GBのアームチェアCinema見ist:ディア・ドクター

ディア・ドクター

ディア・ドクター:Dear Doctor

監 督 西川美和
脚 本 西川美和
音 楽 モアリズム
原 作 西川美和(「きのうの神さま」ポプラ社)
出 演 笑福亭鶴瓶/瑛太/余貴美子/井川遥/香川照之/八千草薫/松重豊/岩松了/笹野高史/中村勘三郎
製 作 年 2009 日本


ディア・ドクター・原作 この村に医者はいない。
ひとつの「嘘」。
ずっと言えずにいた、もう一つの「嘘」。
人はだれもが、何かになりすまして生きている。
その嘘は、罪ですか...。

山あいの小さな村。その村の人々から「神さま、仏さま」と慕われていた医師が、突然謎の失踪を遂げた。やがて事件は思わぬ方向へ進んでいく...。
いえね、予告編何度か観て、何とも気になって仕方がなかった映画だった。

予告編だけで、既に映画の内容や転がり具合は殆ど語られている感はあったのだが…
それでも何とも気になっていた。

強すぎるほどアクの強い鶴瓶をメインに据えて、どんなストーリーを語ってくれるのか。

ディア・ドクター 結論から言えば…
渡る風の心地よさを感じさせる静かな山間の村の風景と、殆ど出しゃばることなく、要所要所だけでちらっとなる音楽(本編中に殆ど音楽はない)と、心優しさとさ暖かさに包まれ…
話の骨子は単に「突然医者がいなくなった」と言う事件だけであり、そのほかには特に何もない。
無理に笑わせるわざとらしいクスグリもなければ、さぁ悲しいだろう泣け!のお涙ちょうだいもない。
しかし、これは実に奥が深い、色々と考えさせられる映画だった。

予告編だけで、既に内容が見えて…と書いたが、それで面白さが削がれるような映画でもない。
もっと俗に言う「ネタバレ」を書いたところで、この映画をこれから観る人たちにとって大きな損失はない、とは思うが…
とりあえず、ネタバレは控えておこう。
実に単純明快な筋なのだが。


ディア・ドクター 見終わってからパンフレット(これも最近珍しく非常にきちんと作ってある)を見て知ったのだが、監督は女性、更に小説なども書き、直木賞候補にもなっているらしい。
いや、上手い!
映像もストーリーテリングも演出も言うことがない。

監督も凄いが、八千草薫…名優だ…

制作側の態度、出演者全般、そして生み出された作品…
地味だが、こう言うのを名作というのではないだろうか。
映画としての完成度は文句の付けようがない。
文句なしに素晴らしい!のだが、売れないんだろうなぁ…こう言うのは。

こんなアナザー・ストーリーもあるらしい。

一寸気になる。


return目次へ戻る