GBのアームチェアCinema見ist:バトルロワイアル

バトルロワイアル

バトルロワイアル

監  督 深作欣二
音  楽 天野正道
主  演 藤原竜也
助  演 北野武
製 作 年 2000
シナリオ 深作健太
原  作 高見広春


衝撃と感動!

そんなキャッチフレーズが付いていたような気がする。

結論を先に述べる。
ふざけるな、こんな映像に「感動」等という言葉を軽々しく使って欲しくない!

高校1年生の息子が、中学生で見られなかった(R指定)映画がビデオになったから見たいと、借りてきた。
大学生の息子は映画館で見て、ノベライズも読んだという。
3人でビデオを見る。

法改正が行われ、抽選で選ばれた中学生の一クラスが、無人島に集められ、武器を渡され、最後のひとりになるまで殺し合いを強制される…と言うストーリーである。
その内容から15際未満の鑑賞は制限され、マスコミでも話題になった作品。

一言で言って、これほど見た後に「イヤな印象が残る」映画は初めてである。
スプラッタムービーは決して嫌いではないし、それは、「イヤな印象」を敢えて味わうための物である。
本作については、どうもそうではないらしい。
端的に言ってしまうと、「人が殺し合う」戦争映画も嫌いではないが…それとも全く異なる物である。
なにかメッセージがあると言いたいらしいのだが、私には作者の真意が分からなかった。
こういうご時世に何故、こういう映像を作らなくてはならなかったのかはなはだ疑問を感じてしまったのだ。

一言で言うと「他人のマスターベーションを目撃」してしまったような、極めて後ろめたい気分である。

スプラッタ:splatter
(水などが)ピチャピチャはねる
(水など)をピチャピチャはね飛ばす
そのときの音

それから転じて、スプラッタ・ムービーの場合、「はね飛ばす」ものは当然、血液、体液、臓物等。

特に「スプラッタ・ムービー」と断った場合、「スプラッシュする情景」を見せるために構成された映像作品と言えるだろう。

個人的にはスプラッタ・ムービーに特定の嫌悪感は持っていないが、敢えて、積極的に見たいとも思わない。
見たいときはあるかも知れない。
あるとしたら、それは“そう言う精神状態”か、敢えて“そう言う精神状態”を擬似的に味わいたいときなのかも知れない。

個人的には「映像は“愛”」だと思う。
心のこもった母や妻の手料理は美味しいが、たまにはジャンク・フードが食べたいときもあるかも知れない。
(私は自分の財布で“M”印のハンバーグ入パンを食べたいとは思わないが…)
スプラッタ・ムービーはいわばそんな鬼っ子なんじゃないかとも。

で、バトルロワイヤルだが…
スプラッタにもなりきっていない。
スプラッタを標榜するなら(してないけど)もっと、ビッチャン、グッチャンとやるべきである。
そう言う特殊効果を売りにするなら、それなりに見るべき物はあったかも知れない。

公開前に制作者が色々発言していたけど、なんだか高邁な主張があるらしい。
でも、そんな物は感じ取ることが出来なかった私が鈍いのか?
制作側はR指定が不満らしかったけど、少なくとも、こんなものを多感な青少年に見せて、何を考えろと言うのか…理解不能である。

残念ながら、高校生の息子からは感想を引き出すことが出来なかった。


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