再び大阪で


 久しぶりに元春の夢を見た。
 どこかの駅で名前を告げて握手してもらうという、とてもうれしい夢。これは何かの暗
示だろうか。

 ライブステージは生き物。たとえ同じ会場、同じ構成であっても、その日その夜によっ
て起こる出来事は異なってくる。その場に身を委ねてこそ感じ取れる「気」、独特な雰囲
気、そして様々な思い。

 元春の神戸大阪公演に出かけるのは、11度目のことだった。初めて見たのは「See Far
Miles Tour Part I」神戸公演(1992年2月)。当時からオーディエンスの歓声は、
東京のそれとは随分違っていた。元春を暖かく迎え入れ、そして熱狂的に応援する姿勢は、
いつしかバンドをステージに長い時間留め、神戸大阪を特別な場所として語り継がせるこ
ととなった。
 「東京は僕のホームグラウンドです」という言葉を聞けなくなってから久しい。ちょっ
と悔しいけれど、こうして大阪公演に足を運ばずにはいられないのだ。

 元春のファンでなければ、出会えるはずのなかった人たちとの交流。時々ふと不思議な
感覚に捕らわれる。人生はいつもミステリー、偶然のヒストリー。あぁまったく誰かが歌
う通りさ。

 そしてツアーは続いていく。


                                 1999/9/7
                                   Esme



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