GBのアームチェアCinema見ist:哀しみのベラドンナ

哀しみのベラドンナ

哀しみのベラドンナ:BELLADONNA

監  督 山本暎一 杉井ギサブロー 深井国(原画)
音  楽 佐藤充彦
主  演 長山藍子 中代達矢
助  演 米倉斉加年 中山千夏(ナレーション)
製 作 年 1973
シナリオ 福田善之 山本暎一
原  作 ジュール・ミシュレ“魔女”


虫プロ倒産の因になったと言われている作品。
現実には虫プロが破綻寸前の状況で映画化され、配給元からかなりの干渉を受け時間の関係もあり、スタッフには不本意のまま出荷されてしまった。
スタッフは納得できないシーンを作り直し、上映までにリテーク版を完成させると言う虫プロの約束を信じたが、とうとうそれは実行されなかった。
上映も文芸系作品として「日比谷みゆき座」を予定していたが、虫プロ倒産に先立ち、「みゆき座」上映を待ちきれずアクション系の映画館で封切られた。
これらの映画館はビスタサイズ映写の機材しか持たず、スタンダードサイズのこの映画は画面上下が切れてしまい、ストーリー上重要なものが見えなかったりした。
また、この上映の際配給元の干渉により、ラストシーンがカットされたままで出荷されてしまった。
後昭和54年に再上映されたが、その時もラストシーンはカットされたままで、別のシーンが追加されている。成人指定解除の関係でエロチックなシーンもかなりカットされている。ビデオ版はこのテイクで観客は一度も完璧版を見ていないことになる。
13年後、LDでポニーキャニオンから発売された物がスタッフ・ファン念願の初めての完璧版である。
この映画は国内では殆ど評価されなかったが、ヨーロッパ、特にフランス(物語の舞台である)では映画祭での授賞や映画百科への掲載などその評価が高く、いまだにパリではときどき上映されていると言うことである。
ちなみに虫プロ最後の作品となったこの映画は手塚治虫の右腕と言われた山本暎一の作品で、当時経営難で社長降板していた手塚治虫は全く参加していない。
ともあれ、イラストレーター深井国の絵が動く、というだけでも感動ものだった。

カラー:スタンダード:1時間29分



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