GBのアームチェアCinema見ist:検察側の罪人 
	
 
検察側の罪人 KILLING FOR THE PROSECUTION 
監督 原田眞人 
脚本 原田眞人 
出演 木村拓哉/二宮和也/吉高由里子/平岳大/大倉孝二/八嶋智人/音尾琢真/大場泰正/谷田歩/酒向芳/矢島健一/キムラ緑子/芦名星/山崎紘菜/土屋玲子/松重豊/山崎努 
音楽 富貴晴美/土屋玲子 
挿入歌 Dinah Washington - Cry Me A River 
制作 2018 
 
 
カミさんは「キムタクはどうでも良いの。なにを演ってもキムタクだし。ニノを見に来たの」と仰る。 
 
まぁ、それが逆であってもそういう観客層は充分に満足できる作品であろう。 
なかなかの迫力だし。 
 
原作は未読だが、文庫で上下の長編である。 
その長編小説を映画化しているので、単純化は必要であろうが、いかにせよ説明不足の感が否めない。 
と言うよりも提示された数々の要素が、殆ど回収される事なく放置されている印象が強い。 
映像がなかなか見せるので何となく一気にラストまで行ってしまうが、原田眞人って、こんな作風だっけ? 
観客を突き放した終わり方も原田流なのだろうか。 
映画化に当たって、原作にない要素を付加しているそうだ。 
なんと、70年以上昔、史上最悪の作戦と呼ばれるインパール作戦。 
主要人物の関連性を強める意図なのだろうが、これが意味不明。 
主役との絡みの代議士も登場、退場共に意味不明。 
 
映画の主軸が曖昧になる。 
非常に中途半端な使われ方なので観客の意識をそらすだけでしかない。 
 
当代のイケメン映画として捉えれば『まぁ良いんじゃない?』と言う事になるが、実は本作、主役たちにではなく助演男優陣が素晴らしい。 
助演はほぼ悪役なのだが、どいつもこいつも食えない気持ち悪さが流石である。 
この悪役陣の凄みがこの映画を支えていた。 
 
原作は雫井脩介による日本の小説。『別册文藝春秋』(文藝春秋)にて2012年9月号から2013年9月号まで連載された。 
 
劇中で印象的に使われる曲はCry Me a River。 
アメリカ合衆国の作曲家であるアーサー・ハミルトン(Arthur Hamilton 1926-)の1953年作詞・作曲。 
 
一度は裏切りながら復縁を乞う恋人に向かい「いまさらもう遅い、川のように泣きなさい」と冷ややかに突き放す…と思わせて「泣きなさい、すまなかったと思うなら、愛してるって証明して見せて、川が流れるほど泣きなさいよ、わたしが流されるくらいに」と女心を歌っている。 
1955年にジュリー・ロンドンの歌唱で大ヒットし、彼女の代名詞となると共に、今日までロックやジャズ、ブルースなどといった、様々なジャンルのアーティストが採り上げる、スタンダード・ナンバーの一つ。 
本作ではダイナ・ワシントン版を使っている。 
 
		
Cry Me a River 
 
Now you say you’re lonely 
You cry the whole night thorough 
Well, you can cry me a river 
Cry me a river 
I cried a river over you 
		 
VIDEO 
 
VIDEO 
 
 
ウチのコレクションを探したらジュリー・ロンドン版もダイナ・ワシントン版も、エラもバーブラもなかった。 
見つかったのはBenny Golson、綾戸智絵、上田正樹、青江三奈、村上ゆき、八代亜紀。 
どれもなかなか良いんだけど、ううむ…結構ひねくれたコレクションだなぁ。 
 
	 
	
 
 
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