POB-6200A 50MHz 200W / SD2931(MRF150互換)リニアアンプ

↑新品のSD2931とSD2932                ↑ すでに死んでいる幻の200WMRF150MP

受信も良くなったところで、とびの改善にリニアアンプに挑戦したいと思います。

石は、お手ごろなMRF150X2を試したらピカッと光って死にました。

それで、急遽、別の石にすることにしました。石は、SD2931とSD2932の二つこしらえたいと思います。

これから作るところですので、製作日記を連載したいと思います。
2015.1.16 Update

 

左の写真が、SD2931x2のリニア 基板です。原始的にマジックで手書きのパターンを
つくりエッチングしました。頭の中で100mmX150mmのガラスエポキシの基板に イメージ
して直接書きました。最近では、CADで作られる方が主流だと思いますが、昔からこの
方法で作成しています。マジックで書くのが好きなものですから。ただし消しゴム用に
シンナーまたはマニュキュアの除光液が役に立ちます。
 そして、FETやら抵抗・入出力のトランスの現物をあてがい、サイズを測って 書き込み
あまり格好のよいもののではありませんが、自作ですからこれで十分だと思います。
前回の反省でTRから発生する熱処理がありました。やはり、真空管と違ってTRは、
放熱が重要です。シリコングリスを薄く塗って準備しました。
基板は紙フェノールでも良いと思います。しかし、何回も調整のために抵抗やコンデンサ
を付けたりはずしたりする可能性があるのでガラスエポキシの基板が無難といえます。
また、マジックで書くとインクのムラが発生しますので、できればビニールテープを形に合わ
せてカットして張り付けるとよりきれいに仕上がると思います。
※後記 シリコングリスは薄過ぎてもいけません。適度な量が必要です。

次に、入出力のトランスです。
出力側は、43材の長めのコアを2本接着剤で引っ付けました。
入力側は、同じく43材のメガネコアを秋葉原の斉藤電気で入手しました。
中に巻いてある線材ですが25オームのテフロン同軸を秋葉原界隈で探しまし
たがあいにく見つかりません。日本での小売の入手は難しいのでしょうか?
 ということで、1m400円近くする銀メッキのテフロン線を巻くことにしました。
 入力側は、1:4(2回巻き)で出力側は。1:9(3回巻き)で作成しました。
また、各コアの中は真鍮のパイプではなくて、家に転がっていた5D-SFAの芯線
皮膜の銅箔と外の網線を加工し、パイプレスで安価なパイプもどきを作成。
 完成したところです。
回路はいたってシンプルで左右のFETに同一のバイアス回路を設定。
マッチドペアではありませんがその点を気にせずにやってみました。
SD2931の製造元であるSTマイクロからいくつかのアプリケーションをDLしまし
たがBIAS分けてあるのとないのとがあります。簡素化した回路でテストしました。
回路はチューンアップ完了してからアップしたいと思います。
入力はIC756pro3の最小パワー(1W程度)でノーバイアスで開始しました。
恐る恐る電源をいれ、38Vを供給。パワー1W以下を入れました。
いきなり終端型パワー計で150Wくらい出ています。すぐに電源をとめる。
それでは、出力側のトリマーをまわして容量を変えてみる。
すぐに、200Wを超えるポジションを発見しました。
入力側のSWRは、1.1で張り付いています。どうも幸先がいいワイ!!!!
 
   調子にのって調整とチューンアップを繰り返している最中に、送信パワーが
変動していることに気がつきました。出力側のコアを触ってみるとすごく発熱。この熱 でインピーダンス
が変動しているのかなと思いました。さすがに出力側のコアサイズが小さすぎたのでしょうか?
次に、AB1級に変更するべく、バイアスの電圧を調整。いろいろの資料を見るとアイドルで片方250mA
位流れるようにするためにはGate Source間の電圧が2.5VとありますのでVRを少しづつ上げました。
 ピカーーーーーーー。ドレイン側から閃光と共に電流が流れなくなりました。
おっと・・・・多分死んだかなと思いながら、1Wほど入力しますと案の定、片側のFETが飛んでいます。
頭の中が真っ白になり、ベランダの野外喫煙室(ホタル族なもので)に向かう中年のおじさんがいました。。。とほほ。

よ-し、次のチャレンジとばかり力任せにFETを交換、再チャレンジ今度は慎重に
慎重を重ねてバイアスをあげていきました。丁度2.5V付近で今度は反対側の
FET
ピカ--------。いったい何が起こっているのかわからずじまい。
 
そこでSD2931のテクニカルマニュアルを再度チェックしました。IDq250mA付近
あります。これを電圧換算するとどうも2.5Vは高すぎるようです。なるほMRF150
とは違うようですね。
それと出力側のトランスのインピーダンスも12オーム前後あることもわかり、次々
と改良に次ぐ改良がすすみました。
最終的に、バイアス注入を分けて電圧は2.25V以下で入力1:4 出力 1:4 の巻数
トランスで快調に動くことがわかりました。
結果的に、アイドル電流をそれぞれ200mAになるように設定入力1Wで150W
の出力で、ちょっとひねって入力2Wで200Wを超えました。Vd電圧48V電流
7.75Aで、効率53.3%です。もう少し出力トランスをいじくればあがると思います。
テクニカル資料によると、65-70%はいけるということです。

あとは、ヒートシンクだと思います。結構発熱しますのでここが肝かもしれません。

さて、大体のリニアの構図が出来上がりました。しかし、バイアスの電圧安定と温度補償がまだです。
ヤフオクやネット上の製作記事には、簡易温度補償が設計されています。 そこには理由がありFETの安定性や

過去多くの石をを飛ばした経験から温度補償がいかにリニアには重要か体感することになりました。

そこでダイオード単体の簡易なものでなくICとサーミスターを使用した温度センサー
使用したバイアスの温度補償安定化電源を追加することとしました、
FETのバイアス回路はバイポーラトランジスタと異なり、電圧さえ一定であればそれほど
電流を消費しません。そこで、IC1本で制御する回路を作ってみました。
ICはNJM723Dというレギュレタ−用のものです。秋葉原の秋月に電源キットを販売して
いましたが、今は店頭では見かけません。MC1723・LM723・μPC723が同様の性能の
ようです。日本無線(JRC)のサイトからNJM723のデータをDLして基本回路を参照 。
このICは2-40Vの電圧を可変できるようで、FETリニアのレギュレターとしては申し分
ない能力があります。
本来は埋め込み基板にしたいところですが、外付けで小さなバイアス基板を作成。
リニア本体のバイアス回路を取り外してこの基板を付け加えました。
最初はサーミスターをFETに近づけていましたが、温度にかなり反応するため基板の温度を吸い上げる形の回路
に変更しました。現在は、スイッチオン時は、ボディ温度が低いため電圧が若干高くなりIDq電流は流れますが
温度の上昇と共に安定化に向かいます。
これでバイアス・電源まわりはかなり安定し温度補償についても信頼性がましました。
 名づけて、POB-6200Aの完成です。(POwer Booster 6meter 200w type A)
 ↓添付の写真のように、シャーシに組込みヒートシーリングとフィルターと共に基板をセットアップしてみました。
最初は、基板に放熱効果を高めるため3mm厚の銅版をつけていましたが、銅版と放熱板の間に隙間ができ、
うまく加工できないため、取り外してFETに直接取り付けています。こちらのほうが、放熱効果が高いようです。
 そして、送受信の切り替えには、RIGからリレー出力を取り出して同軸リレー にて切り替え制御しています。
最初は通常リレーをいくつか試しましたが、インピーダンスの問題で受信感度がおちる点と、このアンプの増幅度が
高いため入出力間での容量を相当下げないと発振の原因となります。その二つを解決するために同軸リレーを
使用しています。同軸リレーは、斉藤電気でTohtsu® Co-Axial Relays CX1054を2個購入し使用しました。
ここで一番調整が難しいのがフィルターです。スペクトルアナライザーやシグナルジェネレーターかトラジェネなどと
測定器が必要です。最初はデップメーターでなんとかなると思っていたのですが、実際測定すると基準オーバー!
ついつい、オークションにて2つの測定器を入手し、フィルターを製作いたしました。
何しろ50Mhzは60db以下のスプリアス基準ですから65dbはほしいところです。
そこで、π型のローパスフィルターを9段にして100Mhzで-60db 150Mhz -55dbの減衰を実現しております。
ローパスフィルターは奥が深いようですので、別のコラムにて作成方法も含めて詳しく記入したいと思います。
 
POB-6200A上面写真
POB-6200A 回路図を掲示いたします。
先に作成しました基板に引き続き6200Bの作成にとりかかり一枚の基板に全ての回路を組み込みました。
今回の工夫としては、全体的に回路の位置を変更しシンプルにいたしました。
また、入力側のインピーダンスを整合させるためコンデンサーを追加いたしました。回路が少し変わっています。
 
  サイズは150×200mmの基板で製作しています。バイアス回路におまじないの
RFCチョークを入れました。回路が発振しやすいためです。出力側のコイルには、
今回初めて銅パイプを使ってみました。この方が安定するのですが、効率は高いと
はいえません。やはり、同軸の編線の方が特性もよく高周波には向く様です。
ただ発熱はかなり収まりました。コアは5B4を斉藤電気で手に入れました。
できれば、ローパスフィルターもこの回路の中に入れたいのですが200X200mm位
のサイズがないと収まりがつきません。最低-40dbは断念しました。
 
というわけで、2005.12.28付けで総務省より50Mhz 200Wの許可がおりました。やっと2号機も出来上がりました。
追記:このアンプはFETを酷使すると瞬間的な発振を起こしTRがお釈迦になることがあります。これを
回避するためには、入力段に0.2〜0.5Ω程度の抵抗を入れることで真空管のパラ止めのような効果が
期待されます。また、ドレイン側のVddに対しても同様な仕掛けを組むことでずいぶんFETの消耗が軽減
されました。後になってPro用のアンプ基板を解析しているうちにこのことがわかりました。
ぜひ皆さんもお試しいただきたいと思いますMRF150方が強いですが再生品は結果的に損します。
2015,1,16 update

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