GBのアームチェアCinema見ist:プーと大人になった僕

プーと大人になった僕

プーと大人になった僕(原題:Christopher Robin)

監督 マーク・フォースター
脚本 トム・マッカーシー/アレックス・ロス・ペリー/アリソン・シュローダー
出演 木村拓哉/二宮和也/吉高由里子/平岳大/大倉孝二/八嶋智人/音尾琢真/大場泰正/谷田歩/酒向芳/矢島健一/キムラ緑子/芦名星/山崎紘菜/土屋玲子/松重豊/山崎努
音楽 富貴晴美/土屋玲子
原案 アレックス・ロス・ペリー
原作 A.A.ミルン『クマのプーさん』、アニメシリーズ『くまのプーさん』
制作 2018/米


台風が来ている。
来ているが、関東地方に来るのは夜半から。
で、観たかった映画を見に行く。

本作を撮ったマーク・フォースターは、あの「チョコレート(原題:Monster's Ball)」の監督。
人種差別主義者が、ある悲劇を境に自分の行き方に疑問を抱き、黒人女性と恋に落ちていく重く暗い作品。
出演女優のハル・ベリーが初めて黒人女性がアカデミー賞主演女優賞を受賞し話題となった。
その「チョコレート」の印象が強かったが、それは取り敢えず頭の隅から追い出してから。

あなたは何もしないことに忙しいクマと善意の塊の赤い帽子に青ダッフルのクマと酒瓶抱えてマリファナ吸うクマ、どれが一番好き?

私は酒瓶抱えてマリファナ吸ってる奴も好きかな。

結論から言えば、これは子供にも楽しい大人のためのお伽噺。シンプルに観るのが吉かも。
イギリス郊外の森と1940年代中盤のロンドンの景色が美しい。
お話しもまた、美しい。ディズニー丸出しだが。
クリストファーの娘もなかなか可愛いし、良い味だしてる。

子どもの発想のままのプーさんは、何の気なしに子供のころのままのセリフを吐く。
そのセリフを、大人になってしまったクリストファー・ロビンは、なかなか受け入れられない。
そりゃそうだ。

プーの言うとおりにしていたら人生破滅してしまうぞ。

苦悩するおっさんとあの頃と変わらないぬいぐるみ。

前作のアニメーションに、ロビンとプーの最後の約束「僕はもう『何にもしないこと』はできない。ねぇプー、僕がいなくなってもプーは『何にもしないこと』をしてくれる?」と言うセリフがあるのだそうな。

子供の頃大切にしていたものを、大人は忘れてしまう。
プーの名言を噛み締めながら、これはおっさんに限らず働く大人こそ見るべきなのかも。

「夢はタダではない、何もしないは何も始まらないことなんだ、沈みかけた船で君は何もしないでいるかそれとも頑張って泳ぐのか」

おつむはデカいが心は小さな大人のそれが現実。

プーの名言を幾つか。

「『何もしない』が最高の何かにつながる」

「『何にもしない』をするのが忙しい」

「行ったことのないところへ進まなきゃ」

「どこかへ行きたいと決まっていると、どこかが来てくれる」

「君は君でしょ」

「今日が一番好き」

それでも私は明日仕事に行く。
何かしているふりをして、何もしない日を作らないために…



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