三沢光晴・全日本プロレス退団

新団体旗揚げ

 

大事件である。
プロレス界の2大メジャー団体である新日本プロレスと全日本プロレス。
その全日本プロレスの社長兼エースであった三沢光晴が2000年5月28日日曜日に行なわれた全日本プロレス緊急役員会議での社長解任・全日本プロレス退団が決まった。
解任・退団が決まった時期はシリーズ中だったためにその事実は公表されずその後シリーズ最終戦である6月9日まで三沢はフリーとして参戦していたことが明らかになった。
シリーズ終了後に三沢解任・退団が報じられたのが6月12日月曜日、プロレス界を揺るがす大事件に発展した。
その後に開かれた全日本プロレス役員会議で取締役数人が辞表を提出。全日本プロレスの分裂は避けられない状況となった。
そして渦中の三沢が6月16日金曜日に記者会見を行ない、新団体旗揚げを表明した。
会見に同席したのは三沢と共に全日本プロレスを退団したレスラー達。
三沢を含めた全日本プロレス所属だったほぼ全ての日本人レスラー合計25人が三沢と行動を共にすることになった。
これにより全日本プロレスに残留することになったのは川田利明と渕正信の2名のみとなった。

今回の解任・脱退劇の原因として言われているのが故ジャイアント馬場の夫人である元子氏らフロント側と三沢社長との間の確執である。
詳細は当然明らかにはされていない。
三沢の会見によると
全日本プロレスが持つ伝統と、私がこれからやろうとする理想のプロレスとの間にギャップを感じ、このまま私のプロレスを貫き通すには馬場さんの創った全日本プロレスというプロレスらしさを壊してしまうのではないかと思い、退団を決意しました。
とのこと。
こういった話しはネット上などでは周知の事実として語られてきた。
ジャイアント馬場の遺志を引き継いで保守態勢を取りたかった馬場夫人側と、ファンや時代のニーズに応えて全日本プロレスを改革していきたかった三沢社長側との意見の食い違いである。
噂のレベルではもっと深い確執が伝えられているがここでは敢えてそれを掲載するようなことはしない。

この報を最初にネットで見たときはいつものガセネタだと思っていた。
G馬場の死後こういった噂が絶えることはなかったからだ。
しかし次第にそれが噂ではないことが分かってきた。
三沢光晴社長解任、三沢脱退、新団体旗揚げ。
新団体へは全日本プロレスのほぼ全員が移籍することによって選手層に問題はない。
これによって三沢の目指す方向へと進めるのなら大いに結構である。
しかしこのままでは母体であった全日本プロレスの方が危なくなる。
残った日本人選手はたったの2名。
それもヘビー級として一線で活躍していたのは川田利明のみ。
渕正信はジュニアのテクニシャンとして実力には定評がある。
しかしどうしても年齢的・体格的なハンデが存在する。
外国人選手等を充てて補充してもすぐに底が見えてきてしまうだろう。
全日本プロレスがこのまま残っていくかどうかは非常に微妙だろう。
最後の切り札として新日本プロレスとの対抗戦という道がある。
しかしプロレス界最大手の新日本プロレスと対抗戦をしても結果が見えている。
最初のうちは川田1人でもかなりの盛り上がりを見せるだろう。
しかし熱が冷めた後は新日本プロレスに吸収合併のような形になってしまうのでは…
馬場さんが創った全日本プロレスというものが消えて行くのはとても寂しい。
全日本と新団体、両団体の存続に関わる問題として大きく取り上げられるのがTVの問題。
1番のポイントはTV局という強力なスポンサーが付くかどうかである。
現在の全日本プロレス中継は日本テレビが放送している。
しかし放送日は水曜深夜に移されて視聴率も低い。
何度も打ち切りの噂が流れた。
今回の三沢新団体旗揚げによって日本テレビがどちらにつくかが問題である。
もしかしたらこれを良い機会としてプロレスから手を引いてしまう可能性もある。
しかし三沢の新団体旗揚げの会見を日本テレビはスポーツニュースで放送した。
これはこのまま三沢新団体を後押し(放送)するという考えからなのだろうか?

この先どうなるのかはまだ分からない。
三沢新団体の旗揚げは8月を予定。
しかし私はこれだけは言える。
私はファンとして三沢についていく。
これまで1番多く観てきた団体は全日本プロレスである。
その中でもプロレスラーは凄いということを素直に感じさせてくれたのが三沢光晴であった。
今後どのような展開になるにしろ私は三沢を応援し続ける。
今の全日本プロレスの体制で三沢のやりたいことが出来ないのならば退団もやむをえない。
三沢の考えに賛同して、殆ど全てのレスラーが三沢に付いてきた。
三沢を始めとして小橋・秋山・馳・高山・大森・田上等々ソフトは充分である。
あとは全日本プロレスというハードでは実現できなかったことを、三沢は新団体でやってほしい。 

 

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