GBのアームチェアCinema見ist:あしたは最高のはじまり

あしたは最高のはじまり

あしたは最高のはじまり(原題:Demain Tout Commence)

監督 ユーゴ・ジェラン
脚本 ユーゴ・ジェラン/マチュー・ウリオン/ジャン=アンドレ・イェレスグ
出演 オマール・シー/グロリア・コルストン/クレマンス・ポエジー/アントワーヌ・ベルトラン
音楽 ロブ・シモンセン
原作 ウヘニオ・デルベス/ギイェルモ・リオス/レティシア・ロペス・マルガリ(オリジナル脚本)
製作年 2016/仏


知らない作品だった。
カミさんが新聞の封切り広告で見つけて観たいと。

本作は2013年のメキシコ映画『Instructions Not Included』(「説明書無し」の意)のリメイクなのだそうな。舞台はアメリカとメキシコから、南フランスとイギリス・ロンドンに移されている。
原題の「Demain Tout Commence」は「明日は新しい一日(明日は全ての始まり)」という意味で、元々は哲学者ガストン・バシュラールの言葉で、ジェランの祖母で女優でもあったダニエル・ドロルムがよく口にしており、彼女が息子(ジェランの父で俳優のグザヴィエ・ジェラン)を亡くす辛い体験をした後も、絶望することなく人生を送った体験に基づきタイトルに選ばれたとか。

タイトルバック。
ポップなイラストによるアニメーション。
アニメーションと実写映像がオーバーラップして本編に移行して行く。
粋でお洒落で、もう、ここでフランス映画の神髄を観たって感じだろうか。

導入は殆どドタバタ喜劇なのだが、そのドタバタが引き続く娘との生活、押しつけられた子供が人生の全てになって行き、その全てがかけがえのない物だという描写は素晴らしい。
娘と住まう住居の、まるで遊園地のようなインテリアもまた、彼の目一杯の愛情。

そして、ドタバタがタダの大騒ぎで終わらないのもフランス映画。
溺愛娘の言うなりと言う設定で色々な伏線が張られてはいるが、基本的にご都合主義満載。展開はテキトーだが、これはある意味ファンタジーなのだろう。
設定や展開が冒頭からもう無茶なんだから。
そもそも、物語は脚色と皆まで言うなをどこまで許容できるかで受け取り側の評価は変わる。
そう割り切ってみれば一寸いい話になる。

一日でも長く一緒にいるために…これが読み取れなければ、ただの良くあるお涙頂戴になってしまうだろうな。

勇気は父から、人生は娘から貰った。

主人公のキャラクターと娘の愛らしさと映像の速度感だけで充分楽しめる。

A demain…

伏線を張られた辺りで、これはどう落とし前を付けるんだ?と思ったのだが…

エンディングが何とも言えない。
これはやはり伝統のフランス映画。
とってもフクザツなかなりほろ苦い、でもこれは多分ハッピーエンド。

人生は素晴らしい。とても切ないけれど…

どっかで見た事がある、と思ったフランスの海老蔵、オマール・シー(なんか美味しそうな名前だ)は、実はジュラシックワールドやX-MENで見た人だった。
残念ながら出世作「最強のふたり」(2011)は観ていないんだなぁ。

少女の生みの親もどっかで…
あらら、フラー・デラクール三大魔法学校対抗試合の代表選手ボーバトン代表ではないか。
アンナ・コティス扮するグロリアが通う学校のアップルトン校長が実に良い。
と、言うよりも本作、中年以上の助演女優陣が良い味出している。



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