GBのアームチェアCinema見ist:ベイマックス

ベイマックス

ベイマックス(BAYMAX)原題:Big Hero 6

監 督 ドン・ホール/クリス・ウィリアムズ
声の出演
ライアン・ポッター/スコット・アツィット/マーヤ・ルドルフ/ダニエル・ヘニー /T・J・ミラー/ジェイミー・チャン/デイモン・ウェイアンズ・Jr./ジェネシス・ロドリゲス/ジェームズ・クロムウェル/アラン・テュディック/スタン・リー
日本語版
本城雄太郎/川島得愛/菅野美穂/小泉孝太郎/新田英人/浅野真澄/武田幸史/山根舞/金田明夫/森田順平/大木民夫
脚 本 ジョーダン・ロバーツ/ドン・ホール
音 楽 ヘンリー・ジャックマン
日本語版エンディングテーマ AI「Story」/Fall Out Boy「Immortals」
原 作 スティーブン・T・シーグル/ダンカン・ルーロー『ビッグ・ヒーロー6』
製 作 年 2014 米


土曜日、やっと御用納めだった。
昼過ぎ、一目散に脱出し、以前から気になっていた映画を見るため劇場に急ぐ。

午後一番の回、劇場に着くと「空き席僅少最前列のみ」だと?
まだありますか?と聞くと「B-17、2列目、最後の1席です」だって。

あぁ、今日は一人だし、どこでも良いや。

いやいやいや…
チケットを手に入れて劇場に入ると入り口から既に入場待ちの行列が…
そもそもそんなに広くない劇場だが、行列が溢れかえっている。

そうか…みんなお休みなんだ。

席に着くと…
こりゃ凄い。こんな席で映画を見るのは初めてかも。眼前にスクリーンがそそり立ち、画面に投影されるすべてのモノにパースがついている…
視線を移動しないとスクリーンの全貌が見渡せない。
参ったね、こりゃ。

さて、作品だが、劇場予告編を何度か見てかなり気になっていた。
予告編は「泣ける感動作品」的な誘導が酷くてちょっと削がれるが、実は本来はそんな作品ではないらしい。
個人的には日本風の国籍不明な風景が非常に気になったのである。
実は興味惹かれたのはそこだけ。

相変わらずのメリケンジャパネスク趣味のスシスキヤキフジヤマゲイシャガールは大東亜戦争終結以来変わっていないのか、困ったモノだ。
正直言うと、それを確認に来た。

原作は6人の日本人ヒーローが主に日本を舞台に戦う『ビッグ・ヒーロー・シックス』だが、設定は大きく異なる。2009年にディズニーがマーベル社を買収したあと、マーベルコミックの中で映画化できそうな作品を探しているときに、監督のドン・ホールがデータベースの中から同作を発見。
掲載時にさほど人気が出なかったため、マーベル社のスタッフからも忘れられていた作品であり、ホールも初めて知る作品だったが、タイトルと日本的要素に魅かれ、プロデューサーのジョン・ラセターに話を持っていき、ディズニーアニメに合う内容に変更されて脚本が創作された。
(Wikipediaより)

ネットでの評判は非常に高い。
「良い意味で裏切られた」という感想が大変多い。

原案コミック未読なので内容は分からないが、映画化に伴い設定や展開は改変翻案されているらしい。

結論から言うと、これは娯楽映画としてなかなかの佳作である。
予告編はかなり「臭」く、国内配給会社の事前宣伝は恣意丸出しで、一つの方向への誘導の小賢しさが酷すぎる。
「良い意味で裏切られた」皆さん同様、配給会社の意図は無視して鑑賞した方が幸せになれるだろう。
妖怪ウォッチみたいなホンモノのバケモノとぶち当たっちゃって焦りまくった宣伝部の気持ちも分かるけどね…

ベイマックス 一言で言うと本作はディズニーとアメコミとジャパニメーションの合体ロボそのもの。
感動や感涙はおいておくとしても、爽快痛快である事は間違いない。

はっきり言ってアメリカ子供映画の常でストーリーはステレオタイプそのものだが、そんな事はどうでもよろしい。
構成や流石の表現力だけでも充分満足させられてしまう。

個人的に気になっていた日本風の国籍不明な風景や人物像も、架空の日系人が多く住む多民族都市としてかなりきちんと描かれていたし、アメリカンに溶け込んだ和風テイストも不自然ではない。
メリケンジャパネスク趣味からは相互理解の友好関係が築き上げられつつあるのかも知れないと。

制作のジョン・ラセターは宮崎駿と懇意らしいが、この人が宮崎亡き後(死んでね〜てば)爽快な飛翔感、高揚感をもたらせる人物なのだろうか。

「ベイマックスもう大丈夫だよ」

予告編に惑わされてはいけない。
本作は決して癒し系映画ではなく、、原題“Big Hero 6”そのものの単純明快戦隊ヒーロー・アクションものなのである。

さて、最近のディズニー映画はよく知らないのだが、オマケで短編が併映されるらしい。
本編には“愛犬とごちそう”と言う作品が付いてきた。
これがまた…
伝統的アメリカアニメーション風の映像の美しさもさることながら、正に「短編のお手本」の様な佳作であった。

本作もかなり長いエンドロールの後があるので、場内照明が灯るまで席を立ってはいけない。


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