
*群馬交響楽団 東京公演
1999年3月21日(日) 15:00〜 すみだトリフォニーホール
今回の群響の東京公演は、すみだトリフォニーホールで開催されている<第2回地方都市オーケストラ・フェスティバル>の特別参加公演として行われた。 指揮は音楽監督の高関健。 曲目は、数日前に定期演奏会でも取り上げられたという、マーラーの大作、交響曲第9番である。 私自身、このオーケストラをきくのは随分久し振り。 音楽監督の指揮できくのは初めてである。
大曲で、難曲であるマーラーの第9交響曲を、敢えて東京公演の曲目にすることだけを見ても、群響のこの演奏会に対する意気込みを感じることができるが、演奏の方も、指揮者、オーケストラが現在の持てる力を出しきらんばかりの熱演を披露してくれた。
高関は、大曲の全体像を適確に把握し、それを表現する能力に秀でた指揮者だと思う。 オーケストラの配置はヴァイオリン両翼型で、コントラバスは管楽器のさらに後方に横一列に配置された。 コントラバスの効果がどれほど上がっていたのかは、今一つ分からなかったが、第1、第2ヴァイオリンを左右に配したことによって、この作品のオーケストレーションの独自性がききとれたし、各楽器の分離もよくなっていた。 これは、この作品の構造を明確にする上で効果を上げていたのは確か。 その上で音響の重心を低目にとり、音楽が軽くなってしまうことも避けられていた。 起承転結がはっきりしており、きかせどころでは圧倒的な表情を作り出すことにも隙がない。 楽想の描き分けも、明確な主張を持ったものではあるが、特に個性的というものではなく、その分、作品の美質が純音楽的に表現されていた。 若々しい演奏で、きいていて引き込まれてしまう箇所も多かった。 最後まで、程よい緊張感が失われることなく、音楽を堪能させてもらった。 各楽器のピッチが、若干揃っていなかったところもあり、それが弱音部でやや目立ってしまい、例えば終楽章など、もっとデリカシーのある音を求めたくもなったが、演奏者が全力で演奏に取り組んでいる様がうかがえたので、特別大きな不満にはならなかった。 優秀な奏者もいるようで、技術上の大きなミスもさほどなく、ハープの太くて美しい音色や、ティンパニの思い切った打ち込みなどが耳をひいた。 アンサンブルは、可能な限り注意深く揃えられていたように思う。 これは、日頃の高関によるトレーニングの効果によるところが大きかったのではないだろうか。 いずれにせよ、晴れ舞台で記念碑的な演奏をしようとするオーケストラの熱意には好感が持てた。
この演奏で足りなかったものがあるとすれば、「死の慟哭」を描くための「凄味」のようなものだったかも知れないが、いかなる作品の解釈も、常にひとつではない。 この日の演奏は爽快感すら覚えるものであり、マーラーの第9交響曲をきいて、こんな思いを持ったことは滅多にない。 今後、ますます期待できるオーケストラと音楽監督の組み合わせである。
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