インターシティーナイト(ICN)について
ドイツ鉄道が誇る寝台特急。寝台特急にはもう一つ国際列車のユーロナイトと言うのもありますが、ICNは新型車両なので快適性はこちらが上かなという感じです。
ICNには3タイプのシートがあります。最も安いのは単なる椅子( der Comfort Sitzwagen)で、乗客は椅子に腰掛けて仮眠するといういわゆる夜汽車の旅といった風情のものです。次のランクになる椅子がちょっとした簡易ベットになるタイプ ( der Comfort Liegewagen)になります。一応横になって熟睡できるようになっています。そして最も高いランクはシャワー、トイレと洗面台が装備された個室のベット(der Comfort Schlafwagen-Abteile )で、ここまで来ると動く列車ホテルの趣です。
料金はジャーマンレイルパスを持っている場合も追加料金が必要で、個室の場合二人でDM180と、やや高めの普通のホテル並みの値段をしっかり徴収されます。ただ寝ている間にドイツの端から端へ移動できてしまうので利用価値は大きいです。
個室は非常に狭いのですがとても機能的に出来ており折畳式のハシゴで二階のベットに登るようになっています。シャワーの湯量は豊富で洗面台も機能は十分で、熟睡できる環境が整っています。なお、テレビ、冷蔵庫はありません。
ICNには乗客の乗用車を一緒に運ぶために貨車を連結しています。現代風のICNデザインの車体に無骨な貨車が連結されている様は機能を重視したドイツの合理性を感じるものです。
ICNには多くの乗務員が乗っています。彼らは出発時にはホームにいて乗客の切符をドアのところで確認して部屋まで案内し、システムの説明をした後チケットを預かって行ってしまいます。チケットは朝食時に返してくれます。切符に朝食の料金も含まれているので、無銭飲食を排除するためにこのような方法をとっているのでしょう。
ICNは目的地に翌朝に到着するという性格上、さほど速く走るわけではありませんので走行時の揺れや音もわずかなレベルに押さえられており、乗り物に弱い人でもゆっくりとくつろぐことが出来ます。
朝食はホテルの朝食並みの質と量で、御多分に漏れずチーズとハム中心のドイツ風です。味はとてもおいしかったです。朝焼けに染まる風景を見ながら、旅の途上の朝食を列車ホテルで優雅に摂るというのはきっと良い思い出になることでしょう。