THE PAUL McCARTNEY WORLD TOUR
  
1990.3.7(WED)3.11(SUN)東京ドーム

  
【Set List】

  24年ぶりの来日公演を果たすことになったポール・マッカートニーのコンサートはフィルムで幕を
 開けた。正面と左右3つのスクリーンにそれぞれ3つの画面が映し出され、おなじみのナンバーと共に
 ニュースフィルム、そしてビートルズ、ポールの姿が流れていく。まずは "A Hard Day's Night" "All
 You Need Is Love" "The Long And Winding Road"にのって60年代、"Live & Let Die"にのって70
 年代。80年代は "Say Say Say" "That Day Is Done" と続き、最後に "NOW" の文字。ただでさえド
 キドキしているのにこの演出。そして
"Figure of Eight" で本当に始まった。本物のポールだ。席は
 遠くて表情は全然見えない。けれどもあの場所に立って歌っているのはポール。本物のポール。

  "Jet" ―イントロが始まったとたんにもう嬉しくてたまらない。バンドメンバーはポールとリンダ・
 マッカートニーを含め全部で6人。リンダは無表情で淡々とプレイに専念している(主にキーボード)。
 ガッチリとしたチームワークが生み出す厚みのあるサウンドだ。ポールの第一声は
「オッス!」よほど
 この挨拶が気に入っているらしい。
「コンニチハ、トーキョー」曲の合間に何度も手をあげて、大歓声
 に応えてくれる。

  
"Band On The Run"―この曲の、曲調が変化してドラマティックに展開していくところが大好きだ。
 照明も、出さない色はないというくらいに様々な演出でステージを盛り上げる。オープニングからずっ
 とギター or ベースだったポールが初めてピアノで聴かせてくれたのは
"Let' em In"、そして続く"The
 Long And Winding Road"
で感動の波が一気に押し寄せてきた。紫のスモークに霞むポールの姿。どう
 してこの歌はこんなに心に響いてくるのだろう? そして
「ジョン、ジョージ、リンゴに捧げる」と言
 って歌ったのは
"Fool On The Hill"、ポールの乗った台がピアノごと3mほどせり上がり、光を放ちな
 がらゆっくりと回転していく。

  47歳とは思えない迫力で途中がカッコよくアレンジされた
"Sgt.Pepper's..."、「踊りたいかい?こ
 の曲なら踊れるさ」と
"Can't Buy Me Love""I Saw Her Standing There"のビートルズナンバーダン
 スタイム。「地球を守ろう!」とFriends of The Earth(環境団体)に触れたあとの
"Let It Be"、ステ
 ージ後方で大仕掛けのあった
"Live & Let Die"、アンコール、ギター1本で始まった"Yesterday"
 ウチノカミサン、リンダデス!」
と会場をわかせたあとの"Golden Slumber"〜"The End"、どれもが
 すばらしかった。特に11日は声の調子も良かったらしく、全てがベストナンバーと言えるほどに本当
 にすばらしかった。けれどもやはりベストのベストは
"Hey Jude"、この曲のメロディーの美しさとい
 い、会場大合唱のあの一体感といい、言葉が出てこない。ポール、すばらしいライブをありがとう。

  ライブが終わってしばらく経って、頭の中に1つの疑問がわいてきた。それは「ビートルズっていっ
 たい何だろう?」ということ。The Beatles ―リバプール出身の4人組。アメリカでブレイクしてわず
 か6年で解散してしまった。(今年は解散からちょうど20年) けれどもこんなにも私達の心を捕ら
 え続けている。こうして音楽のマジックにかかりながら、私はこれからもずっとビートルズを聴いてい
 くんだろうな。

  後日NHK「ニュース Today」のインタビューの中で、平野キャスターの「60年代と90年代のポ
 ールの違いは何ですか?」という問いに、すかさず
Four Childrenと答えたポールは、永遠のスー
 パースターであると同時に、ただの父親でもあった。素敵だった。
  ポールがステージで最後に言ってくれた言葉は
「ジャ、マタネ!マタキマス!」 ポール、きっとね。

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 私は、今様々な危機に瀕している私達の
 地球を救うため、みなさんひとりひとりが、
 何かをして下さることを心から願っています。
 世界に永遠の愛と平和がおとずれるよう、
 みんなでこの問題を考えましょう。
 今回のツアーでは、私の最近のアルバム
 「フラワーズ・イン・ザ・ダート」の曲だけでなく、
 ビートルズ・ウィングス時代のアルバム曲も
 楽しんでいただければと思います。
 20世紀もおわりに近づき、90年代に突入した
 まさに今この時、私はみなさんに、
 今までにも増して素晴らしい音楽を
 お贈りすることをお約束します。
 愛をこめて。
                Paul McCartney

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