惜別


 Kさんと仕事をした半年は、私の8年間の会社員生活の中でも、特に充実したそして同
時に成長するための辛い試練の時期でもあった。異動したばかりで何も知らない私に、K
さんは様々なことを教えてくれた。社内での信頼も厚く、前向きに行動するKさんは、い
つも輝いて見えた。ある意味、手の届かないような雲の上の人ではあったけれど、私の心
の中では、常に「憧れ」であり「目標」の人だった。笑顔がとても素敵な人だった。

 時に、この世の不条理に疑問符ばかりが浮かんでくる。私の退社後はもう会うことのな
い人だとわかっていた。けれども、今更こんなに会いたいと願う。

 阪神大震災から5年の今日。
 雨の月曜日、君のガールフレンドから悲しい知らせが着いた。


                                 2000/1/17
                                   Esme



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