日々是ネタ也

日常全てが題材(ネタ)

収録 (後篇)

個別の説明が終わると、スタッフの人が全体に対して説明を始めた。
「"Be Together"って振り付けがありますよね。
音楽が流れたらそれを皆さんでやってもらいたいのですが。」
スタジオに流れる少し照れたような、微妙な空気。
「どんな振りでしたっけ」
「Fanks the Live2の…」
「あぁKISS JAPANの?」
など、TMファン以外には何だか判らない会話が口々に流れた。
「右から?左から?どっちから入るの?」
「1回練習しましょうよ」
という流れになり、バスで隣の席だった大阪の人が前に出て皆の音頭を取って練習。
本当に大阪の人はこういうところで物怖じしないものなんだな。
正直照れ臭いながらも、周りの空気もあり結構楽しく練習した。
「この番組って、全国ネットですか?これが放送されちゃうんですかね?」などの声が飛ぶ。
他にも全体説明で、番組スポンサーの関係上勤めている企業の名前を言ったり、特定の企業のロゴマークなどの入ったものは見せないようにして欲しいだとか、時間の都合上全員が前に出てアピールすることは恐らく出来ないだとか、向こうの司会者からこう呼びかけられたらこういう行動をして下さい等々と段取りを説明された。
その後は「いつ向こうのスタジオからここのスタジオが覗かれているかは判りません。
これまでのように自然にお喋りなどしていて下さい。
そして"Be Together"が流れたら皆さん立ち上がって踊って下さい。」
とのことだった。
待っている間、前のモニターには何も映らない。
歌収録やスタジオトークを見ることは出来なかった。
思ったよりも長い時間待たされた。
なんかスタッフの動きが慌しくなったなと思ったら"Be Together"がスタジオ内に流れた。
思い出したかのように皆立ち上がって踊る…
TMのソックリさんが前面に出てTMの真似をする(これも段取りなのだろう)。
サビだけなのですぐに歌と踊りは終わる。
すると前方のTVモニターに、その音楽番組の司会者が映された。
「ファンの皆様、お待たせ致しました。それでは御紹介致しましょう、TM NETWORKです。」
と言うとカメラがTMの3人に向けられ、こっちのスタジオ内は大歓声。
向こうのスタジオにいる司会者が「何番の方」と紹介して、呼ばれた人が前方に出ていく。
まずはTMのソックリさんが登場。
その微妙に似てるんだか似てないんだか…という感じに苦笑いするTM NETWORKの画面がこちらに映し出されるとこちらのスタジオでは大喝采。
デビュー当時(1984年)からファン、TMの前身バンドが載っている古い雑誌を持ってきていたファン。
親子で宇都宮隆ファンだと言う60代の女性が出てきてLOVE TRAINを唄った(結構痛かった…)。
最後には仲良くなった男性が前面に出て「TMのシングル曲をデビューから全部言えます。」
とそれを披露した。
15分ほどだっただろうか、アっという間にこちらの収録は終わった。
結局私を始めとして、参加者の大多数は前面に出ることは無かった。
さらに歌やトークの収録を見ることも出来なかったし、生でTM NETWORKを見ることも出来なかった。
そう考えると少々物足りなかったような気もする。
勿論その場にいたことは楽しかったし、いられただけで充分満足すべきことなのだろうが。
帰りにTMのポスターを土産に貰い、来る時と同じバスに乗って集合場所の駅まで送り届けてもらった。
どうやら交通費等は出ないらしい、あくまでも我々が自主的に番組に出たいと志願して、出させて頂くという形なわけか。
私は地元から往復でも1,000円とかからなかったから良いが、大阪や金沢から来ている人もいたし、仲良くなった彼も山梨から来ているという。
しかも面接の時と今回とで2度だ。
それで交通費は出なくて、さらに収録でも前面に出ることがないとなったらどうなのだろう。
果たして私が大阪に住んでいて、今回の話があって参加すると考えたかどうか…。
駅で解散となったが、仲良くなった彼とは「チョット話しましょうか。」ということになって、喫茶店に入った。
飲みに行っても良かったのだが、山梨から来ている彼は酒を飲んで寝過ごすと長野まで行っちゃう事になるので喫茶店にしよう、と。
19時に集合で、スタジオに着いたのは19時30分頃、全てが終わってスタジオを出たのは22時近くになっていた(事前の終了予定時刻は21時)。
15分程度の収録を取る為に結構な時間を使った。
しかも実際にTVで使用されるのはさらに短時間だろう(何せ30分番組の中の1コーナーだし)。
TV収録っていうのは効率が悪いなと思いながらも、TV収録に参加するっていうのは我々からしてみればやはり特別なこと。
良い記念になったと思える。

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