Live Expression
of やがて「The
Circle」アルバムからラストの曲は待ちに待ったこ
The Circle Tour '93-'94 スペシャル
佐野元春
With The Heartland
1994.4.24(SUN)日本武道館
【Set
List】
ラッキーなことに昨夜までの雨も上がり、ラッキーなことに前日よりもずっとステージが近く感じられる
座席で、とうとう最終日がやってきた。日本武道館、決して好きな会場とは言えないけれど、身体中に音と
光を浴びステージ全体を、そして何もかもを包み込むような感覚がいとおしい。七色に美しく照らされてい
るステージバック、18時5分すぎ、やがていつもの "Green Onions"
が流れ出し、ハートランドが登場す
る。のっけから「Night
Life」、このはじけるようなオープニングとオーディエンスの熱気がたまらない。
初期のナンバー、オンパレード、1曲1曲がスタートする毎にみんな大喜びだ。少しだけ心せつなくさせる
ような「Down Town
Boy」のニューバージョン、そして久々に聴く「Strange
Days」もうれしい。でも何
と言っても「ガラスのジェネレーション」のオリジナルバージョン、この曲のイントロが流れてきた瞬間の
胸の鼓動を忘れることはできない。ステージ右側のキーボードを叩きながら時折右手を振りあげて歌う元春
の姿は、ビデオで昔見ていた姿そのまま。Cafe Bohemia Meeting
でスローバージョンが登場して以来、オ
リジナルでは決して聴けないものと思っていただけにうれしかったんだ。この曲を初めて本当に理解できた
ような気がしていた。♪ひとりぼっちのドアをKNOCK!
KNOCK! KNOCK!♪周囲の誰もが一緒に歌っている。
元春の出で立ちはおなじみのブロックチェックのシャツにジーンズ、ポーラさんが登場して「New
Age」
そして「Heart
Beat」、前回の
See Far Miles Tour Part II
から登場したこのソウルフルなアレンジがか
っこいい。やがてアルバム「The
Circle」からの曲が6曲続く。ブルーのステージライトとバックに映し出
されるいくつもの光の輪―――「欲望」はいつも幻想的だ。そしてやっぱり楽しいのは元春のこのMC――
「つい最近とてもうれしいことがあったので、そのことをみんなに是非伝えたいと思います。ずっと長い間
探していた本当に心から気に入ってるシャツが、ようやく見つかったんです。まぁ他愛もない話だと思う人
もいるかもしれませんけれども、僕にとってはとても大事なことでした。街を歩いていて、ショーウィンド
ウの中にそのシャツを見つけたとき、僕はあまりにもうれしくてこんな格好をしたんです。よく見ててほし
いんですけれども・・・Whey-hey-hey!!」 両手を振りかざして叫ぶ元春に、会場はもはや大喜び(笑)
「まあ〜喜びの表現は人さまざまだと思います。ある人はうれしいことがあると心の中でそっと喜びを噛み
しめたりするものですけれども、僕の場合には何かうれしいことがあるとどうしても手足をばたつかせてし
まうんだ。その喜びの形をもう一度やるので、是非もう一回よく見ててほしいんだ。――Whey-hey-hey!!
―――ちょうど次の曲のフックのところでその!!!が出てきますので、是非みんなと一緒にやってみたい
んだ。勿論やりたくない人はやらなくていいんだ。でもやってみるとこれがなかなか楽しいんだな!」私の
左で「やるぞ〜!」と叫ぶBOYSがいる。 ♪あせらない/迷わない/涙も溢れ過ぎない/Whey-hey-hey
yeah-yeah/新しいシャツを見つけに♪ 「新しいシャツ」、94年の私のテーマソングに決めたんだ。み
んなが両手を上げて踊っている。私もうれしくてたまらない。そしてこのGrooveが気持ちいい。ソウルフル
なメロディさんのコーラスとともに。
武道館にいいところがあるとすれば、それは座席の方角がきっちり分かれているから、元春がこっちを向
くともの凄くみんなが喜んで盛り上がることだ、なんて思いながら。
もう泣くことなんてないと思っていた。涙なんか何処か遠くへ消えてしまったと思っていた。そうしたら
何故か「君を連れてゆく」を聴いている時、いつのまにか涙が落ちていた。ダディの
Sax も心にしみる。う
れしかった。とにかくうれしかったんだ。元春とハートランドの音楽を全身に浴びて、こうして過ごすひと
ときがうれしかった。
1つ1つが私自身の大切な思い出だったり、涙だったり、そんな気がしていた。
の曲―――「去年の夏は何だか雨が多くてちょうど僕はCircleアル
バムの曲を書いていたんですけれども、外ではいつも雨が降ってい
たのを思い出します。そしてあんまり雨が毎日毎日降るものですか
ら、僕は思わず、ちょっと思うところがあってこんな曲を書いてし
まいました。『Rain Girl』」♪Do you love me? Rain Girl/Do
I
love you? Rain Girl/せつなく夜空/見上げるRain
Girl/冷たい
夜は/口笛吹いて/不思議な女神/真冬のRain
Girl♪ 珠玉のポッ
プス、スペシャルライブにて初登場だ。夏に書いても「真冬のRain
Girl」っていうところが元春らしい。大好きな曲の1つだ。
「Wild
Hearts」の♪土曜の午後仕事で/車を走らせていた♪のと
ころではクラクションとライト、絶妙なゼスチャーと演出効果音、
そして「All You Need Is
Love」のあとにもダディによる「Rock
Around The
Clock」心から楽しい瞬間だ。「Rock
& Roll Night」
では左右のライトで赤く照らし出され叫んでいる元春の姿が目に焼
きついている。そして明さんのピアノによるエンディング部分では
ステージがブルーに包まれ、後方にデコレーションされている球の
「みんなどうもありがとう。次に歌いたい曲を僕が作ったのはずっと昔のことです。82年、83年の頃だ
ったと覚えています。そしてこの曲ができるまでは随分長い時間かかったのを覚えています。でもこの曲を
全部書けたときに僕は何だか、何だか、すごく満足感があったんだな。そしてその曲をレコーディングして、
そして今まで何年間かハートランドと一緒にずっとステージで歌い続けてきました。そして今はこの曲を書
いて心から良かったな、と思っています。何故かといったらば今夜集まってきてくれたみんなと一緒に、一
緒に歌えるからなんだ。その曲のタイトルは・・・その曲のタイトルは・・・」
こうして「Someday」が始まる。古田さんのドラムも抑えられ、めいっぱい客席にマイクを差し出す元春
に応えて、一番のほとんどをオーディエンスみんなで大声で歌うところが感動的で、また目が潤んでくる。
そういえば今回ほど他の人たちの歌声がよく聞こえるのも久々のことだ。BOYSもGIRLSもみんないっしょに
歌っている。エンディングでギターを高くかざして、いつまでもかき鳴らしている元春・・・
やがて大好きな「新しい航海」、この熱気にとうとう助さんもジャケットを脱いだ。あべちゃんのソロか
ら始まる「悲しきRadio〜デトロイト・メドレー」躍動感あふれるステージ、元春、文句なくカッコいい!
中央でプレイするダディに元春が横から抱きついてしまう場面に、また感動・・・
アンコールの1曲目は「ジュジュ」、元春ひとりの演奏から始まり、やがて小野田さんのウッドベース、
古田さん、長田さん、あべちゃん&明さん、ダディとバラけて登場し、音が重なっていくこのパターンは初
めて見るスタイルで、とてもイカしている! 特に明さんのピアノプレイがJAZZYで、本当にこの「ジュジ
ュ」は今までの中で一番カッコいい。♪I'm
Gonna Be With You♪と力強い「Sweet16」そして「君をさが
している」に続いてラストは風に揺れるようなイメージの
「Rainbow In My
Soul」
・・・大歓声の中、元
春はハートランドのメンバー、そして昨年12月からスタートしたこのツアーを支えてきたスタッフたち(
ローディー、音響、照明etc)を紹介してゆく。
私にとって2〜3月ははからずも空白期間になってしまったけれど、どうしてかわからないけれど涙腺が
ゆるく、このツアーに、この武道館公演に参加できたことに感動している。この2日間のことはきっと忘れ
ないだろう。「みんな覚えているかな、とても大事な約束なんだけれども・・・あの形のことなんだけれど
も、ん〜うれしいときの形なんだけれども」
そしてあの「Whey-hey-hey!!」(笑)
最後の最後まで私た
ちを楽しませてくれた元春。月並みだけれど元春は私のRainbow、Rainbow
In My Soulなんだと実感する
夜だった。
追記(4月27日(水)Yの日記より)
Dear
元春、今のこの気持をどうやって伝えればいいのだろう? 今日、Cafe
Bohemia VOL.44 が届いて
「ハートランドからの手紙#73」を読みました。私が少し気がかりだった9月の横浜スタジアムの意味を、
こんなふうに知らされるなんて思ってもみなかった・・・そして引用された
The Byrds の「We'll Meet
Again」の詞を何度も読んでいるのです。そう、この曲はその昔、Motoharu
Radio Showでかけてくれて以
来お気に入りの曲の1つなんだ。正直言って元春、今でのあの手紙が信じられません。夢でも見ているかの
ように。あぁでも元春、このことがいつ決定されたか私には知る由もないけれど、あのすばらしいThe
Circle
Tourが終了したあとにこの手紙で知らせてくれたことに感謝しています。私にとって佐野さんの音楽はライ
ブなしでは考えられなかった。そして元春が「ハートランド―――彼等なしではボクの音楽はありませんで
した」と言ったように、一緒に通り過ぎてきた年月、ライブにはいつもハートランドがいた。だから本当は
このニュースに急にポッカリ心に空白ができて淋しいのです。でもKeep
smiling true just like you always
do. たくさんの感謝の気持ちをこめて、9月15日横浜スタジアム、輝くThe
Heartlandを私もとびきりの笑
顔で楽しみたいんだ。始まりがあれば終わりがある。終わりは始まり・・・
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