GBのアームチェアCinema見ist:花田少年史 幽霊と秘密のトンネル

花田少年史

花田少年史 幽霊と秘密のトンネル

監  督 水田伸生
音  楽 岩代太郎
主  演 須賀健太
助  演 篠原涼子/西村雅彦/北村一輝/安藤希/杉本哲太/もたいまさこ
製 作 年 2006
シナリオ 大森寿美男
原  作 一色まこと(「花田少年史」講談社刊)


クリクリに剃り上げた少年のアタマを劇場予告編で何度か目にした。
最初は気にも留めなかったが、何度目からか気になって仕方がない。
「コレ、見たい…」
と独り言を言っていたら、カミさんが原作版コミックスを全巻揃えてきていた。
カミさんも結構気になっていたようである。

花田少年史 原作コミックスは、題名だけは知っていた。アニメ化されていたのも知っていた。
しかしながら、画風から、またぞろ懐かし趣味のドタバタだろうと、興味も湧かなかった。

何故かとても気になる映像なのである。

1993年〜1995年まで講談社ミスターマガジンに連載されていたというから、かなり古いと言っていい作品である。
1995年度 第19回講談社漫画賞受賞作品。単行本は全5巻。

早速、読んでみた。

これ、結構面白いじゃない…ただのドタバタではない。
作画も非常に丁寧であり、キャラクターにも魅力があふれている。

読み進み、5巻目で不覚にも涙腺が炸裂して鼻水垂れてしまった…
ヤバイよ、コレ…反則だよ…
ヲジサン、漫画読んで号泣したなんて人に言い辛いぢゃないか…

試写会感想では「原作とは別物」と言う評もあったが、概ね好意的な感想が多かった。
邦画好きとして、良質な映画であることを期待している。

本作は日本テレビでアニメ化され、2002年10月〜2003年3月まで全25話放映されたそうである。 アニメ版はほぼ原作に忠実な造りだそうで、東京国際アニメフェア2003テレビ部門最優秀作品賞、第8回アジアン・テレビジョン・アワード(w:en:Asian Television Awards)長編アニメーション部門最優秀賞を受賞。日本のファンも多く、世界的に高い評価を得たとのことである。
DVD、一寸欲しいぞ…

…というわけで、観に行ってきた。

結論から言うと…

原作よりも先に映画を観た方が良い。

本作も、決して(そう)悪くはないのだが…
漫画とは言え原作があまりに優れているので、比較の対象にはなり得ない。
原作とは全く別物の娯楽映画としてみるならば、そう落胆はないかも知れない。
単純に泣き笑いを提供されるつもりならば、まぁ許せる二時間である。
制作者も「原作とは異なる映像世界」を目指しているように思える。
子役はなかなか良い。観る前は、あの暗く大人しい「三丁目の淳之介」が、どうしてクソ悪ガキの一路なのか、と思ったが…上手いね…この少年。
どの役柄も原作とは全く異なるキャラクターになっているが、それぞれの役者が皆達者なので安心してみていられる。

しかしながら、なぜあんなにCGによる特殊映像を多用するのであろうか?
特にラストの大スペクタクルシーンなどはそれまでのほのぼのとした流れを完全に断ち切ってしまう違和感の塊である。夏休みの子供客へのサービスのつもりなのであろうか?
何故この作品を怪獣対決や妖怪大戦争にしてしまうのか理解に苦しむ。
この派手なSFXが夏休みの子供サービスなのだとしたら、随分遅い封切りである。
もうお休みも残りわずか。
駆け込み夏休み目当て?それとも大作達との競合を避けた?

もう一つは、エンドクレジットで流れる、サンボマスターのエンデイングの歌…。
ラストシーンの余韻に浸るにはあまりに曲想が…
昨今の邦画、「三丁目の夕日」も「今、会いにゆきます」などもそうだったが、エンドロールに若手のポップ系ミュージシャンの全く映画とは無関係な曲を流すのが流行っているのだろうか?
エンドロールが終わって場内が明るくなるまで映画を楽しみたい、本当の映画ファンの悦楽を邪魔しないで欲しいと願うばかり。


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