山下達郎 PERFORMANCE
1991-1992 artisan(e)[artiza,-an](名)職人.
〜d'art 芸術品を作る職人. atelier d'〜職人の仕事場. んの出で立ちは黒のタートルネックにブルー 01 アトムの子 14 クリスマス・イブ 02 Daydream 15 ふたり 03 ターナーの汽罐車 16 La La Means I Love
You 04 Rainy Walk 17 プラスティック・ラブ 05 Mornig
Glory 18 Let's Dance
Baby 06 夏への扉 19 Loveland
Island 07 誘惑 Encore 08 風の回廊 20 さよなら夏の日 09 Splender 21 Funky
Flushin' 10 潮騒 22 Ride On
Time 11 Drip Drop 23 Down Town 12 Bella Notte 24 ラストステップ 13 Have Yourself A Merry
Little Christmas 25 Your Eyes
中野サンプラザホール 1991.12.27(FRI) (1階24列49番)
クラウン仏和辞典(三省堂)より
A l'oeuvre on connait
l'〜.[諺]人はその仕事によって知られる.
思いもかけず、この日の東京は大雪となった。JR中野駅から会場までのわずかな道のりで
何度か足を滑らしそうになる。3年ぶりの東京公演、約束通りこの中野サンプラザホールに、
タツローさんは戻ってきてくれた。
オープニングナンバーは最新アルバム「アルチザン」の中から「アトムの子」。ステージセ
ットは西洋の古風な駅といった感じで、中央には時計、左側に「WEST
BOUND」の文字が見え
る。両脇に階段が設置され、左側には3人のコーラス、右上にはサックスがいる。タツローさ
中盤にさしかかるころ、初めてキーボードへ移り「潮騒」のあとには、アカペラコーナー。
のスーツ。ギターを弾きながら時にのそのそ
と歩き回る。約10年ぶりに復帰したという
キーボード・難波弘之、おなじみのキーボー
ド・重実徹、そしてコーラス担当はちょっと
びっくり、グループSing Like Talkingから
佐藤竹善、彼等を含めバックは総勢9名。強
力なサポートメンバーに囲まれ「夏への扉」
も演奏してくれた。
改めて曲目リストを見ると、昔のナンバー
が詞もメロディーも全く色あせることなく、
新しい曲と同じ輝きを保っていることに気づ
く。そしていつも変わらない、むしろ本人曰
く「前回のツアーよりよく出ている、若返っ
ている」タツローさんの伸びのある歌声。シ
ートに背をもたれ、私は時々かすかに指でリ
ズムをとったりしながら、ゆったりとそして
じっくりと楽しめるステージは進行していく。
アルバム「On The Street Corner 1」よりLeiber &
Stollerのペンによる"Drip Drop"。ディ
ズニーアニメ「わんわん物語」より「いつか歌ってみたいと思っていた」という"Bella
Notte"
(Beautiful Night)から「クリスマス・イブ」〜"La La Means I Love
You"への展開は最もロ
マンティックな選曲で、心酔いしれんばかりであった。
途中楽しいおしゃべりと共に楽しませてくれたのは、Temptationsの"My
Girl"マイナーバー
ジョン。マイナーコードで演奏してしまうというお遊び、「たちどころに殿様キングス現象が
生じます(笑)」ユーモアと音楽への愛情が為せるワザだ(笑)
"Loveland
Island"でいったんステージをあとにする。すでに2時間以上が過ぎている。声援
に応えてすぐに再登場。客席から沢山の花束を受け取り握手をしたのち、「さよなら夏の日」
そして少年隊もカバーしたダンスナンバー"Funky
Flushin'"で会場は総立ちとなった。シュガ
ーベイブの"Down
Town"ではコーラス隊のマイクが1本増え、何と左上の階段から(竹内)ま
りやさんが登場! タツローさんからの紹介はなく、1曲のみのさりげない参加であったが、
とても得した気分になったのは言うまでもない。再度アンコールに応えてギター1本での「ラ
スト・ステップ」、そしてアカペラ"Your Eyes"には心から感動した。
今や「クリスマス・イブ」がミリオンセラーとなり、夏にはサザンやユーミンと並ぶトレン
ドアーティストとされがちなタツローさんだが、彼のステージそして音楽人生は地道な活動の
積み重ね、まさに「アルチザン」そのものだ。91年最後のコンサートは全25曲、きっちり
3時間。「きっといつか必ずここに会いに来よう」と誓う夜だった。
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