GBのアームチェアCinema見ist:阪急電車=片道15分の奇跡=

阪急電車=片道15分の奇跡=

阪急電車=片道15分の奇跡=

監 督 三宅喜重
出 演 中谷美紀/戸田恵梨香/南果歩/谷村美月/有村架純/芦田愛菜/小柳友/勝地涼/玉山鉄二/宮本信子
脚 本 岡田惠和
音 楽 吉俣 良
主題歌 aiko「ホーム」(ポニーキャニオン)
原 作 「阪急電車」有川浩(幻冬舎文庫)
製作年 2011


数日前につぶやいているのだが…

平積みを手に取った。2時間程で読み終えた。これ、なかなか素敵だわ。何か特別なことが起こるわけではない日常の風景。でも、なんとなく…ほっこり暖かくなれる。

一寸おじさんウルっと…

Amazon辺りで☆が少ないレビューを読んでみたら、曰く「リアリティがない」とか「薄い」とか「しらける」とか…
いや、何そんなに斜に構えてるんでしょうね。

何もない、普通の風景に「一寸嬉しいこと」発見して素直に喜べばいいじゃないですか?
たかがライトノベル(ってのかな?)なんだし。
版元が幻冬舎だったから(ここは当たりはずれが非常に激しい)読み始めるまで心配だったけれど、これは素敵な掌編なんじゃないかな?


阪急電車=片道15分の奇跡= 阪急電車 (幻冬舎文庫)有川浩(著)

文庫: 269ページ
出版社: 幻冬舎 (2010/8/5)
ISBN-10: 9784344415133
ISBN-13: 978-4344415133
ASIN: 4344415132
発売日: 2010/8/5

で…
なんで平積みを手に取ったか、と言うと腰巻きに映画化の宣伝があったら。

と、言うわけで観に行ってきました。


ですます調はどうも調子が出ないのでいつもの口調に戻る…

オムニバス(omnibus)元はラテン語で「万人向き」の意。
乗合馬車を指し、自動車の「バス」の語源でもある。

そこから転じて、数個の独立した作品を並べて一つの作品に仕上げた映画や演劇、また、複数のミュージシャンの作品を収録した音楽アルバムのことなどを指す。

本作は中編小説の形態を取るが、それぞれの章がつながりを持つ短編集のような作品である。
バスではなく、電車なのだが…

舞台となる阪急電車(阪急電鉄今津線)は、兵庫県宝塚市の宝塚駅から兵庫県西宮市の今津駅までを結ぶ阪急電鉄の鉄道路線。

始発から終点までの路線距離(営業キロ)9.3km、起終点駅含む駅数10駅のいわばローカル線である。
その電車の片道15分、その往復の間に紡がれる人と人との関わり。

それは特に大きな問題ではなく、当事者にとっては人生の重大事であっても、隣人にとっては日常どこにでもある些細な出来事。

阪急電車=片道15分の奇跡= そんな無関係な人々が「電車に乗り合わせた」という事実だけで、微かだけれども優しく繋がって行く。

原作も登場人物に対する作者の暖かいまなざしが感じられて非常に好ましく読んだが、この映画もなかなか素敵だ。
中谷美紀、顔は余り好みではないが、居住まい佇まいの美しさは流石である。
出てくる女優さんがみんなそれぞれに役柄に向いた美しさを持っている。

そして、みんな色々な物を抱えて生きているけれど、やっぱり前に向かって歩いて行くのだ。


阪急電車=片道15分の奇跡= 若干ネタバレ気味の書き方をしてしまうと…プロローグとエピローグのエピソードは本編には登場しない。
どちらかというと青年の視点のこのエピソードを省くことによって、この監督は「女性視点」映画としてまとめたかったんではなかろうか?

等と思ってしまった。
私としては原作のあのエピローグが物語を締めているのではないかと思うのだが…

エンドロールにプロローグとエピローグのエピソードに大きく関わる風景がちらっと流れる。
やる気はあったんだ…
単純に尺の問題だったのだろうか?
あるいはその風景が製作期間中に間に合わなかったのだろうか?


帰宅してから劇場プログラムを読んでみると、なんとスピンオフとして携帯専用ムービーでこのエピソードが作られているらしい。 う〜ん…

こういうのって、どうなんだろう?
特定のキャリアでしか観られないんだよね?

もう一つ気になったのは…

途中、ギャグなんだろうね、一部突然アニメーションがオーバーラップするの、あれもどうなんだろう?
確かに笑いは取れていたようだが…

作品全体のバランスを欠いてしまったような気がしないでもない。

でもね、ちょっと宝塚から沿線巡りしてみたくなる小説と映画だよ。
地味だが、なかなかの佳作ではある。


阪急電車=片道15分の奇跡=征志とユキの物語

阪急電車=片道15分の奇跡=征志とユキの物語

監督監修 三宅喜重
監 督 宮崎暁夫
出 演 永井大/白石美帆
脚 本 渡辺千穂
音 楽 吉俣 良
主題歌 SAY「Tears On Earth」(EMI Music Japan)
原 作 「阪急電車」有川浩(幻冬舎文庫)
製作年 2011


気になっていた、原作のプロローグとエピローグのエピソードが本編には登場しないと言うこと。

スピンオフとして携帯専用ムービーでこの重要なエピソードが作られていた。
特定のキャリア(au)でしか公開されず、その後TVで放映されたのも製作が関西テレビだったので西日本でしか観られなかった?
(期間限定でCATVにも流されたらしい)

DVDになったので釣られてみた。

監督は違うが、本編を撮ったチームが作ったらしい。

主演の二人は美しい!と言うタイプではなく、どこにでもいそうな若者。
キャラクターとしてはなかなか良いのではないか。
白石美穂?知らなかったが、時々もの凄く良い表情をする。

青年のモノローグで進行する演出は些かお手軽な気がしないでもないが、短編としてはなかなか良い出来であると思う。
何故、本編にこの重要なエピソードを挿入しなかったのか、やはり疑問噴出である。
映画の集客のために「予告編」的な使い方で露出したのだとしたら…
一寸なぁ…

出来れば本編と同じクオリティで、本編にちゃんと組み込まれた物が観たかったな。
(業務用機器とは言えビデオムービーの絵は平面的で感動が薄れる…)

Youtubeにも全編あるようだが、本編を観て気に入った向きには、これは購入しても惜しくない一枚だとは思う。


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