詞人から詩人へ


     読書の秋。とはいえ、最近この部屋には未読のままの本が増えている。しかしどの本を
    も飛び越えて一気に読んでしまった本がここにある。
     「詞人から詩人へ」宮沢和史。THE BOOMのボーカリストであり、ほぼ全ての楽曲の作
    詞作曲を担当している彼が、彼の好きな詩を紹介しコメントするという構成である。谷川
    俊太郎、室生犀星、中原中也、寺山修司など18人の詩人達の22の詩編。詩表現の奥深
    さ、美しさ、複雑さ、躍動感を伝え、何よりも、これらの詩編を宮沢和史自身が朗読する
    こと(付録CD)により、ポエトリーリーディングの概念とその魅力、そして読み手とし
    ての解釈をあらわにしている。河出書房新社、2100円。決して損はしない。あの人に
    も届けたいくらいだ。


    「みじかい恋の長い唄」     寺山修司

    この世で一番みじかい愛の詩は

    愛

    と一字書くだけです
    この世で一番長い愛の詩は
    同じ字を百万回書くことです
    書き終わらないうちに年老いてしまったとしても
    それは詩のせいじゃありません

    人生はいつでも
    詩より少しみじかい
    のですから



                                     2000/10/4
                                       Esme



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