1980年 スチュアート・ローゼンバーグ監督 ロバート・レッドフォード
□Addams
Family,
A(アダムス・ファミリー)★★
1991年 バリー・ソンネンフェルド監督 アンジェリカ・ヒューストン ラウル・ジュリア
クリストファー・ロイド
伝統的な家族観で固く結ばれているオバケ一家と、その財産を狙う悪党たちとの騒動の物語。思うにこれは最
高の娯楽。製作者たちの遊び感覚が伝わってきて、存分に楽しめる。ばかばかしくも愉快。美しくも妖しいア
ンジェリカ・ヒューストンの存在感が大きい。原作は故・チャールズ・アダムスがおよそ1300編書き続け
たコミックス。
□African
Queen, The(アフリカの女王)★★★★
1951年 ジョン・ヒューストン監督 ハンフリー・ボガート キャサリン・ヘプバーン
第一次大戦中のドイツ領東アフリカを舞台に繰り広げられる、蒸気船船長とイギリス人女性の冒険と恋の物語。
ここでのキャサリン・ヘプバーンは、肩肘を張っているけれどもエレガントで愛おしい女性という印象。手製
の地雷で敵方ドイツ軍の艦船を沈めてしまうという何とも勇ましい結末が待っている。
□Age
of Innocence,
The(エイジ・オブ・イノセンス〜汚れなき情事)★★★
1993年 マーチン・スコセッシ監督 ダニエル・デイ・ルイス ミシェル・ファイファー
ウィノナ・ライダー
1870年代のニューヨーク。再現された様々な小道具もさることながら、ダニエル・デイ・ルイス、上流社
会に生きる紳士ぶりを魅せてくれる。惹かれ合う二人に大事件がふりかかるわけではなく、精神的な愛に苦悩
する物語。「情事」とか「不倫」という言葉ではなく、もっと大きな「人生劇」としてとらえたい作品。人生
の中のある重要な時期 というものについて考えさせられた。道端のベンチから愛しい人の住む家の窓を見上
げた時、一瞬の陽の光とともにきらめく、輝く海辺で振り向いた笑顔の記憶。今哀しくて泣いていることも、
やがて遠い将来に穏やかに思い浮かべるのだろうか と。
□All
The President's
Man(大統領の陰謀)★★★
1976年 アラン・J・パクラ監督 ダスティン・ホフマン ロバート・レッドフォード
1974年のウォーターゲートビル不法侵入事件。犯人グループはただの泥棒ではなく、大統領再選委員会の
指示で動いていた。ニクソン大統領辞任のきっかけを作ったワシントンポストの二人の記者、カール・バーン
スタインとボブ・ウッドワードの調査記録の映画化。パソコンや携帯電話もない時代。歩き回っての地道な取
材で若き二人は確信に迫る。詰めは甘いが見応え充分。レッドフォードは当時29歳。
□Always(オールウェイズ)★★★
1989年 スティーブン・スピルバーグ監督 ジョン・ウィリアムス音楽 リチャード・ドレイファス
ホリー・ハンター オードリー・ヘプバーン
「あなたはすばらしい人生を過ごしてきたんでしょう。次はあなたが他の人に生きるすばらしさを伝えてあげ
なくては」 陳腐なゴーストとは違って、天使役、オードリー・ヘプバーンの数少ないセリフが胸に残る。飛
行機事故で死んでしまった恋人の霊に背中を押され、彼女は輝く未来へ歩き出す。
□Amadeus(アマデウス)★★★★
1984年 ミロス・フォアマン監督 ピーター・シェイファー原作 F・マーリー・エイブラハム
トム・ハリス
天才音楽家モーツァルトの人物像と死の謎を、奇抜な新解釈で色彩豊かに描いた作品。ここに登場するモーツ
ァルトは、下品な言葉を口走っては高笑いをする、見るに耐えない青年。そのことがやがて宮廷音楽家サリエ
リを追い込んでいく。アカデミー賞8部門受賞。
□Anastasia(アナスタシア)★★★
1997年 ドン・ブルース ゲイリー・ゴールドマン監督 (声)メグ・ライアン
ジョン・キューザック クリストファー・ロイド
ロシア、ロマノフ王朝の皇女アナスタシアを巡るミステリーとロマンスを題材に繰り広げられるミュージカル
アニメーション。ロシア革命の勃発で孤児となったアナスタシア。10年後、彼女は詐欺師ディミトリの手引
きでニセの皇女に仕立てられる。20世紀FOX社が3年をかけて製作。キャラクターの顔はかわいいとは言
えないが、アニメならではのダイナミックさが随所に表れている。
□Another
Woman(私の中のもうひとりの私)★★★
1988年 ウディ・アレン監督 ジーナ・ローランズ ミア・ファロー ジーン・ハックマン
主人公は50歳の大学教授、女性。隣部屋でのカウンセリングの会話をふと耳にしてから、それまでの完璧だ
った人生に疑問を持ち始める、という心理ドラマ。
□Ascenseur
pour
l'Echafaud(死刑台のエレベーター)★★★
1957年 ルイ・マル監督 マイルス・デイビス音楽 ジャンヌ・モロー モーリス・ロネ
完全犯罪を企てた男が、犯行直後にエレベーターに閉じこめられてしまう。モノクロ作品であるのに、鮮やか
に瞼に焼きつけられるワンショット。街を彷徨うジャンヌ・モロー。ためいき、気だるさ、そしてマイルス・
デイビスの即興ジャズ・・・こんな映画は他には知らない。
□Awakenig(レナードの朝)★★★
1990年 ペニー・マーシャル監督 ロビン・ウィリアムス ロバート・デ・ニーロ
1969年、ニューヨークのとある病院での実話だという。新任の神経科医セイヤー(ロビン・ウィリアムス)
は、30年間昏睡状態にあるレナード(デ・ニーロ)にパーキンソン病用の新薬を投与、ついに蘇生に成功す
る。眠りから覚めたレナードの、人間としての喜び・深い悲しみ。二人の名優の演技が心を打つ。そして結末
はあまりにはかない。私の大好きなロビン・ウィリアムス!
□Bean(ビーン)★★
1997年 イギリス メル・スミス監督 ローワン・アトキンソン ピーター・マックニコル
世界的にブレイクしたMr.Beanの映画版。ミスター・ビーンアメリカへ行く といったところ。ストーリー仕
立てにすることで描写はややインパクトに欠けたけれども、劇場でも大いに笑えた。プロモーションで来日し
たローワン・アトキンソンは、全く別の顔を持つ紳士だった。
□Ben-Hur(ベン・ハー)★★★★★
1959年 ウィリアム・ワイラー監督 チャールトン・ヘストン スティーブン・ボイド
ハーヤー・ハーラリート
旧約聖書に基づいたキリスト劇の一大スペクタクル。幼なじみのユダ・ベン・ハーとメッサラの宿命の対決の
物語でもある。神話的要素と共に、家族愛、欲望、憎悪など人間模様のドラマの要素を兼ね備えていて、話の
展開に引き込まれる。クライマックスの戦車競技の場面は、のべ1万5千人の出演者、7ヶ月の撮影期間を要
したという。チャールトン・ヘストンが非常に魅力的である。アカデミー賞11部門受賞。
□Blues
Brothers,
The(ブルース・ブラザース)★★★★
1980年 ジョン・ランディス監督 ジョン・ベルーシ ダン・エイクロイド
ジェイクとエルウッドの二人組がポリスに追われながらも、かつて過ごした孤児院の救済のため、バンドを再
結成する。牧師にジェームス・ブラウン、バンドメンバーの奥さんにアレサ・フランクリン、楽器店経営者に
レイ・チャールズ。それぞれの見せ場もすばらしい。はっきり言って「どうしようもないドタバタ劇」ではあ
るけれど、音楽ファンにはたまらない。ジョン・ベルーシは1982年、ドラッグのため33歳の若さで死亡。
□Born
On The Fourth of
July(7月4日に生まれて)★★★
1989年 オリバー・ストーン監督 トム・クルーズ
衝撃的な映像で綴られた「プラトーン」が戦争真っ直中の悲劇ならば、この作品は「戦争そしてその後」の悲
劇。戦争による心と身体の深い傷は、簡単には消えないのだと改めて実感した。
□Bridge
of Madison Country,
The(マディソン郡の橋)★★★★
1995年 クリント・イーストウッド監督・出演 メリル・ストリープ
大ベストセラーの映画化。田舎町でのさりげない出会い、けれども「他の人間はめったに経験することのない」
愛。不倫というイメージからは遠い、美しい仕上がりになった。雨降りしきる中、ロバートのピックアップト
ラックを目の前に、今にも夫の元から飛び出しそうに、ドアに手をかけて震えるフランチェスカの姿が最も心
に残った。
□Brubaker(ブルベイカー)★★★
ジェーン・アレグザンダー
アーカンソー州のウェイクフィールド刑務所の新所長に就任したヘンリー・ブルベイカー。
所内の数々の不正や犯罪を無くすため、州知事や委員会を敵に回して一人改革に立ち向か
う、という社会派ドラマ。ラストシーンで職場を去るブルベイカーに送られる、囚人達の
拍手が感動的。レッドフォードにぴったりの役どころだと思う。
□Casablanca(カサブランカ)★★★★★
1943年 マイケル・カーチス監督 ハンフリー・ボガート イングリッド・バーグマン
この有名な作品を初めて、しかも劇場で見た。古さも全く気にならない。ボギーの渋さ、バーグマンの美しさ
・・・もさることながら、戦争でねじ曲がってゆく二人の運命が哀しかった。「As
Time Goes By」昔、元春
が教えてくれたこの曲が、何度もサムのピアノで流れてきた。心打つメッセージとともに。「キスはキス た
め息はため息 愛や栄光のために闘うというのは古めかしいストーリーかもしれない でも時は流れても永遠
のものは変わらない」
□Chariots
of Fire(炎のランナー)★★★
1981年 イギリス ヒュー・ハドソン監督 ベン・クロス イアン・チャールソン
「彼に負けた。彼は真の信仰心を持った、真のランナーだ」 あくまでも休息日に走ることを拒否したリデル
のことを、国家役人がこう言う。そして自分一人のためではなく、大学のため、国のために走るというエイブ
ラハムズ。1924年のパリオリンピックを題材に、真のスポーツ、二人の生き方を考えさせられた作品。ヴ
ァンゲリスのテーマ音楽が有名。
□中国の鳥人
★★★
1998年 三池崇史監督 椎名誠原作 本木雅弘 石橋蓮司 マコ・イワマツ
「彼に負けた。彼は真の信仰心を持った、真のランナーだ」 あくまでも休息日に走ることを拒否したリデル
商社に勤める和田(本木雅弘)は、ヒスイ輸入のために中国の雲南省を訪れる。少数民族の住む村で目にした
ものは、羽根を背につけた子供たちの姿だった。鳥人伝説をめぐる不思議なファンタジー。秘境でのロケも魅
力たっぷり。モッくんはいい俳優になったとつくづく思う。新宿テアトルにて。
□Countess
From Hong Kong, A(伯爵夫人)★★★
1967年 チャールズ・チャップリン監督・脚本・音楽 マーロン・ブランド ソフィア・ローレン
ロマンチックな音楽とちょっとしたドタバタ、そして単純なラブストーリーながら、ラストに心暖まるのはい
かにもチャップリンらしい。
□Cry
Freedom(遠い夜明け)★★★★
1987年 イギリス リチャード・アッテンボロー監督 ジョン・ブライリー脚本 ケビン・クライン
デンゼル・ワシントン ペネロープ・ウィルトン
舞台は1970年代、南アフリカ共和国。デイリー・ディスパッチ紙の編集長ドナルド・ウッズは、若き黒人
指導者スティーブ・ビコに出会う。1977年9月12日、100日以上の拷問の末、ビコは死去。真実を世
界に伝えるため、ウッズは家族と共に亡命を決意する。実話に基づいた、心に迫る作品。自由への夜明けは今
少しずつ近づいているのだと信じたい。
□Dead
Poets
Society(いまを生きる)★★★★★
1989年 ピーター・ウィアー監督 ロビン・ウィリアムス
舞台は1959年、全寮制男子名門校。新任の国語教師、キーティングの斬新な授業に生徒たちは次第に心ひ
かれてゆく・・・ロビン・ウィリアムスのいきいきと輝く瞳や情熱もさることながら、管理化された組織の中
で枠を越えて育っていこうとする若者たちの様子に感動した。そして詩とはすばらしいもの。
□Der
Himmel Uber
Berlin(ベルリン・天使の詩)★★★★
1987年 西ドイツ・フランス ヴィム・ヴェンダース監督 ブルーノ・ガンツ
その天使はいつも黒いコートに身を包み、この街の何処かにいた。飛行機の中、塔の上、図書館、サーカス小
屋・・・彼女や誰かの、病める心の声を聞きながら。やがて壁は姿を消し、二つの意志が一つに結ばれる時が
来た。けれどもそれは天使の仕業ではなかった。何故なら壁が崩れたその時すでに、彼は踊り子に恋をして人
間として生まれ変わっていたからだ。それは人間の愛の力だったのだ。
□Dial
M For
Murder(ダイヤルMを廻せ!)★★★
1954年 アルフレッド・ヒッチコック監督 レイ・ミランド グレース・ケリー
妻の財産目当てに知人を脅し、代理殺人を企てる夫。しかしそこにはシナリオから外れたアクシデントと鍵の
トリックがあった・・・一室で繰り広げられるヒッチコックサスペンス。最初から犯人が明かされているため
か若干物足りない感もある。
□Doors,
The(ドアーズ)★★
1991年 オリバー・ストーン監督 ヴァル・キルマー メグ・ライアン カイル・マクラクレン
1960年代に活躍したドアーズの、というよりボーカルのジム・モリソン(1971年27歳で他界)の伝
記映画。晩年の病的精神世界が巧みに映像に表れていたと思う。
□Driving
Miss
Daisy(ドライビング・ミス・デイジー)★★★
1989年 ブルース・ベルスフォード監督 ジェシカ・タンディ モーガン・フリーマン
ダン・エイクロイド
ちょっと頑固なユダヤ人老婦人と、黒人運転手との心の交流を描く。ストーリー性はないけれど、ゆるやかに
流れていくところがいい。アカデミー賞4部門受賞。
□El
Estiritu de La
Colmena(ミツバチのささやき)★★★★
1973年 スペイン ヴィクトル・エリセ監督 アナ・トレント フェルナンド・フェルナン・ゴメス
巡回映画により「フランケンシュタイン」の存在を信じてしまう少女アナ。彼女の幻想の世界を、静寂で美し
い映像の数々で綴る。セリフはほとんどないままに伝わってくる神秘的な世界。ヨーロッパ独特の匂いがある。
□Enfants
du Paradis, Le(天井桟敷の人々)★★
1944年 フランス マルセル・カルネ監督 ジャン=ルイ・バロー アルレッティ
3時間を超える大作。パントマイム役者バティストと美貌の女芸人ガランスの恋を中心に、様々な人間模様が
綴られていく。何故この作品に対する評価が高いのかピンと来なかったが、戦時下にこれほど芸術的な作品を
製作することは、相当大変なことであっただろう。
□Falling
Love(恋に落ちて)★★★
1984年 ウール・グロスバード監督 メリル・ストリープ ロバート・デ・ニーロ
クリスマスに始まりクリスマスに終わる。列車で出会った、互いに家庭のある二人の夢のような恋物語。こん
な単純な古典的ラブストーリーでも、大好きなメリル・ストリープだからこそ美しく憧れてしまう。
□Family
Plot(ファミリー・プロット)★★
1976年 アルフレッド・ヒッチコック監督 カレン・ブラック ブルース・ダーン バーバラ・ハリス
賞金のかかった人捜しに躍起になる女霊媒師と、財宝目当てに誘拐を続ける宝石商。二人の対面から物語はス
リルに満ちていく。ヒッチコック晩年のサスペンス・コメディ。
□Follow
Me(フォロー・ミー)★★★
1972年 イギリス キャロル・リード監督 ピーター・シェイファー作・脚本 ジョン・バリー音楽
ミア・ファロー トポル マイケル・ジェイストン
USタイトルは「The
Public
Eyes」 公認会計士と妻、そして彼女の尾行を依頼された私立探偵。新しい発見
新しい喜び、言葉がなくとも通じ合えるもの を妻は求める。結婚生活、共に生きていくということの意味に
ついて考えさせられる。
□Forrest
Gump(フォレスト・ガンプ)★★★★
19**年 ロバート・ゼメキス監督 トム・ハンクス
フォレスト・ガンプという一人の人間の生きざまを通して、60年代〜70年代を駆け抜けた世代にメッセー
ジを向けた作品。人は運命(さだめ)ですべてが決められているのか、それとも風に吹かれて身をまかせてい
くのか、きっと両方が一緒に行われているのだ というセリフが心に残る。そしてこの作品には最高級の洒落
とポップソングが詰まっているから好きだ。
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1984年 バリー・レビンソン監督 |