日々是ネタ也
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第60回 クレーム断念 (2003/7/06)

まだ無職だった昨年の8月。友人と峠ドライブをしていて事故った。下りでスリップしてカーブを曲がりきれずに車の右前方がガードレールにぶつかった。幸いケガはなかったが、バンパー右側とライトが小破。その数日後、車の修理屋に持って行って見積もりを取ってもらった。「中古品使っても18万、20万近くかかるだろうな。」と言われた。当時無職だった私はその金額に驚いて、走るのには支障もなかったので修理を断念した。

就職したら車に乗る機会も減ったので現在までそのままで過ごしてきた。しかし車検の時期が近づいてきた。バンパーのへこみだけなら大丈夫だろうが、ライトがわれているのでこのままでは車検は通らない。就職して経済的にも安定してきたので、修理に出すことにした。以前見積もりしてもらった修理屋ではなく、友人が事故った時に利用して安かったと言う所へ持って行った。いわゆる町の修理工という感じで、どこにでもいそうな気の良いオッサン社長が自ら見積もり。「うーん、中古集めれば12,3万でいけるんじゃないかな。」とのことだったので即決した、前回の見積もりと比べれば遙に安い。バンパーやライトなどの部品が集まったら連絡するから、ということで連絡が来るのを待った。

そして1ヶ月が経過、何の音沙汰もない。変だなと思って電話をしてみた。すると直接オッサン社長が電話に出る、修理はどうなっているのかと聞くと何と忘れられていた。「え、あぁ、あの時の…。あれねぇ、バンパーが見つからなくてねぇ。そのまま忘れちゃってたわ。」全く悪気が無さそうに言う。クレーマーの血が騒ぎ出した。オイオイどうなってんだよ、忘れたって何だよ、こっちは1ヶ月待ってたってのに…。しかし相手はいわゆる町の修理工で社長。これはクレームふっかけてもあまり打撃が無さそうだ。これが大手だったりチェーンを展開しているような所だとガーっと文句言って何らかの対応(見返り)を求めることが出来そうだが、町の修理工の社長にクレームつけても恐らく"あぁ、客が1人減っちゃった"くらいにしか思わないだろう。それにその社長が何となく憎めない人だったし、また1から修理工を探すのも面倒臭かった。結局クレームをグッと我慢して、バンパーだけ新品を使った場合の再見積りを取ってくれ、とお願いした。今度はしっかりといつ連絡をするかを確約させた。修理が終わって支払いの段階になったら今回のことを持ち出して少し安くさせられるかな。

 

第59回 イライラ募る電車通勤 (2003/4/13)

今や私も世のサラリーマン諸氏と同様に毎朝電車に乗って職場まで通勤する身となっている。通勤するたび電車に関わる事では常にイライラさせられる。まずは改札口。最近ではJRのSuicaなる自動改札で読み取り機にタッチさせるだけでOKというカードが主流になりつつある。いちいち財布やパスケースなどから定期券を出さずとも良いので非常に便利。混雑時の改札ではこのSuicaを読み取り機にタッチさせた時に発生するピッ、ピッという電子音でまるでスーパーのレジにいるようである。ところがこのSuica、難点もある。タッチさせる時に角度が悪いのか巧く機械が読みとってくれないで自動改札を閉まらせるヤツが必ずいる。朝の改札口というのはたいてどこも混んでいる。ましてや電車を降りたときなんぞは凄いものだ。その自動改札でSuicaの接触ミスで自動改札が詰まるとその後ろ全員が被害を受ける。これが腹立つ、しっかりタッチさせろよ。

さらに私が電車の経由のために降りる駅はかなりの乗降客がある。電車が駅に着くと、まだドアが開いていないにも関わらず降りようとする輩が後ろからプレッシャーを加えてきて、ドアが開くと吐き出されたように駆け足で改札に向かうヤツら。どうせいっぱい人が降りるんだからアンタも降りられるっちゅうの、いちいち押すんじゃねー。逆に、乗降客の多い駅でドア付近に立っているのに一旦ホームに降りようとせずにそのまま人の出入りの真っ只中に突っ立っているヤツもまた腹が立つ。そしてもっとも腹の立つのはやはり満員電車である。幸いにして私は乗り換え後は始発駅から乗れるので2本電車を待てば毎朝確実に座って行けるのでそうしている。しかしそれでも私の乗る電車の朝の混雑は半端ではなく、座っていても安泰ではない。座っていても前の立っているヤツが圧迫してくる。満員電車に腹を立てても仕方ないが、どんなに混んでいても新聞を読もうとするヤツには腹が立つ。私は座っているのでちょうどその新聞が顔にあたったりするのだ。なんでそこまでして新聞を読みたいんだよ、アンタは。アンタが今新聞を読まないといけない理由は何なんだよ。帰りの電車は始発駅ではないのでまず座ることは出来ない。そして夜の急行はどの時間帯でも必ず満員。仕事の終わり時間の都合で様々な時間帯の電車に乗ったが、急行は常に満員。そうなると今度は鉄道会社に腹が立ってくる。毎回毎回満員電車にばっかり乗せやがって、もっと急行の本数を増やせってんだ。そしてさらにその満員電車の中で流れる無意味な車内放送がさらに怒りを煽る。「電車内ではお互い席を詰め合わせ〜」「携帯電話の電源は〜」…何の意味もない放送だと思うが、これくらいならまだ許そう。しかしそれだけではなく「電車内での新聞や雑誌は他のお客様の迷惑にならないように気を付けて下さい。」んなこといちいち言わなくてもさぁ…。そして極めつけが「車内や駅構内で不審者や不審物を見かけましたら車掌か駅係員にお知らせ下さい」オイオイ、この満員電車の中でどうやって車掌に知らせに行けってんだよ。ダイア改正の時もひどくて、私が乗っている約30分の間に2回も改正点をいちいち事細かに車内放送で流していた。だいたいあの車内放送って意味あんのか。あれを聞いて、「あっ、席は詰め合わせて座らなきゃ」「携帯電話の電源切らなきゃ」なんて思う奴が1人でもいるのだろうか。毎朝毎晩電車に乗る度にそうしたことに腹を立てている。

そうした苦情って言う窓口みたいなところはあるのだろうか。でも苦情言ったら言ったで軽くあしらわれて、苦情言ったのに全然改善されていなくて更に腹が立ちそうだ。これから毎出勤時にそうしたこととも付き合っていかなければいけないのか、腹が立つ…。それらのイライラの全ては満員電車から来ているように思う。大学時代は電車に乗る時間も不規則だったし、混雑方向とは逆の電車に乗っていたので満員電車ではなく、そうしたことに腹を立てた記憶もない。ところが今は乗る電車全てが満員電車、それが全ての原因だろうな。満員電車、勤め人の宿命かな…。

 

第58回 救急車来たる (2003/2/23)

父が風邪で寝込んでいた。その日は母が外出していて家には私しかいなかった。何か適当に晩飯でも食おうかなと思っていたら父に呼ばれた。どうやら急激に熱が上がって40℃にまで達したと言う。親戚に医者がいるので、電話をかけてみた。父がその親戚の医者と少し話してから私が代わった。話を聞くと、「急激に熱が上がったのはインフルエンザかもしれない、危ないかもしれないから救急車を呼んで病院に連れて行ってもらいなさい」、と言う。救急車?!そんなに大事なのか。父は2年前に大きな手術をしていて、現在も治療中なので身体の抵抗力は強くない。その辺も考慮して救急車を呼んだ方が良い。遠慮せずに救急車を呼ぶんだ、と言われた。父に確認するとそうしてくれと言うので、生まれて初めて119に電話をした。

119は落ちついた男性の声でまず「消防ですか、救急ですか」と聞いてきた。事情を説明して5,6分後に救急車の音が近づいてきた、早いもんだ。父は歩ける様子だったので自力で救急車に乗り込んだ。家の目の前に救急車が止まるなんていうのも初めてだ。幸いにして近所の家から野次馬が顔を出すなんてことはなかった。私は救急車の外で待っていたのだが、車内ではどこの病院へ搬送するかなどの確認をしていたらしい。病院の場所を救急隊員に聞いて、私も車でその病院に向かった(晩飯前=酒を飲んでいなくて良かった)。救急車の後について信号無視しまくりで行けるのかなーと思ったが、救急隊員に「救急車の後についてくることは出来ませんので、後ほど病院に向かって下さい。」と言われた。

20時過ぎの夜間救急指定病院はグッタリした人たちが集まっていた。皆が一様にダルそうだった。夜間だからだろう、受け付けも1人しかいないようでかなり忙しそうだった。夜の20時すぎにしてはかなりの人が待合室にいた。父は救急車で搬送されたためか、既に診察を受けているようだった。それにしても病院の待合室のあの病的な空気はたまらん。その中にいると"俺は元気だぜ"となんだか胸を張りたくもなる。父の診察が終わるのを待つ間にも2組の風邪と思われる患者が来院していた。その患者の話しで「熱が39℃…」とか言うのが聞こえてきて、"こっちは40℃の患者連れてきてんだ、どうだコノヤロー"みたいなわけの分からない対抗心が芽生えていた。父はハッキリとインフルエンザと診断されたわけではないが、栄養失調の為に1.5リットルもの点滴を受けるというので、私は一旦帰宅してから数時間後に父を迎えに行った。全員が皆そうでないにしてもインフルエンザって流行っているんだなと感じさせられた病院の待合室だった。

病院から帰ってきて親戚の医者に一部始終を報告。「救急車を呼んだことも、医者の措置も正しかったと思う。」と言われた。代金は2日分の薬代を含めても2,000円弱。救急車を呼んだ代金ってのはかからなかった。遠慮せずに救急車を呼べ、か。その数日後の新聞で"医療の現場"みたいなコーナーの中に大したことはないのに救急車を呼ぶ人が増えている、というような記事を見た。確かに無料だったら大したことなくても呼んじゃうかも…。先日の父の件は果たして"大したこと"だったのだろうか。その数日後に回復が思わしくなくて入院したことを考えればあれは"大したこと"だったのだろう。救急車を呼んだ判断は間違ってはいなかったのだろう。

 

第57回 修理ってヤツは… (2003/1/11)

オーディオのアンプとCDプレイヤーが壊れた。いつものように代理店に持って行って修理を依頼した。いつも思うことなのだが、修理代金というのは高すぎる。今回は音が出なくなったアンプと、トレイが開かなくなったCDプレイヤー両方を治して、合計13,750円。その内訳は部品代金が計2,000円で、工料(手数料)が計11,750円。何で手数料がそんなに高いんだよ…部品代の5倍以上なんて信じられん、ボッタクリもいいとこだ。以前この項の第17回でも同じ事を書いたが、修理となるとそのメーカーの純正部品でないと治せない、もしくはその方が安心。だから顧客はそのメーカーに修理を依頼するしかない。すると修理に関してはそのメーカーの競合相手というのはいなくなる。だから敢えて修理費を安くする必要などない。まさにそれだ…、腹が立つ。

オーディオと時を同じくしてビデオデッキも壊れた。テープが中に詰まって出てこなくなったのだ。またもや修理代金を多量に払うのが癪だったので、分解して自力で修理を試みた。詰まったテープを取り出すことは出来たが、故障の症状を治すことは出来なかった。しかし今回は代理店に持って行ってメーカーに修理を依頼する前にインターネットで"家電 修理"をキーワードに検索してみた。すると家電修理を専門に扱っている店が地元にあることが判った。そこに電話をして聞いてみた、「メーカーよりもおたくに依頼する利点は?」。すると、故障の症状にもよるが基本的にメーカーよりも早く・安く修理することが出来ると言うことだったのでそこに依頼することにした。ビデオデッキを店頭に持って行って故障症状を説明。するとその場でビデオデッキを分解して中を覗き込み、「無理矢理テープを取り出したりしましたか?」と聞かれた。「ハイ…」、「やっぱりね、ココのコレがコウなってるんですよ。」。ドコのドレがドウなっているのかは判らなかったが、"やっぱりね"の言葉の中に少し非難めいた口調が感じられたのでチョット腹が立った。「これだとこの部分をそっくり交換しなければならないので…」とパソコンを叩き、「10,000円ですね。」と言われた。10,000円?!思ったより高いなー、マジかよ。4年くらい前に約20,000円で買ったビデオデッキ、今なら同等の物を特価品なら10,000円あれば買える…。「結構高いんですね…」と敢えて口に出し、10,000円だったらその気になれば新しいのが買える、けどそのために修理すれば使えるコイツを処分するのは忍びない…なんてコトを考え、結局は修理を依頼することにした。修理完了予定日が5日後というのは確かに代理店に持って行くよりは遙に早いので、それで納得することにした。

そして修理完了予定日に引換証を持って店に行った。すると応対した店員がなかなか戻ってこない。後ろの方でパソコンを叩いて何やら確認をしている、なんか怪しいな…。手ぶらで戻ってきた店員、そしてこう言った。「申し訳ありませんがまだ修理が完了していなくて、あと1週間くらいかかるそうでまだ工場の方にあるらしいんですよ。今日お客様に連絡しようと思っていたのですが…」。その言葉にカチンと来た、キタキタキター。「イヤー、貴方ね、それはおかしいでしょ。修理完了予定日は今日って書いてあるよ、それで"今日連絡しようと思っていた"ってのはないでしょ。今日修理が完了するって書いてあったら今日取りに来るでしょ。連絡するなら前日まででしょ?」、至極正論である。思ったよりも修理代金が高くて不満だったのも加わってかなり不機嫌に言い放った。「しかもあと1週間くらいかかるなんて全然早くないよ。代理店持って行ってもそんなに変わらないじゃん。」ということも言って不機嫌に店を出た。

家に帰って引換証を見てみるとそこに目を引くある1文が書いてあった。"修理が予定日を越えた時は、越えた日数に対して200円/1日のペナルティを修理代金からお引き致します。"…つまり、安くなるのだ。それならば1週間でも2週間でも遅れてくれ…と思っていたら、その修理屋から電話がかかってきた。「この度は申し訳ありませんでした。工場の方に問合せたところ遅くとも3日後には仕上がるとのことです。完了致しましたら連絡致しますので…」とのことだった。ありゃりゃ…何だよ、折角安くなると思っていたのに、3日後じゃ600円しか安くならんではないか。店で怒らずに穏やかに済ませていれば相手も油断してもっと遅れてもっと安くなっていたのかも…。チョット損した気分、クレームも考えようだな。

 

第56回 銀行にて (2003/1/2)

再就職にともない給与振り込みのための銀行口座が指定されたので、会社に指定された銀行の口座を作った。私がそれまでメインバンクとしていた銀行では、預貯金が●十万円以上あると、ATMの時間外手数料が無料になるなどのサービスが付いていた。今回新たに口座を開設した銀行でも同様に預貯金が○十万円以上あると云々…というサービスを行なっていた。今後はその口座に給与が振り込まれることになるから必然的にそちらが私のメインバンクになっていく。それならば早いうちに○十万円を預金してしまうことに。幸いにして以前のメインバンクにこれまでの蓄えがあったので、○十万円はすぐに用意できた。○十万円は定期預金にしようと思った。定期なら簡単に引き出すことは出来ない、よって安易に使えないので安心だ。

年末の朝、○十万円を持って銀行へ行く。「この○十万円を定期にして、ATM手数料が無料になるっていうサービスの申し込みもしたいんですけど…。」。すると窓口のお姉さん、そのサービスの申し込みには銀行の届出印が必要になると言う。「えぇ?届出印必要だったんですか?」、通帳は持ってきていたが、届出印までは持ってきていない。すると窓口のお姉さんが「少々お待ち頂けますか。」とパソコンを叩き始めた。私の持ってきた通帳番号などを入力して、登録されている個人情報などを見ているのだろう。そして
「お客様はナントカのサービスに登録されております。このナントカのサービスは電話やインターネット、携帯電話などで残高照会や定期預金の作成などが出来るようになっております。その際にATM手数料等が無料になるサービスへの登録も行なえますので、そちらをご利用なさっては如何ですか?電話はフリーダイヤルですし、インターネットからでも登録できますし。」
「あ、そうなんですか?それを使えば別に印鑑がなくても良いんですか?(電話やインターネットなのだから当たり前だ)」
「ハイ、暗証番号を入力すれば良いようになっております。」
「はぁ、するとココのフリーダイヤルに電話するか、ネットで出来ちゃうわけですか。」
「ハイ、そちらをご利用下さい。」
窓口を後にしてすぐにフリーダイヤルに電話をして、それら諸々の手続きを済ませた。数分で終了した。

窓口のお姉さんの対応が良かったので何も言わなかったが、どうも腑に落ちない。こっちは窓口まで行って諸々の申し込みをしたかったのだが、印鑑がないからそれらが出来ないという。だが、フリーダイヤルに電話すれば印鑑がなくてもそれらの手続きが出来ますよ、と窓口で教えられる。それで私はフリーダイヤルに電話をして諸々の手続きを済ます。なんか変な話だ、だったら最初っから窓口でイイじゃん。

まぁ銀行の立場もわかる。窓口の人員削減、混雑緩和の為に出来るだけ窓口ではなく、機械などを利用して欲しいというところだろう。振込みや両替も窓口よりもATMや機械の方が手数料が安かったりするのもそのためだろう。だから今回のケースでもフリーダイヤルやインターネットの利用を勧めたのだろう。しかしそれは分かるけれど、朝早い時間の銀行だったから年末とはいえガラガラだったし、その辺の融通利かしてくれても良かったような気がする。結局私にとっては2度手間になっているわけだし、真に顧客の事を考えるのならあの対応は如何なものだろうか。

 

第55回 素晴らしき会社 (2002/12/8)

・定時というのがある…営業時間ずっと+αなんてことがない
・定時の労働時間が8時間である…12時間以上働くなんてことがない
・時間外手当がある…何時間働いても給料は変わらないなんてことがない
・土日祝が休みである…シフト状況によって休みが変わる(取れない)なんて事がない
・同僚と飲みに行くことが出来る…飲み会にも意味を持たせろなんてことを言われない
・休憩時間に休める…休憩時間も大事なコミュニケーションの場だなんてことを言われない

研修中という現在の身分だからかもしれないが、どこかと比べると実に素晴らしき会社である。えっ?これが普通の会社のあるべき姿なの?

 

第54回 最初の1週間 (2002/12/8)

初出勤日、始業時間は9時、当然だが遅刻は絶対に許されない。かなりの余裕を持って朝起きて、スーツを着て家を出た。朝の電車、しかも都心に向かう電車に乗るのは高校以来だ。ラッシュに揉まれつつ、予想通りだいぶ早く会社の最寄駅についた。早く会社に行っても、始業時間まで社内で待っていなければいけない。その時間が嫌だったので、敢えて10分前くらいに着くようにゆっくりゆっくり歩いて会社へ行った。会社へ行ってまずは挨拶、「今日から働かせてもらいます紘之です。宜しくお願いします。」と。事務の女性に入社に関する書類一式を渡されて、会議室みたいな一室で待つように言われる。会議室に入ると、男性が1人座っていた。挨拶を交わすとどうやら彼もこの日から出勤らしい。1人では心細いなと思っていたので、同期がいてかなり気が楽になった。しかも話をすると私と学年は一緒だったし、業界未経験というのも一緒、おまけに前職は私と似たようなことをやっていた。

始業時間の少し前になって、面接を担当した社員が来て挨拶。朝礼をやるから自己紹介を…とのことだった。始業時間の9時になって朝礼が始まる。出勤している社員の前で挨拶と自己紹介。人前での挨拶や自己紹介は前職で散々経験しているのでなんともない。例の詩でもかましてやろうかとも思ったが、そうしたことをする雰囲気ではなかった。無難に教科書通りのものをこなした。勤務時間のスタート、まずは入社に関する書類の説明や就業規則や会社のルールの読み合わせなど。それだけで午前中が終わった。午後からは"新入社員の常識"みたいな本を読むようにと渡された。書いてある事は実に常識的なことばかり。改めて読まなくても、社会人経験があればそれこそ常識で知りうる範囲のことばかりが書いてあった。その本を読んで、要所をまとめるという仕事(?)を与えられた。つまらんなーと思いながらもとりあえずはそれが仕事なのでそれをやっていると終業の時間が来た。するとそそくさと「お疲れ様でしたー。」と帰っていく既存の社員ら。呆気に取られてしまった、終業のチャイムとほぼ同時に帰るのか…。そして教育担当の社員に「今日はそこまでにして帰って良いですよ。」と言われた。なんと18時には仕事が終わった、信じられん。前職では考えられないような事態だ。終業時間になったらさっさと帰れる…素晴らしい(会社の名誉の為に書いておくが、勿論残って仕事をしている社員もいた)。同日入社の同期も前職は私と似たような職に就いていたので、その事態にお互い驚きながら帰った。

2日目以降も似たような日々が続いた。"新入社員の常識"を延々読むのは初日だけだったが、根本的にやることは変わらない。与えられたテキストなりをひたすら読んで勉強する。9時前に出勤して、18時ごろに退社する。生暖かく暖房の効いた部屋でただ座って勉強しているだけ。実に眠くなる。こんなんで給料貰って良いのか。本社で勉強しているのは私と同期だけではなく、既存の社員も数人勉強している。その彼らが皆同年代だったので、それなりに話が合った。疲れたら1時間に1回くらい適当なタイミングで自主的に休憩を取って良いらしい。それもまた前職とは違う点だった。前職では明確に休憩時間というのが決まっていた、それ以外は売場で仕事をするのだ。適当なタイミングで自主的に休憩を取るなんてありあえなかった。だから最初のうちはどこが適当なタイミングなのか判らなかった。しかしそれも3日目あたりになると適当なタイミングがわかるようになり、休憩を頻繁に取れるようになった。小休憩時間では、他の社員らと雑談。先述の通りに同年代の連中ばっかりだったので、打ち解けるのは早かった。早くも会社の暗部(?)などの話も聞く。

ずっと椅子に座って勉強をしているだけだったので実に長く感じた最初の1週間だった。週休2日制なので週末が待ち遠しくて仕方なかった。ウィークエンドがこんなに待ち遠しかったのは初めてではないだろうか。金曜日には一緒に勉強をしていた既存社員や同期を誘って早速飲みに行った。翌週からは別の所で本格的な研修が始まるので、本社で一緒に勉強をしていた社員らとは別れることになるのだ。まだ1週間しか過ごしていない連中との飲み会だったので、どこまで飲んで良いのか、どこまで自分を出して良いのかを探りながら飲んだ。もっとも飲んだ連中は同年代で上司がいたわけではないので、いわゆる普通の飲み会だった。最初の1週間は実にゆっくりと時が流れ、定時出社の定時退社、週末はいきなり飲みに行くという前職とは正反対の滑り出しとなった。本格的な研修が始まったらどうなることやら。

 

第53回 スーツを買おう (2002/12/1)

再就職が決まった。今度の職ではスーツを着なければいけない。苛酷な労働状況だった前職の唯一といってもいい利点は私服で仕事が出来た事。スーツは年に4回の対外向け会議でしか着る必要がなかった。前職がそのような状況だったので、私はスーツを一着しか持っていなかった。その一着のスーツの歴史は古く、高校の卒業式用に購入したものだったのだ(ちなみに高校も私服だった)。その一着のスーツで高校卒業式・大学入学式・法事・就職活動・大学卒業式・入社式・年4回の会議・退職後の再就職活動、これら全てを済ませてきた。我ながら大したもんだ。ところが今回は就職である、毎日スーツを着ることになる。さすがに一着で済ますわけにはいかない、ということでスーツを買うことにした。

郊外によくある紳士服店へ行ってみた。平日の昼間に行ったので実に暇そうな店内。恭しく店員が近づいてきて何をお探しですか?と。就職用にスーツなんですが…と話すと店員がサイズを測らせてくれと言う。ウェストを測り、身長を聞かれてそれならばA6ですね、と言われた。どうやら私のサイズはA6らしい。何やら色々スーツを出しては説明をする店員。「この色とこの色があれば無難でしょう。」「こういうのを一着持っていても良いかもしれません。」「こちらなどはホニャララで…」実に親切に色々説明してくれる。しかし、私にはどれも同じに見える。この2万円のと3万円のは何が違うのだ?そのすぐ横には3万円の値段がついているのに50%OFFのタグが付いている。一体何が違うのだ??生地とか糸とか着崩れが少ないとかシワになりにくいとか色々説明された。うぅーむ、どれを見ても同じに見える…。「こちらの●万円のスーツが当店で1番割り引き率が高くてお得になっております。」と言われた。しかしどうしても私には「こちらの●万円のスーツが当店で1番利益率が高くて(店にとって)お得になっております。」と言っているように聞こえた。ヒネクレ者、何も信じられん…。

その後、百貨店などもいくつか店を回ってみたけれど、どこへ行っても何を見ても同じに見えた。色や柄といっても微妙な違いが殆どで、何を基準に選べば良いのかサッパリ判らなかった。しかしそんなことを言って買わないわけにはいかない、スーツは必要なのだ。基準が判らないのでこの際1番接客が良い店で買おうと決めて出かけた。あまりにも安いのは避けた方が良さそうだったので、まぁそれなりの価格帯のにしようと思った。3軒目くらいに行った店で応対した店員の感じが良かったので、ココで決めてやるかと思った。別にどこで買っても価値がわからないから大して違わないような気もしたし。応対した店員が色々と説明してくれた。「このスーツはV字が上に来るので、ネクタイはホニャララの方が良い。」「このスーツはエリが小さめなのでワイシャツのエリは何とかタイプでネクタイをどうのこうのした方が良い。」「スーツの色と合わせてワイシャツは○系の色でネクタイはなんとかかんとか。」はぁー、スーツ1つ着るのに色々なことを考えなければいけないんだな、なんて面倒臭いんだ。結局そこの店で、2着買うともっと安くなるというのでどうせ必要になるとも思ったし、どんな場面でも潰しがきくようなモノを2着買った。スーツにあわせたワイシャツやネクタイや靴下までもを色々と勧められたがやんわりとお断りした。これ以上アレコレ考えたくない…。

それにしてもスーツってのは何であんなに高いんだ。どれもこれも同じに見えて何の面白みもない。フリースやらの衣料品があんなに安く買える時代なのに…。それから平日の昼間に行ったというのもあるかもしれないが、どこの紳士服屋も実に空いていた。あれで採算がとれるのだろうか。何はともあれこれで高校時代からの一着と合わせると計3着、これでしばらくは持つだろう。これまで殆どスーツを着たことのない生活だったから、スーツ1つ買うにも大変だった。今度スーツを買うとしたら夏前になるのかな、それまでにはもう少し賢くなって、着心地やら何やらを考慮出来るようになっていれば良いけど。

 

第52回 25/3のMESSAGE (2002/11/28)

収録に参加したTV番組の放送があった。私がいるということを事前に知って、しかも画面を注意して探さなければ分からなかっただろうが、それでも少しは映っていた。私が殆ど映らないのは予想通りだったが、番組のそのコーナーの放送時間は予想以上に長かった。もっと大幅にカットされているかと思った。収録時は合計で5組が前に出てアピールできた。今回実際に放送されたのは合計4組、たった1組しかカットされていなかった(その1組はかなり可哀相だが…)。各々のアピールなど所々カットされていたが、それでも結構長い放送時間だったように思う。

そして放送はされなかったが、あの収録の最後にTM NETWORKの3人からファンの皆様に向かって一言、というのがあった。そこで彼ら3人から発せられた言葉は"今日は来てくれてありがとう"みたいな普通の感謝の言葉だったのだが、それに重大な意味を感じた。TMの3人からファンの皆様に向かって一言、それがTVでは放送されなかった…ということはあの時の"ファンの皆様に一言"というのは、収録に参加した我々に向かってだけ言われた言葉なのだ。TVの向こうにいる不特定多数のファンではなく、あの場所にいた我々約25人だけに向かって…。

そう考えるともの凄く貴重な一言というのを私は聞いたのではないだろうか。コンサートを行なえば千単位・万単位でファンを集めることが出来るTM NETWORKの3人。コンサートで数千・数万の観客に向かってメッセージを発することはあるだろう。TVに向かってラジオに向かって不特定多数のファンに向かってメッセージを発することもあるだろう。いつも彼らが発するのは3分の数千・数万のメッセージなのだ。しかしあの瞬間TM NETWORKの3人はあそこにいた我々25人に向かってだけメッセージを発した、3分の25のメッセージだったのだ。彼ら3人が揃って25人というこれだけ少ない人数に向かってメッセージを発したことなど近年ないのではなかろうか。モニター越しではあったが、ありきたりの言葉ではあったが、それはファンにとってたまらなく嬉しいことだった。

 

第51回 TV出演? (2002/11/05)

先日(前項)の面接の数日後に担当者から「ご出演頂くことになりました。」と電話があった。後日、要項を書いた文章と、番組に出演することへの同意や、放映権等はTV局に既存する云々といった覚書に署名捺印してくれというものがメールで添付されてきた。面接でも持参したグッズから厳選して持ってきてくれとも言われたが、何を持ってきてくれとは言われなかった。

そして収録日当日、集合場所はこれまで聞いたことがない駅。駅名検索システムで調べると地元から数10分の所にある駅だった。集合場所へ行くとまばらに人の塊が出来ていた。するとスタッフらしき人が名簿を持って「TM NETWORKのファンの方ですか?」と聞いてきた。署名捺印した覚書を渡して、他の参加者が集まるまで少し待つことに。スタッフの人に聞くと25人くらいのファンが集まるという。賛否両論はあるかもしれないが、TM NETWORKの最盛期は1980年代後半〜1990年代前半。つまりその当時からの熱狂的ファンというのは現在だと20代後半から30代が圧倒的に多いような気がする。集合場所に集まった人達を見ているとさらにその思いが強くなった。20代後半以上と思われる年齢の人が圧倒的に多い。私のホームページの掲示板には10代のファンや現役高校生ファンも書き込みをしてくれているが、今日ここに来ている人で10代はいなさそうだった。男女比は3:7くらいか、思ったより男性も多かった。友達同士で来ているのか、あるいはライブ会場などで会う常連組なのか、この場で仲良くなったのか、楽しげに喋っているグループが多数。しかし30前後と思われる女性が集まって喋っていると、どうしても中年オバさんの井戸端会議を連想させる騒々しさがあった(ゴメンナサイ)。そんな理由もあり、どこかの輪に加わることも出来ず、所在無く本を読みながら時間が来るのを待っていた。

どうやら全員が揃ったのか、点呼を取り、番号札を渡された。その番号によってスタジオでの席が決まるのだろうか。集合場所から1分ほど歩くと、いわゆるロケバスと呼ぶのだろう、バンを少し大きくしたような小型のバスが止めてあり、それに乗り込む。20数人が乗り込むとバス内はギュウギュウ詰め。幸いにして私は早く乗っていたので座ることが出来た。移動の間、隣に座った男性と話した。彼は大阪から来ていると言い、大阪の人らしく(偏見か?)よく喋った。5分くらいでスタジオの入っているビルに到着。駐車場にバスが止まった時、バスに乗っているファンの人達は駐車場内にあるかもしれないTM NETWORKの(…というか小室哲哉の)車(フェラーリ?)を探していた(結局よく判らなかったが…)。バスで隣だった大阪の人は知人と一緒になってしまったのでまた1人になった。スタッフの人に先導されて、ビル内へ入り中をウロウロ回る。すると先日の面接時に一緒だった20代後半の女性がいた。彼女も1人だったので「面接の時一緒でしたよね。」と話しかけた。彼女も、先の大阪の人もどこかのホームページで今回の募集を知ったと言っていた。ビル内を歩き回り、それらしきスタジオに入る。今回我々ファンが出演するコーナーは、小さなスタジオにファンが集められ、TVのモニターを通じて別のスタジオにいる出演者に対して熱狂的ファンぶりをアピールしたり、話をしたりするというコーナー。どうやらTM NETWORKがいてトークを収録しているスタジオと我々がいるスタジオは完全に隔離されているらしい。歌の収録や、トークの収録をモニター越しにでも見ることが出来るのかなーと思っていたが、どうもそれは微妙な雰囲気だ。

スタジオ内は特に何もない。番組のロゴがデザインされた単調な小さなスタジオで、テスト用と思われる小さなカメラが1つと照明用の強いライトが2つ置いてある。前方の壁には25型くらいのTVモニターが1つ埋め込まれていて、前方上部の壁は全て鏡張りになっている。適当な所でくつろいで下さいと言うスタッフ。そして番号札順にファンが1人1人スタッフに呼ばれて段取りの最終確認をしている。私の番号札は後ろの方だったのでなかなか呼ばれない。他の人が説明を受けている間に、多くの女性ファンはどんどん変身していった。今回の収録用に思いっきり決めているのだろう、化粧とかファッションとか…。だけど正直、年齢も年齢なだけにキツイ方も結構…(ゴメンナサイ)。男性でもTM NETWORKメンバーの小室哲哉と宇都宮隆ソックリに扮装(変装?)している者もいた(パッと見は似ていた)。自分の番号はまだ呼ばれないので周りの人を見渡してみる。すると所在無さげにしている、しかも私と年齢が近そうな男性を発見したので話しかけた。彼は私の2つ年上で、インターネットで募集を知ったと言う。私と最も年齢が近そうだった彼が年上だったので、私の勝手な想像だが外見から判断するに、参加者の中では私が1番若かったような気がする。その彼と話をしていて驚いたことがあった。彼は私のホームページを頻繁に見ていてくれたのだ。しかも彼は今日の収録でTM NETWORKの全てのシングル曲を発売日順に暗唱するという特技(?)を披露するらしいのだが、それの復習の為に見ていた資料が私のホームページをプリントアウトしたものだったのだ。これは素直に嬉しかったし、それがきっかけで話が弾んだ。そうこうしているうちに私がスタッフの人に呼ばれて最終段取りの確認。「もし貴方の番号が呼ばれたら前に出てきて、持ってきたグッズなどを披露するなりして下さい。」と。案外アッサリとした説明だった。見ていると、じっくりと説明をされている人もいれば、アッサリと説明が終わっている人もいた。そして察した、どうやら私が前に呼ばれることはないのだろうなと。仲良くなった彼はしきりにスタッフから説明を受けていた。さらにスタッフに「こう合図したらこういうことをやって下さい。」と、少しやらせ的な指示もされていた。

個別の説明がある程度終わると、スタッフの人が全体に対して説明を始めた。「"Be Together"って振り付けがありますよね。音楽が流れたらそれを皆さんでやってもらいたいのですが。」スタジオに流れる少し照れたような、だけど盛りあがりたいような微妙な空気。「どんな振りでしたっけ」「Fanks the Live2の…」「あぁKISS JAPANの?」などというTMファン以外には何だか判らない会話が口々に流れた。「右から?左から?どっちから入るの?」「1回練習しましょうよ」という流れになり、バスで隣の席だった大阪の人が前に出て皆の音頭を取って練習。本当に大阪の人というのはこういうところで物怖じしないものなのだろうか。正直照れ臭いながらも、周りの空気もあり結構楽しく練習した。「この番組って、全国ネットですか?これが放送されちゃうんですかね?」などと苦笑いしながら仲良くなった彼や面接で一緒だった彼女と話していた。スタジオ前方の壁にはTVモニターが埋め込んであり、その上は鏡張りで、その鏡の一部分に赤い三角印が付いている。前に出て喋る人は赤い三角印を見て喋ってほしいと言う。どうやらマジックミラーになっていて、その先にカメラがあるようだ。敢えてカメラを意識させないようにしているのだろう。この企画自体がそうなのだろう。実際にTM NETWORK本人を前にしたら緊張して何も出来ないかもしれない。だから敢えて別室に待機させて、カメラも意識させずにアピールをさせるという考えなのかな。でもファン心理としては、やはり本物を生でみたいというのが1番なのだが…。他にも全体説明で、番組スポンサーの関係上勤めている企業の名前を言ったり、特定の企業のロゴマークなどの入ったものは見せないようにして欲しいだとか、時間の都合上全員が前に出てアピールすることは恐らく出来ないだとか、向こうの司会者からこう呼びかけられたらこういう行動をして下さい等々と段取りを説明された。その後は「いつ向こうのスタジオからここのスタジオが覗かれているかは判りません。これまでのように自然にお喋りなどしていて下さい。そして"Be Together"が流れたら皆さん立ち上がって踊って下さい。」とのことだった。

どうやら待っている間、前のモニターには何も映らない。歌収録やスタジオトークを見ることは出来なさそうだ。思ったよりも長い時間待たされた。するとスタッフから仲良くなった彼に合図が送られた。先ほど段取りをしていた些細なやらせだ。ということはそろそろこっちの収録が始まるのかな、と思っていたら予想的中、"Be Together"がスタジオ内に流れた。思い出したかのように皆立ち上がって踊る…TMのソックリさんが前面に出てTMの真似をする(これも段取りなのだろう)。サビだけなのですぐに歌と踊りは終わる。すると前方のTVモニターに、その音楽番組の司会者が映された。「ファンの皆様、お待たせ致しました。それでは御紹介致しましょう、TM NETWORKです。」と言うとカメラがTMの3人に向けられ、こっちのスタジオ内は大歓声。向こうのスタジオにいる司会者が「何番の方」と紹介して、呼ばれた人が前方に出ていく。まずはTMのソックリさんが登場。その微妙に似てるんだか似てないんだか…という感じに苦笑いするTM NETWORKの画面がこちらに映し出されるとこちらのスタジオでは大喝采。デビュー当時(1984年)からファンでデビューシングルの予約特典か何かのレアなポスターを持ってきていたり、3人の似顔絵を披露していた女性達。TMのデビュー前、前身バンドであるSPEED WAY時代の写真が掲載されている古い雑誌を持ってきていた女性。親子で宇都宮隆ファンだと言う60代の女性が出てきてLOVE TRAINを唄ったり(結構痛かった…)。最後には仲良くなった男性が前面に出て「TMのシングル曲をデビューから全部言えます。」とそれを披露した。彼は前に出るとなかなか面白いキャラで、向こうのスタジオとこっちのスタジオ両方で笑いを取っていた。こちらのスタジオでは前方のモニターに映るTM NETWORKの一挙手一投足に一喜一憂ならぬ、一喜一喜した。15分ほどだっただろうか、それくらいの時間でアっという間に感じたこちらの収録は終わった。収録後は参加者が紹介したポスターや雑誌、サイン、写真などを改めてカメラに収めていた。どうやらそれで収録は終わりらしい。結局私を始めとして、参加者の半分以上は前面に出ることは無かった。さらに歌収録やトーク収録を見ることも出来なかったし、生でTM NETWORKを見ることも出来なかった。そう考えると少々物足りなかったような気もする。勿論その場にいたことは楽しかったし、いられただけで充分満足すべきことなのだろうが。

帰り際にTMの小さなポスターをお土産に貰い、来る時と同じバスに乗って集合場所の駅まで送り届けてもらった。どうやら交通費等は出ないらしい、あくまでも我々が自主的に番組に出たいと志願して、出させて頂くという形なわけか。私は地元から往復でも1,000円とかからなかったから良いが、大阪や金沢から来ている人もいたし、仲良くなった彼も山梨から来ているという。しかも面接の時と今回とで2度だ。それで交通費は出なくて、さらに収録でも前面に出ることがないとなったらどうなのだろう。果たして私が大阪に住んでいて、今回の話があって参加すると考えたかどうか…。駅で解散となったが、仲良くなった彼とは「チョット話しましょうか。」ということになって、喫茶店に入った。飲みに行っても良かったのだが、彼が酒を飲んで寝過ごすと長野まで行っちゃう事になるので喫茶店にしよう、と。山梨から来ている彼は夜行で帰るのだという。年齢は2つ違うが学年は1つしか違わない同年代だったこともあってTM NETWORK以外でも結構話が盛りあがった。喫茶店が閉店時刻だったことと、電車の時間もあったので、話もそこそこにお互いメールを交換することを約束して別れた。

19時に集合で、スタジオに着いたのは19時30分頃、全てが終わってスタジオを出たのは22時近くになっていた(事前の終了予定時刻は21時だった)。15分程度の収録を取る為に結構な時間を使った。しかも実際にTVで使用されるのはさらに短時間だろう(何せ30分番組の中の1コーナーだし)。TV収録っていうのは効率が悪いなと思いながらも、TVに出るっていうのは我々からしてみればやはり特別なこと。良い記念になったと思える。放送は11月22日金曜日らしい。金曜日の23時頃やっている音楽番組とまで明かしておけば自ずと判るでしょう。放送がどんなに風になっているか楽しみだ。まぁTVに出たというよりも、TVの後ろの方に映っていた、というのが正確だろうな。

 

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