お粗末な日本の建築設計事務所


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記載者:toshi jinnai on June 21, 2104 at 00:30:51:

お粗末な日本の建築設計事務所

今日の日本の建築設計事務所は、欧米ならず、アジアのなかでもっともインターナショナルな香港でさえ、本来の職能集団として、建築事務所は機能していない現実を体験しました。申すこともないが、日本ではいい加減な図面も建物は立ってしまう。ゼネコンの設計部の援助や優れたゼネコンの技量よってはすばらしい建物も不可能ではない。そうしたゼネコンにダッコにオンブの日本の建築事務所が香港でも同じように振舞っている姿を見ると、とても滑稽で、日本人として情けなくなってしまった。海外で初めての若手は、語学もままならず、海外で初めてのプロジェクトだから、こんなに一生懸命頑張っているのがわからないのかと、バイトの若い者までもあたりちらしていた。海外豊富な私にとって、大半日本の企業から無報酬でゼネコンや電気、設備企業からスタッフを雇用していること自体、このプロジェクトの失敗を意味していた。海外で成功したいのなら、多少赤字は覚悟の上、どうして自社でやらないのかと、反撃したかったが、反撃する相手も建築家としてあまりにも稚拙で言う言葉もなかった。当然のことながら、日本の設計事務所はとかく他の企業に無報酬でスタッフの依頼をし、依頼された企業は営業を考え、矢も得なくスタッフを提供せざるを得ない状況にある。こうした設計事務所の一方的なやり方は海外では存在しない。あり得ないことを海外でも日本と同じようにやってしまう。こうした設計事務所の無神経さが私には理解できない。日本のこの独特なやり方が地元のゼネコンの不信を買い、工期まで延長する結果になり、更に設計事務所は施主の信用を無くすことになってしまっている。現実的に、施主と建築事務所を仲介するCMならぬ、地元のコーディネーターを雇用されることになり、設計事務所としての立場が希薄化された。まさにアーキテクトとしての立場は皆無である。

以前、フォスターの下で香港銀行を携わったそのコーディネーターも建築図面の少なさ、設計事務所のいい加減さには驚いていた。私は、これが日本やり方さ、とは言わないまでも、彼にとって、初めての日本の企業に接して、そう思わざるを得ない環境にあったことは確かである。日本では大手企業であるM設計事務所だけではなく、日本の設計建築事務所はどこもこうしたゼネコンに頼る傾向が大である。ゼネコンなしには日本の建築事務所は存在しないといっても過言ではない。大半、そうしたゼネコン依存症に蔓延している組織事務所からなる家協会(JIA)はゼネコンの設計部を排除しているのは、私にとっては納得のいかぬところである。UIAやAIAは建築家のプロ集団であるにもかかわらず、JIAはゼネコンの設計部を除外しているのは理解に苦しむ。ゼネコンの設計部にはJIAに属する会員よりはより建築家としての立派に活躍している者が少なくないことは言うまでもない。日本の組織事務所はわが身のためにゼネコンから甘い汁を吸っているだけのような気がしてならない。日本の素晴らしい建築も日本の技量の誇れるゼネコンがあってのものであることをJIAはもっと理解すべきであろう。

建築家のみならず、エンジニアの地位も香港の社会にくらべてずいぶん低い日本の社会において、プロ集団の団体という認識より、今も娯楽クラブともいうべき組織の団体としてのJIAの存在もあり得るのかと最近つくづく思う。それにしても、香港でのあのような建築事務所の無神経な行動は情けなくもあり、日本で建築の設計を携わっている者として大変恥ずかしくもなりました。人手が足りないからと言って、海外までも日本の企業からスタッフを無報酬で雇用し、それに対応しない企業には施主に対してプロジェクトの工期遅延の要因にしてしまう事務所の身勝手な言動には驚嘆するばかりです。ほんとうに日本の建築設計事務所はだらしがない、と思わざるを得ない貴重な体験をしました。私は日本の設計事務所にはこのような日本の独特なやり方を海外まで持ち込まないことを切に望みたい。ことわざにあるように、郷に入っては郷に従え。さもなくば、海外での事業はけっして成功しないことを日本の設計事務所は知るべきである。

今回は、設計事務所という企業だけではなく、その企業を構成する、海外経験の無いスタッフもふくめて、アーキテクト、エンジニアとしてのプロ意識の欠如には大変驚いている。日本の大学の建築教育、建築事務所、各団体組織にその要因があろう。


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