GBのアームチェアCinema見ist:「鬼滅の刃」無限列車編

鬼滅の刃

「鬼滅の刃」無限列車編

監督 外崎春雄
脚本 ufotable
原作 吾峠呼世晴『鬼滅の刃』
出演 花江夏樹/鬼頭明里/下野紘/松岡禎丞/日野聡/平川大輔
音楽 梶浦由記、椎名豪
主題歌 LiSA 「炎」
制作 2020


朝一番の映画館に来てみた。
バケモノ作品、これだけ話題になっていたら、映画好きとしては一応観ておかないとね。

もし混んでたら即座に帰ろうと思っていたのだが…
流石平日一番、殆ど席は埋まっていない。

若者(中高生風)の2〜3人グループが二つ三つ。
ヲタっぽい女の子二人連れ、そして何故かボッチ爺ぃが二人。
あ、私も入れたら三人か。

初日の上映スケジュールが『まるで時刻表のよう』と言われた怪物作品。
まぁ、コロナ禍の下“他に人を呼べる作品が殆ど無い”のだから仕方は無いのだが。

しかしながらTV版を見た限りではかなりクオリティの高い作品である。
原作漫画も些か血なまぐささが過ぎる嫌いがあるが、ストーリーとしては優れている。
少年ジャンプそのものの作品だが、かつての大ヒット作のようにダラダラと連載を続けて完全パワーインフレを起こし訳が分からなくなる前にすっぱりと完結させたのも好ましい。
主要人物の犠牲は余りに多いが。

さて、本劇場版。
オープニングの実写と見紛う風景映像から始まり、全編を通して品質水準が破綻していないのは素晴らしい。
多くはCGの力に寄るところなのだろうが、手描きとCGの融合もここまで来たのだと、感慨深い。

本編そのものは豪華絢爛派手丸出しの剣戟と胸滾る熱血ストーリー。
主人公達の真っ直ぐな姿勢も又好ましい。
作中にも登場するが、特に主人公の慈愛溢れる澄んだ心が人々の気持ちを掴むのだろう。
本作の主人公は全編通しての竈門炭治郎と本作では煉獄杏寿郎の二人とも言えるが…

但し、映像そのものは禍々しくかなり残虐で血生臭い。
作品はR12、子供に見せてはいけないという物ではないが保護者の監督が必要となる。
本作はTVアニメのヒットで一桁年齢の幼い子供達にも大人気だそうだが…
果たしていかがな物か。
TVアニメと本劇場版とで原作の半分程度のストーリーを語っている。

原作後半、未だ映像化されていない物語ではその内容は更に熾烈を極める。
子供達はそれぞれお気に入りの登場人物がいるようだが…
物語終盤でそれらの登場人物達が辿る運命を思うと、まだ先のストーリーを知らない子供達に心の傷を残してしまわないか、少々心配ではある。

また、本作はTVアニメの続きであり、長い作中の1パートに過ぎず、単独で成立している作品ではない。
原作やTVアニメに触れていない観客にとっては説明不足で「意味分からん」状態になるのではないか?
「それでも面白い」という感想も聞かれ、一見さんお断りと言うではないようだが。



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