初夏、渋公
18時半開演だというのに、17時には会場に着いてしまった。自分がステージに立つ
わけでもないのに、極度に緊張し、心臓が高鳴る。チケットは勢いで2枚買ってしまった
が、結局は同伴してくれそうな友人も見当たらずじまい。すると、タイミング良く一人の
女の子が「チケット余ってませんか?」と近づいてきた。2階18列という席だったが、
定価で彼女に譲ることにした。
彼女とは開場後に座席で再会。なんと知人を通じてDJ番組のスクリプトを入手したと
いう。さらさらと書かれた字体を見せてもらう。その筆跡は確かだった。正直なところ、
コピーでも喉から手が出るほど欲しかったが、初対面の彼女には言い出せなかった。そし
て後悔。
開演直後、隣席の彼女は2階最前列の通路まで突進し、終始その場所で踊っていた。そ
んなことも許された。私にはそうする勇気はなかったが、それでも充分だった。
ライブは楽しかった、という一言に尽きる。憧れの人が今この場所で、私の目の前でパ
フォーマンスしている。オーディエンスの一体感。うねるような会場のグルーヴ。輝く空
間。素晴らしい時間。きっと私は一生この人から離れられないだろう、そう思った。
そしてちょうど13年が経った。
2000/5/27
Esme
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