1991.10.8 (TUE) 神奈川県民ホール (1階13列46番)

 01 Out Of Touch

 1988年10月(横浜文化体育館)以来、3年ぶりにダリル・ホール&ジョン・オーツの単独公演に行くことが出来た。今回はジャパンツアーの初日、チケットを手に入れてからずっと期待に胸をはずませていた。前々からアコースティックライブだという情報が流れていて少し心配していたのは、ロック色の強いサウンドやパフォーマンスが全てカットされてしまうのではないかということだった。昨年12月のオノ・ヨーコ提唱によるイベント"Greeing Of The World"での心にしみるバラード2曲("Julia""Don't Let Me Down")はバックメンバー1人(T-Bone Walk)を連れて来ただけの演奏だった。今夜のステージセットも後方に深紅のカーテンのついた簡素なもので、何処かのクラブのようにこじんまりと見える。マイクスタンドの前に椅子もいくつか置いてある。バラードだけしかやってくれないのだろうか?しかし彼らは1曲目から見事にそんな心配を吹き飛ばしてくれた。

 "Out Of Touch"、確かに2人は腰掛けてギターをかき鳴らしていたけれども、観客は大喜びで総立ちだ。黒いサングラスにロングシャツ、ジーパンのダリル、オレンジ系柄シャツにジーパンのジョン(髪はやや短め)、バックバンドはバイオリンとチェロ、そしてお馴染みのT-Bone Walkを含む7人編成。この編成からも見受けられる通り、今回は3年前のステージとは全くアプローチが違っていた。"Say It Isn't So""One On One"などギター1本から始めるアレンジ、教会のオルガンの音色、ステージ脇に飾られた3本のロウソク、"Maneater"や"Kiss On My List"といったロックナンバーの中にもクラシックな音色は溶け込み、心地よい融合サウンドが広がる。アコースティックとはいってもシンプルな演奏になるどころか、逆に生楽器の厚みのあるサウンドを奏でることによってダリルのボーカルがはえる。

 ステージの山場の1つとして、中盤でのジョン、ダリル、それぞれのソロパートがあげられる。ジョンはバイオリニストとの掛け合いで最新アルバムから"Only Love"そしてT-Boneと共に"Keep On Pushin' Love"(実はこの曲が原曲と一番かけ離れたアレンジで面白かった)続いてダリルは中央のピアノで弾き語り。"Wait For Me"そしてソロアルバムからのヒット曲"Somebody Like You" ダリル・ホール――この世で最もセクシーな歌声の持ち主である。終始サングラスを外してはくれなかったけれども、演奏の途中でいかにも楽しそうにそして満足げにニコニコと笑っていたのが印象的だった。後半のロックナンバーでは、相変わらずカモシカのよ細く長い足で軽快なステップを披露。その姿は文句なくカッコいい。

 ステージラストは"When Something Is Wrong With My Baby"、Sam&Daveのカバー曲で終えるあたり、リズム&ブルースに影響を受けてきた彼等らしさが残った。2人の最高のハーモニーにも拍手!

 13列目という近距離で再会できたのはあまりにも幸せだった。90年代、まさに円熟期にいる2人。私はこの最高のデュオ、Hall & Oatesをこれからもずっと愛してやまない。

 02 Say It Isn't So

 03 Starting All Over Again

 04 Change Of Season

 05 She's Gone

 06 One On One

 07 Don't Hold Back Your Love

 08 Everytime You Go Away

 09 Only Love

 10 Keep On Pushin' Love

 11 Wait For Me

 12 Somebody Like You

 13 ?

 14 I Can't Go For That(No Can Do)

 15 Sara Smile

 16 Maneater

 17 So Close

Encore

 18 Private Eyes

 19 Rich Girl

 20 Kiss On My List

 21 What's Going On

 22 When Something Is Wrong With My Baby




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