Addams Family, A(アダムス・ファミリー)★★
  1991年 バリー・ソンネンフェルド監督 アンジェリカ・ヒューストン ラウル・ジュリア
   クリストファー・ロイド

   伝統的な家族観で固く結ばれているオバケ一家と、その財産を狙う悪党たちとの騒動の物語。思うにこれは最
   高の娯楽。製作者たちの遊び感覚が伝わってきて、存分に楽しめる。ばかばかしくも愉快。美しくも妖しいア
   ンジェリカ・ヒューストンの存在感が大きい。原作は故・チャールズ・アダムスがおよそ1300編書き続け
   たコミックス。


African Queen, The(アフリカの女王)★★★★
  1951年 ジョン・ヒューストン監督 ハンフリー・ボガート キャサリン・ヘプバーン
   第一次大戦中のドイツ領東アフリカを舞台に繰り広げられる、蒸気船船長とイギリス人女性の冒険と恋の物語。
   ここでのキャサリン・ヘプバーンは、肩肘を張っているけれどもエレガントで愛おしい女性という印象。手製
   の地雷で敵方ドイツ軍の艦船を沈めてしまうという何とも勇ましい結末が待っている。

Age of Innocence, The(エイジ・オブ・イノセンス〜汚れなき情事)★★★
  1993年 マーチン・スコセッシ監督 ダニエル・デイ・ルイス ミシェル・ファイファー
   ウィノナ・ライダー

   1870年代のニューヨーク。再現された様々な小道具もさることながら、ダニエル・デイ・ルイス、上流社
   会に生きる紳士ぶりを魅せてくれる。惹かれ合う二人に大事件がふりかかるわけではなく、精神的な愛に苦悩
   する物語。「情事」とか「不倫」という言葉ではなく、もっと大きな「人生劇」としてとらえたい作品。人生
   の中のある重要な時期 というものについて考えさせられた。道端のベンチから愛しい人の住む家の窓を見上
   げた時、一瞬の陽の光とともにきらめく、輝く海辺で振り向いた笑顔の記憶。今哀しくて泣いていることも、
   やがて遠い将来に穏やかに思い浮かべるのだろうか と。

All The President's Man(大統領の陰謀)★★★
  1976年 アラン・J・パクラ監督 ダスティン・ホフマン ロバート・レッドフォード
   1974年のウォーターゲートビル不法侵入事件。犯人グループはただの泥棒ではなく、大統領再選委員会の
   指示で動いていた。ニクソン大統領辞任のきっかけを作ったワシントンポストの二人の記者、カール・バーン
   スタインとボブ・ウッドワードの調査記録の映画化。パソコンや携帯電話もない時代。歩き回っての地道な取
   材で若き二人は確信に迫る。詰めは甘いが見応え充分。レッドフォードは当時29歳。

Always(オールウェイズ)★★★
  1989年 スティーブン・スピルバーグ監督 ジョン・ウィリアムス音楽 リチャード・ドレイファス
   ホリー・ハンター オードリー・ヘプバーン

   「あなたはすばらしい人生を過ごしてきたんでしょう。次はあなたが他の人に生きるすばらしさを伝えてあげ
   なくては」 陳腐なゴーストとは違って、天使役、オードリー・ヘプバーンの数少ないセリフが胸に残る。飛
   行機事故で死んでしまった恋人の霊に背中を押され、彼女は輝く未来へ歩き出す。

Amadeus(アマデウス)★★★★
  1984年 ミロス・フォアマン監督 ピーター・シェイファー原作 F・マーリー・エイブラハム
   トム・ハリス

   天才音楽家モーツァルトの人物像と死の謎を、奇抜な新解釈で色彩豊かに描いた作品。ここに登場するモーツ
   ァルトは、下品な言葉を口走っては高笑いをする、見るに耐えない青年。そのことがやがて宮廷音楽家サリエ
   リを追い込んでいく。アカデミー賞8部門受賞。

Anastasia(アナスタシア)★★★
  1997年 ドン・ブルース ゲイリー・ゴールドマン監督 (声)メグ・ライアン
   ジョン・キューザック クリストファー・ロイド

   ロシア、ロマノフ王朝の皇女アナスタシアを巡るミステリーとロマンスを題材に繰り広げられるミュージカル
   アニメーション。ロシア革命の勃発で孤児となったアナスタシア。10年後、彼女は詐欺師ディミトリの手引
   きでニセの皇女に仕立てられる。20世紀FOX社が3年をかけて製作。キャラクターの顔はかわいいとは言
   えないが、アニメならではのダイナミックさが随所に表れている。

Another Woman(私の中のもうひとりの私)★★★
  1988年 ウディ・アレン監督 ジーナ・ローランズ ミア・ファロー ジーン・ハックマン
   主人公は50歳の大学教授、女性。隣部屋でのカウンセリングの会話をふと耳にしてから、それまでの完璧だ
   った人生に疑問を持ち始める、という心理ドラマ。

Ascenseur pour l'Echafaud(死刑台のエレベーター)★★★
  1957年 ルイ・マル監督 マイルス・デイビス音楽 ジャンヌ・モロー モーリス・ロネ
   完全犯罪を企てた男が、犯行直後にエレベーターに閉じこめられてしまう。モノクロ作品であるのに、鮮やか
   に瞼に焼きつけられるワンショット。街を彷徨うジャンヌ・モロー。ためいき、気だるさ、そしてマイルス・
   デイビスの即興ジャズ・・・こんな映画は他には知らない。

Awakenig(レナードの朝)★★★
  1990年 ペニー・マーシャル監督 ロビン・ウィリアムス ロバート・デ・ニーロ
   1969年、ニューヨークのとある病院での実話だという。新任の神経科医セイヤー(ロビン・ウィリアムス)
   は、30年間昏睡状態にあるレナード(デ・ニーロ)にパーキンソン病用の新薬を投与、ついに蘇生に成功す
   る。眠りから覚めたレナードの、人間としての喜び・深い悲しみ。二人の名優の演技が心を打つ。そして結末
   はあまりにはかない。私の大好きなロビン・ウィリアムス!


Bean(ビーン)★★
  1997年 イギリス メル・スミス監督 ローワン・アトキンソン ピーター・マックニコル
   世界的にブレイクしたMr.Beanの映画版。ミスター・ビーンアメリカへ行く といったところ。ストーリー仕
   立てにすることで描写はややインパクトに欠けたけれども、劇場でも大いに笑えた。プロモーションで来日し
   たローワン・アトキンソンは、全く別の顔を持つ紳士だった。

Ben-Hur(ベン・ハー)★★★★★
  1959年 ウィリアム・ワイラー監督 チャールトン・ヘストン スティーブン・ボイド
   ハーヤー・ハーラリート

   旧約聖書に基づいたキリスト劇の一大スペクタクル。幼なじみのユダ・ベン・ハーとメッサラの宿命の対決の
   物語でもある。神話的要素と共に、家族愛、欲望、憎悪など人間模様のドラマの要素を兼ね備えていて、話の
   展開に引き込まれる。クライマックスの戦車競技の場面は、のべ1万5千人の出演者、7ヶ月の撮影期間を要
   したという。チャールトン・ヘストンが非常に魅力的である。アカデミー賞11部門受賞。

Blues Brothers, The(ブルース・ブラザース)★★★★
  1980年 ジョン・ランディス監督 ジョン・ベルーシ ダン・エイクロイド
   ジェイクとエルウッドの二人組がポリスに追われながらも、かつて過ごした孤児院の救済のため、バンドを再
   結成する。牧師にジェームス・ブラウン、バンドメンバーの奥さんにアレサ・フランクリン、楽器店経営者に
   レイ・チャールズ。それぞれの見せ場もすばらしい。はっきり言って「どうしようもないドタバタ劇」ではあ
   るけれど、音楽ファンにはたまらない。ジョン・ベルーシは1982年、ドラッグのため33歳の若さで死亡。

Born On The Fourth of July(7月4日に生まれて)★★★
  1989年 オリバー・ストーン監督 トム・クルーズ
   衝撃的な映像で綴られた「プラトーン」が戦争真っ直中の悲劇ならば、この作品は「戦争そしてその後」の悲
   劇。戦争による心と身体の深い傷は、簡単には消えないのだと改めて実感した。

Bridge of Madison Country, The(マディソン郡の橋)★★★★
  1995年 クリント・イーストウッド監督・出演 メリル・ストリープ
   大ベストセラーの映画化。田舎町でのさりげない出会い、けれども「他の人間はめったに経験することのない」
   愛。不倫というイメージからは遠い、美しい仕上がりになった。雨降りしきる中、ロバートのピックアップト
   ラックを目の前に、今にも夫の元から飛び出しそうに、ドアに手をかけて震えるフランチェスカの姿が最も心
   に残った。
   
Brubaker(ブルベイカー)★★★

 

1980年 スチュアート・ローゼンバーグ監督 ロバート・レッドフォード
ジェーン・アレグザンダー

アーカンソー州のウェイクフィールド刑務所の新所長に就任したヘンリー・ブルベイカー。
所内の数々の不正や犯罪を無くすため、州知事や委員会を敵に回して一人改革に立ち向か
う、という社会派ドラマ。ラストシーンで職場を去るブルベイカーに送られる、囚人達の
拍手が感動的。レッドフォードにぴったりの役どころだと思う。


Casablanca(カサブランカ)★★★★★
  1943年 マイケル・カーチス監督 ハンフリー・ボガート イングリッド・バーグマン
   この有名な作品を初めて、しかも劇場で見た。古さも全く気にならない。ボギーの渋さ、バーグマンの美しさ
   ・・・もさることながら、戦争でねじ曲がってゆく二人の運命が哀しかった。「As Time Goes By」昔、元春
   が教えてくれたこの曲が、何度もサムのピアノで流れてきた。心打つメッセージとともに。「キスはキス た
   め息はため息 愛や栄光のために闘うというのは古めかしいストーリーかもしれない でも時は流れても永遠
   のものは変わらない」

Chariots of Fire(炎のランナー)★★★
  1981年 イギリス ヒュー・ハドソン監督 ベン・クロス イアン・チャールソン
   「彼に負けた。彼は真の信仰心を持った、真のランナーだ」 あくまでも休息日に走ることを拒否したリデル
   のことを、国家役人がこう言う。そして自分一人のためではなく、大学のため、国のために走るというエイブ
   ラハムズ。1924年のパリオリンピックを題材に、真のスポーツ、二人の生き方を考えさせられた作品。ヴ
   ァンゲリスのテーマ音楽が有名。

中国の鳥人 ★★★
  1998年 三池崇史監督 椎名誠原作 本木雅弘 石橋蓮司 マコ・イワマツ
   「彼に負けた。彼は真の信仰心を持った、真のランナーだ」 あくまでも休息日に走ることを拒否したリデル
   商社に勤める和田(本木雅弘)は、ヒスイ輸入のために中国の雲南省を訪れる。少数民族の住む村で目にした
   ものは、羽根を背につけた子供たちの姿だった。鳥人伝説をめぐる不思議なファンタジー。秘境でのロケも魅
   力たっぷり。モッくんはいい俳優になったとつくづく思う。新宿テアトルにて。

Countess From Hong Kong, A(伯爵夫人)★★★
  1967年 チャールズ・チャップリン監督・脚本・音楽 マーロン・ブランド ソフィア・ローレン
   ロマンチックな音楽とちょっとしたドタバタ、そして単純なラブストーリーながら、ラストに心暖まるのはい
   かにもチャップリンらしい。

Cry Freedom(遠い夜明け)★★★★
  1987年 イギリス リチャード・アッテンボロー監督 ジョン・ブライリー脚本 ケビン・クライン
   デンゼル・ワシントン ペネロープ・ウィルトン

   舞台は1970年代、南アフリカ共和国。デイリー・ディスパッチ紙の編集長ドナルド・ウッズは、若き黒人
   指導者スティーブ・ビコに出会う。1977年9月12日、100日以上の拷問の末、ビコは死去。真実を世
   界に伝えるため、ウッズは家族と共に亡命を決意する。実話に基づいた、心に迫る作品。自由への夜明けは今
   少しずつ近づいているのだと信じたい。

Dead Poets Society(いまを生きる)★★★★★
  1989年 ピーター・ウィアー監督 ロビン・ウィリアムス
   舞台は1959年、全寮制男子名門校。新任の国語教師、キーティングの斬新な授業に生徒たちは次第に心ひ
   かれてゆく・・・ロビン・ウィリアムスのいきいきと輝く瞳や情熱もさることながら、管理化された組織の中
   で枠を越えて育っていこうとする若者たちの様子に感動した。そして詩とはすばらしいもの。

Der Himmel Uber Berlin(ベルリン・天使の詩)★★★★
  1987年 西ドイツ・フランス ヴィム・ヴェンダース監督 ブルーノ・ガンツ
   その天使はいつも黒いコートに身を包み、この街の何処かにいた。飛行機の中、塔の上、図書館、サーカス小
   屋・・・彼女や誰かの、病める心の声を聞きながら。やがて壁は姿を消し、二つの意志が一つに結ばれる時が
   来た。けれどもそれは天使の仕業ではなかった。何故なら壁が崩れたその時すでに、彼は踊り子に恋をして人
   間として生まれ変わっていたからだ。それは人間の愛の力だったのだ。

Dial M For Murder(ダイヤルMを廻せ!)★★★
  1954年 アルフレッド・ヒッチコック監督 レイ・ミランド グレース・ケリー
   妻の財産目当てに知人を脅し、代理殺人を企てる夫。しかしそこにはシナリオから外れたアクシデントと鍵の
   トリックがあった・・・一室で繰り広げられるヒッチコックサスペンス。最初から犯人が明かされているため
   か若干物足りない感もある。

Doors, The(ドアーズ)★★
  1991年 オリバー・ストーン監督 ヴァル・キルマー メグ・ライアン カイル・マクラクレン
   1960年代に活躍したドアーズの、というよりボーカルのジム・モリソン(1971年27歳で他界)の伝
   記映画。晩年の病的精神世界が巧みに映像に表れていたと思う。

Driving Miss Daisy(ドライビング・ミス・デイジー)★★★
  1989年 ブルース・ベルスフォード監督 ジェシカ・タンディ モーガン・フリーマン
   ダン・エイクロイド

   ちょっと頑固なユダヤ人老婦人と、黒人運転手との心の交流を描く。ストーリー性はないけれど、ゆるやかに
   流れていくところがいい。アカデミー賞4部門受賞。

El Estiritu de La Colmena(ミツバチのささやき)★★★★
  1973年 スペイン ヴィクトル・エリセ監督 アナ・トレント フェルナンド・フェルナン・ゴメス
   巡回映画により「フランケンシュタイン」の存在を信じてしまう少女アナ。彼女の幻想の世界を、静寂で美し
   い映像の数々で綴る。セリフはほとんどないままに伝わってくる神秘的な世界。ヨーロッパ独特の匂いがある。

Enfants du Paradis, Le(天井桟敷の人々)★★
  1944年 フランス マルセル・カルネ監督 ジャン=ルイ・バロー アルレッティ
   3時間を超える大作。パントマイム役者バティストと美貌の女芸人ガランスの恋を中心に、様々な人間模様が
   綴られていく。何故この作品に対する評価が高いのかピンと来なかったが、戦時下にこれほど芸術的な作品を
   製作することは、相当大変なことであっただろう。

Falling Love(恋に落ちて)★★★
  1984年 ウール・グロスバード監督 メリル・ストリープ ロバート・デ・ニーロ
   クリスマスに始まりクリスマスに終わる。列車で出会った、互いに家庭のある二人の夢のような恋物語。こん
   な単純な古典的ラブストーリーでも、大好きなメリル・ストリープだからこそ美しく憧れてしまう。

Family Plot(ファミリー・プロット)★★
  1976年 アルフレッド・ヒッチコック監督 カレン・ブラック ブルース・ダーン バーバラ・ハリス
   賞金のかかった人捜しに躍起になる女霊媒師と、財宝目当てに誘拐を続ける宝石商。二人の対面から物語はス
   リルに満ちていく。ヒッチコック晩年のサスペンス・コメディ。

Follow Me(フォロー・ミー)★★★
  1972年 イギリス キャロル・リード監督 ピーター・シェイファー作・脚本 ジョン・バリー音楽
   ミア・ファロー トポル マイケル・ジェイストン

   USタイトルは「The Public Eyes」 公認会計士と妻、そして彼女の尾行を依頼された私立探偵。新しい発見
   新しい喜び、言葉がなくとも通じ合えるもの を妻は求める。結婚生活、共に生きていくということの意味に
   ついて考えさせられる。

Forrest Gump(フォレスト・ガンプ)★★★★
  19**年 ロバート・ゼメキス監督 トム・ハンクス
   フォレスト・ガンプという一人の人間の生きざまを通して、60年代〜70年代を駆け抜けた世代にメッセー
   ジを向けた作品。人は運命(さだめ)ですべてが決められているのか、それとも風に吹かれて身をまかせてい
   くのか、きっと両方が一緒に行われているのだ というセリフが心に残る。そしてこの作品には最高級の洒落
   とポップソングが詰まっているから好きだ。

Gaslight(ガス燈)★★★★
  1944年 ジョージ・キューカー監督 シャルル・ボワイエ イングリッド・バーグマン
   ジョゼフ・コットン

   叔母の遺産を継ぎ、音楽家と結婚した美貌の娘ポーラ。幸せなはずの新婚生活には隠された罠があった。精神
   病の疑いをかけられ、恐怖のうちに追いつめられていくヒロインを演じるイングリッド・バーグマンから目が
   離せない。

Giant(ジャイアンツ)★★★★★
  1956年 ジョージ・スティーブンス監督 エリザベス・テーラー ロック・ハドソン
   ジェームス・ディーン

   少女が恋をして大牧場へ嫁いでいく冒頭から、孫がすくすく育っているラストまで、テキサスの広大な自然を
   舞台に、ある一家を追い続ける雄大なドラマ。ヒロインを慕うジェット・リンク(ジェームス・ディーン)の
   晩年の描写がややわかり難かったが、時代のうねり、河の流れを感じさせるすばらしい作品だ。これぞアメリ
   カ映画。

Godfather Part III, The(ゴッドファーザー・パート3)★★★
  1990年 フランシス・コッポラ監督 アル・パチーノ アンディ・ガルシア ダイアン・キートン
   ソフィア・コッポラ

   コルレオーネ家の二代目マイケル(アル・パチーノ)の晩年を中心に描いた壮大な物語の完結編。殺伐とした
   雰囲気でありながら、常にもの悲しい。第一作と比べるとインパクトは弱い。亡き兄ソニーの息子役、アンデ
   ィ・ガルシアが光る。

HANA-BI ★★★★
  1997年 北野武監督 久石譲音楽 ビートたけし 岸本加世子
   自分の不手際で同僚を半身不随に、後輩を殉死させてしまった西は、刑事を辞め、やくざに借金をし、銀行強
   盗をする。やがて彼は末期ガンの妻を伴って旅に出る。暴力、生と死、静と動の微妙なバランス、美しい挿入
   画。これまでに味わったことのない世界に引き込まれた。「ありがとう」「ごめんね」青い海と白い砂浜のラ
   ストシーンが美しい。ベネチア国際映画祭グランプリ受賞。

平成狸合戦ぽんぽこ★★
  1994年 東宝 高畑勲監督 宮崎駿企画 (声)野々村真 石田ゆり子
   ニュータウン開発で住みかを追われたタヌキたち。先祖伝来の「化け学」を駆使して人間に対抗する。

彼岸花 ★★
  1958年 松竹 小津安二郎監督 佐分利信 田中絹代 有馬稲子
   娘が結婚相手を自分で決めた。父親はそれが面白くなく大反対をする。昭和30年代、おそらくどこにでもあ
   ったごく普通の家族の姿を、娘の結婚という出来事を通して、静かに描く小津作品である。当時の街並や風潮、
   ものの考え方など多くの点で興味深い。父親役の佐分利信が田中角栄そっくりで笑ってしまった。

Hook(フック)★★★
  1991年 スティーブン・スピルバーグ監督 ロビン・ウィリアムス ダスティン・ホフマン
   ジュリア・ロバーツ

   もしもピーターパンが「つまらない大人」になってしまっていたら?―――成長したピーターパンの子供がフ
   ック船長に誘拐され、ピーターはネバーランドへ救出に向かう。大人のための夢いっぱいのファンタジー。ピ
   ーターパンにロビン・ウィリアムスはぴったり! フック船長にダスティン・ホフマン、キャスティングも楽
   しめる。

I Confess(私は告白する)★★★
  1953年 アルフレッド・ヒッチコック監督 モメンゴリー・クリフト アン・バクスター
   信者から殺人の罪を打ち明けられた神父が、戒律との板ばさみに苦しみながら、ついに無実の罪で起訴される。

Il Ferroviere(鉄道員)★★★
  1956年 イタリア ピエトロ・ジェルミ監督 ピエトロ・ジェルミ シルバ・コシナエドアルド・ネボラ
   戦後のイタリア。鉄道員とその家族を通して、庶民の日常を描く。

JFK ★★★
  1991年 オリバー・ストーン監督 ケビン・コスナー シシー・スペイセク
   何よりもケネディ暗殺シーンや、オズワルド周辺人物の行動推測シーンのカメラワーク、モノクロのショット
   や演出がすばらしい。

紅の豚 ★★★
  1992年 宮崎駿監督 久石譲音楽 (声)森山周一郎 加藤登紀子 桂三枝
   たとえば「ナウシカ」や「ラピュタ」に比べたら、それほどストーリーの深みを感じなかったけれども、飛行
   シーンを含め画面に引きつけられてしまうのが、やはり宮崎アニメ。そして何よりも森山周一郎の声がすばら
   しいのだ。

La Bamba(ラ・バンバ)★★
  1987年 監督 ルー・ダイアモンド・フィリップス
   1959年2月3日、飛行機事故のためわずか17歳でこの世を去ったシンガー、リッチー・ヴァレンスの伝
   記映画。エディ・コクラン役でブライアン・セッツァー、同じ事故で亡くなったバディー・ホリー役でマーシ
   ャル・クレンショウが出演している。ちなみにリッチー・ヴァレンスのTOP40 ヒットは2曲、「Donna」(5
   9年2位)、そして「La Bamba」(同年22位)。

Lawrence of Arabia(アラビアのロレンス)★★★
  1962年 デビッド・リーン監督 ピーター・オトゥール アレック・ギネス
   青い瞳のピーター・オトゥールが演じるのは、豊富な知識とアラブ民族の人望を軍に利用され、数奇な運命を
   たどる英国人将校ロレンス。壮大な歴史の一頁をひもとくかのよう。灼熱の太陽の下、広大な砂漠をラクダと
   共に歩き続けるシーンが印象的。


Love Is A Many-Splendored Thing(慕情)★★
  1955年 ヘンリー・キング監督 ジェニファー・ジョーンズ ウィリアム・ホールデン
   香港で働く混血の女医スーインとアメリカ人記者マークとのラブロマンス。朝鮮戦争勃発のため、戦地でマー
   クが命を落とす結末は悲しい。愛とは光り輝く美しいもの。有名なテーマ曲と香港ロケが美しい。

無能の人 ★★★
  1991年 松竹富士 竹中直人監督・主演 風吹ジュン
   わび・さびさえ感じてしまう何とも「間」のいい作品。石のオークションで、自分の夫が出品した石に思わず
   「5万円!」と叫んでしまう風吹ジュンが何故か印象的。つげ義春原作。

My Left Foot 〜The Story of Christy Brown(マイ・レフト・フット)★★★★
  1989年 ジム・シェリダン監督 ダニエル・デイ・ルイス ブレンダ・フリッカー フィオナ・ショー
   生まれながらにして障害を持つクリスティ・ブラウンの幼少時代から、やがて絵の個展を開くまでの伝記映画。
   ダニエル・デイ・ルイスはこういう役作りも出来るのかと主演男優賞に納得。

Natural ,The(ナチュラル)★★★★

 

1984年 バリー・レビンソン監督
ロバート・レッドフォード グレン・クローズ キム・ベイシンガー


野球選手としての天分を持つ少年は、20歳でつまずき、16年後に本物のスター選手と
なった。彼の前に現れる悪女と天使。最後の試合に彼はすべてを賭ける・・・。 アメリ
カンドリームの詰まった秀作。ランディ・ニューマンによる音楽もすばらしい。


New York New York(ニューヨーク・ニューヨーク)★★★
  1977年 マーチン・スコセッシ監督 ライザ・ミネリ ロバート・デ・ニーロ
   売れないサックス奏者とやがて大スターとなる女性シンガーとの出会いから別れまでを、大戦後のニューヨー
   クを舞台に描いたミュージカル風作品。ライザ・ミネリの顔はちょっと苦手。

North By Northwest(北北西に進路を取れ)★★★★
  1959年 アルフレッド・ヒッチコック監督 ケイリー・グラント エヴァマリー・セイント
   スパイと間違えられた男が、逃走を続けながらやがて真相へと近づいていく。ヒッチコック最高級のサスペン
   ス。とうもろこし畑で小型飛行機に襲われるシーンや、サウスダコタはラシュモア山でのクライマックスなど
   最後までまったく目が離せない。どんな時でも決して髪型が乱れないケイリー・グラントがダンディ。

Novecento(1900年)★★★★
  1976年 イタリア・フランス・西ドイツ ベルナルド・ベルトリッチ監督 ロバート・デ・ニーロ
   ジェラール・ドパルデュー ドミニク・サンダ

   1900年の同じ日、イタリアの同じ農場に生まれた地主の子アルフレードと小作人の子オルモ、対照的な二
   人の生涯を通じてイタリア近代史を描く大作。ファシスト・地主 VS 農民の構図は痛々しかったが、最後には
   平和が訪れて、白髪の二人が子供みたいにこぜりあっている姿が滑稽で救われる気がした。見応え十分。