欧州旅日記
2月13日 火曜日
とうとう最終日、遂に終わるなーという感慨もひとしお。
最後の1日も晴れ、この旅の後半はすっかり晴れた。
空港へ向かう列車の時間を確認してから最終日の観光へ出発。
ホテルから1時間ほどかけて歩きヴァチカン市国へ。
目的はヴァチカン博物館。
ここにミケランジェロが描いた「最後の審判」がある。
ガイドブックに「時代を超えて、世界美術史上最大の傑作と言っても過言ではない」と書いてあった。
このヴァチカン博物館、12時30分までしか開館していないので午前中に来なければならなかった。
予想に反してえらく近代的な建物、入場券を買うために長い列が出来ていたのでそれに並んで入場券を購入(1万8000リラ≒1080円)。
予想通りこのヴァチカン博物館も相当広い。
大英博物館、ルーブル美術館と見てきたからある程度の広さは覚悟していた。
目的はシスティーナ礼拝堂にあると言う「最後の審判」と「創世記」のみ。
目的を決めて見ないと到底1日で見て回れる広さではない。
階段を降りたり登ったりアチコチ歩き回った末にそれらしい部屋を発見した。
部屋に入ると同時に「最後の審判」に圧倒…ではなく物凄い数の人に圧倒されてしまった。
礼拝堂というだけあって体育館のような広さの中に大勢の人。
そして壁に目を向けるとあった、圧倒的な存在感の「最後の審判」。
なるほど、圧倒された。(縦14メートル弱、横12メートル強らしい)
それと同時に疑問も。
ミケランジェロが描いたっていうけど、どうやって描いたんだろう…。
あんな壁一面の壁画をどうやって描くのだ?
本当にミケランジェロが書いたのか?
弟子みたいなの引き連れて皆で書いたんじゃないのか…なんてコト言ったら怒られるかな、やっぱり。
次に天井を見上げると天井一面に天上画が…
これもミケランジェロが描いた「創世記」だ。
「最後の審判」同様、どこかで必ず見たことのある画である。
ずーっと上を向いて天井を眺めていると、天上画が飛び出してきそうな錯覚に襲われた。
しかしなるほど、「最後の審判」と「創世記」は見る価値があったかもしれない。
芸術など判らない私でも「はぁ、こりゃすげーわ」くらいには感じられたし(そんなんでイイのだろうか…)。
システィーナ礼拝堂内はフラッシュもカメラ撮影も禁止なのにアッチコッチでシャッターの音やフラッシュの光。
あれだけ人が大勢いたら無法地帯にもなるわな。
システィーナ礼拝堂を出た後も出口が判らずに博物館内をウロウロ。
結局ヴァチカン市国内を出た頃は14時過ぎ、適当なレストランで昼飯。
金銭に余裕があったのでスパゲティ、ピザ、ビールとワインも注文した。
食後フラフラ歩いてなんとなくまた来てしまったスペイン広場。
昨日よりは人が少ないような感じがする、ル○・ヴィ○ンの前の列は相変わらずだったが…
スペイン階段も相変わらず何するでもなくたくさんの人が座っている。
何するでもなく皆は何をしているのだろう、という素朴な疑問を解明する為に我々も階段に座ってみることに。
何するでもなく座っているとやはり何もしない、ただ座っているだけである。
ところが、座っていると結構面白いことが判った。
観光客が多く来る所だけに様々な国の人々を眺めることが出来る。
本当にたくさんの観光客がいる、やはり我々が日本人だからか日本人はすぐに判る。
何するでもなく座っている人や、置き引き目当てなのか怪しげな風貌で階段をウロウロする人。
警戒のためなのか時々現れる警官…
なるほど階段に座って色々眺めていると結構面白く、時間が経つのを忘れる。
観光客が各国の観光客を呼び、物売りを呼び、置き引きを呼び、警官を呼ぶ…面白いな。
再び歩き始め、大通りを曲がった所で貧相なオバさんとその娘らしき少女が何事かを言いながら近づいてきた。
私の目を見て何事かを呟きながらダンボールを持って近づいてきたので物売りだと思った。
そう思った瞬間私のヒジのあたりをコチョコチョと触ってくる手が…スリだ!!
瞬間的にスリだと判断して激しく腕を振り払って急ぎ足で歩いた。
もともとこっちは早足で歩いていたので一瞬の出来事。
バッと手を払ってそのままスタスタ歩いて行ったのでその後のオバさんと少女がどうなったのかは判らない。
すられそうになったという驚きから私もすぐにその場を離れてしまった。
それにしても大通りを曲がった所とはいえ車の往来も人の往来もある所だった。
そんな所で白昼堂々と私の目を見て近寄って来てすろうとするとは思わなかった。
子供連れやダンボールを持っているなどは典型的なスリの手口。
子供やダンボールに注意を引きつけておいてスルというやり方だ。
幸いにして私はヒジをコチョコチョやられた時点でスリだと気が付き手を払って危機を脱したが、それでも何かすられていないかと不安になった。
冬場でコートを着ていたのが幸いしたようだ。
最後の国の最終日にして危機一髪、といったところか。
少し飛行機の時間には早かったが、どこか観光地に行くほどの時間もなかった。
露店で缶ビールを購入してローマ・テルミニ駅構内で最後のビール。
最後までビールを飲み続けた旅だった。
空港までノンストップで向かう列車に乗り込む。
30分ほどでイタリア・ローマのレオナルド・ダ・ヴィンチ空港に到着。
時間に余裕があったので空港内のマクドナルドで晩飯。
ヨーロッパでの最後の飯がマックっていうのもなんだかなー。
22時発の飛行機、機内食は遅いから出ないかと思ったがちゃんと出た。
機内食ではビビンパを食う。
実に久しぶりのまともな米の飯だ(ポーランドで食ったライスは不味かった…)。
長かった旅も終わってみればそうでもなかったなぁ。
感慨にふけるよりも早く、昼間によく歩いていたので晩飯後はすぐに眠りに着いた。