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花戦さ

花戦さ

監督 篠原哲雄
脚本 森下佳子
出演 野村萬斎/市川猿之助/中井貴一/佐々木蔵之介/佐藤浩市/高橋克実/山内圭哉/和田正人/森川葵/吉田栄作/竹下景子
音楽 久石譲
原作 鬼塚忠『花いくさ』(角川文庫刊)
製作年 2017


カミさん、土曜のレイトショーに行くつもりだったらしい。が、上映は昼間のみ。
最近は入りが悪いととっとと縮小、撤退しちゃうのか?

日曜日の昼。観に行ってきた。

メジャー配給の邦画では恐らく初めてとなる「華道」をテーマとした作品。
基本的に私は「生け花」にも「茶」にも縁がないが、果たして楽しめるのだろうか?

日曜の一番上映。やはり客の入りは宜しくない10数人だろうか。
やはり、これは余りに題材が…
客の殆どは頭が白い小母ちゃんとそのお供。

何より、隣の席の老夫婦、でかいスーパー袋に山盛りてんこ盛りの袋菓子を詰め込んできて、ずっとガサガサボリボリ。
つい「い〜加減にしろよな!」とつい声を出してしまったが、何故私が怒っているのか解らなかったらしい。
あげく婆さん、中盤にさしかかる辺りでタブレットか?と言うほどでかい画面の携帯端末を取り出だし、バックライト全開で操作し始めた。
私は腰を浮かしたが、流石に間にいたカミさんが相手に注意を促し、ぶち切れた私による修羅場は回避された。
それでも注意された意味が分からなかったのだろう。端末のバックライトは開いたまま空いていた一つ隣の席に移動して…

もう、良い!馬鹿は放っておく。

馬鹿面を拝んでやろうと思ったが、エンドロールの時点でもはや席にはいなかった。

そんなこんなで集中を欠く鑑賞であった。

結論から言うと…

この映画は花と絵を見て満足すべき作品である。

退屈するような作劇ではないが、「結局なんだこれ?」である。

そもそもチラシやポスターの「秀吉ギャフン!」ってなぁ何なんだ?
相当センスがないコピーライターなんだな。

安土桃山の時代、信長が死んで一応の平和が訪れた時代。
つまり、時代劇とは言え戦闘描写がある訳ではなく、権謀術数の応酬でもない。
「いけ花」という芸術作品の持つ力で権力者と対決するというお話は画期的だが、歴史上で茶や花が大きな力を持っていたと言う事を良く理解していない私は、だから、何?と思ってしまう。

野村萬斎は、上手いんだろうなぁ。
顔芸と評される演技は…好みの分かれる所だろう。
出演者は主役級を揃え豪華きわまりないが、ううむ…何だろう、この物足りなさ感は。

中井貴一が出てきた時には「あぁ、この人ってば信長よく演るなぁ。」と思ったが、実は信長役は初めてなのだそうな。

池坊の歴史…

エンドロールで現在の池坊の役職者の名前が延々流れる。
これは池坊の広報作品なのか?
寡聞にして知らなかった池坊専好という僧侶と花が主人公。
その辺りは新鮮ではある。

音楽は私が大好きな久石譲。だが、本作では押さえた作風でその音色は印象に残らなかった。

ただね…
作中に野の花として登場するハルジオンかヒメジョオン。花がよく似ていて区別し辛いが、いずれもずっと後世に入ってきた帰化植物の筈である。
確かに今ではどこででも目にすることは出来るが。
園芸植物には気を遣っても雑草はどうでも良いのか?

ハルジオン
日本では1920年代(大正から昭和の初めだ)に観賞用として持ち込まれた。1980年代には除草剤に耐性のある個体が出現し、関東地方を中心に全国へ分布が拡大した。

ヒメジョオン
日本には1865年(幕末だな)に観葉植物として導入され、明治時代には雑草となっていた。




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