GBのアームチェアCinema見ist:バルトの楽園
バルトの楽園
監 督 出目昌伸
音 楽 池辺晋一郎
主 演 松平健
助 演 ブルーノ・ガンツ/阿部寛/國村隼/高島礼子/市原悦子/大後寿々花
製 作 年 2006
シナリオ 古田求
「松平健…マツケン、好きなの?」
と言われると、一寸困ってしまうが、映画そのものにはかなり興味を惹かれていた。
もうじきロードショーから落ちてしまいそうなので慌てて観てきたのである。
2005年4月〜2006年3月「日本におけるドイツ年」にぶつけたと思われるこの映画。
実は…バルト海沿岸のバルト三国と思いこんでいたが…
バルトはドイツ語でBart=髭。
そして、楽園は「がくえん」と読ませて、音楽を演奏する場の意味があるようだ。
この映画は、第一次世界大戦の青島(チンタオ)で俘虜となったドイツ軍人に対して友愛と信頼を持って対した板東俘虜収容所長・松江豊寿(まつえとよひさ:1872〜1956)とドイツ人俘虜の民族を超えた心の交流と、その中にそのまま捕虜となっていた軍楽隊によって我が国で初めて演奏されたベートーベンの“交響曲第九番 歓喜の歌”の史実に基づく物語。
映画として、これはかなり評価できる。
個人的感想として「これは好き」、いやこう言うのは「大好き」なのだ。
暴れん坊将軍と、キンキラキンの和装とちょんまげで踊りまくるヲッサンのイメージしかなかった松平健だが、実に良い味を出している。
共演の(あの、ヒトラーの…)ブルーノ・ガンツも重厚である。
青島で戦死したフランツは何故空しか撃てなかったのか…
松江は何故、軍に逆らってまで当時の他の収容所と異なり、俘虜達に友愛を持って接したのか…
今、こんな時代だから、もう一度そのことを考えてみたいと思う。
なんだか、盗作だ何だのの胡散臭い話題もあったが、映画としての作品そのものの出来が宜しいのでそんなことはとりあえず忘れて観た。
ちなみに作中に登場するドイツ人俘虜のパン職人が、あの洋菓子のユーハイムの創立者なのだそうな。
松江がいなければバームクーヘンも食えなかったんだな。
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