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海底二万哩

海底二万哩(海底20000マイル):20 000 Leagues under the Sea

監  督 リチャード・フライシャー
音  楽 ポール・スミス
主  演 カーク・ダグラス/ジェームズ・メイソン
助  演 ポール・ルーカス/ペーター・ローレ
製 作 年 1954/米
シナリオ 
原  作 ジュール・ヴェルヌ


ウオルト・ディズニーによるシネマスコープ劇映画の第一作。原作はフランスの空想科学小説家ジュール・ヴェルヌの代表作であり、
1907年(仏:20000 Lieues Sous Les Mers,監督:ジョルジュ・メリエ)
1916年「海底六万哩」(米:ユニバーサル無声映画 20,000 Leagues Under the Sea,監督・脚本:スチュアート・ペイトン 出演:マット・ムーア、アレン・ホルバー)
1969「ネモ船長と海底都市」(英:Captain Nemo And the Underwater City,監督:ジェームズ・ヒル 出演:ロバート・ライアン、チャック・コナーズ、ルチアナ・パルッツィ)
1978年「アトランチスの謎」(米:The Amazing Captain Nemo,監督:アレックス・マーチ 出演:ホセ・ファーラー、バージェス・メレディス、ホルスト・ブッフホルツ)として映画化されたことがあり、その後1997年にも監督マイケル・アンダーソン、出演:リチャード・クレンナでTV版が製作されているが…この'97版は新しいクセに大したことはなかった。

幾つの頃か覚えていないが、恐らく年齢が一桁の頃、親父にせがんで連れていって貰って見た初めての洋画。
1954年製作と言うことで、内緒だが、これは私が生まれた歳。と言う事は何度目かのリバイバル上映だったのだろう。劇場で買って貰ったパンフレットに感激し、帰宅後には当時発売されていたノーチラス号(劇中に登場する潜水艦)のプラモデルをねだった記憶があるので、一番館のロードショウであったことは間違いない。
何を食べさせて貰ったか覚えがないが、帰りに不二家に寄った記憶もおぼろげにあるので銀座の映画館だったのだろう。

とにもかくにも、私の読書・映画の原点とも言える作品である。
封切り時の題名は“海底二万哩”だった筈であるが、先般発売されたDVDのタイトルは“海底2万マイル”となっていた。
(かつて…子供の頃読んだ少年向けの翻訳の題は“海底二万里”だった。“海底二万海里”と言う訳名もどこかで見たことがある…。)

DVDを発見したときは感涙に咽びましたぜ、ご同輩。
製作後50年を経た映画とは思えない、新鮮な感激がここにはあるのだ。
やはりジュール・ベルヌの世界は永遠の少年の心を蘇らせてくれる。

映画も小説(英語版、原題はVingt Mille Lieues sous les Mers)も原作題名は「海底2万リーグ」であるが、かつての翻訳者が原題の単位表現を変更したのは「リーグ」という単位があまりに馴染みのない物であったからだろう。現に2万リーグの換算をするためにあちこちで度量衡を当たったが殆どこの単位系は見つけられなかった。
1リーグは約3マイルであり、原題のまま単位表現を変えて訳すのなら“海底6万マイル”が正確なのだが…。
蛇足だが1マイルは1.609kmなので、メートル法表記ならば“海底96,540km”となる。
更に更に蛇に靴まで履かせてしまうなら、一里は約4km…“海底二万里”なら80,000kmになるのである。
一般には1リーグ"≠3マイル"であるが、TWENTY THOUSAND LEAGUES UNDER THE SEAS - Units of Measureによると、本作品中では1league=2.16 milesとなっており、こちらを基に計算すると“海底4万3千マイル”=“海底69,509km”となる…(しつこい)

ちなみにこの英語題名“海底2万マイル”の“2万マイル(約32,180km)”とは潜行深度2万マイルという意味ではなく、潜行航海を2万マイルするという意味である。
冷静に考えれば分ることなのだが、2万リーグはおろか、一番短い1league=2.16 miles換算の2万マイルでさえ、その潜行深度を取ろうとすると地球の向こう側まで突き抜けてしまうのである…

なお、これが海里だとすると…
1カイリ(海里)は約1,852m(地球の緯度の1分の距離:1度=60分)なので、“海底37,040km”である。(こんだけしつこくて計算間違えてたら、シャレじゃ済まないかな?)

邦訳本の題名では「科学小説/海底十二万粁」清水暉吉訳 牧書房 1943 と言うハッタリかました物も存在する。(粁=km:120,000km)



海底20000マイル 東京ディズニー・シーにこの“海底20000マイル”のアトラクションがあるという。
ディズニー・ランドの方は20年前の開園以来通い続けていて、殆どマニアと呼ばれても良い領域だが、ディズニー・シーの方は2003年末に初めて行った。
年末の土曜、子供達は冬休みに入っているにもに関わらず、何と大穴だったようでトンでもない混雑を予想していたがラッキーにも空いており、空いていたお陰で主要アトラクションは全て制覇!充分に楽しんで帰宅した。
(ウチはディズニー詣での時は朝一からクロージングまでいるのが決まり)

しかしながら、朝一番で「ファストパス(予約整理券)」まで取って搭乗したこの“海底20000マイル”…

舞台となるのは1868年、ネモ船長が設計した6人乗りの調査用小型潜水艇“ネプチューン”に乗って、人類初の未知の世界“海底2万マイル”への冒険へと向かう。深海の不思議な景色の中で起こる様々なトラブルに遭遇しながら、海の神秘に迫るアトラクション。

と言う触込みなのだが…
あまりに大きな期待は、現実との落差を知ったときにその衝撃もまた大きい…
まぁ、原寸大(恐らく)のノーチラス号が見られただけでも満足しないといけない。

Nautilus
ノーチラス号(ノーティラス、Nautilus:オウム貝)
1954年に進水し、1958年8月3日北極点を潜航したまま通過した世界初の原子力潜水艦もノーチラスと命名され、その他、仏の6000m潜水調査船ノーティール(ノーチール)など実在の潜水船にもこの名が付けられている。
実は、ロバート・フルトンと言う人物が1801年にフランスで、水中に沈み風力で進む船「ノーチラス号」を建造しており、こちらの方が小説(1869年)よりも早い。
米海軍の原潜の艦名はジュール・ベルヌの潜水艦からと言うのが定説になっているが、実は、このフルトンの世界最初の潜水艇から命名された、と言うのが真相のようで「オウム貝」と言う名前は沈む船の伝統的名称のようである。



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