GBのアームチェアCinema見ist:アルキメデスの大戦

アルキメデスの大戦

アルキメデスの大戦 The Great War of Archimedes

監督 山崎貴
脚本 山崎貴
出演 菅田将暉/柄本佑/浜辺美波/笑福亭鶴瓶/小林克也/小日向文世/國村隼/橋爪功/田中泯/舘ひろし
音楽 佐藤直紀
原作 三田紀房『アルキメデスの大戦』
製作年 2019


キャッチフレーズは「これは、数学で戦争を止めようとした男の物語」。

原作『アルキメデスの大戦』(アルキメデスのたいせん:The Great War of Archimedes)は、三田紀房による日本の漫画。『ヤングマガジン』(講談社)にて、2015年52号から連載されている。

前評判、封切り直後の評判は上々だね。
まあ、予告見たときから、これは見るつもりだったけど。

山崎貴だしね。多分間違いはないか、と。

原作未読である。
ノベライズは我慢できずに読んじゃったけど…

最初ノベライズだと気付かずに読み始め、あっという間に読了。
あれれ?

そう、映像作品のノベライズは脚本を分かりやすく文章化した物なので、極めて平易で、非常に読みやすい物になる。但し、本作のノベライズは映画脚本をかなり膨らませてあるので流れやエンディングは映画本編とはかなり異なる。

のっけから「戦艦大和の最期」である。
山崎貴とROBOTの神髄、考証し尽くされたVFX(まぁ、それでも今回は幾つか問題はあるようだが…)。
繰り返し製作された同テーマの映像作品、子供の頃から幾度も見た巨大戦艦断末魔の映像。
史実なので同じような俯瞰になるのは仕方が無い。
かなり正確な考証に基づくコンピュータグラフィックによる戦闘、爆沈シーンは見事だが、何だか綺麗過ぎる感もある。
多分、これは意識した綺麗さなのであろう。

本作は戦争映画では決して無く、フィクションによるサスペンス人間ドラマだからである。

戦闘シーンは冒頭の大和爆沈の数分間のみ。
本編導入への前説としてはこの唯一の戦闘シーン、プロローグは必要にして充分。
これを期待して見に行くと肩すかしかも知れない。(事実途中で飽きて帰っちゃったヲッサンがいた)

主人公の奔走と、爺ぃ達の伏魔殿会議室での丁々発止の渡り合い。
殆ど会話劇なのだが、退屈する事無く引き込まれる。
出演者達がまた素晴らしい熱演。展開は緊迫感溢れ、意外な仕掛けもあり先が読めない。
まぁ、キャスティングが素晴らしいのだな。
菅田将暉と言う人はよく知らないのだが、本作の主人公としては賞賛に値する。
財閥のお嬢様が安っぽい美人じゃ嫌だなと思っていたが浜辺美波は派手ではないが品があって安心。
笑福亭鶴瓶、小日向文世、國村隼、橋爪功…居るだけで雰囲気を作り上げてしまえる役者を良くこれだけ揃えた物だ。
田中泯、この人は役者ではなかったはずだが、もはや重鎮としての迫力充分。
舘ひろしの山本五十六は今まで観た中で一番イメージがぴったりだ。
小林克也には意表を突かれたが…
私は特に海軍少尉・田中を演じた柄本佑を評価したい。
昭和の日本人顔だというのもあるが、戦中の職業軍人らしさと、主人公に心酔して行く様子が素晴らしかった。

音楽について。
佐藤直紀は好きな映画音楽作曲者の一人。
本作もつかず離れず映像に寄り添った音楽で、心地よい。

さて、今回は大きなスクリーンを望んで新しい劇場、グランドシネマサンシャインで特別音響料金を200円余分に払って観た訳だが…

BESTIA(Best Immersive AudioVisual)システムとは、4KレーザープロジェクションシステムのHDR(High Dynamic Range)映像と3D音響システム(イマーシブサウンド)で、音響は通常のサラウンドに加え、天井にもスピーカーを設置することで3次元の立体音響を実現させる。
また、チャンネルではなくオブジェクトをベースにしたオーディオフォーマットのため、爆発音、車のクラクションなど、映画のシーンで聞こえるあらゆるサウンドが、 チャンネルの制限がない独立したオブジェクトとして存在することが出る。

いや、予告編段階で音声が全く出力されていない。
係員が焦りまくっている様子が見て取れる。

結局数分遅れで予告編中断、本編から上映開始だったのだが、映画館での映画鑑賞は予告編も含めて、そこから映画への気分を高めて行く物である。

新しい館、機材に慣れていないとか技術者が少ないとかそんな事は言い訳にならない。

館について言うなら、高層階複数に跨がるシネマコンプレックス。
設計者は見てくれだけを重視したのが、人の流れがとんでもない事になっている。
通路が狭く、人気作が複数あると観客をさばききれない。
多分ギリギリの時間に到着したら開映までに座席に到達できない。
退場も各フロアの踊り場に人が溢れ…上映中に何かあったら大惨事だろうな。



return目次へ戻る