日々是ネタ也

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アルバイト最終日

1997年2月、まだ高校生だった時に始めたアルバイト、その最後の日が訪れた。
大学卒業・就職に伴う定年(?)退職。
丸4年と1ヶ月、我ながらよく続いたものだ。
前日に、会うのはその日で最後となる仲の良かった後輩から「こういう日が来る事は分かっていましたが、本当に来るとは思わなかったですよ。」と言われた。
私もまさにその思いだった。
大学生活と平行して4年間、確実に生活の一部と化していたアルバイト。
卒業に伴って辞める日が来るなんて…確実に時は流れていた。
開店から閉店まで、給料日後の日曜日ということもあってそれなりに忙しい。
その忙しさも今日限り。
昼休憩時には社員さんが弁当を奢ってくれ、夕方の休憩時にはバイトの後輩にジュースを奢ってもらう。
今日ばかりは一銭も持っていかなくても良かったようだ。
昼休憩時には売り場も違ってあまり話すことも無かった社員さんから餞別を頂く。
その気持ちがとても嬉しい。
営業時間も終わりに近づいた時、レジに入っていて思った。
"レジから売り場の風景を見るのは今日で最後なんだな"。
明日以降店に来ても売り場を見ることは出来るが、レジから売り場を見ることはもうないだろう。
いつも通りの忙しい日曜が終わり、とうとう閉店作業。
この閉店作業を終えると私のアルバイトが全てが終わる。
閉店作業の最後の仕事、それは4階の倉庫にある荷物を地下1階へ降ろすこと。
地下1階に荷物を降ろす、その仕事を終えた瞬間にフロアーから拍手が…。
その時地下にいた一部の社員と今日入っていたアルバイト全員が皆で「お疲れ様でした」と拍手をしてくれたのだ。
こんな形で迎えられるとは。
とっても嬉しいが同時に照れ臭い。
「地下フロアーの皆からです。」と餞別を渡される。
驚きと同時に嬉しさ、ここまでしてくれるとは…。
地下から1階へ上がり、1階にいた社員さんに挨拶。
そこでもお世話になった社員さんに「就職祝だ。」と餞別を頂く。
地下の時点でかなり感極まっていたが、他のアルバイトや社員さんも結構いたので頑張って耐えていた。
着替えをする為にエレベーターで4階の休憩所へ向かう。
そのエレベータ内で1人になったときに思わずこみ上げてきそうだったモノを必死に耐えた。
着替えてを済ませてロッカー内を整理。
いつも汚かったロッカー内に何もなくなった、改めて終わりを実感。
最後に1階に戻り、店長やお世話になった社員さんらに改めて挨拶。
殆ど同じ時期に入った同じ歳の社員の女の子に挨拶。
笑顔で終われると思ったら彼女が涙を流してしまった(よく泣く子なんだけど…)。
それを見て私もためていた涙が抑えきれずに溢れ出して止まらなくなってしまった。
シラフで泣いたのなんて実に久しぶりだ。
小中高の卒業式等では勿論泣いたことなど無かったのに、アルバイトの卒業式(?)で涙してしまった。
寂しかったのもあるが、嬉しかったというのもある。
最後の仕事を終えた時の皆からの拍手や餞別、暖かい言葉や涙。
そして自分も涙していることに気がつき、改めて自分はこのバイト先が好きだったんだなというのを実感して、それを実感したがために辞めることが寂しくなる…というような循環により涙が止まらなかったのかな。
こんな感情は初めてではないだろうか。
涙を流すというのは結構気持ちが良い。
家に帰って部屋で1人自主送別会を開催。
4年間の思い出を肴に酒を飲み、静かにまた涙した…。

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