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君たちはどう生きるか

君たちはどう生きるか(The Boy and the Heron)


君たちはどう生きるか
監督 宮ア駿
脚本 宮ア駿
原作 宮ア駿
出演 山時聡真/菅田将暉/柴咲コウ/あいみょん/木村佳乃/木村拓哉/風吹ジュン/大竹しのぶ/阿川佐和子/火野正平/小林薫/竹下景子/國村隼/滝沢カレン
音楽 久石譲
主題歌 米津玄師「地球儀」
上映時間 124分
制作 2023


昔…(ナウシカ以前、東映動画時代)からの宮崎ファンである。
最新作か…
一応観ておかないとイカンかな。
とシルバー料金の観客は爺の説教(臭い題名ね)を拝謁に出かけたのである。
2013年、宮崎駿が自身の漫画作品『風立ちぬ』を原作としたアニメーション映画『風立ちぬ』を公開し、それを最後に「宮崎が長編映画の制作から引退する」ことをスタジオジブリ社長の星野康二が発表した。

しかし、2017年2月24日にプロデューサーの鈴木敏夫が「Oscar Week 2017」において、宮崎が長編映画の制作に復帰したことを公表し事実上の引退撤回となった。ただし、宮崎自身は「自分は引退中であり、引退しながらやっている」と発言している。

吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』からタイトルを取っているが直接の原作とはならず、同小説が主人公にとって大きな意味を持つという形で関わり、物語そのものは冒険活劇ファンタジーとなる。

プロデューサーの鈴木は、2023年6月2日に行われた『文藝春秋』編集長の新谷学との対談において、本作については宣伝を一切行わない方針を明らかにした。
また、「金曜ロードショーとジブリ展」の開会セレモニーにて、鈴木は、「いろいろ考えているうちに一切宣伝がなかったら、皆さんどう思うんだろうと考えてみた。僕の考えですけど、これだけ情報があふれている時代、もしかしたら情報がないことがエンタテインメントになる。そんなふうに考えました。うまくいくかどうかわかりません。わからないけど、それを信じてやる、ということです」と語っている。

2022年12月13日に公開予定日とポスタービジュアルが発表されたが、以降予告編の公開やCM、新聞広告、公式サイトの開設といったプロモーション活動は全く行われておらず、出演者や主要なスタッフについても公開日までほとんどが非公開となっており、2023年2月下旬に行われた初号試写でも、厳重な箝口令が敷かれたほどでもあった。
パンフレットは公開日に販売されず、劇場では「パンフレットは後日発売」との旨の告知が掲示された。
(Wikipediaより)
この人の辞める辞める詐欺は年中行事だしな。
そもそも辞めてる最中に『アーヤと魔女』(関わってない訳がない)みたいな壮絶な駄作を作らせちゃってるし。
完全ティザー公開ってのはもの凄く気にくわないが、年齢から言ってこれが“本当の”最終作になりそうだし、取り敢えず観るだけは見ておこう。
もういい年だし、神通力も減衰してきているので余り期待しないでね。

映画館にもチケット売り場に小さなポスターがあるだけで、劇場入り口の案内板すらない。徹底してティザーだ。
劇場パンフレットの販売もない。(後日ネット販売ですと。)
グッズ売り場にも唯一公表されているポスター図案の下敷き、それ以外は過去作品の物。
鈴木プロデューサーは、現在主流の「製作委員会方式」に違和感を抱いているらしい。
特に製作委員会に名を連ねたテレビ局や広告代理店が、大々的に作品内容を明かして宣伝することに違和感があったようで、7月6日に公開されたNHKのインタビューでは、「内容を知った上で、それを確認するために映画を見られたんじゃたまらないですよね。やっぱり面白いかどうかですよ。厳しい目で見ていただきたい」と語った。

まぁ、「製作委員会」方式を採らなかったが故に巨匠は“好き勝手”に映画を作れたのだろうが。

こんだけ隠されていると、もう、何を書いてもネタバレになるので感想文にも困ったモンだ。
もはや宮崎翁は神格化された教祖様なので、ナニをやっても許されるんだよ。

映像は流石に神の元集う職人達が啓示に従って作っているのでそりゃもう、ジブリクオリティだ。

当初原作とされた吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』。
数年前に話題になった時に本屋で立ち読みをしたが、とても財布を開く気にはならなかった何とも鬱陶しい本であった。
あれをどう料理するのかと思ったら…
お話の方はまぁ、傾向としてラピュタ+千と千尋の系統か。
タイトルになった書籍とは全く繋がりのない物語。(一部小道具にはなっている)

決してつまらない訳でも退屈な訳でもないが、なんだか全編“教祖様の隠喩的ご託宣”に満ちあふれているようでもあり、なんとも居心地が悪い。
爺の説教はなかったけどね。
いや、そんな余計なことを考えずにきゃぁきゃぁ見れば…ううむ、どうもそうは行かない。
なんとも不思議な、観客がやたら気を遣う作品なのは、やっぱり教祖様に洗脳されているからなのか?

エンドロールで声優を見てブッたまげた。
ジブリお得意のプロ声優を使わない方針。
こりゃ実写映画でも豪華配役じゃないか。
まぁ、それが良いかというと、かなり疑問だが。

ヒットするかなぁ?
どうだろうねぇ。

タイトルに“の”が入ってないしねぇ。

いっそ“君たちの どう生きるの”辺りにしとけば大ヒットしたんじゃない?

しかし、この不愉快なプロモーション、成功したようで初動4日間における興行収入は21億4000万円、観客動員は135万人を記録したという。
これは宮崎監督の前作『風立ちぬ』の興行収入対比で150%を超え、01年公開の『千と千尋の神隠し』における初動4日間の興行収入、19億5437万円をも上回る記録だってさ。

教祖様のご託宣にプロモーションは不要と言う事か。

そうそう、鬼才久石、今回は劇伴に徹し印象に残るフレーズをことごとく廃した、ファンとしては何とも寂しい音だった。


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