韓国旅行

後日談
今回の韓国旅行記を公開してから約半年が経過したある日、見知らぬ方から1通のメールが届いた。
そのメールの内容が勉強になったのでそのメール内容をHPに掲載したいと思った。
送信者にその旨を伝えると、快諾して頂けたのでここにその内容を掲載する。
なお、送信者の希望により、送信者名は伏せます。

前略
1つ気になった点があり、今回このようにメールを差し上げる経緯に至りました。
というのは、テキスト後半部分にて…

そして結局食べることが出来なかった犬肉。韓国で犬肉は法律で禁止されているから、ご法度なのだろうか?そもそも犬肉は男性が精力をつけるために食うものらしい。若い我々が犬肉のを食いたいというのが変に思われたのだろうか?

とおっしゃっておられますが、これは少しニュアンスが違うというか、韓国人には複雑に思うところがあるようです。
単純に朝鮮半島圏以外の文化圏の人が、「犬肉を食べる…」と聞いてどのような印象を持たれるかと考えれば、容易に想像がつくかと思われます。
このことで1部の心無い人から「韓国人は野蛮だ」、「犬を食う国なんて考えられない」等酷いことを言われることがあり、苦い思いをしているように受け取れます。
外国の文化を一概に評することはどうかと思いますが、言われてしまうと韓国人の中には、そんな文化を持つ自分の国に対して劣等感を感じる方もいらっしゃるようで、韓国内でも犬肉云々というのは、あまり日常的な話題としてあがりません。
私は韓国にネットを通じて知り合った同年代の友達が10人ほどいますが、その話題は暗黙の了解として私も口に出しません。
おっしゃるように、犬肉は精力をつけるための手段として(日本でいうすっぽんみたいに)食されるのですが、韓国人の中には至って普通に食べる方もいらっしゃいます。
ただそのような方は、一般的に年齢を重ねた方や、熟年層のサラリーマン、そういった異文化批判に対してあまり神経を向けない方が主たるもので、その数は現在の韓国においては比較的少数派であると思います。
感覚的には日本でいうなら、先述のように自分の回りですっぽんを日常的に好み、何回も食べている人はどのくらいいるか?みたいな…
犬肉は一般的な調理方法では、紘之様が韓国で召し上がった辛いユッケジャンのような煮こみスープの形で食されます。
味は敢えて言われなければ、犬だと気がつかないと思います。
臭みは(意識するからか)少し感じられますが、辛さにごまかされてなかなかおいしいです。
その辛い犬肉スープの名前は、韓国語で「ポシンタン」といい、漢字で書くと、「補身湯」。
これでお判りになると思いますが、その名の通り身体を補う湯という意味で、韓国では漢方薬的な位置付けで食されてきたものです。
ちなみに犬肉に使われる犬は、普通のペット用ではなく、全体的に肉付きの良い、がっちりとした大きめ赤犬です。
また犬肉を食すという行為は法律で禁止されているというよりも、1988年のソウルオリンピック開催を控えた頃の、対外的イメージを意識したソウル市による市条例で禁止されたもので、今では細々と営業する店がポツポツといったところです。
(法律か市条例かは、私が勉強不足で記憶が定かではありません^^;;;)
最近では、また復活の兆しが見えているようですが、どうでしょう。
と、お初の方に対して色々とあつかましく申し上げてしましましたが、決して揚げ足を取るとかが目的ではなくて、単純に紘之様が何かのご縁で韓国に足を運ばれたわけですから、その国の文化の裏側の背景も、おぼろげおぼろげながらに認識していただければ、紘之様の知識、経験の1つとして何かお役に立つものではないかなと私が勝手に思い、余計なお世話ながらに長々しく粘りっこく書いてしまいました。
あと重箱の隅をつつくようで恐縮ですが、時々韓国旅行記のテキスト部分に、「ハングル語」という言葉を使っておいでで、現に近頃の日本では「ハングル語」という言葉が目立ってきています。
しかしこれは、朝鮮半島が南北に分断され「韓国語」とも「朝鮮語」とも言えず、統一した名称に困って、便宜上作られたものなのです。
当然これは、日本だけで使われ、韓国・朝鮮では通用しない言葉です。
言うまでもなくハングルとは、日本の仮名のように、韓国・朝鮮の固有の文字のことを指すので、「ハングル語」とは、日本語を「仮名語」といっているようなものなので、紘之様の今回の旅で使用される場合には、単純に「韓国語」か、「ハングル」と表記する方が、適しているのではないかと思われます。
最後の最後まで、うるさく申し上げて申し訳ありませんでした。
もちろん、他の部分は、紘之様の語り口も助かるせいか、韓国旅行のご様子、背景が実際に楽しく伝わってくるようで、拝見させていただいている方としては、この上なく愉快な気持ちになりました。
居酒屋での日韓交流成功という素晴らしい一面もあれば(韓国人って、普通情が厚いです)、滞在最終日にいわゆるボッタクリに遭われて、最後の最後で後味が悪い始末となられたことが唯一の残念ですが、基本的には旅行する度に、人の情の厚さをもろもろに肌で感じることの出来るところが、韓国の良い面ではないかと私は勝手に考えていますので(実は私は韓国しか知らないですが^^;;;)、機会があるならば、韓国にまた足を運ばれることを期待しております。
最後に、私の素性を明かしますと、私は日本国籍を持つ、生活、学校こそは普通の日本人とまるっきりかわらないですが、実は韓国人の母を持つ日韓ハーフでして、したがって、韓国の国、文化、民族に対しては、普通の日本人より人一倍の関心を寄せています。
さしあたって、今回、このように紘之様にメールを差し上げた背景には、以上のようなことも絡んでのこととご理解下されば、私としては望外の喜びであると存じます。
後略

読んでの通り、実に興味深いメールだったしかなりの勉強にもなった。
ここで改めてメール送信者には感謝の意を表わしたいと思う。

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