑ではないモノの」絶妙なクスグリ。
その陰には、人と人とのつながりの暖かさ。

このさりげなさが良い。実によい。
何となく、見終わった後前向きになれる、これは佳作だろう。

CGを駆使した超大作でなくても、映画は作れる。
それは日本映画の一つの伝統でもある、と思う。
何故か何だか海外で結構評判がよいらしい。

しかし、最近、食い物のシーンが印象的な映画が多いな。
いや、多いというか、単に私が食い意地が張っているだけなのかも知れない。

観終わった後に、味付け海苔とウィンナーソーセージで炊き立てのご飯を無性に食べたくなってしまった。
帰りにデパ地下で味付け海苔とウィンナーソーセージを買ったのは言うまでもない。

あぁ、でも、池袋の封切館、静かなシーンで左前方天井からバズノイズのような音が… 多分、空調雑音だろうが…
どうして、こういうの無神経な映画館、多いかな…


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