「枕草子」


春はね、明け方までには眠るの。
ほら、昔から、春眠暁を覚えず、って言うでしょ?
山の端がだんだん白くなっていって、
世界中に朝の光があふれ出していく。
紫色の雲が、すぅっと細くたなびく。
そんな景色を見てから寝てたら、新学期早々遅刻だもん。
夜遊びはほどほどにして、早く寝なくちゃ!

夏は夜よね。
お月様が綺麗な夜は、彼女の淡い光にくるまって、
彼とわたし、二人で愛を確かめあうの。
お月様のいない暗い夜には、ちょっぴり遠出。
二人で草の上に寝転がって、満天の星空を眺めるの。
そしてきっと、そんな夜には、
星たちの間を、蛍がいっぱい飛んでいるのよ。
そんな、流れる光のシャワーの中で、
わたしたち、二人の愛を確かめあうの。
ああ、なんて素敵なんでしょう。
二人一緒だもん、
雨に降られたって、きっと気持ちいいと思うわ。

秋はね、夕方がいいのよ。
空を真っ赤に染めながら去っていく太陽。
カァカァと鳴きながら帰っていく烏たち。
そして、小さな点になってしまった、雁たちの群れ。
そんな中を、わたしも急いで家路に着くの。
日が暮れるとどこからか聞こえてくる、風や虫たちの声。
その澄んだ音色に耳を傾けながら、宵の口から眠っておくの。
彼も今晩チャットに顔出すって言ってたし、
秋は夜長を楽しまなくちゃね!

冬はね、早朝なの。
雪が降って、見渡すかぎり一面の銀世界。
そんな日はもちろんだけど、冬の朝って、
地面に霜がおりて真っ白になってたり、
前の日の雨でできた水たまりに氷が張ってたり、
とにかくとっても寒いじゃない?
そんな時に動き回るのって、効率悪いと思うでしょ?
だから、炬燵で丸くなってる小猫みたいに、
わたしもお布団で丸くなるの。
あったかくってぬくぬくしてて、とってもしあわせなんだから!
お昼過ぎまでそうしていると、親に怒られちゃうのが珠にキズ、かな?



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