TE0552G 金箱・解体新書

 ↑今回ローカルからお借りした金箱     ↑TE0552Gの筐体を空けたところ

 のPOB6312A-リニアのレベルはいったいどのくらい?という疑問に対してひとつの答えを出すために、ローカルOMのご好意 で金箱TE-0552Gを入手しました。ふたをあけて、回路図とにらめっこしていましたが、このアンプにはバイアス回路がちょぃと変わっています。私なら安定化してベース側に数Vかけてアドリングさせ、AB級にするのですが、そのようなものが無いのです。かわりに、過入力の際にリミッターの役割をする(正確に言えば-バイアスがかかるような)保護回路が入っています。(私の認識がまちがっていなければ・・・)それと、ローパスフィルターが直結になっていて、送受信いつでもフィルター経由の回路になっていることと、以外と小さいですね。筐体もヒートシンクも。ヒートシンクが65度を超えるとサーミスターが働いて、スタンバイオフになる回路になっています。
 そして、電力分配、電力合成、フィルター、リレー周り、プリアンプ、キャリコン等々、一つ一つテスター片手に配線確認。最後に、通過ロスとスプリアス特性を調べました。電源が40Aまでしかないので250Wのところで終わりです。この結果は、出し惜しみせずに、当HPに、TE0552G解体新書としてアップいたしました。
 
  部品と基板をながめてみる!
 
  ご覧のように、モトローラー製のMRF492というパイポーラトランジスターが4本パラレルにLC結合されています。出力側にいくつか抵抗が入っていますが、これはバランスの検知用と考えられます。銅箔の肉厚は厚くその上に半田が乗っています。  さて、部品ですが、特殊なものは使用していないようです。コンデンサーのみARCOのMETALマイカを多用しています。リレー類も普通のリレーを使用していてコスト的にもおさえてある感覚です。米国製のHFのアンプではこれは当然の事か。
 基盤をよく見てみると、もともとMRF492用に開発されたものではないようで、ダイレクトに切り込みをいれて無理やりMRF492をつっこんでいる感じです。確かに取扱説明書には別のトランジスターの記述(MRF255)がなされています。
 不思議なバイアス回路
   回路図を追っかけていくと、SSBとCWのモード切り替えがあります。これは、スタンバイのタイミングをすこし遅延させる回路になっています。通常、バイアスを変化させて、SSBはAB級、CW・FMはC級動作をさせるスイッチだとてっきり思っていたのですがまったく異質のものです。
  上の右の写真で赤丸の部分をよくご覧ください。バイアスの注入は1箇所です。ということは、このMRF492は4本ともマッチド2ペアになっているということです。ふーーん。いい石を選択しているんですね。ところが、よーーく見てください。バイポーラタイプの4本の石を一箇所でバイアスかれるのだから数Aの電流が流れると思いますが線の細いこと。ということは、このシャーシに取り付けてあるバイアス制御用のトランジスターのコレクターは13.8VのAccにつながっているのだろうと思っていました。
 えーーーーー、高周波出力段に直接・コイルトコンデンサーで????を拾っています。ここは、高周波。直流電源ではありません。これって、回路おかしいんじゃないの?バイアスではなくて、帰還回路? 私の理解の範疇を超えています。ということは、すべてノーバイアスのC級動作ってことになります。この回路、フロントパネルのRFのLEDを光らすための高周波検出回路なのでしょうか?た
 しかに、このTE0552Gは音が悪くて有名です。そうか。やっぱC級かこれなら壊れにくいよなぁ。わたしの理解不足か?または、超魔術ならぬ超回路か?
 送信のスプリアス特性は?

 

 右の写真は、出力コネクターに直接つながっているコイルで 右の写真は、出力コネクターに直接つながっているコイルです。よくみるとわかるのですが、π型のローパスフィルターとなっています。通常、送信出力に直接つなぐような回路なのですが、こちらは、送受信関係なく通過時に常時接続するようになっています。受信時の混信除去とみれなくもないですが、50Mhzのバンド内であればほとんど関係ないのではないかと思います。
つまり、回路の配線上そうなってしまったような感じがします。その下の白いのがリレーです。特殊なものではないようです。このリレーは、米国のリニアアンプに頻繁に出てくる代物です。高周波特性はわかりませんがよく使われるので使い勝手が
よいのではないかと思っています。さて、この回路に直接、ネットワークアナライザーをつないでその特性を調べたいと思います。

ちょっと撮影の腕が悪くて少し斜めになっています。バンドレンジは1GHzです。280Mhz付近で-40dbの減衰がありそれほど効いているようには思いませんが一応LPFとして機能
しているようです。このデータは受信時のスループットです。もちろんプリアンプOFFの状態ですが、50Mhz付近で-0.5dbの減衰がありますが、通常のリレーのみの使用なのでよい方だと思います。ローパスフィルターもむき出しですからそれほどの機能を要求しているものではないようです。


スプリアス成分は、100MHzで基本波の約-50dbで。150Mhzで約-50db
出てきますので、追加でフィルターを入れないと基準オーバーです。送信のマッチングネットワークがフィルターの
代わりにもなっていますので、よく計算されています。
米国の基準ではオ-バーではないかもしれません。昔の日本の基準であればズバリ合格ですね。
 送信パワーはどのくらい?
 送信出力ですが、単体で13.8Vの60Aの電源がないため測定することができません。40Aのものでちょいとテストしたのですがかるく200Wは出てきます。トランジスターのスペックから言って、300Wくらいはでると思いますが、バイアス回路が貧弱なためそれほどでないと思います。多分、この機械の改造のポイントはバイアス回路です。基本的な回路は入っているので、配線を正しくすれば、350Wくらいは軽いのではないかと思います。但し、ヒートシンクが何分貧弱のため長期運転にはファンの連続運転による強制冷却がが必要です。
 また、ヒートシンクそのものを交換する方法もあると思います。サイズがこれだけコンパクトにできていますので仕方がない面もあると思います。価格は、現在米ドルで$750-800で送料と税金を考えると今の為替相場$1=\120を考えると10万円をちょいと超えそうな価格といえます。
  それと、このアンプにはには電源スイッチやヒューズなどの保護回路がありません。電源スイッチがないことでかなりコストダウンがしやすいのではないかと思います。初心者にはちょっと使いずらい機会かもしれません。
  これならに私のPOB6312Aの方がお買い得ですよね。と誰も言ってくれないので自分で氷解しています。

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JA1BOP 2007.6.03 up

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