Steve Winwood より"Hearts
On
Fire"、「ニューアルバムの中から何曲かやります」と言って次の 大いに沸く。 「僕に気高い愛を注いでくれ/僕を汚れのない愛で満たしてくれ 01 I'm A
Man 10
Glad 02 While
You See A Chance 11
? 03
Hearts On Fire 12
Medicated Goo 04
Another Deal Goes Down 13 Split
Decision 05 One
And Only Man 14 The
Finer Thing 06 In
The Light Of Day 15 Roll
With It 07
Valerie 16
Higher Love 08 Come
Out And Dance 17 Back
In The High Life Again 09 Low
Spark Of High-Heeled Boys 18 Gimme
Some Lovin'
1991.3.22(FRI)
横浜アリーナ (アリーナC8列49番)
時代の流行にうまく乗って、次々とスタイルを変えていく人々がいる。華々しい成功を飾って「変わった
ね、すばらしいね」と称えられる人々がいる。「変身」は確かにすばらしい。しかし長い年月、頑なに一貫
したスピリットとスタイルを保ち続けて活動している人々に出会う時、何故かその頑固さがうれしくなって
しまうことがある。彼もその1人だ。スティーヴ・ウィンウッド43歳。スペンサー・デイビス・グループ
の天才ボーカリストとして16歳から活躍。トラフィック、ブラインド・フェイスというロック史上に残る
偉大なバンドを経て、80年代からソロへ。サウンドがエレクトリックになったとはいえ、R&Bの要素を
たっぷり持つ音楽性、ハイトーンのボーカル、ハモンドオルガンの柔らかな音色──彼のスピリット&スタ
イルは27年間変わっていない。
1989年の初来日以来、2年ぶりのコンサートは「永遠」を証明するかのようにSDG時代のヒット曲
"I'm A
Man"で幕を開けた。S席と呼ぶにはあまりに悲しすぎる遠い席のために、この日の出で立ちや表情
までは見てとれないが、髪が少し伸び、キーボード演奏に前回になかった荒々しさをのぞかせる。相変わら
ず伸びのあるボーカル、この曲をオープニングに持ってくるとは!
続いてはソロになって初のベストテンヒット"While You See A
Chance"、良質のポップソングってまさに
こういう曲のことをいうんだなとライブで改めて実感する。一言挨拶をしたあとはアルバム"Roll
With It"
バーたちとスティーヴの間の「信頼」という名の相互関係が生み出すサウンドは、厚みがあり心地よい。
3曲、ギターソロ、サックスソロをふんだんにはさみ渋味のある演奏が続く。あい
だに"Valerie"を入れ、ニューアルバムからさらに"Come Out And
Dance"、イント
ロにのせて実に丁寧にバックメンバーを紹介する。長めのソロパートを持たせて1
人1人にスポットが当たっていく。スティーヴ自身が"Fantastic
Band! Great Band!"
と言う通り。中でも前回のツアーも一緒に来日していたドラムス、ラス・カンケル
の存在は忘れ難い。アメリカを代表するロックドラマーの1人、彼の名前はキャロ
ル・キングの名作「つづれおり」("Tapestry")にもクレジットされている。メン
「少し時をさかのぼって、Traffic
Songをやりたいと思います」──そしてピアノだけのイントロで始ま
るブルース、心うち震わせるブルース、インストルメンタル──この人は楽器はいろいろとこなすけれど、
キーボードが一番似合う。ステージ中盤でトラフィック時代の曲を披露する展開は前回のツアーと同じだが、
2曲プラスされていたのが嬉しい。それは今の時代に新曲と紹介されてもおかしくないほどに、色あせない
新鮮さを保っていた。
トラフィックの4曲のあとは、ヒットシングルオンパレード。おとなしめだった会場も"Roll
With It"で
/真実の愛を与えてくれ」"Higher
Love"、この曲は1986年のヒット曲だ。
そしてアンコールはマンドリンを抱えて"Back In TheHigh Life
Again"、再び
SDG時代のヒット曲でブルース・ブラザーズも歌った"Gimme
Some Lovin'"で
ステージは終わった。時間が短めだったことと、観客の入りがいまいち良くなか
ったことなど残念な点がなかったわけではない。しかしこの年季の入ったアーテ
ィストのライブで再度、ベテランのマイペース、余裕と自信を垣間見て、「音楽
を楽しむ心」を改めて大切に思った。
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