GBのアームチェアCinema見ist:終戦のエンペラー

終戦のエンペラー

終戦のエンペラー 原題:Emperor

監 督 ピーター・ウェーバー
出 演
マシュー・フォックス/トミー・リー・ジョーンズ/初音映莉子/西田敏行/片岡孝太郎/羽田昌義/伊武雅刀/夏八木勲/中村雅俊/火野正平/桃井かおり
脚 本 デビッド・クラス
音 楽 アレックス・ヘッフェス
原 作 岡本嗣郎「終戦のエンペラー 陛下をお救いなさいまし」
製作年 2013
製作国 米

15:45開映の回を予約してしまった。
やばい…
ひたすら眠気が来る時間帯だ…

で、5分前に着席した時はガラガラだと思ったが、予告編が始まる頃にはほぼ満席になっていた。
若い娘の二人連れとか単独娘ってのがいたが、この作品では不思議な感じがする。

と、隣に座ったオッサン、臭い…
季節柄の汗くささではなく、大酒飲みで内臓が逝っちゃってるあの臭いである。
それで時々大きなため息をつく。
参った。吐き気がする…
2時間耐えられるだろうか…

さて、本編。
これは「日本のいちばん長い日」の後日談。
それをアメリカ人が作ったというのは…
プロデューサーは日本人女性なのだが…

逆に、これは日本では作れなかったのかも知れない。

と、思ったら、ネットで田原総一朗のこんな記事を見つけた。

『終戦のエンペラー』がアメリカで映画化された理由とは
投稿日: 2013年07月30日 17時07分

『終戦のエンペラー』のプロデューサー奈良橋陽子さんと対談した。日本ではとても映画化出来ないので、あえてアメリカで映画化したのだろうか。

日本が無条件降伏をして、マッカーサー最高司令官のアメリカ軍が日本に乗り込んで来る、ここから映画ははじまる。

マッカーサーの任務は日本を占領することである。さらにいえば、占領という名の国家管理を行なって、日本を民主主義国として独立させることだ。

マッカーサーは、そのために、まず戦争責任者たちを逮捕して連合国の裁判で裁かなければならない。その戦犯裁判に昭和天皇をかけるべきかどうか。マッカーサーは、ボナー・フェラーズ准将に、その調査を命じる。そしてフェラーズが、東条英機、近衛文麿、木戸幸一たちキーパーソンに直接あたって、天皇の戦争責任を問い、裁判にかけるべきかどうかを確かめる。これがこの映画のテーマでありストーリーである。

たしかに日本ではとても映画化出来そうにはない。いわばタブーである。げんに、これまでにこのような映画を企画した日本人はいない。

フェラーズはキーパーソンたちを調べてまわり、結局、昭和天皇は裁判にかけず、天皇制も続けるべきだと考える。日本人がいかに天皇に深い思いを抱いているかを知り、天皇なしでは日本が大混乱して占領政策がまっとう出来ないと判断したからだ。

フェラーズのこうした意思を知り、マッカーサーは、自分が天皇と直接会って話して決断することにした。そして昭和天皇とマッカーサーの、あまりにも有名な場面が映画でも展開されることになる。これが、この映画のクライマックスでもある。

力のこもった労作である。奈良橋さんは「アメリカは、日本以外の国では韓国、ベトナム、アフガン、イラクと全て占領政策に失敗していて、成功したのは日本だけ。そのことを殆どのアメリカ人は知らない。だから、なぜ日本では成功したのかということをアメリカ人に知ってほしかった」と語った。その言葉で、私は、あらためて、彼女があえてアメリカ映画にした意図が理解できた。

確かにタブーかも知れない。

作品は事実を元にし、脚色を加えたフィクションである。

寡聞にして、私はボナー・フェラーズと言う人物を知らなかった。
この人物は実在で、劇中のキャラクターもほぼ本人に近いらしい。
この人がいなければ、現在の日本はなかったのだろう。

結論から言うなら、多分、思想的に本作の流れや姿勢を受け入れられない人はいると思う。
ラブストーリー仕立てではあるが、当時のGHQの動きがリアルである。
そして、教科書に載り、日本人の殆どが見た事があるあのツーショットの写真の裏に隠された歴史を…推測ではあろうが描き出している。
私はこの作品を評価する。

確かにフィクションの部分は多いだろうが、アメリカ人の視点として本作が出来たのであれば、アメリカ人とは、多分これから上手くやって行く事が出来る。
(制作は日本人で監督はイギリス人なのだそうだが…一応ハリウッド)

アメリカ映画ではあるが、「日本人として主張したい事」が述べられている。

缶コーヒーの宇宙人も歌舞伎俳優も…上手いなぁ…
どちらも全然似ていないのだが、そのものになりきっていた。

終戦のエンペラー  終戦のエンペラー


このクライマックス、本当にそんなやりとりあったか否かは、それこそ「神のみぞ知る」のだが…
この部分があるだけで、私はこの作品を評価する。
史実でも天皇陛下に謁見した(あのツーショット撮影)後マッカーサーの態度が変わったという事なので、多分、推測で描かれたクライマックスはそう外れた物ではないのだろう。

内容から言っても想定内だが、批判も多くある作品の様である。
だが、ガイジンから見た自分の国、それによって自分の国に誇りを持てない様では少々困ってしまう。

フィクションである、と言う事をふまえた上で、これは日本人なら取り敢えず見ておくべき作品かも知れない。

原作になったノンフィクションが前から気になっていたので、帰りに書店に立ち寄ったが、残念ながら版元切れだそうな。
Amazonかな…


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