GBのアームチェアCinema見ist:鍵泥棒のメソッド
鍵泥棒のメソッド
監 督 内田けんじ
出 演 堺雅人/香川照之/広末涼子/荒川良々/小野武彦
脚 本 内田けんじ
音 楽 田中ユウスケ
主題歌 「点描のしくみ」吉井和哉
製作年 2012
◎ミステリー【mystery】
1.神秘。不思議。霊妙。
2.聖史劇。
3.推理小説。
◎サスペンス【suspense】
小説・映画などで、物語中の危機が、読者・観客に感じさせる不安・懸念・緊張感。
◎コメディー【comedy:英・come'ie:仏】
喜劇。
◎トラジコメディー【tragicomedy】
悲喜劇。
1.悲劇的であると同時に喜劇的な戯曲。悲劇的部分と喜劇的部分とが交錯している劇。また、悲劇の結末が喜劇的に解決されるもの。
2.悲しむべきことと喜ぶべきこととが同時に重なった出来事。「人生の―」
(以上:広辞苑第五版)
◎ラブコメディ
(広辞苑に記載無し)
夜中から雨が降っていた。
朝起きても降っていた。
休みの日の楽しみの一つ、カメラを持ってお散歩、今日は出来そうにない。
「映画行く?」
カミさんが言った。
へぃ、映画ならいつでもご一緒しますぜ。(いつものパターン)
まるで知らなかった作品。
目的の映画館、通常はネットで指定が取れるのだが本作は自由席だという。なんだそりゃ?
泡喰ってドタバタと出かけたが、客席は4割程度の入り。
やはり大作でないと客は呼べないんだな…
のっけから展開が読めない。
相手がいないのに結婚宣言する雑誌編集長。
何だ何だと思っていると、突然、事故で記憶を無くす殺し屋と、鍵泥棒をして殺し屋になりすます売れない役者が登場。
女性編集長と記憶喪失の殺し屋が絡み、更に鍵泥棒も絡み…
堺雅人、香川照之の組み合わせってのは凄いね。
“ゴールデンスランバー”何てぇのもあったが。
この二人の競演だけでも面白くなる要素満点。
こりゃ、楽しいわ。
笑顔を見せない広末涼子ってのもなかなか良い。
脇役の荒川良々も不思議なブキミさが醸されていて良い。この人にこの配役をした監督のセンスに脱帽だな。
他人と入れ替わるってのは古今映画で多くあるモチーフだし、騙しまくるストーリーってのも良くある。
でも、これは久々の当たり映画かも知れない。
先が読めないストーリーを軽快軽妙に飛ばす。
一部難がない訳ではないが、伏線の張り方や小仕掛け大仕掛けもなかなか。
張り巡らされた伏線が、次々回収され最後に一つに収束していく過程も見事である。
そしてエンディングが実に心地よい。
最近流行の曖昧な終結ではなく、全てにきっちりとオトシマエをつけた結末にも好感が持てるし、そのオトシマエが実に明るく爽快なのである。
「大傑作!」と賞賛する程ではないが、このエンディングの後味の良さがこの映画の価値を引き上げている。
この監督、かなりの技巧派と見た。
本作は大作ではないが、ただ金と時間を掛ければ素晴らしいモノが出来る訳ではない。
「日本映画らしい」秀逸な作品、といえるだろう。
なかなかの拾いモノだったかも知れない。
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