満天の星空に空想の羽根を広げて
人里離れた山奥に,一軒の山小屋が建っていました.
周りを森に囲まれて,寂しく静かに建っていました.
山小屋の入り口に足を投げ出して座っている男の子.
空を見上げたその子の目には,満天の星空が写っていました.
静かで穏やかな空気に抱かれながら,軽く目をつむり,
男の子は楽しかった今日一日の出来事を思い出します.
みんなで川に入ってずぶ濡れになりながら魚を捕ったこと.
大好きな女の子に木の実をもらってときめいたこと.
太くて大きな木の上に,みんなが入れる秘密基地を作ったこと.
そんな事を思い出しているうちに,
いつの間にか男の子は静かな寝息を立て始めていました.
淡く優しい星の光が,男の子の上に降り注ぎます.
気がつくと,男の子の体は空中に浮いていました.
始めは不思議がっていた男の子ですが,
星の精に導かれ,空想の羽根を広げていきます.
動物たちのあふれる森の中を.
静かに流れる渓流の上を.
柔らかなランプの灯かりが洩れる街角を.
遥か遠くの見知らぬ国まで.
男の子は思いのままに,自由自在に飛び回りました.
「お〜い,できたぞ〜」
小屋の中からおじいさんの声がします.
その声にぱっちり目をあけた男の子.
「は〜い」と元気な声をあげ,
美味しそうな匂いのする小屋の中へと入って行きました.
顔いっぱいに幸せそうな笑みを浮かべて―――.
そんな情景が浮かんでくれたら,とってもとっても嬉しいです.(^^)
まったく同じじゃなくてもいいけどね.(^^;)