*東京都交響楽団 第483回定期演奏会
  1999年1月30日(土) 19:00〜 東京芸術劇場
 都響の1月の定期演奏会は、もうすっかり恒例となった「日本の作曲家シリーズ」である。 この日のAプログラムは、41歳で早世した早坂文雄の作品集。 指揮は梅田俊明。
 1曲目、古代の舞曲は、梅田の慎重な指揮振りで、リズムがやや重くなってしまい、この作品の持っている「舞曲」としてのエネルギーが若干失われてしまったようであったが、最後に演奏された、交響的組曲「ユーカラ」ではこれがプラスに作用し、早坂の独創的なオーケストレーションを、音楽的な感興をそぐことなく、適確に再現した好演となった。 梅田は当然のことながら、他の作曲家の作品を演奏する時と同じような態度で、早坂の作品に真摯に取り組んでいたことが伝わってきて、作品の内容をしっかりと消化し、共感を持って指揮する姿には好感を覚えた。 オーケストラもプロローグでのクラリネット・ソロを見事に決め、第2楽章以降も全力で作品の演奏にあたり、現在考えられる早坂作品の理想的な演奏を実現していたように思う。
 この2曲の間に挟まれていたのが、ピアノ協奏曲。 これは、初めて耳にした作品であったのだが、この日の演奏は、やはり楽しめるものとなった。 この作品は、後期ロマン派から近現代の、色々な作曲家の影響がききとれたような気がして、逆に言うと早坂ならではの個性は、「ユーカラ」などに比べて希薄な印象は拭えない。 第2楽章など、冗長さと背中合わせのロンド形式になっており、粛々と進行する第1楽章との対比において、ややつかみどころのないもののようにも思えたが、ピアノを弾いた岡田博美の安定した技巧と、これまた作品に対する深い理解を感じさせる演奏で、退屈することなくきくことができた。 この曲も、きっと何度かきいてみれば、また別の印象を受けるだろう。
 私も保守的なきき手で、正直言ってこのシリーズをききに行くときは、いつも期待より不安の方が大きいのだが、今回はききに行った価値が充分にあったと思う。 早坂は、日本の他の作曲家に多大な影響を与えた重要な作曲家と言われているが、確かに、その作品はもっと演奏される機会があってもいい。



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