GBのアームチェアCinema見ist:ドリーム

ドリーム

ドリーム(原題:Hidden Figures)

監督 セオドア・メルフィ
脚本 セオドア・メルフィ/アリソン・シュローダー
出演 タラジ・P・ヘンソン/ジャネール・モネイ/オクタヴィア・スペンサー/ケビン・コスナー
音楽 ファレル・ウィリアムス/ハンス・ジマー/ベンジャミン・ウォルフィッシュ
原作 マーゴット・リー・シェタリー『Hidden Figures』
製作年 2016/米


仕事中にカミさんからLINE。
何事かと思えば、レイトショー行かない?観たい映画あるんだ。との事。
はいはい、映画ならいつでも。

いや、これ、お薦め。
冒頭の印象からコメディタッチで進められるのかと思ったが、もう胸熱のシーンがいくつもある。

1961年のバージニア州ハンプトン。アメリカ南部において、依然として白人と有色人種の分離政策が行われていた時代。

(白人の)自由と博愛の国アメリカ。
特に南部での人種差別は根強かった…と言う話はイメージとして知っている。
NASAのあった場所は南部のバージニア州で、セグリゲーション:人種隔離政策が存在した。
が、しかし、ほんの50年一寸前、こうまで明確に“ニグロ”(作中でもそう呼ばれる)、“カラード”を差別していたと言うことを映像で見せられると少々衝撃ではある。

最先端のNASAでさえ、「便利な下働き」以下でしかなかったと。
(当時のNASAに白人用の設備と黒人用の設備が存在したかのように描かれているが、実際には1958年にアメリカ航空諮問委員会(NACA)がアメリカ航空宇宙局に改組された際、そうした差別的な設備は取り払われたらしい。)

本作はこの3人の黒人女性が偏見や差別と戦いながら、いかにして科学史に残る偉業であるマーキュリー計画の達成に貢献したかを描き出した作品である。

コンピュータという言葉は19世紀からあったらしい。
物理学や天文学の研究をする時に、そのデータの計算とかデータ管理をするのに人を雇い、その人たちを「コンピュート(Compute・計算)する人」という意味で「コンピューター」と呼んでいたと言う。

そんなNASAで便利なコンピュータとして安い賃金でこき使われていたのが黒人女性の「カラード・コンピュータ」。
それでも当時黒人の女性達の仕事と言えば金持ちの家のメイドやウェイトレス。クリーニング屋とか、そんな職種しかなかった。天才的な数学能力があっても学校の先生になる位だった。

題名をGoogle 翻訳にかけてみた。

Hidden Figures = 隠しフィギュア

をぃっ!

Weblio 翻訳だとタイムリーに

『ドリーム』(原題:Hidden Figures)は2016年にアメリカ合衆国で公開された伝記映画である。

■機械翻訳の結果
隠れた図
隠れた数字
隠された図

「Hidden」は「隠れた・隠された」。
「Figures」は、一般的には数字とか図などを指す言葉だが、「人・人影・人物」等の意味もあるらしい。
お人形さんもフィギュアである。

ダブル・ニーミングのタイトルは象徴的ではある。
そのタイトルに当初付けられた日本版副題が…

「ドリーム 私たちのアポロ計画」

こりゃ紛糾しても仕方ないな。
「内容に即していない」といった批判の声が上がっていた。

「マーキュリー計画」(1959〜1963)、「アポロ計画」(1961〜1972)、「ジェミニ計画」(上記2つの中間にあたるもの、1961〜1966)はそれぞれ別物で、関連はあるが全く異なるプロジェクトであった。

配給元は

「映画の内容としてはマーキュリー計画がメインであることは当然認識しています」

「その上で、日本のお客様に広く知っていただくための邦題として、宇宙開発のイメージを連想しやすい『アポロ計画』という言葉を選びました」

「作品の本質にあるのは、偉大な功績を支えた、世の中では知られていない3人の女性たちの人間ドラマ。ドキュメンタリー映画ではないので、日本のみなさんに伝わりやすいタイトルや言葉を思案した結果」

いくら何でも映画ファンをなめてないか?

結局封切り時にはこのいい加減な副題は排されカタカナでドリームとされたが、これも今ひとつである。

作品が素晴らしいのに、全く残念な配給元である。



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