ギリシャ一人旅
2015年7月24日〜8月3日

2014年の旅のメインはスリランカのシギリヤだった。
その旅を終え、次はどこへ行こうかと本屋の海外旅行ガイドブックコーナーを眺める。
背表紙で目に入ったシギリヤの文字。
こんな決め方も良いかもしれない、キッカケはアナグラム。

 

目次
7/24・出発
7/25・ドーハ経由アテネ
7/26・カランバカ
7/27・メテオラ
7/28・クレタ島
7/29・サントリーニ島
7/30・サントリーニ島
7/31・アテネ
8/1・ギリシャ最終日
8/2・帰路
8/3・アディショナルタイム

 

準備

旅のスタートは航空券を取るところから。

ギリシャまでの直行便は無いので経由便を探すことになる。

今回初めて候補に挙がったのが中東系の航空会社。

欧州系の航空会社に比べて値段が安いうえにタイムスケジュールが良い。

特にカタール航空が金曜深夜(土曜未明)に羽田発でアテネ到着が現地時間の土曜昼過ぎ。

帰国便は現地土曜深夜(日曜未明)発で羽田到着が日曜日の23時前。

往復共に深夜発というのは時間を効率的に使える。

乗り継ぎの待ち時間も2時間以内で理想的。

唯一の不安は未体験の中東系航空会社だということ。

しかしそれもネットで調べると特に悪い評判は無い。

海外サッカー好きなら目や耳にしたことのあるエミレーツやエティハドというのも中東系航空会社。

そして今回のカタール航空はサッカーのFCバルセロナの今シーズンのユニフォームに名前を入れているスポンサーでもある。

かなりの規模のオイルマネーが動いていそうだ。

一説によると中東系の航空会社は石油が潤沢だから燃料費が抑えられ、それを航空券代に還元できるのだとか。

というわけでカタール航空の航空券を購入。

カタール航空の公式ホームページを含め、いくつかのサイトを調べたが最も安かったのがH.I.Sだった。

名の知れた大手旅行代理店が最安になることはあまり無い気がするので珍しい。

現地までの足、もとい翼を確保したら後は現地での行動を決める。

ギリシャは欧州の中でも有数の観光立国ということで、7〜8月は欧州をはじめ世界中から観光客が押し寄せる観光シーズン。

ホテル代も高騰し、人気のある所は予約が埋まるという情報。

核となる部分の予定は早めに押さえておきたい。

旅の予定を立てるときは一気に決めるのではなく、少しずつ決めていくようにしている。

楽しみを引き延ばす感覚。

いくつかの予定が決まりかけた頃、あの騒動が世間を騒がせる。

ギリシャ経済危機。

寝耳に水だったが旅の計画を立てる段階からちゃんと調べていれば、借金の返済期限などは分かっていたことなのだろう。

しかし仮に分かっていてもそれを理由に旅を中止するような判断はしなかっただろう。

所詮は経済問題、と流していたはずだ。

それがココまでの大事になるとは思わなかった。

旅の約1ヶ月前から日本のニュースでもギリシャの動向が連日トップニュースとして報道される。

ユーロ離脱問題や債務返済期限、国民投票、ATMでの出金制限、ピーク時はデモや暴動も起こっていた。

ギリシャへ行くことは周囲に公言していたので、各方面から「大丈夫なのか?」「今回は止めた方が良いのでは?」という声もいただいた。

私も普段以上に敏感にネットで色々と情報収集をして分かったのは「今後どうなるのかは分からない」ということ。

ユーロという世界規模の経済実験とも言われる事象が直面した初めてかもしれない大きな課題に対してどうなるのかと世界中が注目している。

世界規模でニュースになっており、政治や経済の専門家も含めた誰も状況が分からない中で、素人がネットで調べた程度で何が分かるわけでもない。

ただ仮にもヨーロッパの一端でしかも観光立国、極端に危険ということは考えにくい。

デモやストがあったとしても、さすがにこれが原因のテロは無いだろう。

外務省から渡航延期勧告でも出るようならさすがに考えるが、そうでなければ決行したい。

悩んでいたって仕方ないので全ての予定を決めてしまう。

国民投票が実施され、融資も受けて落ち着いてきたのか、旅の1週間前くらいにはTVニュースでギリシャの混乱を見ることは無くなっていた。

ネットを見ても観光地は何事も無いという情報もある。

一抹の不安は残しつつも決行。

 

 

2015年7月24日 金曜日 ↓次へ ↑↑トップへ

仕事を終え、19時30分頃に帰宅。

旅の荷物は前夜までに準備しておいたので、最後に衣類を圧縮してバックパックに詰めて準備完了。

これから長い移動が待っているのでシャワーを浴びておく。

羽田へ向かうバスは21時25分発なので急ぐ必要はないのに気は逸る。

これは旅の宿命みたいなものか。

地元で何か食べていこうかとも思ったが、時間的に選択肢が限られるのと、いつもと同じものは味気ないということでやめておく。

バスは定刻に発車、羽田へ向かう最終バスなので乗客も十数名程度。

渋滞もなく、22時15分には羽田空港国際線に到着。

最終バスが国際線ターミナルにしか止まらないということは、この時間に出発する国内線は殆ど無いということだろうか。

バスの車内や空港入口は閑散としていたのに国際線出発フロアに行くと結構な混雑。

さすがに夏休みの空港を感じさせる。

出発便の案内を見ると搭乗予定の飛行機は0時30分発だったのが0時20分に変更になっている。

出発予定時間が遅れることはあったが、早まるというのは珍しい。

早めに空港に着いている私としては構わないが、ギリギリで来る人は大丈夫なんだろうか。

国際線の飛行機だと10分くらいは余裕を持ってくるのが当然、みたいな考えだろうけど。

カタール航空のカウンターはそれなりの列ができている。

客層を見るに恐らくその殆どがヨーロッパへ行く人だろう。

私の後ろに並んでいたのは関西系の女子大学生二人。

イタリアへ行くらしくワーキャーはしゃいでいた。

「コレ、みんなイタリア行くんかなー」ってそんなわけない。

私も昔は同じ列に並んでいる人はみんな同じ国へ行くものだと思っていた時期があったわ。

前に並んでいたオバサンは後からきた連れのオバサンを自分のところに並ばせる。

そこはアンタが後ろに並ぶべきだろうと思ったが、大行列ってわけでもないし、注意して気まずくなるのもイヤだなと思って黙っていたがなんかモヤモヤ。

幸い殆ど待たされることなくアテネまでの航空券を受け取り、遅い晩飯へ。

23時が近くなると開いている店も少なく、ビールもあったので空港内のモスバーガーへ。

リッチモスチーズバーガーが美味しかったが、チーズソースが派手に口の周りについて食べ辛いことこのうえない。

機内食のタイミングが読めないのでビールとハンバーガーだけにしておく。

飛行機は0時20分発の予定だが、これまでの深夜発の経験だと乗ってからウェルカムドリンクと軽食だけあって、ちゃんとした食事は朝食から始まる気がする。

中東系の航空会社は初めてなのでその辺がどうなるかは乗ってみないと分からない。

晩飯後の空港散策もそこそこに出国審査。

海外へ行く時はいつもそうなのだが、出国審査とセキュリティチェックを済ませないとどうも落ち着かない。

出国審査に列が出来ているのを見ると、昨年手続きをした自動出国手続きの出番。

誰も並んでいない自動化ゲートでスムーズに出国手続き完了。

でも出国スタンプは欲しいので係員にお願いして押してもらう。

そうこうしているうちに日付が変わり、初体験のカタール航空へ。

 

 

2015年7月25日 土曜日 ↓次へ ↑前へ ↑↑トップへ

ほぼ満席の機内、窓側を指定した私の横2つの席も埋まる。

機体は少し前に話題になったボーイング787。

最新式の機内で地味に驚いたのが窓にシェード(日除け)が無いこと。

その代わり、窓の下にボタンが付いていてそれを押すと窓が自然と暗くなる。

そのボタンで光量を調整できるようになっているらしい。

有料ながらWi-Fiを繋げるというのも凄い。

飛行機からの通信も禁止事項でなくなってきているということか。

出発予定時間が0時20分に早まったが、実際に動き出したのは結局当初の予定時間だった0時30分過ぎ。

1時頃に離陸し、眠かったがアナウンスで食事が出ると言っていたので起きている。

時間にして2時頃に配膳された食事はちゃんとしたディナー風機内食。

軽いものしか出てこないんじゃないかという読みが外れた。

いつものようにビールと共に完食し、後は基本的に寝ているだけ。

次に起きるタイミングもやはり機内食。

日本時間の9時頃に出された食事は朝食扱いっぽかったのでビールは自粛、というか寝起きであまり飲む気にもならなかった。

最初の目的地である経由地カタールのドーハに到着したのは日本時間AM11時30分、約10時間30分のフライト。

カタール時間だとAM5時30分(日本との時差はマイナス6時間)、アテネ行きの飛行機は7時30分発予定なのでちょうど良い時間。

ただ、カタールの空港での乗り継ぎにどの程度時間がかかるか分からないのでまだ安心は出来ない。

2年前にアメリカを経由してペルーへ行った時は乗り継ぎだけなのに長い列に並ばされて入国審査みたいなものをさせられたし。

飛行機からは階段で直接空港に降り立ち、バスで空港ビルまで移動。

乗り継ぎ案内板を見るとアテネ行きの便は時間通りの模様。

少し並ぶものの基本的にはスムーズに乗り継ぎ用のセキュリティチェックを済ませると現地時間6時。

初めてのドーハの空港はなかなか立派。

空港内にミドルイースト ナンバーワン エアポートみたいなことが書いてあったが、あながち間違いでも無さそう。

免税店でも冷やかそうと思ったが、まずはアテネ行きの搭乗口を確認しておこうと思い、そちらへ向かう。

そしたら意外と遠く、そこから免税店などが並ぶメインエリアまで戻るのが面倒になった。

空港内のWi-Fiも繋がったので結局アテネ行きの搭乗口前で待つことにした。

搭乗予定時刻は6時30分になっていたのに、実際には7時20分過ぎにようやく機内へ。

当たり前かもしれないが、羽田−ドーハ間よりも古い機体になっていた。

それでも1人1台のモニターがあるだけ立派なもの。

機内では先程まではあんなにいた日本人が見当たらない。

やはりギリシャ騒動が多少は影響しているのだろうか。

東洋系に見えるのは恐らく殆ど中国人、隣に座ったのも恐らく中国人。

7時40分過ぎに動き出し、10分後には離陸。

窓から見るドーハの街は高層ビルも沢山あって都会に見える。

しかし少し飛ぶと眼下に広がるのはひたすら砂漠になった。

少しして機内食が出てきたがどうやら朝食扱い。

ドーハまでの飛行機でも食べたことを思うと、この日2度目の朝食。

日本時間的にはビールでも違和感ないんだが、パッと見た感じだとワゴンにアルコールが無さそうだったので自重。

アテネまでのフライト時間は約4時間、ドーハまでの10時間以上に比べるとすぐの印象。

アテネ到着はカタール時間11時50分、ギリシャ時間でも11時50分。

ギリシャはサマータイムを採用しているため、カタールとギリシャの時差は無し。

日本と両国の時差はマイナス6時間(冬場なら日本とギリシャの時差はマイナス7時間、以降の記載は現地時間)。

アテネの空港はやや古びていて、ドーハの空港の方がよっぽど立派。

入国審査では15分ほどの待ち。

これが夜だと少し不安になるのだが、現地時間で昼12時過ぎなので焦ることも無い。

当然何事も無く入国審査と税関(誰もいなかった)を済ませる。

初めての外国で最初にすることは基本的に両替。

しかし今回はユーロ圏の国、ユーロとドルは日本から両替していった方が良いレートというのは旅の定説。

さらにタイムリーな話題で今のギリシャでユーロの現金が安定的に手に入るか分からなかったので、日本から多めに持ってきていた。

前回ユーロを使用した2012年のユーラシア大陸最西端旅行の時は1ユーロ100円と安く、計算も楽で良かった。

しかし今回は1ユーロ139円と高い。

まぁ為替レートが良くないからと旅を控えるのは本末転倒なので、こればかりは運だと思うしかない。

ギリシャ危機でもう少し下がってくれれば良かった。

2012年に両替したユーロもだいぶ余っていたので、個人的に持参したユーロのレートは120円くらいだろうか。

以降のこの旅記での表記は「この旅時点」ということを重視し、今回の旅のための日本での両替と現地でクレジットカードを使用した際の換算額を平均して1ユーロ=139円換算で記載する。

なにはともあれ、現地で両替する必要が無いというのは良い。

両替はレートを気にしたり、初めて目にする他国通貨が本当に正しい金額を渡されているのかを確認する必要があったり、色々と不安がある局面なので。

両替が不要なのですぐにでも街へ出られるが、その前に1つ。

3日後にはこの空港からオリンピック航空(ギリシャの主要航空会社の1つ)の国内線を予約していた。

事前にネットで調べるとオリンピック航空はリコンファーム(予約の再確認手続き)をする必要があるという情報も。

現在では不要になっているという情報もあったが、空港に来ているので念には念を入れてリコンファームをしておこうと思う。

ギリシャの主要航空会社はエーゲ航空とオリンピック航空の2つ。

その2つが経営統合して今は1つだとか。

日本でいうとJALとANAが1つになったようなものか。

その2つの航空会社の共通チケットカウンターに並ぶ。

プリントアウトしておいた予約詳細を受付に渡し、「リコンファーム」と言うとすぐに何か手続きしてくれた。

結局リコンファームが必要なのか不要なのかはよく分からなかったが、パソコンに向かって何か入力していたからまぁ何かしてくれたということだろう。

当日は出発の1時間前にオートマチックマシーンで手続きをすれば良い、みたいなことを教えてもらえたのも収穫。

これでようやく街に向かえる。

入国審査の時にも思ったが、昼の到着だとある程度空港でダラダラしても焦る必要が無いのが良い。

これが夜の到着だと辺りも暗くて何かと不安になっていただろう。

空港から街まではタクシー、地下鉄、バスと複数の交通機関があるのは観光立国らしさ。

最も安い交通手段はバスとの情報なのでバス乗り場へ。

地球の歩き方に記載の通り、95番のバスが町の中心部シンタグマ広場へ向かうという。

窓口で切符を購入5ユーロ(≒695円)。

バスは13時15分発、車内混雑も渋滞も無くスムーズに進んで14時10分にアテネの中心部、シンタグマ広場に到着。

地球の歩き方には所要約1時間10分と書いてあったが、55分と意外に早く到着。

念のために運転手に確認をして降りる。

シンタグマ広場はギリシャの国会議事堂前にあるため、昨今のギリシャ問題のニュース報道は勿論、集会やデモや暴動などもこの場所で起きている。

少しの緊張感を持って降り立ったが、好天の土曜の昼下がりは平和そのもの。

観光客や物売りなどもいて普通の観光地にしか思えない。

デモや暴動が起きていたのがこの場所でここ1ヶ月の出来事というのが信じられない。

少し拍子抜けした市街到着を経て、まずはホテルへ。

Expediaを使って日本から予約したホテル。

どういう仕組みになっているのか分からないが、手持ちのタブレットPCの地図と連動していて、地図上にそのホテルの場所と宿泊日が表示される。

その地図を頼りにするまでもなくシンタグマ広場から徒歩1分というロケーションにあるホテル。

敢えて探すまでもなく、ココだろうと思った場所にあった。

無事にチェックインし、部屋に荷物を置く。

もはやホテルでWi-Fiが使えることに驚きは無い。

2013年のペルー、2014年のスリランカ、失礼ながら先進国とは呼べないかもしれない2ヶ国でも使えたくらい。

いくら経済危機とはいえ、ヨーロッパの観光立国で使えないわけが無いだろう。

むしろ使えない所があったら驚くレベルにまでなっているのかもしれない。

到着のツイートをしつつ最低限の荷解きをし、好天に備えて日焼け止めを塗って街の散策開始。

まずは地図も見ずに適当に主要通りと思われる所を歩く。

厳密には誰が観光客なのか判断は出来ないが、雰囲気としては観光客が沢山で経済危機どころか国の存続危機すらあったと思われる雰囲気はゼロ。

少し歩くと左側にアクロポリスの丘っぽいものが見える。

事前の予習で街の中心部からでも見えることは知っていたが、え?もう出てきたの?という感じ。

裏からの眺めなのかイメージしていたのと違っていたのでタブレットPCの地図を起動。

GPSで表示される現在地と角度から判断するとまさにアクロポリス。

地図を見て感覚としては分かっていたが、こんなに街中からハッキリ見えるとは思わなかったのと、思ったよりも高台にあることを知った。

そして少し歩いただけで強い陽射しと暑さを実感。

近くには観光客が気軽に入れそうな飲食店・タベルナ(ギシリャのカフェの総称で、レストランより緩い食堂みたいなイメージ)が多数ある。

水分とガソリン補給を兼ねてアクロポリスが見えるタベルナに入る。

500mlのビールで4ユーロ(≒556円)というのが観光地価格な気はするが、まずはギリシャ到着後初のビール。

暑い中歩いてきただけに美味い、アクロポリスの丘が見られるロケーションがさらに美味い。

到着初日の予定は殆ど考えていなかったので、落ち着きがてら地球の歩き方を眺める。

当初の予定だと初日は体を海外に慣らすために派手な行動はしない予定だったが、実際に歩いてみると地図で見たよりも小さく感じたアテネの中心部。

ここまで歩いた距離感と太陽の高さを考えると、どこかへ行くのに充分な時間があるだろう。

とはいえアテネ観光のメインは最終日とその前日だと考えていたので、この日はあくまでも現地慣れするための1日。

そこで思い立ったのが、アテネ観光のハイライトになるであろうアクロポリスの下見を兼ねてその近くにあるフィロパポスの丘へ行くこと。

海外へ行く際には、少しだけでもその場所に対して何か予習をして行きたいと思っている。

その国の歴史でも良いし、その国を訪れた体験記でも良い。

今回、ギリシャへ行くにあたって読んだ本の1つが小田実「何でも見てやろう」。

日本のバックパッカーの走りとも言われている小田実と、そのきっかけになった著作が「何でも見てやろう」。

著者も名前も知っていたが、読んだのは初めてだった。

少し長くなるがその本の中で…

ギリシアで、いや、ヨーロッパで、私がもっとも感動したものと言えば、私はためらわずにアテネのアクロポリスの丘をあげるだろう。

私にとって、それがギリシアであり、またヨーロッパの、もっと大きく言えば「西洋」というものの、すくなくとも一つの根源であった。

アクロポリスの丘とは谷一つへだてたムーセイオンの丘から初めてそれを望見したとき、私は身動きできないほどの強力な感動を受けた。

〜中略〜

私はそれをみつめながら、これがギリシアなのだな、と思った。

いや、私はそうしながら、これが「西洋」だ、すくなくとも私が求めている「西洋」だと感じていたのだろう。

(引用「何でも見てやろう」小田実 著)

…と書いていた。

そんな場所なのであれば是非とも行ってみたい。

アクロポリスの丘は当然行く予定だが、その「谷一つへだてたムーセイオンの丘」へ行きたいと思った。

さぞかし著名な観光地に違いないと思って地球の歩き方を見ても載っていない。

マニアックな観光地なのかと思ってネットで調べてみても検索結果の上位に出てくるもので場所を特定できるものが無い。

その殆どが「何でも見てやろう」の文章を引用したページばかりだった(僭越ながらココもその一角になるのかもしれない)。

もしかして今は存在しないのか?と思って検索結果を辿っていって分かった。

ムーセイオンの丘は今や名前を変え、フィロパポスの丘となっていた。

フィロパポスの丘であれば地球の歩き方でも絶景スポットとして紹介されている場所。

小田実「何でも見てやろう」が出版されたのは今から50年以上前の1961年。

半世紀以上も前の本、現在と地名が違っていても不思議では無かった。

というわけでフィロパポスの丘へ行こうと思ったが地球の歩き方には気になる記述が…

「フィロパポスの丘周辺で強盗事件が発生している。昼間でも十分に注意すること。」

…とのことだった。

実際に近くまで行ってみて周囲の雰囲気を感じてから判断することにしよう。

休憩中の現在地は古代アゴラと呼ばれる観光地の入口近く。

地図を見る限りアクロポリスの丘周辺を経由してフィロパポスの丘まで歩けそうな距離。

というわけでアクロポリスの丘周囲の道を歩こうとするが、丘だけあってそこそこ登らされる。

アクロポリスの丘入り口(複数あるうちの1つ)の時点で高台になっており、展望スポットにもなっているようで観光客も集まっている。

折角なので登ってみると、そこから見渡せるアテネの景色も壮観。

フィロパポスの丘に登らなくてもココで充分なんじゃないかという思いの一方、ココでこのレベルってことはちゃんとした丘だとどれだけのものなんだろう。

さらに歩くとアクロポリスの丘への正面入り口があり、さらに進むと観光バスが沢山止まっている場所に出る。

警察官がいたのでフィロパポスの丘の場所を聞くとこの道をまっすぐ、とのこと。

アクロポリスの丘入口から歩いて数分で到着したフィロパポスの丘入り口。

丘と言うだけあって少しの登りだが歩道は整備され、木々が鬱蒼と茂っているわけでもなく、木漏れ日あふれるチョットした登り坂という感じ。

ただ観光客は殆どおらず、薄暗い時間帯だったら少し不安を感じたかもしれない。

現地時間16時過ぎ、好天の日はまだ高く周囲は明るい。

すぐ近くに警察官もいたし大丈夫だろうと判断して登り始める。

僅か5分ほどで頂上のモニュメントに到着。

そして確かにそこから見渡すアクロポリスの丘やアテネの街並みは壮観そのもの。

何よりもアクロポリスの丘のパルテノン神殿が真正面から見える。

フィロパポス
パルテノンを望む

アテネではリカヴィトスの丘というのが最も高い丘で景観を売りにしている。

しかし角度的に正面からパルテノン神殿を眺められるのはフィロパポスの丘だけだと思う。

そしてアテネ市街は勿論、エーゲ海まで綺麗に見渡せる。

丘を登っている間は観光客に会わなかったが、頂上には数人の観光客がいた。

それでもアテネの街やアクロポリスの丘近くの展望台に比べると格段に少ない観光客。

入場無料で景観は良いのに観光客が少ない。

「パルテノン神殿を正面から見られる唯一の丘」みたいなキャッチフレーズ付ければ入場料を取るに充分。

もっとアテネの名物に出来る気がした。

頂上には見張り小屋みたいなものがあり、係員みたいな人もいた。

観光シーズンという時期的な問題もあるのだろうが、治安は問題無いように思えた。

仮に治安が悪いという情報が観光客を遠ざけているのなら、入場料を取ってそれを警備に充てても良さそう。

肝心のパルテノン神殿だが、正面は工事中のようで全面にネットみたいなのがかかり、大きなクレーンもいる。

近くで見たら興醒めしてしまうかもしれない。

だが遠くから見る分にはあまり気にならない点も含めてフィロパポスの丘はオススメ。

↓巧く表示されなかったらココをクリック。

モニュメントのある頂上付近の他にもエーゲ海側にも丘の上が広がっていたのでその辺まで歩いてから下山。

そのまま観光客が集まるプラカ地区をブラブラ歩く。

観光立国だけあって土産物屋が沢山あり、職場への土産に良さそうな菓子類も揃っている。

最近の旅先でこうした分かり易い土産物屋がここまで沢山あるのは久しぶり。

機内食から何も食べていないのでブラブラしつつ良さそうな店があったら入ろうと思っていた。

ハッピーアワーを掲げている店があれば良かったのだが、巧い具合に見つからない。

タベルナも沢山あってその気になればどこへでも入れるが、沢山ありすぎて逆に選べない雰囲気。

困ったときの地球の歩き方、というわけでそこに載っている店に入る。

ケバブが有名な店ということでスブラキというギリシャ風焼き鳥みたいなものとビール。

ビールは500mlが2.8ユーロ(≒389円)と良心的、焼き鳥は8.8ユーロ(≒1,223円)とそれなり。

焼き鳥といっても日本の焼き鳥の数倍の大きさの鶏肉が5,6キレとピタパン、ポテト、トマト、オニオンがワンプレートに載ったメインディッシュ的なものでボリューム充分。

普通のディナーと考えれば違和感ない。

ビール1杯では足りず、330ml(2ユーロ≒278円)も注文。

合計13.6ユーロ(≒1,890円)、クレジットカードが使えるかと聞いたら大丈夫だったので使用。

昨今のギリシャ情勢からクレジットカードが使えずに現金決済のところが多いという情報もあったので不安だったが、地球の歩き方に載っているようなそれなりの店なら大丈夫ということか。

食後は19時くらいだったがこの時期のヨーロッパではお馴染みの全然暗くない空。

アテネ到着初日の行動としてはもう充分かなと思いつつ、ただホテルに戻るのもなんなので少し遠回りをしてオモニア広場という交通の要所になるアテネもう1つの主要広場へ。

ココも周辺の治安はあまり良くないとのことで、確かにシャッターの落書きなどそれっぽさは多少ある。

ただまぁ想定の範囲内というか、明るいうちなので大丈夫そう。

そこからシンタグマ広場を経由してホテルへ戻る。

途中の売店で水500ml0.5ユーロ(≒70円)と缶ビール1ユーロ(≒139円)を購入。

スーパーはあまり目にせず、コンビニみたいな店も無かったが、キヨスクみたいな売店はアチコチにあった。

それがコンビニのような役目を果たしていそう。

何軒か覗いてみたが、水とビールの相場は分かった。

ギリシャの水道水は飲める水準らしいが、海外では不測の事態を避けるためにミネラルウォーターにしている。

ホテルに戻ってシャワー浴びてビール飲んで一息。

到着初日にして精力的に動いた気がする。

翌日は朝からメテオラ観光の拠点となるカランバカへ向かう。

アテネから列車で約5時間の移動を想定。

チケットは事前にネットで購入してプリントアウトしておいたが、不安の種は列車がちゃんと動いてくれるのかどうか。

ギリシャでのストライキは日常茶飯事という情報に加えて昨今の経済情勢もある。

この日に街を歩いた感じだと観光に関しては問題無さそうだから大丈夫だと思いたい。

時間は現地時間22時過ぎながら到着初日の長い1日を終え、久々のベッドで就寝。

 

 

2015年7月26日 日曜日 ↓次へ ↑前へ ↑↑トップへ

この日の目的地はギリシャ行きを決めた時に最も行きたかった場所、メテオラ。

メテオラはギリシャの内陸中部に位置し、独特な形状の岩山とその上に14〜16世紀頃に建てられたという修道院が有名な世界遺産。

隕石とか浮遊物だとかの単語がメテオラの名前の由来であり、ファイナルファンタジー(FF)の呪文メテオとも相通じる。

さらに岩山の上の修道院ともなるとFFとドラゴンクエスト(ドラクエ)を併せたような世界観。

FFとドラクエ世代の旅好きとしては外せない場所。

そのメテオラへの玄関口となるカランバカへ向かう列車は朝8時27分発の予定。

絶対に寝坊は出来ないので携帯電話のアラームをセットするが、それより早い6時過ぎに自然起床。

これは充分な睡眠を摂ったからか、身体がまだ時差に慣れていないのか、気が逸って早く起きただけか。

どちらにせよ朝食が6時30分からとのことだったので早速行く。

この日の午前は移動に費やすので朝飯はしっかり食べておく。

そうした意味でビュッフェは最適、品数も質も悪くなかった。

朝食を終えて7時45分にはホテルをチェックアウト。

列車が出るアテネ中央駅にあたるラリッサ駅までの移動手段は徒歩。

前日に歩いたオモニア広場からシンタグマ広場までの距離がオモニア広場からラリッサ駅までの距離と同じくらい。

30分もあれば歩ける距離だが地下鉄の方が早い。

とはいえ地下鉄は未体験なので乗り方や行き先、そして万が一のストライキなどのリスクがある。

前日にアレコレ考えた末に最も確実な移動手段である徒歩を選択した。

前日に下見としてオモニア広場からホテルまで歩いていたのでそこまでの感覚は掴めている。

オモニア広場からラリッサ駅までは、ちょうどホテルからオモニア広場と同じ距離感。

とはいえ、見知らぬ道を歩くとコッチで良いのか不安になる。

念のため途中で通行人に確認して正しいことを確認。

予想通り30分で到着した駅、え?コレ?と思うレベルの駅舎。

日本ならば東京駅にあたるはずなのに予想以上に小さく、周囲も栄えていない。

本当にこれがアテネ中央駅であるラリッサ駅なのだろうか。

半信半疑で駅舎に入ってみると案内板にはちゃんとカランバカ行きの列車の記載がある。

そしてホームへ出てみると観光客と思われる人がいっぱい。

数分で列車が到着し、乗客が乗り込む。

ビールでも買って乗り込みたかったが、パッと目に付いた売店にビールは無し。

まさか出発時間前に発車するとは思えないが、海外だと何が起こるか分からない、ビールは諦めてさっさと列車に乗り込む。

駅員みたいなのにネットでプリントアウトしたチケットを見せて乗る号車を確認。

なお、列車は片道11.2ユーロ(≒1,557円)、距離と時間と指定席ということを考えれば妥当なのか。

日本で5時間も指定席で列車に乗ると考えたら1,500円強は安いだろう。

車内は綺麗に整備された普通の客車、スリランカのコロンボ−キャンディ間の列車とは大違い。

全席指定のようで、忙しなくないのも良い。

隣の席にはオバサンが座ったが、後から来たオジサンと一緒にどこかへ行って戻ってこない。

出発時間通りの8時27分、発車のアナウンスも無しに出発。

日本の特急電車並みに揺れも少なく、車内の空調も効き、シートも堅くなくて快適。

車窓の景色はまぁ特筆すべきモノはないが、悪くない。

30分ほどして検札が来たが、プリントアウトしたチケットを見せて問題無し。

アテネを出てすぐに2駅ほどに止まったが乗客の乗降は確認できず。

予定では4時間50分ほどの列車旅、このまま隣席に誰も来ないのが理想。

思ったよりも所々の駅で止まることが多く、なんとなく落ち着かない。

長距離列車でトイレは付いているようなので、食堂車や売店があっても良さそう。

探しに行きたい気もするのだが、ノンストップではない列車内で荷物を置いて散策するのは少し不安。

この辺りが1人旅の不便なところ。

隣は来ないし、朝のビュッフェのおかげで腹も減らないし、これ以上望むのは贅沢かなとおとなしく席に座って車窓を眺める。

車窓からの景色はひたすらギリシャの田舎、という感じで畑にスプリンクラーで派手に水が撒かれている光景を何度も見た。

列車の切符を買ったギリシャ鉄道公式サイトのタイムスケジュールだと所要時間は4時間50分だったのでそろそろなんじゃないかと思うような時間帯になってきた。

ただ、事前にネットで色々見た情報によると遅れは常態化しているとの情報も。

カランバカ到着は14時、事前の予定だと13時18分到着予定だったのでやはり遅れたようだ。

それでも真昼間の時間帯なので問題は無い。

世界遺産メテオラの玄関口とは思えないほど質素なカランバカ駅をで出るとすぐに現れる巨岩っぽい山にテンションも上がる。

まずはホテルへ向かうためにメインストリートへ。

アテネから来たのでコレがメインストリート?というレベル。

人も車も殆どいない。

辛うじて道路沿いの商店やタベルナ、カフェの数が観光地を感じさせるくらい。

ホテルはそのメインストリート沿い。

チェックインしようとすると部屋の準備をしているからと少し待たされる。

ロビーで何するでもなく座っていると気さくなホテルの親父がアイスコーヒーをご馳走してくれる。

いわゆるギリシャ版アイスコーヒーなのかとても濃い甘さのアイスコーヒー。

そして何も聞いていないのにメテオラ観光のことを色々教えてくてフレンドリー。

ロビーに他の客は誰もいなかったので単純に暇だっただけかもしれないが。

ホテルの部屋は簡単なイスと机が置いてあるベランダまであり、そこからはメテオラの奇岩がしっかり見える。

小さいながらバスタブも付いた部屋で、今回の旅で予約した中では最も安いホテルだったが内容としては当たりだと思う。

相対的な当たりなのかどうかは旅の最後まで分からないが、コスパでは間違いなく上位に入りそう。

ホテルで一息ついてから早速行動開始。

メテオラの修道院巡りは翌日の予定だが、この日のうちに行く必要がある所が1つだけ。

アギオス・ステファノス修道院、そこだけは翌日の月曜日が休みなのだ。

昼飯を食っていなかったが、幸いにして朝に沢山食べたバイキングのおかげで空腹感は殆ど無い。

修道院は17時30分には閉まるということなのでとりあえず行ってみることにして15時、行動開始。

メテオラ観光は基本的にバスやタクシーを使う。

だが目指すステファノス修道院はカランバカの麓からトレッキングコースで近くまで行けるという。

折角なので脚を使って距離も体感したいので歩くことに。

町の中心部セントラル広場まで行くとそれなりに観光客はいるが、大賑わいとは程遠い。

7〜8月のギリシャは観光シーズンとのことだったが、メテオラではそれほどでもないのか。

セントラル広場からは道路もジワジワと登っていく。

いくつかのホテル(というよりゲストハウス)などが並ぶ通りを経て、いよいよ本格的なトレッキングコースの開始。

この時点で奇岩がすぐ近くに迫ってかなりの迫力。

トレッキングコースは獣道のようになっているので道を間違える心配はなさそう。

しかしアブなのかブンブンと耳障りな虫がまとわりつき、天気が良くて陽射しも強く数分で汗だく。

鬱蒼としたトレッキングコースを歩くが、他に登っている人も降りてくる人もいない。

きつくなる山道、強い陽射し、暑いし喉乾くし疲れる。

そしてゴールまでどのくらいか分からないことが精神的な疲労を生む。

持参した500mlの水がアッという間に減っていくが、ゴールが見えない状況で飲み切るのは危険。

かなり登った気がするのに誰にもすれ違わない。

1本道なので道を間違えようもないはずだが、誰も人がいないと不安になる。

タブレットPCの地図とGPSで現在位置は確認できるが、そもそも道なき道みたいなトレッキングコースなので山の中に現在地が表示されるだけ。

近付いているのは分かるが残りどのくらいなのかがピンと来ない。

相変わらず前にも後ろにも誰もいない。

今のところ体調に問題は無いが、発作的な何かが起きてココで倒れても誰にも気付かれないのではないか。

真夏の観光地でそんなことは無いだろうと思いつつも、ほんの僅かではあるが遭難の危機を感じた。

無事に上まで辿り着けたら帰りはどんなに高価でもタクシーを使おうと思いつつ登る。

まさに心が折れそうになったときに登山道が終わり、整備された石畳の道が出てくる。

この時の安堵感は相当なものだった。

助かった…が、目指すステファノス修道院はまだこれから歩く。

しかしココまで来るとタブレットPCの地図にも道が示されているので精神的にもかなり楽。

だだっ広い車道に出ると車も通り、ようやく人の気配が感じられた。

近くの岩山の上に修道院が見えたり、遠くのゴツゴツした岩山が見えたりかなりの絶景。

登っているときもそれなりに絶景だったのだが、楽しむ余裕が無かった。

精神的な余裕も出来るとそれらの景色がより美しく感じられる。

そして到着したステファノス修道院、カランバカの町で見たよりも多くの車と観光客がいる印象。

駐車場には売店もあり、砂漠の中にオアシスを見つけた気分。

入場料3ユーロ(≒417円)を払って修道院内へ。

観光客だらけで辟易ってレベルではなく、程々の観光客。

ステファノス修道院は尼僧院で、確かにいるのは女性ばかり(但し、若い女性は見当たらなかった)。

まぁそれは良いとして修道院内の教会の壁画や天井画はなかなか見応えがあり、苦労して登ってきただけあって感慨もひとしお。

そして最も綺麗だったのは修道院の庭から見下ろすカランバカの町の景色。

あんな所から歩いて登ってきたんだなと我ながら大したものだと思う。

修道院内には小さいのも含めて猫が数匹いて、人を全然恐れずに観光客に触られるがままになっている。

修道院に相応しい平和な光景にほのぼのする。

陽射しは強いが高所かつ乾燥しているので日陰に行くと風が気持ち良い。

汗が引くのを待ちつつ、一体ここまでの厳しい登りはどれくらいの時間だったのか、途中途中で撮ったデジカメの撮影時間を見てみる。

すると登山道の入口っぽい所から、出口っぽい石畳に出るまでは時間にして約20分。

永遠のようにも感じられた苦行が実は僅か20分だった。

平地での20分なんて飯食っている間に終わってしまう、時間の感覚というのは不思議だ。

一休みして回復したら下りも20分なんて大丈夫だろう、と思ったがイヤイヤ今はそうでも歩き出したら後悔するパターン。

初志貫徹で帰りはタクシーを使う決意を新たにする。

地球の歩き方を見ると修道院前に公衆電話があるのでそれでタクシーを呼ぶらしい。

タクシーの相場は平均的に10ユーロ(≒1,390円)と高いが、背に腹は代えられぬ。

修道院を出て駐車場へ行くと確かに公衆電話はある。

ただ、タクシーの電話番号が分からない、それ以前にギリシャで公衆電話のかけ方が分からない。

なんとなく日本でたまに見るタクシー直通電話みたいなのをイメージしていたがそうではない。

さて困った、どうやってタクシーを呼べばよいのか。

修道院群は山の上にあるので流しのタクシーはいない。

駐車場には数台のタクシーが止まっているが誰がドライバーなのか分からない上に、そもそもそれらはチャータータクシーの可能性が高い。

とりあえず誰かに聞いてみようと、売店の前にいたオッチャンにカランバカまで行きたいのだがタクシーをどう呼べば…みたいなことを聞いてみると「あのバスが17時にカランバカまで行くぞ」と教えてくれる。

え?バス?確かにバスが止まっている。

地球の歩き方にカランバカの町からメテオラ行きのバスの記載はあったが、逆のバスについては何も書いていなかったので帰りのバスがあるとは思わなかった。

時間も17時まで15分ほどと絶妙。

旅をしているとたまにこうした「ついている」瞬間がある。

行きに苦労して山道を歩いてきたおかげだと思うことにする。

既に数人が乗っているバスに乗り込んで出発を待つ。

ドライバーとして乗ってきたのはさっき売店の前でバスのことを教えてくれたオッチャンだった。

料金は1.8ユーロ(≒250円)、タクシーを使っていたかもしれないことを考えると1/5以下とかなり安上がり。

ステファノス修道院はメテオラの修道院群の中でも奥に位置しているため、そこから主要道路を通って主要な修道院を経由して走ってくれる。

翌日に歩こうと思っていたコースを逆走してくれている感じ。

期せずして翌日の下見が出来た。

時間の関係もあるのかもしれないが歩いている人は誰もいなく、太陽を遮るモノも無いのでかなり暑そう。

翌日の行動は翌日に決めるとして、歩くとなるとかなりの覚悟は必要そうだ。

バスはメテオラの麓にあるカストラキ村を経由してカランバカのセントラル広場に戻ってきた。

約2時間前にスタートした場所、ココから見えるあの上まで脚で登っていったんだと思うと達成感と充実感に包まれる。

そして出発してから2時間ほどしか経っていないことにも驚き。

旅の間は日常とは違う時間が流れていることを実感する。

夕飯はセントラル広場近くにいくつかある半屋外のレストランというかタベルナみたいな所。

店員にクレジットカードが使えるか確認したが1軒目では断られ、隣の店は使えると言われたのでそこに決める。

ビール500ml(3.3ユーロ≒459円)と、ムサカというギリシャ料理(8.4ユーロ≒1,168円)。

ムサカは挽き肉にナスを混ぜたモノをポテトとチーズで挟んだパイみたいなものでギリシャの家庭料理の定番だとか。

似たような料理が子供の頃の実家の食事でもあったので、美味しいのは勿論のこと懐かしい気分にもなった。

心身ともに疲れた後のビールと食事、今回の旅で1番美味いビール候補の上位に食い込むだろう。

そしてこの日に泊まる予定のホテルのオッチャンもそうだったが、ココでも店員がフレンドリー(時間的に18時前で客もあまりいなくて暇なのかも)。

どこから来たのか聞かれ、ジャパンと答えると「オレは日本好きだけど最近大丈夫か、フクシマ、ツナミ、アースクエイク」と英語で言われた。

全部3.11関連じゃねーかと思いつつも、ギリシャのカランバカにいるレストランの店員がフクシマなんて言葉を知っているほど良くない意味で有名なんだなと複雑な気分になった。

別に店員も悪気があって言っているわけではないのでイヤな気持ちにはならなかった。

この日の行動はこれで終了。

翌日の予定が無ければ2次会としてバーにでも行くんだろうが、どちらかというと翌日がメテオラ観光の本番。

それ以前にカランバカに分かり易いバーみたいなのは1,2軒見かけたレベル。

おとなしく翌日のメテオラ観光に備えるのが吉。

ホテルへの帰り際に商店で缶ビール1.2ユーロ(≒167円)と翌日に備えた500mlペットボトルの水(0.4ユーロ≒56円)を2本購入。

狭いながらもバスタブ付きの部屋だったので前日と合わせて2日分のTシャツとパンツを洗濯。

明朝までに乾くか不安だったが絶好の乾燥場所を見つけた。

部屋のベランダにあるエアコン室外機の前。

ベランダにデッキチェアーがあるのでそれに洗濯物をかけて生暖かい風が出る室外機を向けると簡易乾燥機の出来上がり。

乾燥した外気との相乗効果でそれなりに乾いてくれそう。

こういう時のためにというわけでは無いが、洗濯ばさみはいつもバックパックに入っている。

洗濯を終えるとバスタブに入って体を洗い、風呂上がりビールを飲む頃には現地時間の21時過ぎ。

この時間でもまだ仄かに明るい外。

2011年のロシア、2012年のスペインはいずれも8〜9月の旅だったが21時頃まで明るかった。

夏場のヨーロッパに来る度に思うのだが、時差の設定がおかしい気がする。

もっとも、欧州人に言わせると日本の時間設定の方がおかしいのかもしれない。

 

 

2015年7月27日 月曜日 ↓次へ ↑前へ ↑↑トップへ

メテオラ観光に充てる1日。

メテオラ観光の拠点となる修道院へ行くバスの時間から逆算した時間に起きようとアラームをセットしたがそれより早く6時過ぎには起床。

前日といい、アラーム無しで起きられるのは良い傾向。

ベランダに干しておいたTシャツは見事に乾いていると同時に、ベランダから見える奇岩の向こうに朝日がぼんやり。

朝焼けが見られたら最高だったが、さすがにそこまで望むのは贅沢か。

天気は良いだろうと思わせる朝の景色。

チェックアウトの準備を一通り済ませてから朝食へ。

値段の割に立地や部屋の質、従業員の対応が良いホテルだったが、朝食は正直イマイチ。

ビュッフェなのだがハムとチーズが1種類ずつしかなく、フルーツやヨーグルトも貧相。

メテオラを歩いて回るこの日は恐らくこの旅で最も運動する日になるはずなので、同じハムとチーズを大量に摂取する。

朝食を楽しむというよりもこの日のための栄養源を溜めるという要素の方が強い。

朝食やトイレなど諸々を済ませてチェックアウト。

Booking.comの現地清算で32ユーロ(≒4,448円)って安い。

チェックアウト時のフロントにいた女性はメテオラを歩くためのコースを丁寧に教えてくれた(勿論、荷物も預かってもらえた)。

サービスレベルは高くて部屋もそれなり、朝食はイマイチだったが値段を考えると総合的にはかなり良かった。

メテオラへ向かうバスはセントラル広場へ行かなくてもホテルの近くから乗ることが出来るとのこと。

バス乗り場はカランバカの高級ホテル、ディバニ・メテオラの前。

バスが来るまでは時間があったので高級ホテルのロビーを冷やかす。

明らかに外国人観光客の身なりだと高級ホテルでも堂々と入ることが出来る。

駐車場には専用と思われる観光バス、入り口前にプール、ロビーや併設されたバーにも高級感。

旅の計画中には今回の旅のメインだし1泊だしココに泊まろうかとも考えていた。

ただ旅の序盤に高級ホテルに泊まってしまうと後が貧相に思えてしまいそうで止めておいた。

結果的に高級ホテルの半額以下で泊まることが出来たホテルで充分満足できたから正解だっただろう。

勿論、予想とのギャップによる過大評価もあるかもしれないが。

9時に来る予定のバスを待つために8時50分過ぎにバスが止まると言われた所へ行ってしまうのは日本人のサガか。

そう思ったが既にアジア系の中年夫婦が待っていた。

英語で声をかけられたので少し会話をするとオーストラリア人とのことだった。

その後も数人の観光客が来てバスを待つ。

ギリシャのバスが時間通りに来るはずもなく、9時5分過ぎにバス到着。

どこから出発するバスなのかは分からないが、既に数人の乗客。

料金は前日と同じ1.8ユーロ(≒250円)。

カランバカの中心部であるセントラル広場に着くと結構な客が乗ってくる。

その後もメテオラ奇岩群の麓にあるカストラキ村のホテル前などを経由し、最終的には座り切れないくらいの客。

9時35分にメガロ・メテオロン修道院に到着。

メテオラにある最大の修道院にして、メテオラ観光の拠点ともなる所。

ココからこの日の観光が始まる。

メガロメテオロン修道院
名前からして壮大

岩山の上に立つ修道院、一旦は階段を下りて入口まで到達してから再び修道院までの階段を登る。

入場料は前日のステファノス修道院と同じ3ユーロ(≒417円)。

なお、どこの修道院でも入場料は3ユーロ。

メテオラ最大の修道院を謳うだけあって中も多彩。

博物館あり、髑髏(しゃれこうべ)が大量に納められた部屋あり、見晴らしの良い場所あり、土産物屋あり。

ギリシャの歴史を紹介したパネル絵なんかもあり、ナチスドイツをいかにも悪者に描きました、みたいな絵もチラホラ。

昨今のギリシャ危機でユーロの親玉みたいな感じのドイツ首相と、ギリシャ首相の会談(交渉?)や、ネットだけの情報ながら「ドイツは第2次大戦の賠償をしろ」みたいに言うギリシャの国民性みたいなのを思い出す。

恐らくギリシャ人とドイツ人の相性は良くないんだろうなと思わされた。

一通り修道院内を歩き、大きさも含めてこの修道院が主要な所だというのが頷ける。

とはいえ次の修道院へ行くことを考えるとあまりゆっくりしてもいられない。

ヴァルラーム修道院
次の修道院、RPGの世界

10時30分にメテオロン修道院を出て、次の修道院であるヴァルラームへ。

メテオロン修道院のすぐ隣にあるヴァルラーム修道院まで歩いて10分程。

ただ、入り口までは10分で行けるがそこから修道院までは階段を登る必要がある。

初日に行ったステファノス修道院以外は全て階段を登らないと行けない作りになっている。

異教徒や侵略者の迫害を逃れて岩山の上に修道院を築いたとされている。

そう簡単には行けない歴史的背景も含めて世界遺産に相応しいと思えてしまう。

高台に架かる橋を経由し、階段を大量に上って修道院内へ。

メテオロン修道院の後なのでスケールが小さく感じる修道院。

教会本堂の内装も前日から数えると3つ目になり、新鮮さも薄れてくる。

ギリシャ正教やキリスト教の関係者なら何かしら感慨があるのかもしれないが、申し訳なく残念ながら私は単なるミーハー観光客。

はぁー、ココもこんな感じかー、といったレベル。

よし、次、ということで11時10分にヴァルラームを出てルサヌ修道院へ。

最初のメテオロンからヴァルラームまでは近かったが、次のルサヌはそれなりに距離がある。

いよいよ本格的な徒歩の旅が始まった。

殆ど誰も歩いていないどころか車もあまり通らない車道をただ歩く。

見渡す景色は岩山が連なるメテオラ、さっきまでいた修道院が岩山の上に見える。

殆ど人がいない状況はその景色を独り占めしているように錯覚させる。

一方で陽射しは当然強く、遮るモノもないので辛い。

日焼け止めは勿論、水もペットボトル500mlを2つ用意したのは正解。

↓巧く表示されなかったらココをクリック。

ヴァルラームから30分弱歩いてルサヌ修道院に到着。

この間の徒歩のルートではメテオロン、ヴァルラームに加えてルートから外れるので今回は行かないアギオス・ニコラオス修道院が同時に見られるスポットが目白押し。

立ち止まる度に良い景色でキリがない。

修道院全制覇を考えるとアギオス・ニコラオス修道院も行きたかったが、どうしてもココは一筆書きで行けないルートで無駄な往復が発生してしまう。

各種ガイドブックを見ても「教会内部の壁画が美しい」くらいしかアピールポイントが無さそうだったので外した場所。

こういう所はいつか来るかもしれない「次」に取っておくことにしている。

というわけでルサヌ修道院へ。

初日に行ったステファノス修道院と同じで尼僧院(そして初日と同じく若い女性は…)。

これまでで1番こぢんまりとした修道院。

展望台からの景色は良かったがまぁそれくらい。

どうしても回を重ねる毎に感動は薄れていく。

ルサヌ修道院からは軽いトレッキングルートを通ってショートカットができる。

前日のカランバカの麓からのコースよりも緩く、人もチラホラ歩いている。

そのトレッキングルートを抜けると景色の良い所に出て、そこからだと4つの修道院が綺麗に見渡せる。

故に観光客も大量で、アチコチで写真を撮る連中が。

多分ココから見るメテオラが最高のスポットかもしれないと思って私もそこでアチコチパチパチ。

落ち着くとこの日最後の修道院であるアギア・トリアダ修道院を目指す。

この日最長の距離を歩くことになるので改めて気を引き締めてスタート。

歩いている途中でまたもや景色の良いヴューポイントが。

景色が良い所には大型バスが止まっていて観光客がいっぱいいるのですぐに分かる。

行ってみると確かにココも素晴らしい。

さっきはアッチが最高だと思ったが、コッチも捨てがたい。

どこを取っても(撮っても)絵になる印象。

↓巧く表示されなかったらココをクリック。

大型観光バスはツアーの時間制らしく、数分経ってバスが引くと一気に観光客が減る。

残っているのはタクシーチャーターかレンタカーか私のような徒歩客しかいない。

もっとも、歩いている人は殆どおらず、特にアギア・トリアダまでのコースだと西洋人の若い女性を1人見かけただけだった。

真夏で好天のメテオラを歩いて回るような物好きはそうそういないか。

直線距離だとそんなに遠くないのだが、山肌に沿って道が作られているので距離はある。

アスファルトでしっかり舗装された車道はたまに観光バスや車が通るが、数分に1台という頻度で危険さは無い。

むしろ危険なのは炎天下で遮るものが無い直射日光。

車道の照り返しも厳しく、水と帽子と日焼け止めは必須。

アギア・トリアダの駐車場に着いたのは12時55分、そこから修道院への入り口へ向かう途中で気が付いたのは前日に私が通ったトレッキングルートがあること。

なんだ、ここに繋がっていたのかと思った。

メテオラの各修道院から14時にカランバカへ戻るバスがあるとホテルの人から聞いていたが、トレッキングルートが途中にあるなら使っても良いなと思った。

ここまで思ったほど体力を消費しなかったし(それは前日のうちにバスに乗ってルートの距離感がなんとなく分かっていたからだと思う)、前日に登ってきたルートを下るだけなら未知の場所でもないし大丈夫だろうと踏んだ。

どこの修道院へ行くのも同じ急な階段を上ってトリアダ修道院の入り口についたのは13時5分。

このトリアダ修道院と前日に行ったステファノス修道院の2つは最初に行った修道院群から少し離れた場所にあるためか観光客数も少な目。

ここも教会内部よりは景色の方が売りな気がした。

遠くに見える修道院群とカランバカの町が一望できる展望台。

私にとってはこの日最後の修道院。

来るべくトレッキングコースの下山に向けて日焼け止めなどを再装備しつつ休憩。

休憩中に目に入ったのはこの修道院までの徒歩コースで常に私の前を歩いていた西洋人女性。

なんと向こうから話しかけてきて、アギオス・ニコラオス修道院が何時まで開いているか知っているか?と聞いてきた。

徒歩コースから外れるので私は行かなかった修道院のことだ。

地球の歩き方を見ると開いているのは15時30分まで、残り2時間ほどだと伝える。

現在いる所からかなり歩くことになるが、2時間なら行ってくるわ、みたいなことを言って去って行った。

彼女が去った後でこれは一緒に歩いていけば何かしらの運命の1つだったのかもしれないという思いが。

ただ私には時間的にも体力的にも気力的にもそこまで出来なかった。

万が一、この後で会うことがあったら運命かもしれないと思って声をかけることにしよう。

そんなこんなでトリアダ修道院を出たのが13時35分、トレッキングルートには13時40分。

前日は誰もいなかったルートだが、今回は降りるまでに3組ほどの観光客とすれ違った。

山道なのでハローと挨拶をすると日本と同じように100%返ってくるのが心地良い。

前日に誰もいなかったのはやはり時間のせいだったか。

距離感がなんとなく分かっているので前日ほどの苦痛は全くなく、14時5分にトレッキングルートの入り口に到着。

そこから地球の歩き方に載っていた11世紀の教会という所まで行ってみたが、昼休みということで開いていなかった。

元の道に戻って14時25分にセントラル広場に戻ってきた。

朝の9時から約5時間30分のメテオラ観光だった。

前日と同じ店ではつまらないのでその近くにいくらでもあるタベルナというかカフェというかレストランというか。

とにかくビールがあればどこでも良い。

ガイドブックに載っている店以外に入る場合は店の外観・内装・客層・客入りで決める。

綺麗すぎず汚すぎず、観光客がいつつも混んでもなく、閑散としてもいない。

セントラル広場にある店は全部同じレベルだった。

同じレベルならと名前で決めたレストランメテオラという所に入る。

席に案内されるよりも先にウェイターが厨房へ連れて行ってくれる。

厨房のフライパン?鉄板?にいくつも並んでいるそれぞれのメニューを指さして英語で教えてくれる。

聞き取ることが出来た英語と実物の見た目からチキンチリペッパーなんちゃらserved with riceを注文。

そして何はなくてもビール。

炎天下を歩き、この旅で最大の目的を果たした後のビールは前日にも増して美味く、500ml瓶をアッという間に完飲。

チキンなんちゃらも美味しく、2本目も消化。

この後はアテネに戻る列車に乗るが、出発までだいぶ余裕があったので3本目を注文。

店からWi-Fiの繋がりも良かったのでツイートしたり、これまでの旅記を一気に書き上げる。

こうして旅の細かい目的の1つ1つを果たして飯食ってビール飲んでいる時が1番充実している。

ドラクエやFFになぞらえると、修道院を周って経験値を溜めてレベルアップ。

最後にビールでHPとMPを回復するRPGの世界を体感したイメージ。

メテオラでは何1つ外れなく終われた。

旅記を書きつつ振り返るメテオラ。

全部で6つの修道院があり、敬虔かつ禁欲的な生活を送っていると思われるが、それぞれの修道院(全てではなかったと思う)の中ではお土産も売っていた。

世俗的にならざるを得ない現実みたいなものを見た気がした。

特に今のギリシャで経済的なことを考えると余計に。

後は折角6つの修道院があるのだから全部回るスタンプラリーみたいな企画をしても良いんじゃないかとこれまた罰が当たりそうなことも思い浮かんだ。

レストランはビール500ml×3とメインで計20.5ユーロ(≒2,850円)とそれなりの値段。

まぁ充実していたので良しとしよう、クレジットカードも使えたし。

ホテルに戻って荷物を受け取り、カランバカの町ともお別れ。

ほぼメテオラ観光だけの町ながら、観光客で溢れかえっているようなこともなくて良かった。

駅へ行くと既に列車が到着している。

出発までは時間があったので駅近くの売店でビールと水、計2ユーロ(≒278円)を購入。

今回の席は向かい合わせの席。

行きのように普通の席の方が良かった。

ネットの座席指定では向かい合わせの席を避けたつもりだったが、ちゃんと指定できていなかったのか。

幸い横と正面には誰もおらず、斜め向かいにアジア系オバチャン。

英語で話しかけてきて、オーストラリア人とのこと。

修道院いくつ回ったのか、これからどこへ行くのか、どうやら話好きのオバチャンっぽい。

話している途中で朝のメテオラ行きバス停で話したオバチャンだと気付いた。

あの時は旦那がいたはずだが…と思ったら別の席に座っていた。

そして最後の修道院で話した西洋人女性には結局あれから会わなかったなということも思い出した。

当たり前だが運命なんてそうそう無い。

列車は時間通りに発車し、すぐに到着するトリカラという交通の要所となっている駅で大量の人が乗ってくる。

私の横と正面も埋まり、一気に窮屈になった。

新しく乗ってきた同席者はお互い知り合いと思われる恐らく現地人の若者なのに全く喋らずにそれぞれ音楽を聴いている。

私も疲れていたので慣れない英語で気を遣った会話をするよりは良かった。

車内は行きよりも混雑して、立ち乗り客が出るくらい。

全席指定じゃないのか、自由席から流れてきたのか。

所々で携帯電話が鳴り、結構な大声で喋りだす。

行きは色々とワクワクしていたから良かったが、戻りは環境含めてイマイチ。

21時を過ぎると外もじわじわ暗くなり、ウトウトしているうちに外は真っ暗。

当然のように予定時間の5時間では着かず、いつ着くのか分からない状況。

特に外が暗いと不安が増長される。

せめてこの日のうちに着いてくれれば。

車内アナウンスで「アテネ」と言った気がして、乗客が一斉に降り支度を始める。

フィニッシュ?と近くの人に聞くとそうだという。

22時55分、予定より30分ほど遅れてアテネ・ラリッサ駅に到着。

往路でもそうだったが、レールの上を走るだけの列車で渋滞も無いはずなのに遅れるってのはどういうことなのか、と思うのは日本人の発想か。

この日のホテルは列車到着が遅くなることが分かっていたのでラリッサ駅前。

駅を出ると右手にホテルの灯りが目立ち、徒歩1分。

23時を過ぎ、どこかで飯を食べる気力も無かったので晩飯代わりに駅の売店で缶ビールとポテトチップスを買って2.6ユーロ(≒361円)。

駅から近いというだけで選んだ5千円程度のホテルなので期待していなかったが、それなりに良い部屋。

1人には充分な広さに加えて、バスタブがやたら大きくて足を伸ばして横になれる。

1日歩いて汗かいて(Tシャツは潮噴いていた)、列車では5時間以上も同じ姿勢でいたことを考えるとバスタブに湯を張って横になれたのは実に良かった。

翌日は7時からの朝食をすぐに食べたら空港に向かってクレタ島へ。

飛行機の時間から逆算すると7時30分にはホテルを出ていたい。

疲れた1日だが翌日は早起きが必要だ。

 

 

2015年7月28日 火曜日 ↓次へ ↑前へ ↑↑トップへ

この日の目的地はクレタ島。

今回の旅でクレタ島に行きたかった理由の1つが村上春樹。

彼の小説の中で加納マルタと加納クレタという姉妹が登場する。

そしてそのキャラクターを基にした「加納クレタ」という短編もある。

どういったシチュエーションで加納マルタとクレタが登場したのかは全く覚えていなかったが、その妙な名前(小説の中では仕事をする時の通名みたいな扱いだったはず)が不思議と印象に残っていた。

ギリシャ旅が決まり、短編の「加納クレタ」を再読したら村上春樹作品にたまにある不条理意味不明系小説だった。

「加納クレタ」が納められている短編集「TVピープル」自体にそういう雰囲気の作品が多かった。

というわけできっかけは村上春樹で、ガイドブックを読むとギリシャ文明発祥の地と言われていたり、ギリシャ神話の最高神ゼウスが生まれた所だという説もあったり、神話の出来事と思われていたクノッソス宮殿跡もある。

エーゲ海の主要な島の中で最南に位置し、そこから船で北上して他のエーゲ海の島へ行けそうなのもクレタ島行きを後押しした。

アテネの近郊にあるピレウス港から船でも行けたが、船だと6〜7時間かかるらしいとのことで、1時間ほどで行ける飛行機を選択。

アテネからクレタ島までの移動は計画の早い段階で決めていたのでネットからの航空券も安い値段が選べた。

午前中の便で57.64ユーロ(≒8,012円)。

先日、身内の不幸で東京から北海道まで突発的に買った飛行機の1/3以下。

3年前にスペインのバルセロナからポルトガルのリスボンへ行った時も思ったが、欧州での飛行機移動ってのは日常なんだなと感じさせるような値段設定。

10時発の飛行機に間に合わせるために逆算して起きるべき時間に携帯電話のアラームをセットしておいたが、この日もやはりアラーム前の6時に起床。

7時前にホテルのレストラン…というかフロントの脇にチョット机と椅子が置いてあるだけ…へ行くと朝食の準備中。

前日よりもさらに品数が少ないビュッフェだが、ホテルの値段を考えたらこんなものか。

でもこの日はさっさと食べてさっさと行かないといけないのでそれでも良い。

予定の時間を少し超えた7時30分過ぎにホテルをチェックアウト。

アテネ・ラリッサ駅から地下鉄へ、空港までは8ユーロ(≒1,112円)。

この旅で初めての地下鉄移動。

空港へ行くのはバスの方が安いが、地下鉄の方が早いし渋滞も無いから確実だろう。

もっとも前日の列車の遅延を考えたらそれほど信頼は出来ないし、ストの可能性もあるが。

アテネの地下鉄は3路線が走っていて、シンタグマ駅で空港行き路線に乗り換える。

いずれもタイミング良く乗るべき地下鉄が来たのでスムーズに行くと思ったが、途中の駅で乗客が全員降りる。

明らかに空港へ向かうように見える旅行者も降りていたので私も続く。

どうやら空港まで行く地下鉄はココで乗り換える必要がある模様。

その駅で意外に待たされて空港に着いたのは8時50分。

初日にリコンファームをした時に窓口の人から「出発の1時間前までに自動チェックイン機で手続きを」と言われていた。

10時発の飛行機なので1時間前まで残り10分。

自動チェックイン機へ行き、予約番号と名前を入力するとチェックインと発券成功。

時間にして9時の5分前とギリギリ。

事前に窓口の人に聞いていなければ普通に窓口に並んで9時を過ぎていただろう。

何事も予習が大切ということを思い知った。

恐らくはそんなにしっかり時間を守らなくても大丈夫だと思うが、何があるか分からない海外なので確実に行動するに越したことはない。

チェックインは完了したのでそんなに慌てる必要もないが、とりあえず搭乗口まで行ってしまうと空港散策をするのも面倒になる。

それ以前にセキュリティチェックを越えるとあまり冷やかす所も無い。

一方でセキュリティチェックを越えないとセキュリティチェックでどれだけ時間がかかるか分からないから不安。

そんなわけで搭乗口の近くで待つ。

今回はネットでオリンピック航空の航空券を買っていたが、乗る飛行機はエーゲ航空。

この2つの航空会社が合併して同じ会社になっているのは先述の通り。

席は自動的に割り振られていたらしく、搭乗券には9Eという表示。

9ということは前方の席だが、Eということは窓側の可能性が低い。

搭乗してみると3席×2列のシートでEは見事に真ん中。

仕方なく真ん中に座って待っていると中年の西洋人オバチャンがどうやら隣らしい。

英語で話しかけてきて、もし良ければ窓側をどうぞ、みたいなことを言う。

ありがたく窓側に移動させてもらうと、どうやら中年オバチャンは夫と一緒のようで、夫婦で真ん中と通路側に座る。

結果的に私とその夫婦の利害が一致した席交換だったが、なぜ夫婦なのに席が窓側と通路側という状況になったのだろうか。

機内は満席だったのでチェックインのタイミングの問題だったのだろうか。

細かいことはともかく、10時7分頃に動き出した飛行機は10時15分に離陸。

安定飛行に入ると同時に機内サービスでソフトドリンクと菓子パンが配られ、食べ終わるか終わらないかのうちに回収に来て10時46分には着陸という慌ただしさ。

30分強のフライト、窓から見る景色は常にエーゲ海が綺麗に見えていた。

アッという間に到着したクレタ島、空港を出てからバスで市内まで1.2ユーロ(≒167円)。

クレタ島最大の街イラクリオンの旧市街中心部で降りてホテルを目指す。

さすがにアテネほどではないが、イラクリオンの街もかなり栄えていて、エーゲ海の島というイメージは全く無い。

なんでもクレタ島はギリシャの中で最も裕福な島だとか。

ホテル到着は12時前だったのでチェックインできるか不安だったが、少し待たされたものの大丈夫だった。

このホテルはBooking.comで予約したが、現地清算のはずなのに予約した数日後にはクレジットカードに請求が来ていた。

Booking.comにどういうことか問い合わせたらホテル側からBooking.com経由で謝罪と当日は半額しか請求しない旨のメールが来た。

フロントにもその話が伝わっていたのか、チェックイン時にちゃんと謝罪があった。

元より私はただちゃんと清算してくれれば良いだけなのでノープロブレム、と。

しっかり謝罪するあたり、好印象だった。

ホテルの部屋は可もなし不可もなしの値段相応。

ベランダとエアコン室外機があったので洗濯には良さそう。

ただ、洗濯より前にとりあえずこの日の目的は2つ。

まずは翌日に乗る予定のフェリーのチケットを手に入れること。

翌日はエーゲ海のサントリーニ島へ船で向かうことになっている。

ネットで予約してクレジットカードで支払いも完了(59.7ユーロ≒8,298円)していたが、ネットから印刷できたのは正式なチケットではなくて引換券。

発券は現地の旅行代理店もしくは当日のフェリー乗り場で、みたいなことが引換券に書いてあった。

当日でも良いのだが、事前に旅行代理店で発券できるのであればその方が確実。

その旅行代理店へ行くのが第1の目的。

第2の目的はクレタ島の観光名所クノッソス宮殿。

今回の旅にあたり、ギリシャ神話を読んでミノタウロスとかアリアドネの糸とかイカロスとかどこかで聞いたことのある単語とエピソードを改めて知って行きたくなった。

ホテルに荷物を置いて行動開始。

第1の目的である旅行代理店への行き方が分からないのでフロントで聞いてみると無料の観光マップに道順を書いて教えてくれた。

どうやら歩いて行ける距離なので良かった。

そして行ってみるとその通りは歩行者天国のメインストリートのようで、レストランや土産物屋などが海まで続いている観光客御用達みたいな道。

しかしココと地図に書かれた場所にはそれっぽい旅行代理店がない。

引換券に書かれている住所を見てもこの通りなのは間違いないので一旦その道を端まで歩いてみる。

すると、目指す旅行代理店があった。

ホテルの人に書いてもらった地図とは少し違っていたが、結果オーライ。

旅行代理店に入り、プリントアウトしておいた引換券で無事に発券してもらう。

フェリーは8時30分発なので8時には港に着いているようにと教えてもらうと同時に、乗船場は港の向こう側だから間違えないようにとのアドバイスもいただく。

今朝の飛行機もそうだが、事前に予習をしておくことは大事。

この日の目的1を達成したところで次は観光へ。

目指すクノッソス宮殿へはバスで向かう。

バス乗り場へ行くと既にクノッソス行きのバスが止まっていて片道1.7ユーロ(≒236円)。

観光客だけでなく現地人も途中で乗り降りしながら20分程走ると運転手に「クノッソス」と言われて観光客と一緒に降りる。

道沿いのそこ一帯にだけ土産物屋とタベルナが並ぶまさに観光地。

当然クノッソス宮殿跡への入口もすぐに分かり、入場料6ユーロ(≒834円)を払って中へ。

それなりの広さの敷地内に建物の土台のような跡。

所々に宮殿の柱やそれっぽい建物跡があるものの、これらはいずれも観光客向けにそれっぽく復元したものだとか。

アクロポリスのパルテノン神殿や、メテオラの修道院みたいに「コレぞクノッソス!」みたいな何かがない。

ただ点々と遺跡跡があるくらいで全体的なインパクトに欠ける。

アレ?オイオイこんなもんかクノッソス宮殿…という感じ。

怪物ミノタウロスがいたとか、アリアドネの糸で迷宮から脱出したとか、陸路からはダメだから蝋の羽で空から脱出したイカロスだとかギリシャ神話の有名なエピソード発祥の地。

それなりに広くはあったが神話にあるような「入ったら2度と出られない迷宮」という雰囲気は無い。

神話以外でも歴史的に線文字Aや線文字Bが発掘された場所でもあるはず(学生時代は日本史専攻だったので今回の旅を計画するまで線文字の存在すら知らなかったが…)。

そんな神話的にも歴史的にも重要な場所のはずが、実際に来てみると長閑で広大な場所から遺跡が出てきたので観光客を呼ぶために後からそれっぽい建造物を作りました、みたいな雰囲気。

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この日の観光としてはメインイベントだし、すぐに終わらせるのも気が引けて無駄にアチコチぐるぐる回る貧乏性。

相変わらずの好天なのでやはり汗だくになる。

なんというかまぁこれだけ歩けば充分だろうと自分を納得させるためだけにウロウロしていた気がする。

前日に回ったメテオラの後だとチョット申し訳ないがスケールが違いすぎた。

もっとも存在したのが紀元前何千年とか言われている遺跡がそんな綺麗に残っているわけも無いので、メテオラと単純に比較するわけにもいかないが。

クノッソス宮殿を出て道沿いに並ぶ土産物屋で缶ビール1.5ユーロ(≒209円)を買って日陰で休憩。

売店のオバチャン、私が冷蔵庫からビールを取ると奥の方が冷たいよと奥の方から取ってくれる。

客商売だからってのもあるだろうが、ココまで全体的にギリシャ人は親切。

アッという間にビールを飲み終えてイラクリオンに戻るバスを待つ。

15時にクノッソスを出て15分後には街に。

この日の予定は済んだので下見の大切さ、ということで翌日の予定である港まで歩いてみる。

大きなフェリーが止まっており、表示を見るとどうやら夜行でピレウス(アテネ近郊)まで行く船らしい。

同じ港でも色々な所から船が出ているようで、旅行代理店で言われた「船が出るのは港の向こう側だから間違えないように」という意味も理解した。

やはり予習は大事だ。

フェリーの待合室に行ってみると、イタリア行きの船もあるようで出国審査場みたいな所もある。

船での国境越えというのも憧れる。

予習の一環ということでフェリー乗り場からホテルまでどれくらいかを計りながら歩くことに。

海沿いを歩き、途中で景色の良い場所でエーゲ海を眺めたりしたが概ね徒歩30分。

8時にはフェリーターミナルに到着ということを考えると7時30分にはホテルを出ないといけないという条件は今朝と同じ。

この旅はここまで毎朝慌ただしい気がする。

とりあえず翌日の行動が決まったので一旦ホテルに戻る。

今回のホテルはバスタブが無く、シャワーブースで昨日のTシャツとパンツを洗濯。

ついでにサンダルも洗い、ベランダのエアコン室外機に晒しておく。

途中の商店で買ったビール1.5ユーロ(≒209円)を飲みつつココまでの旅記を執筆。

朝はアテネから始まり、飛行機でクレタ島に来て、そこからクノッソスへ。

一気に行動すると一気に書かないといけないのでそれなりに時間がかかる。

18時過ぎ、晩飯がてらイラクリオンの街をブラブラ。

晩飯は地球の歩き方で唯一クレタ料理として紹介されていた店へ。

老夫婦が2人でやっているのかこぢんまりとしていて雰囲気は良い。

19時前の時間ということもあり客は2組だけ。

料理はオバチャンが半分手書きっぽいメニューを持ってきて英語で説明してくれる。

何を言っているのかあまり理解できなかったが、魚料理の所にCOPA 8ユーロ(≒1,112円)とあった。

COPAというのは英語なのかもしれないが、google翻訳にかけても出てこない。

唯一っぽい魚料理だし、港町だし魚も良いだろうとそれを注文。

勿論ビールも注文したが出てきたのがまさかの缶ビール。

瓶も缶も中身は一緒なんだろうが、雰囲気はだいぶ違う。

料理は厨房から明らかに魚を焼いている音が聞こえてきて、出来合いのモノを出しているわけではなさそうなのが伝わる。

出てきたのは尾頭付きの焼き魚3匹と付け合わせの野菜とパン。

海外で魚を食べるときの苦労は箸が無いのでナイフとフォークで食べないといけないこと。

しかし今回の魚は身離れが良く、ナイフとフォークでもそれほど労せずに解体できる。

淡白な白身魚でイワシのような味。

オリーブオイルで焼いているのだろう、そのままで食べても美味しい。

3匹あるので1つはそのまま、もう1つは机上のオリーブオイルとビネガーをかけて、最後はそれらをこれでもかとかけて食す(リスボンの食堂で魚を食べたときに店にいた客が教えてくれたのを思い出した)。

いずれも美味しく、クレタ島ではオリーブオイルの消費量が大きいというのも納得。

料金は魚8、ビール2×2、付け合わせのパン1で13ユーロ(≒1,807円)。

安くはないが、これまでの観光客向けのレストランと比べると普通。

食後はエーゲ海までブラブラ歩く。

小型船が沢山止まっているオールドハーバーにヴェネツィア時代の要塞が建っていて、そこから延びる埠頭が遠くまで歩けるようになっている。

ちょうど夕陽の時間帯でエーゲ海の向こうに太陽が沈もうとしている。

どうせなら埠頭の先まで行って夕陽を見ようと思って歩き始める。

周囲には観光客は勿論、ランニングをしている人、犬の散歩をしている人、釣りをしている人、自転車で走っている人。

観光客と地元民が入り混じっていかにも平和な夕方、という雰囲気。

実際に歩いてみると予想以上に距離があり(後で調べると片道2km以上)、埠頭の先端まで到達。

特に何があるわけでもないが、海からイラクリオンの港と町並みが綺麗に見渡せ、時間をかけて歩いたおかげで夕陽もだいぶ沈んできた。

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そしてエーゲ海の向こうに沈む夕陽が綺麗に見られた。

正確にはエーゲ海ではなく、エーゲ海の向こうに見える陸地に沈む夕陽だったが。

夕陽が沈むのを見てから埠頭の入り口に戻る頃になると周囲も薄暗くなり、夕暮れから夜へと移行する21時近く。

夏のヨーロッパ時間ではこのくらいがディナータイムっぽく、歩行者天国メインストリートに面したレストランは軒並み大勢の客で賑わっていた。

食事の時間軸が欧米人とは違うので飲食店が混雑する前に食事を済ませられる。

ホテルに戻ると夕方に洗濯したTシャツとパンツがエアコン室外機効果で見事に乾いていたのでこの日着たシャツとパンツも洗濯して夜通し干しておくことにする。

翌日は8時に港へ行き、サントリーニ島へ向かう。

日中の予習ではホテル〜港は徒歩30分弱だったので7時30分にはホテルを出たい。

思えばこの旅が始まってから朝から移動ばかりでゆっくり出来ない。

まぁそのおかげで滞りなく旅を遂行できていると思えば良いか。

 

 

2015年7月29日 水曜日 ↓次へ ↑前へ ↑↑トップへ

もうアラームより前でも驚かない6時前に自然起床。

ホテルを7時30分には出たいが、朝食は7時から。

朝食後にそのままチェックアウトできるように荷物を持って食堂へ。

さっさと食べてしまいたいこういう時に限って食堂の品揃えが良い。

ハムやチーズの種類が豊富で、特にサラミとソーセージが美味い。

これまでの朝食の経験からパンを食べると時間がかかるので(恐らくは口の中がモソモソするから)オカズばかり食べた。

早めに朝食を切り上げて7時30分前にはチェックアウト。

歩いて港を目指すルートは前日に予習しているので問題なし。

朝で人も少ない通りを歩きつつ約25分で港に到着。

港にある旅客用の建物へ行って受付でチケットを見せると直接船へ行けば良いとのこと。

乗る船はSEAJETSという名前、既に止まっている船の前には行列が出来ている。

朝とはいえ陽射しは強くて暑い。

港なので陽射しを遮るものも無く、この行列に並ぶのは辛いなと思ったら係員が「チケットを持っているなら直接乗って大丈夫だ」と教えてくれる。

見ると行列の先頭は引換券をチケットに交換している人。

どうやら行列はチケットを当日引き替えする人達の列らしい。

幸いにして私は前日のうちにチケットを受け取っている。

ここでも前日の効果、早めに確実の行動を心掛けた成果が現れた。

行列を尻目にフェリーの後部、車も乗る所から乗船。

エスカレーターで客室まで行き、船員にチケットを提示するとこの部屋が全て自由席だ、と案内される。

飛行機はもちろん列車よりもしっかりしたシート。

そして全体的に広々としているのも良い。

窓側の席が空いていたので迷わず座る、これも早めに乗船できたから。

当たり前だが次々と乗客が増えてきて私の横にも西洋人カップルが着席。

思えば海外での本格的な船旅は初めてではないだろうか。

香港マカオ間の船、バンコクの渡し船、トルコのボスフォラス海峡クルーズなどはあるが、海外でしっかり予約をして目的地に行くような船となると今回が初。

飛行機、列車、バスなど長距離の移動手段は様々あるが、船が1番テンション上がる気がする。

船は予定の8時30分ちょうどに出航。

出航と同時にセキュリティ案内なのか船内アナウンスが流れる。

最初は聞き取れないがギリシャ語、次は英語、その後も次々と違う言語でのアナウンスが続く。

殆ど何を言っているのか分からないがスペイン語、ドイツ語、ロシア語までは分かった。

いずれも判別できたのは最後に言う「ありがとう」だけ。

エフハリスト(ギリシャ語)、サンキュー(英語)、グラシアス(スペイン語)、ダンケシェーン(ドイツ語)、スパシーバ(ロシア語)。

どれも私が行ったことのある国の言葉。

それにしても少なくとも5言語での案内(もっとあったが聞き取ることが出来ず)、いかに多国籍の人が乗る船なのかを実感。

日本語アナウンスが無いのが若干残念だが、中国語も韓国語も無かった(と思う)のでまぁよしとしよう。

出航から30分ほどして隣の西洋人カップルが席を立ったのを機に私も船内散策。

乗船時は窓側の席を取りたくてさっさと座ってしまったが、船内を散策すると自由席はかなりの数がある。

船の奥(乗船場所から考えると船の先)へ行けば行くほど空席は増えていく。

船内の2階はファーストクラスとの案内があったので冷やかしに覗いてみるも、シートが少し立派に見えたくらい。

乗客が行ける場所は意外に少なく、外(デッキ)へも出られないようだった。

船内にカフェバーもあり、入ってみると朝から飲んでいる人もいたので便乗して生ビール。

朝の9時過ぎからビールというのが旅ならではの非日常感。

5.3ユーロ(≒737円)は船内観光地価格ながらエーゲ海を船で移動しているプレミアム感を考えれば充分。

船の奥に行けば行くほど自由席がガラガラだということが分かったので荷物を持って移動。

これだけ空いていると船旅をもっとゆっくりビール飲みつつ楽しみたい気分。

大きい船だからビールを飲んでも船酔いの症状は無い。

サントリーニ島へ行くことも目的だが、エーゲ海を船で移動するというそれ自体の方が今回の目的としては大きい。

サントリーニ島まで2時間程というのが勿体無く感じるくらい快適。

飛行機や列車の移動と違うのは、行動範囲の広さや自由度だろうか。

目指すサントリーニ島はギリシャのエーゲ海に浮かぶ島の代表格のような所。

火山の噴火によって島の形を変えつつ現在の姿になった。

かの哲学者プラトンが著書でアトランティス大陸があったと記したのがこの辺で、遺跡なども出てきていることからサントリーニ島がアトランティスの一部だったのではないかという説もあるとか。

伝説ともされているアトランティス大陸があったかもしれない場所。

クレタ島からサントリーニ島への移動は旅のテーマが神話から伝説へ、という捉え方も出来る。

時間的にもタブレットPCの地図で見たGPSの現在地的にも近付いてきたのが分かる頃に船内アナウンスでサントリーニ島がどうこうと告げられる。

荷物をまとめて船を降りる支度をする乗客。

結局クレタ島から2時間30分ほどだった。

荷物を持って船内ロビーへ行くとサントリーニ島で降りる人は下へ行くように案内される。

乗った時と同じく、車が入っている所で到着を待つ。

サントリーニ島で降りる客は大勢いるらしく、片側には車が、もう片側には人が行列。

いつ到着したのかはよく分からないが、後部のカーポートが開いて港が姿を見せる。

船と陸地が繋がると同時に車と人がワーッと降りる。

反対側では船に乗ろうとする人が行列を作っている。

この船はこれからエーゲ海の島を転々とするっぽい。

上陸したサントリーニ島の港はホテルの迎えや客引きと思われるような人でごった返している。

ホテルは予約していたが迎えは頼んでいなかったのでとりあえず町を目指したい。

近くにいた警察官(多分)にフィラ(サントリーニ島で1番の繁華街)へ行くバスを聞いて乗り込む。

港には様々なバスが止まっていて何が何なのかパッと見は分からない。

フィラの町まで2.3ユーロ(≒320円)、港から山道をジクザグ上って途中で渋滞もありつつ25分ほどでバスターミナルに到着。

ココからはタブレットPC地図の出番、ホテルまでは徒歩数分っぽい場所。

この日に予約したホテルは最終日の高級ホテルに次ぐ値段。

しかしギリシャでも屈指の観光地であるサントリーニ島、しかも7〜8月は最もホテル代が高騰するハイシーズン。

ネットで色々検索すると普通規模と思われるホテルでも1万円以上かかる。

稼ぎ時のシーズンだから値段ほどの期待はしないでおこうと思った外観は中級ホテル。

入ってみるとフロントのオバちゃんがとてもフレンドリー。

チェックインをしようとしたが部屋の準備までもう少しかかるという。

その間にコーヒーでも飲むか、と言われたのでYESと答える。

ネスカフェか?と聞かれたが折角なのでギリシャコーヒー(Greek coffee)をお願いする。

ギリシャではネスカフェというのがいわゆる普通のコーヒーで、ギリシャコーヒーはエスプレッソのような濃い苦みが特徴。

旅の予習で知ったので旅路のどこかで飲んでおきたかった代物。

熱いコーヒーを飲むシーズンではなかったが、濃いぃコーヒーを味わいつつ、残りは砂糖を入れて飲むとそれはそれで悪くない。

そのコーヒーを飲みながらオバちゃんがサントリーニ島の観光案内をしてくれる。

教えられた情報は地球の歩き方で予習したレベルではありつつも、現地人から言われると裏付けにもなるし、親切に色々教えてくれるだけでありがたい。

この旅で何度か感じているが、観光立国だからなのか国民性なのかギリシャ人は親切な気がする。

昨今のギリシャ騒動でギリシャの国民性を考えれば自業自得だみたいな言われ方をしているのを見た記憶があったが、それを申し訳なく感じるようなことが殆ど。

ここまでの旅の成功具合から、ギリシャへの見方が変わる気がする。

数分後、部屋の準備が整ったということで部屋へ。

まぁ特筆すべきことも無い普通の部屋。

部屋まで案内してくれたオバちゃんがガラス容器を持っており、中にはオリーブオイルが入っている模様。

オリーブがギリシャの名産なのは知っているが、それを持って部屋を案内しなくても良いだろうに…と思ったらそれを部屋の冷蔵庫に入れた。

ガラス容器はデキャンタで、オリーブオイルだと思ったそれはサントリーニのローカルワインのサービスだと言う。

サントリーニ島はワインでも有名な島。

そもそもワインの発祥の地はギリシャという説もある。

さすがは酒神ディオニュソス(バッカス)を産んだ国。

サントリーニ島のどこかでワインを飲もうと思っていたが、まさかタダで飲めることになるとは思わなかった。

部屋に荷物を置いてからサントリーニ島最大の町フィラを散策へ。

その前にしなければならないのが前日同様にフェリーの発券。

翌日の夜行フェリーでアテネ近郊のピレウス港に戻る。

ネットで予約しつつも発券は現地で、というのがギリシャの標準なのか。

ホテルのオバちゃんに旅行代理店の場所を聞き、行ってみる。

前日同様、何の問題もなく発券成功。

これで翌日のための準備が整った。

階段と狭い道がひしめくフィラの町。

海へ向かって歩くと断崖沿いに真っ白い建物が並ぶ「これぞサントリーニ島」という景色が出てくる。

フィラ
これぞ

エーゲ海に浮かぶギリシャの島、というイメージそのもの。

少し歩いただけでアテネ以外では見なかった日本人も数組、ギリシャ有数の観光地であることを実感。

町歩きしつつ昼飯には地ビールを飲ませるレストランへ。

3種の地ビール試し飲みが5.5ユーロ(≒765円)だったが、相変わらずの暑さで飲み比べではなくてガーッと生が飲みたかった。

というわけで普通の生ビール500ml(3.5ユーロ≒487円)とイカフライ(8ユーロ≒1,112円)。

味わいを楽しむ地ビールは次にしよう。

イカフライは味に飽きると付け合わせのオリーブオイルに浸して食べると美味しい。

その店でフリーWi-Fiの接続パスワードを聞いたら「12345678」と言われた。

なんだかバカにしたようなパスワードだが、各国の観光客が集まるような場所だとそれくらいが丁度良いんだろうな。

フィラの町歩きはそこそこにして、エーゲ海に沈む夕陽が見られることで有名なイアという町を目指す。

バスターミナルからイア行きのバスに乗る(1.8ユーロ≒250円)。

車窓の景色はなかなか壮観。

火山の噴火による影響を受けた島らしく、岩肌がむきだしの景色もあり、大地の荒々しさみたいなものが感じられる。

フィラから約30分でイアに到着。

バスターミナルから海へ向かって歩くとフィラの町と同じように断崖沿いに並ぶ真っ白い建物。

但しイアの方が町の規模が小さく、控え目にまとまって白の色が目立つ。

一旦は町の東側へ歩きつつ、ある程度行ってからメインとなる西側を歩く。

イアの町の西側にある展望台から夕陽を眺めるのが定番だとか。

狭い道が迷路のように入り組んでいる断崖絶壁の町並み。

その途中途中に土産物屋やタベルナやホテルや商店が点在している。

気付くとココ前も通ったぞみたいな所がチラホラ。

高い建物は無いので相変わらずの直射日光がきつく、水500mlをすぐに消費してしまう。

海が見える適当なカフェなりで燃料補給と思ったが、店の前に張り出されているメニューを見るとビール5ユーロ(≒695円)と完全に観光地価格。

その辺の商店に入ると缶ビールは1.5ユーロ(≒209円)。

ケチ根性が発動し、缶ビールを買って日陰で座って飲むという日本では考えられない行動。

同じように日陰で座って休憩している観光客は沢山いた。

ある程度イアの町を散策し、夕陽が有名な展望台の場所も把握したが日没までには時間がある。

なにせ夏場のギリシャの夕陽は20時過ぎ、少し時間配分を誤った気がする。

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イアの町をブラブラ歩くことで時間を使えるかと思ったが、それほど広い町ではなかったのと、暑さでそこまで精力的に動く気にならなかった。

ブラブラする以外で時間を使うのに丁度良いのが食事。

イアの断崖沿いはどこにでもタベルナがあって食事には困らない。

ただ逆に店が多すぎて選びにくい。

それならばと地球の歩き方に「海が見えないからゆったり食事を楽しめる」みたいに紹介されていた店へ。

店の外から見えたオープンテラスの席の2組の客はどちらも明らかに日本人カップル。

さすがは地球の歩き方効果、しかも「今知り合いました」みたいなチョット打ち解けない日本語で話していた。

その中に1人旅の私が入っていく気にはとてもなれなかった。

同じ通りにあったレストランは西洋人しか客がいなかったのでそっちに入る。

そこが意外に当たりで、メニューの英語表記を見て美味しそうだと思ったのが後から知ったがスズカキャというハンバーグのようなミートボールのような名物料理13ユーロ(≒1,807円)。

米と一緒に出てきて少しスパイスの利いた肉が美味、ビール2本(4ユーロ≒556円×2)で21ユーロ(≒2,919円)。

観光地価格なのでまぁそんなもんか、クレジットカードも使えたので良し。

20時を過ぎてそろそろ夕陽が見られそうな時間帯。

事前に下調べをしておいた展望台へ行くと既に人が大勢でとてもじゃないけれど落ち着いて見られない。

下見をした時と人の数が桁違いで、今までどこにこれだけの人がいたんだ?というくらいの人。

展望台からは退散し、そこから少し下った場所はそれほど人も多くないのでそちらへ向かう。

巧い具合に夕陽を正面から眺められる場所を確保。

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勿論デジカメで写真も撮るのだが、前日のクレタ島の夕陽と同じく、太陽は素人がいくらコンデジで写真を撮っても肉眼での見え方には敵わない。

いや、プロが最高級カメラで撮っても肉眼には敵わないだろう。

そしてこればかりは筆舌に尽くしがたいというか、どう文章に起こして良いのかも分からない。

状況は真逆だが富士山の御来光のような感じ、山から昇る太陽と海に沈む太陽。

眼下のエーゲ海は沈む夕陽を見ようといくつものヨットや小舟が並ぶ。

そしてじわじわと陽が沈み、ゆっくりと水平線に隠れていく。

まずは眼下の船からと思われる歓声と拍手が聞こえ、次に頭上の展望台からも同じく歓声と拍手。

私のいる穴場スポット周辺の客も同じように拍手、勿論私も。

唯一の失敗といえば夕陽を肴にするためのビールを買えば良かったと途中で気付いたこと。

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陽が沈んでから周囲の動画を撮りつつ1人語りしていたら横にいた中華系の若い兄ちゃんが「ニホンジン?」と聞いてきた。

横にいたのが東洋人なのには気付いていたが、若いカップルで中華系の言葉を喋っていたので油断していた。

向こうが日本語を理解すると思うと急に恥ずかしくなる1人語り。

「Yes, Where are you from?」と聞くと台湾だと言う。

「オレは日本が好きだ、来年新潟に留学するんだ」みたいなことを英語で話しかけてくる。

海外の普通の観光地でこんなことを言われたら客引きを疑うが、相手は明らかに観光客でしかも彼女連れ。

素直に本物だと思って良いだろう。

その流れで何となく話す。

来年新潟に留学するという割には日本語が得意ではないと言うので英語で会話。

ギリシャにいる東洋人は中国人ばっかりでうんざりだ、と台湾人が言うのが少し面白かった。

やはり中国人とは一線を画したいのだろうか。

中国人ばかりでうんざりというのは私も同じ思いだったのでYes yesそうだよな、みたいな相槌。

ギリシャで日本人をあまり見かけないが、日本ではギリシャは人気が無いのか、みたいなことを聞かれたので、多分そうじゃなくて昨今のニュースを見て避けているんだと思う、なんてことまで話した。

最後に2人で写真を撮ってお別れ、どうせなら一緒にいた彼女とも撮りたかったが。

夕陽よりも貴重な時間を過ごした気がして時刻は21時前、フィラへ戻るバスに向かう。

夕陽の後なのでバス停へ向かう主要な道は人の列で大渋滞。

そこで早い時間にイアの町に到着し、アチコチうろついた成果が発揮される。

大渋滞を避けて裏道(って実際には大した裏道じゃないんだろうけど人は少なかった)を経由してバスターミナルへ。

バス乗り場も大混雑で、フィラ行きのバスがピストン輸送さながらに次から次へと来る。

丁度良いタイミングで来たバスに乗ることが出来たので座れたが、次から次へと客が乗ってきて立ち客も出る。

一般の乗用車(レンタカーか?)も夕陽を見て帰るのだろう、車道も車やらバギーやらバイクやらが入り乱れて渋滞。

サントリーニの島中の観光客が集まっているんじゃないかと思わせるような光景だった。

20時50分にイアを出発したバスは21時25分にフィラに到着。

陽が沈んで一般的なヨーロッパの夜はこれから。

フィラの主要通りは大勢の人で賑わっている。

今回の旅はこれまで常に翌朝から予定が詰まっていたので夜は無理な行動をしなかった。

しかし今回は翌日の朝にするべきことは無い。

おまけに翌日の移動は深夜のフェリーなので朝はどれだけ寝坊しても大丈夫。

この旅で初めて夜の飲みに繰り出すことに。

昼に行ったレストランの隣にあった地ビール飲み比べセットの店へ。

地ビールを飲もうと思って入ってみたが、昼間にはあったテイスティング5.5ユーロの看板がない。

夜のバータイムではやっていないのかもしれない。

町をブラついている時にその地ビールが売っていたので見てみたら1本4ユーロ(≒556円)くらいした高級品。

それなら明日の昼にテイスティングレベルで充分だなと思ってしまう貧乏性。

そして冷静に考えてみればホテルの冷蔵庫には貰った白ワインがデキャンタであることを思い出した。

そんなわけで夜の町飲みは控えてホテルへ戻ることに。

このホテルの欠点は朝食がつかないこと。

ただ逆に夜は好き放題飲み食い出来るし、朝は朝食の時間を気にして起きる必要も無い。

帰り際にビールとポテトチップスの計3ユーロ(≒417円)を買って部屋に戻る。

シャワーを浴びつつ、部屋はエアコンで冷やしておく。

今夜の2次会はビールではなく白ワインでスタート。

まぁ普通に無難な白ワインという印象。

その後はビールも開けて白ワインとビールとポテトチップスという妙な取り合わせ。

そんな状態で翌朝は何時に目が覚めるだろうか。

 

 

2015年7月30日 木曜日 ↓次へ ↑前へ ↑↑トップへ

この旅で初めて予定も朝食も時間を気にする必要も無い朝。

7時くらいに目が覚めるも敢えて起きずに微睡みを繰り返し、9時頃にようやく起床。

朝一で口にしたモノが前夜の残った白ワインという旅ならではの非日常から出発の準備。

10時30分過ぎにチェックアウト、84ユーロ(≒11,676円)と安くはないが、超観光地の超観光シーズンでサービスも良かったしあの規模のホテルならまぁ悪くないか。

フロントで荷物を預けたらこの後の予定を聞かれ、深夜の船でピレウス(アテネ近郊)へ行くと言うとそれなら23時に港まで送ってやる、フリーだと言われる。

ホテルに戻ってきたらシャワーも使えるとのことで至れり尽くせり、やはりサービス良し。

漠然と考えていたこの日の予定でまずは島の南西にあるアクロティリ遺跡を目指す。

アトランティスがあったのではという伝説のきっかけにもなった遺跡だとか。

バスに乗って2ユーロ(≒278円)。

アクロティリ遺跡の近くにはレッドビーチという海水浴場があるので、それ目的と見られる客もいてそれなりの乗車率。

11時に出発したバス、地球の歩き方によると所要約40分とのことだったのでボーッとしていた。

20分ほど走り、バスの乗員が「レッドビーチ」と告げた所では多くの乗客が降りるも、私が行くのはアクロティリなのでそのまま乗っていた。

地球の歩き方によるとレッドビーチはアクロティリから徒歩約15分との記載があるのでアクロティリはまだだろうと思っていた。

一気に少なくなった乗客、するとバスの係員が代金の回収に来る。

「フィラまで2ユーロ(≒278円)」と言われ、「え?アクロティリは?」と聞くとさっきのレッドビーチと言われた所がアクロティリでもあったらしい。

時既に遅し、バスはフィラへ向けて走り出していたので仕方なくそのまま乗る。

地球の歩き方の所要約40分という記述に油断していて、まさかその半分くらいの時間で到着するとは思わなかった。

乗客がまだ乗っていたのも油断した一因だが、今考えるとあれはアクロティリやレッドビーチからフィラへ戻る客だったのだろう。

これが本当に行きたい所だったらタブレットPCの地図で現在地を確認しつつ、周囲の乗客やバスの乗員に確認して万全の行動をしていたと思う。

時間があるからなんとなく行こうと思っていたレベルの場所だから気を抜いていた。

この旅で初めての失敗らしい失敗ではあるが、まぁこの程度なら大したことは無い。

11時45分頃にフィラ到着、結局4ユーロ(≒556円)払ってバスを往復しただけになった。

そのまま乗っていれば再びアクロティリへ行けるだろうが、それも馬鹿らしいので予定を変更して午後に行く予定だったフィラのオールドポートへ行くことにする。

フィラの町の中心部からジグザグに設けられた長い階段を下るとオールドポートと呼ばれる港へ行ける。

この長い階段をロバで上り下りするのが観光の定番らしく、大量のロバが階段に並んでいる。

その数は全部合わせると100を超えていたのではないだろうか。

あんな数のロバを見るのは初めて。

馬に比べて小さく、顔も穏やかな印象ながらどいつもこいつもなんだか諦観したような表情をしている。

そして必然の結果か、階段にはロバの糞が点在。

滑り易くもなっていて、実際に転んでいる人もチラホラ。

足元は所々にロバの糞があり、古いモノは乾いて地面と同化しているように見えるが恐らくあの地面も全てロバの糞で形成されていると思うと絶対に転びたくない。

たまに糞の元凶であるロバが観光客を乗せてすれ違う。

ロバ使いに操られ、観光客を乗せて健気に階段を行き来するロバを見ていると糞くらい仕方ないよな、という気持ちになる。

地球の歩き方によると580段あるという階段。

勿論日射しも強く、滑らぬよう慎重に気を付けながら下りるので疲れる。

上りはケーブルカーを使うことを誓いつつ、休憩も含めて約30分でようやく下まで辿り着く。

オールドポートからはサントリーニ島の火山を回るツアーに向かう小型船が大量に発着しており、その周囲にはタベルナや土産物屋も豊富。

港の端の方では海に入って泳いでいる人も数人いたが、軍人(多分)に注意されて皆あがっていたので本当は泳いじゃいけないのかもしれない。

港の端のタベルナがそれほど混雑していなかったので入ってブランチ。

エーゲ海を目の前にしてビール4ユーロ(≒556円)、ケバブ串焼き1.7ユーロ(≒236円)、豚肉ギュロス(ピタパンに豚肉、オニオン、ポテトが挟まったモノ)2.5ユーロ(≒348円)。

ビールは観光地価格、その他の料理もそうなのだろうがファストフード的なモノなのでそこまで高くなく、味も悪くない。

最初は注文したビールがなかなか出てこなく、朝のバスも考えて今日は流れがあまり良くないかもと思ったが、美味しい飯食ってビール飲んだら回復した気がする。

オールドポートは特に散策を楽しむような所ではなく、端から端まで軽く歩いて戻ることに。

戻りは躊躇せずにケーブルカーを使う。

5ユーロ(≒695円)はやや高いが、下りで30分近くかかったコースを登りだともっと時間がかかるだろうし、ロバの糞にも注意しないといけない。

それが僅か3分程で上まで行けるんだから文明の利器ってすばらしい。

その足で向かったのは前日に飲み損ねた地ビールの店。

今度はちゃんと3種類5.5ユーロ(≒765円)の飲み比べセットがあった。

地ビールはドンキービールという銘柄で、イエロー、レッド、クレイジーの3つがあり、順にアルコール度数が高くなっていく。

ドンキービール
地ビール飲み比べ

アッサリとしたアロマホップの香りがするものからガッツリ濃いのまでいずれも美味しい。

でも小売価格で1番安いイエロードンキーでも1本4ユーロ(≒556円)。

それならば5.5ユーロ(≒765円)のテイスティングで充分かな。

なお、ドンキーというのはロバのことで、先程のオールドポートや昨日のイアでも多数見た。

土産物屋でもロバグッズが豊富で、どうやらサントリーニ島の名物の1つらしい。

ビールをそれぞれチビチビ飲みつつこの後の予定を考えようと地球の歩き方を見て愕然。

再挑戦しようかと思っていたアクロティリ遺跡の営業時間が15時までとの記載。

もう1つある古代ティラという遺跡も15時まで。

その時点で残り1時間程、移動時間も考えるとゆっくり観光している暇は無さそう。

おいおい観光地のくせに、なんて時間に閉めるんだ。

何だかやはりこの日は流れがイマイチな気がする。

しかし、行く前にちゃんとチェックして気が付けたのだから良しとしよう。

これが知らずに行っていたらまた無駄にアクロティリを往復させられる羽目になるところだった。

そして夕方に今いる店の前を通ったらビール飲み比べセットのメニューが出ていなかった。

恐らくは昼限定のメニューなのかもしれない。

そうだとしたらアクロティリ遺跡よりも地ビール飲み比べの方が良い。

過去の遺産より今のビール。

さて、時間があったら行こうと思っていた遺跡が共にダメとなるとこの日は1日フィラで過ごすことになる。

そのプランは考えていなかったので時間を持て余しそう。

残るこの日の予定はフィラでも夕陽を見てみようか、ということくらい。

そんなわけでとりあえず海沿いの道をブラブラ歩いてみることに。

その前にスーパーがあったので入ってみると水が0.2ユーロ(≒28円)、ビールも1ユーロ(≒139円)とかなり安い。

観光地の商店で買うと水0.5ユーロ(≒70円)、ビール1.5ユーロ(≒209円)がここまでの平均。

さすがはスーパー、これが現地価格なんだろうな。

あまりにも安かったので水だけ購入しておく。

特に目的も無いがフィラの町から北へ向けて断崖沿いを歩く。

断崖沿いの道は殆ど車が通れない道なので歩くには良い。

所々の日陰で涼みつつ海沿いに続く道を北へ北へ。

フィラの繁華街を過ぎた後でも崖沿いに観光客目当てのホテルやカフェが並ぶ。

大型ホテルではなくてコテージ風の個室が並ぶ小さなホテルながらほぼ屋外プールがあり、プールに浸かりながらワイン飲んでエーゲ海を眺めているセレブなんかもいる。

フィラの町からは少し外れているのでゴミゴミガヤガヤしていないし、本当のセレブはこういう所に来てヴァカンスを楽しむのかなというような雰囲気。

どこまで歩いても似たような町並みというか崖沿いの美しい光景が続き、止めどころがない。

途中に商店を見かけたので缶ビール買って日陰小休止。

なんか前日のイアでも似たようなことをしていた気がする。

コレという分かり易いスポットが無さそうだったので、適当な所まで歩いてから引き返してフィラへ戻る。

断崖沿いのメインストリートみたいな道は分かるのだが、少し脇にそれると道がよく分からない。

細かな小路が続く迷路のような町並みというのもサントリーニ島の特徴。

当初の予定ではギリシャを代表する島としてサントリーニ島と並んで有名なミコノス島へ行こうかと思っていた。

ミコノス島もエーゲ海の島らしい白い建物群と迷路のような小路が有名。

しかし事前の情報収集でミコノス島は日常的に風が強く、船や飛行機の欠航も多いことを知る。

仮にミコノス島で足止めを食らうと帰国に影響が出る。

スケジュール的にもカツカツになるので今回の旅でのミコノス島は断念した。

これまでにも何度も書いている気はするが、旅で行けなかった場所は次に来る時のために取っておく。

またこの国へ来るための願掛けのようなものだ。

フィラの町を歩き、美味しそうに見えたアイスクリームを購入。

1つ2.6ユーロ(≒361円)、町を歩きながらアイス食うなんて日本じゃ考えられん。

近くの教会で正装の人達が集まっているので何かと思ったら結婚式だった。

サントリーニ島の教会で結婚式を挙げるというのも観光の目玉の1つらしく、地球の歩き方にも載っていた。

タイミングが良かったので少し見ていたが、出てきたのは西洋人カップルだった。

さすがにこの時期に日本人がギリシャで結婚式はないか。

フィラも一通りウロウロし、時間的にも良くなってきたので晩飯を食うことに。

前日と同じでレストランやタベルナは町中にいくらでもあるので何が良いのか分からない。

というわけで前日と同じように困ったときの地球の歩き方、「概して高めなフィラのレストランの中では安くて美味しい」みたいな紹介をされていた店へ。

前日のように日本人客が目立つようなら避けようと思ったが、幸い西洋人しかいない様子。

ラムのレモンソース掛け12ユーロ(≒1,668円)とビール500ml瓶で3ユーロ(≒417円)。

ビールの値段が観光地レストランにしては確かに良心的。

ラムは昼に食べたラム串焼きが羊の臭みが全くなくて美味しかったので夜も挑戦。

こちらも柔らかい肉でラムっぽさがなくて美味しい。

皿に残ったソースはパンに付けてなめ尽くす。

このパン代も1ユーロ(≒139円)請求されている、お通しみたいなものだから仕方ない。

食後、前夜の夕陽の時間を考えると残り30分程。

フィラだとどの辺りが夕陽スポットなのかをブラブラしながら探す。

イアの展望台ほど分かり易いココという場所があるわけではなかったが、フィラの町も見渡せ、夕陽も見られそうな場所を発見。

それなりに人が集まり始めていたが、まだそこまで混雑していなかったので最前列を確保。

景色は良い場所なので待ち時間はただボーッと町や海を眺めたり。

オールドポートにいたロバが退散する時間らしく、ロバ使いに先導あるいは追い立てられてロバが一斉に階段を上っていく様はなかなか壮観。

観光客が写真を撮ろうとしてロバの群に巻き込まれたり、どこから現れたのか野良犬?も一緒に歩いていたり、隊列が乱れたのか遅々として進まなかったり色々とカオスな状況が見られて面白かった。

そうこうしているうちに夕陽の時間。

フィラから見ると海に沈むのではなく、海の向こうに見える島だか山だかに沈む模様。

なので前夜みたいに夕陽から太陽光が一直線にエーゲ海に反射して、みたいな光景は見られなかった。

さらに、陸地へ沈む前に雲なのか空の中途半端なところに沈んでいくようで、今ココという瞬間がイマイチ分からなかった。

散発的に歓声は上がったが、前夜のイアのように皆が一斉にオー!ワー!パチパチパチといったようにはならず。

やはり前夜にイアの夕陽を見ておいて良かった。

思えばクレタ島から3日連続の夕陽。

いずれも沈む夕陽を見ることは出来たが、空一面の夕焼けは見られなかった。

もしも諸条件が整って夕焼けになったとしたらフィラやイアの白一色の建物はさぞかし美しい夕焼け色に染まることだろう。

しかしそこまで望むのは贅沢というもの、3日連続の夕陽で充分だろう。

そもそも夕焼けを狙って見るのは相当に難しそうだ。

夕陽の後はこの日こそ行こうと思っていたバーへ。

フィラの町で3軒ほど目を付けておいた所があった。

その中で決め手になったのはサービス価格でロングアイランドアイスティーが5ユーロ(≒695円)と宣伝していた店。

ロングアイランドアイスティーは前回スリランカで飲んだ思い出がある。

旧名をセイロン島というスリランカは紅茶が有名な国。

最後に泊まったホテルのバーでロングアイランドアイスティーを飲んだ。

紅茶の国で紅茶のカクテルを飲んだ気になっていたが、帰国後に調べたらロングアイランドアイスティーに紅茶は一滴も使われていないことを知った。

紅茶を使わずに紅茶っぽい味に仕上げたのがロングアイランドアイスティーなのだとか。

その因縁(?)を思い出し、ロングアイランドアイスティーが私を導いた。

店内は思ったよりも混雑している上に水タバコをやる人が多くて煙い。

普通のタバコより香りが良いのでそこまで嫌ではないが、騒々しさといい居心地はそれほど良くない。

まぁ店内でサッカー放送を流しているようなバーだから落ち着いた雰囲気なんか期待しちゃいないが。

ロングアイランドアイスティーの味は可も不可も無く。

21時からはハッピーアワーで1杯の値段で2杯飲めるとのことだったが、店の雰囲気を考えるとそこまで長居する価値は無いと思った。

夜のフィラの町を歩いて適度に酔いを醒ますのが吉と判断した。

完全に暗くなった空の下、観光地らしく明るい町中を歩く。

少し前に夕陽を見たポイントまで歩くと、予想通り夜景がなかなか見事。

空には満月、町には夜景、エーゲ海に停泊中の船のネオンが今回の旅でのサントリーニ島最後の夜にしてエーゲ海の島での最後の夜に相応しい。

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この日は少しケチがついた気はするものの、アクロティリ遺跡は時間があれば行こうというレベルだったし、全体的には満足のいく滞在だった。

22時頃にホテルに戻ると、他の客の都合があるから22時30分に出発で良いかと聞かれる。

タダで送ってもらえるのだし、早い分には全く問題ない。

その前にシャワーを使えるかを聞くと海の家のシャワーブースみたいなのとトイレがセットになった簡易個室を案内された。

その簡易個室で圧縮袋に入ったTシャツとパンツは出し辛く、着替えは諦める。

体洗うのも頭洗うのも中途半端ながら、汗が流せただけでもだいぶ違う。

そもそもこの日はシャワーすら浴びられないと思っていたのでそれに比べれば上出来。

何せこの後はフェリーの中で1夜を過ごさないといけない。

シャワーを浴び終えると22時20分すぎだったが、出発の準備は良いかと聞かれる。

当初の予定では22時30分頃とのことだったが、そんなに早く出たいのだろうか。

とはいえホテルのフロントですることもないので素直に従う。

大きめのワゴン車に乗るのは私だけ。

あれ?他の客の都合で早く行くんじゃなかったっけ?

話を聞くとどうやら私を港に降ろした後で空港まで行き、今夜到着する宿泊客を迎えに行くとのこと。

フィラの主要通りを外れると街灯もなく真っ暗な夜道。

もしもホテルの送迎でなく、普通のタクシーに乗ってこの状況だったら不安になっただろう。

港に着いたのは22時50分、船の出港予定は0時20分。

船も無い出航の1時間30分ほど前だからか、前日の到着時の喧噪とは変わってひっそりとしていて雰囲気も暗い。

港沿いの食堂や売店が開いているのが救いで、数人というレベルだが大荷物持った明らかな観光客もいるのでとりあえずは安心。

車を降りてすぐに話しかけてきた人は食堂の客引きだったが、ココで船を待つにはどこかにある食堂に入るくらいしかないのは分かっていたのでそのまま入る。

ビール5ユーロ(≒695円)は足元を見られているが、Wi-Fiも無料で使えるし悪くは無い。

それにしても1時間ほど前まではフィラで明るい夜景とクルーズ船が放つネオンのエーゲ海を見ていたのに、今は港から真っ暗なエーゲ海を見ていると本当にピレウス行きのフェリーは来てくれるんだよなと不安になる。

そうこうしているうちにもチラホラと観光客っぽいのが車で港に到着する。

車が到着する度に客引きに行く店員はステレオタイプな「怠け者のギリシャ人」とは思えなかった。

そうこうしているうちに船が到着したのは出発予定時刻の30分ほど前。

食堂の店員にチケットを見せて聞くとアレが乗る船らしい。

結局ビール1本の5ユーロ(≒695円)で最後まで粘った会計を済ませて船へ向かう。

直前の売店でビールとポテトチップスを買ってから乗船。

乗り込んだフェリーはクレタ島からサントリーニ島の船よりも古びている。

それより長い距離を移動する夜行船なのにそれより安い(39ユーロ≒5,421円、クレタ−サントリーニは59.7ユーロ≒8,298円)から仕方ないか。

船員にチケットを提示して案内された船室もだいぶくたびれた感じ。

私が買ったチケットは下から2番目のシート席。

1番安い席はデッキという扱いで、さすがに外ではないらしいが、万が一を考えてそれを買う勇気は無かった。

ちなみにシート席から1つグレードアップすると寝台席もあった。

しかし寝台は2つで1室となっており、寝台にするには1人で2席を予約しないといけない。

倍の値段を払って寝台にするよりも、1晩だけなら普通のシートでも大丈夫だろうと判断した。

パッと見た感じ、席の多さに比べて乗客が少ないので広々と使うことは出来そう。

自由席だったので窓側を確保。

フェリーは予定通りの0時20分に出航し、ビールとポテトチップスでエーゲ海最後の晩餐。

落ち着いてからは船内散策へ。

古い船だと思ったが中は意外に広々としていて、クレタ島からの船よりも行動範囲が広い。

そしてロビーや通路の至る所に恐らくは私と同じかそれ以下の安い船室の客が転がって寝ている。

寝袋はもちろんのこと、マットレスを持ち込んでいる強者まで。

船内のそこかしこに人が転がっていて、まるで無法地帯。

野宿…ではないよな
欧米のフリーダムさを垣間見る

それを見ると船室にいるよりも適当などこかにいた方が快適そうだったので私も荷物を持って移動。

船内でコーヒーや軽食なんかを出すカウンター付きラウンジが開いており、営業中にも関わらず店内のソファには転がっている人がチラホラ。

船員というか店員も何も言わない。

船員(店員)が常駐しているココがセキュリティ的にも大丈夫そうだと判断して私も店内のソファを組み合わせて簡易ベッドを作成。

100%快適とは言い難いが、普通のシートで寝ることに比べるとしっかり横になれるだけ遙かにマシ。

船内がクーラー効きすぎで寒く、この旅で初めてのウィンドブレーカーを着用。

起きると目的地というのは1泊と移動がセットになってお得だが、もう少し船旅を楽しみたい気もする。

 

 

2015年7月31日 金曜日 ↓次へ ↑前へ ↑↑トップへ

7時頃に起床、急ごしらえの簡易ベッドだと少し身体が痛い。

外はもう明るく、エーゲ海からの御来光こそ見逃したが、海面から低い位置の綺麗な朝日が見られる。

タブレットPCのGPS地図で現在地を確認するとピレウスが近い。

なお、船内にWi-Fiも繋がっていたらしいが、無料ではなかった。

起きてから1時間弱、8時前にはピレウス港に到着。

結局エーゲ海クルージング気分を味わう前に着いた印象。

さすがにアテネ近郊にしてギリシャ最大の港町、朝から大型のフェリーが多数停泊して賑わっている。

フェリーを降りてピレウスの駅へ向かう。

アテネ中央駅(ラリッサ駅)よりも立派なピレウス駅。

列車の切符は1.2ユーロ(≒167円)、

8時25分にピレウスを出て、途中から地下鉄になり、1度の乗り換えを経て8時55分にシンタグマ広場に到着。

乗り換えの駅の通路では駅員が切符のチェックをしていた。

駅員は1人だったので全員をチェックしきれていないようだったが、主に観光客が切符をチェックされている。

私も提示を求められたので素直に見せる。

昨今のギリシャ情勢の影響で地下鉄などの公共交通機関が無料になっているという話をニュースで聞いた。

それに関係ない観光客はちゃんと払えよという意味でのチェックだろうか。

メテオラ、クレタ、サントリーニと旅をし、スタート地点のアテネ・シンタグマ広場に戻ってきた。

旅の最後のホテルは広場の目の前にある高級ホテル、NJVアセンズプラザ。

アテネで最も格式があるグランドブルターニュホテル(1泊4万円以上したのでさすがに諦めた)、そこと同じ系列らしい高級ホテルのキングジョージ、そしてNJVアセンズプラザ。

3つの高級ホテルが広場に面して横に並んでいる中で1番安かったのがNJVアセンズプラザだった。

広場に立つと左からNJVアセンズプラザ、キングジョージ、グランドブルターニュと値段順に並んでいる。

高級ホテルが3つ並ぶとどうしても「高の低」みたいな扱いになってしまうが、ロビーに入ると広さこそないものの高級ホテルの雰囲気。

朝の9時過ぎなのでチェックインは出来ないかと思ったが、「Your room is ready.」とのこと。

部屋は当たり前だがしっかり高級ホテル。

バスタブもついて広々としたバスルーム、しっかりしたベッド、カーペット。

残念な点は8階建ての3階なので眺望が期待できないどころか、窓の外は建物の内側に面しているようで、ホテルの裏側しか見られない。

まぁネットで最も安い値段を探して予約したから仕方ないか。

そしてこれはある程度予想できていたがWi-Fiが有料。

2時間5ユーロ(≒695円)、24時間9ユーロ(≒1,251円)、48時間16ユーロ(≒2,224円)、72時間24ユーロ(≒3,336円)。

一昨年のリマで泊まったヒルトンもそうだったが高級ホテルはなぜWi-Fiが有料なのか。

それなりにしっかりとしたスピードとセキュリティを保証しているからだろうか。

ただ私のようにツイートくらいしかしない観光客用に一般的な無料Wi-Fiを用意してくれても良かろうに。

今やホテルは勿論のこと、町のタベルナでもフリーWi-Fiが一般的なのに。

荷解きをして落ち着いてしまうと良い部屋だけになかなか次の行動に移れない。

とはいえ時間はまだ午前10時前、これが夜行で移動する利点。

翌日は土曜日なので観光地は混むだろうと考えて、アテネでのメインイベントと捉えているパルテノン神殿はこの日のうちに行っておきたい。

出発前に日焼け止めを塗ったら無くなってしまった。

これまでの旅で日焼け止めを使い切ったのは初めて。

それだけ太陽神を生み出した国の夏の陽射しが強かったということだろう。

この日は絞り出してなんとかなったが、翌日は屋外での行動に気を付けた方が良さそうだ。

10時過ぎにホテルを出て、目指すのはアクロポリスの丘。

アテネ市街は初日にある程度歩いていたので迷うこともない。

なんて思っていたがアクロポリス近くのチケット売り場の行列をアクロポリスと間違えて並びかけてしまった。

途中で気が付いたがそこはディオニュソス劇場(劇場跡がある遺跡)の入口だった。

アクロポリスとディオニュソス劇場は共通チケットなので、どこから入っても同じなのだが、やはり最初は正面からアクロポリスへ行きたい。

改めてアクロポリスの丘のチケット売り場へ。

料金は周辺にあるいくつかの遺跡の入場料とセットになって12ユーロ(≒1,668円)。

特に並ぶこともなくスムーズに買え、入場もすぐだったが、中はやはり観光客が沢山。

入場してもパルテノン神殿の全景がすぐには見えない造りになっているところが流石というか、世界的観光地としての「じらし方」が分かっているなという印象。

丘なので当然登り、進むにつれて観光客も増えてくる。

そして大きな門のような所をくぐるとようやく見えるパルテノン神殿の全景。

初日にフィロパポスの丘から見た時点で分かっていたが、パルテノン神殿の正面は全面的に金属の足場が組まれて修復工事中。

分かってはいたものの少々物足りない。

状況は違えどバルセロナのサグラダ・ファミリアを思い出した。

アッチは永遠の建設中、コッチは永遠の修復中。

修復中は残念だが、来て見て初めて知るのが意外な奥行きの長さ。

そして裏側から見るとそこも正面同様にそれっぽい造りになっている。

パルテノンの裏
ココは外せない

さすがにこちらは全面が綺麗に見られる。

裏側はアテネ市街を見渡せる展望台もあるので、正面よりも観光客は多い。

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冒頭でも紹介した小田実の「何でも見てやろう」では著者がギリシャを去る前日にアクロポリスの丘に登った記述がある。

そこでの文章も印象的だったので引用したい…

アクロポリスの日没は見逃してはならない天下のみものとして著名だが、その夕、それはひときわ壮麗であった。

〜中略〜

息づまる美しさとは、あのような美しさを言うのであろう。

美しさを通りこして、それは荘厳であり崇高でさえあった。

太陽が姿を消すと同時に急速に寒さが加わってきたが、私は身じろぎ一つしないで、残照の空と海を見比べていた。

その色、それは往古、ホメーロスがブドー酒の色になぞらえたものであった。

(引用「何でも見てやろう」小田実 著)

…是非ともそんなシーンを見たいとは思ったが、アクロポリスの丘の開園は20時まで。

この時期のアテネで20時だと陽は沈まない。

それに加えてそこまで美しい夕陽になるのが難しいことはクレタ島とサントリーニ島で3日連続の夕陽を見た経験から知っていた。

ココは良い景色だけで充分だと思おう。

高い入場料を払ってすぐに出て行くのはもったいないのでパルテノン神殿を2周ほどする。

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パルテノン神殿のあるアクロポリスの丘の地面は基本的に石造りなのだが、大勢の観光客が歩くからだろう石が削れてツルツルになっていて滑り易い。

石の地面が滑り易いというのも凄い状況。

もはや言うまでもないが、遮るものが無い丘の上はかなり暑く、僅かな日陰には必ず休憩している観光客がいる。

夏場に来るのであれば水は必須。

今回の旅のために買ったアイテムの1つがアウトドア用品のペットボトルホルダー。

カラビナフック付属で断熱材も入っている500mlペットボトル用のホルダー。

これまでの旅でもあれば良かったと思いつつも、どうしても買い忘れてしまっていたもの。

今回ようやく忘れずに買って持参できたが実に便利で、暑い中を歩き回った今回の旅で大活躍。

購入金額(約1,500円)の元は回収できただろう。

もっと早くから持っていれば良かったと思わされた。

アクロポリスの丘ではパルテノン神殿以外にもいくつか点在している遺跡ポイントを流し見し、まぁもうこれで充分かなと判断して丘を降りたのは昼過ぎ。

その足で近くのタベルナが集まる場所へ。

「この周囲には美味しいタベルナが集まっている」という記載があった通りを歩き、声をかけてくる客引きと店内の様子(人が少ないと入る気にならない)で判断して入店。

ケバブがチキンと同じ9ユーロ(≒1,251円)だったので(他の店だとケバブはチキンよりやや高いことが多い)それを注文。

もちろんビール500ml3.5ユーロ(≒487円)も外せない。

暑い中を歩いた分だけビールが沁み、ケバブも無難に美味。

そういえばアテネ再訪後で初めての飯とビールだった。

食事を終え、アクロポリスの丘の入場券に含まれている古代アゴラへ。

古代の市場があったとされる所で、広大な敷地内に遺跡が点在している。

ここにパルテノン神殿を小さくしたようなヘパイストス神殿というのがある。

規模は小さいが綺麗に保存されており、観光客も少なくて良い感じ。

へパイストス神殿
コッチの方がそれっぽい

ウロウロ歩くが相変わらずの炎天下。

午前中に買った水が断熱材付のペットボトルホルダーに入れているのに暖かくなるレベルの暑さ。

博物館みたいな所も見て回ったが、早朝にアテネに到着してアクロポリスの丘を攻略した疲れが出てきてあまり満喫できず。

日陰で落ち着きつつこれからの行動を考える。

アクロポリスの入場券に含まれている場所だとアドリアノスの図書館とローマンアゴラという遺跡が近くにあるので、そこへ行ってからホテルに戻って小休止をしようと考える。

しかしこの観光地、行ってみるが中に誰もいない。

もしかしたら休み?と思って改めて歩き方を見ると、前日のアクロティリ遺跡と同じく営業時間が15時までだった。

日没が20時過ぎなのに15時に閉めるというのは観光立国としてどうなんだ。

文句は思い浮かぶがどうしようもないので休憩用のビールを買ってホテルへ戻り、ビール飲みつつ旅記の執筆と今後の作戦検討とウトウト。

翌日の夜の飛行機で帰路につくので、翌日もほぼ1日アテネ観光をする時間がある。

とはいえその後は飛行機での長時間移動でシャワーを浴びることも出来ないだろうから、あまり歩き回って汗だくになるのは避けたい。

そのために翌日は省エネの行動を心掛けたい。

となると派手に行動するのはこの日のうちが得策。

そんな考えから夕方になって向かったのはリカヴィトスの丘というアテネで最も標高が高い場所。

歩いても登れる丘とのことだったが、ここまでの疲労感を考えると無難にケーブルカーを使うべきだろう。

旅の序盤なら間違いなく歩いていただろうが、これが年齢による影響なのかもしれない。

丘の入口まではシンタグマ広場から歩いて15分程度の距離だが、地球の歩き方の地図がアバウトでケーブルカー乗り場がよく分からず少し迷う。

ケーブルカーながら地上ではなく、地中を走っているので乗り場が見つかりにくかった。

丘の上まで往復7.5ユーロ(≒1,043円)、往復と考えるとサントリーニ島よりは安い。

ケーブルカーは暗いトンネルを進み、途中で対向車が来てすれ違うポイントだけ2路線になる。

古い車体で急勾配を登るのでスリリング。

それでも歩くと20分かかるらしいところをケーブルカーだと数分。

ケーブルカーを降りてレストランなどが連なる階段を上るとそこは教会がある展望台。

もはや見慣れた感もあるアテネの景色が眺められる。

地球の歩き方に「3大アテネの景観良い丘」として挙げられているアクロポリス、フィロパポス、リカヴィトスを制覇。

シンタグマ広場の国会も、パルテノンの裏側も綺麗に見渡せる。

こうしてみると3大景観の良い丘はほぼ直線上にあることが分かった。

観光客の数としてはフィロパポス以上、アクロポリス以下といったところ。

風が心地良いのでしばらく汗が引くのを待つ。

時刻は19時前でさすがに夕陽が沈むのを待つ気にはなれない。

クレタ島から3日連続で夕陽見ているわけだし、これから先こんなに連続で夕陽を見ることもないような気がする。

下りのケーブルカーが出発するまでそれなりに時間があったので展望台でダラダラ。

そういえばケーブルカーの料金は払ったが、リカヴィトスの丘自体は料金がかからなかった。

フィロパポスの丘もそうだったが、もう少し工夫すれば入場料取ること出来そうだ。

ギリシャの経済復興の鍵はやはり観光産業にある気がするという素人考え。

ケーブルカーで下り、晩飯を食べるために街の中心部へ行くことに。

歩いていると反対側の歩道から妙な足音が聞こえる。

何かと思って見てみるとシンタグマ広場奥の国会前にいる衛兵の交代儀式のために歩いている衛兵だった。

毎定時に衛兵交代の儀式をやっているらしく、時間を確認するとちょうど20時のタイミング。

折角だから見ようと思って急ぐ。

衛兵は3人が列になり、脚を大きく振り上げてゆっくりゆっくり歩いているのでそれほど急がなくても衛兵よりも早く国会前に到着。

既に見物の観光客が沢山スタンバイしている。

そして先程の衛兵が足を大きく振り上げたり、足を床にこすりつけたり進むようで進まなかったり独特な歩き方で近付いてくる。

アレはなんなんだろう、何で独特な歩き方をするのだろうか。

動きが遅いのでかなり疲れそうだ。

元々いた衛兵と新しく来た衛兵とで何やら儀式めいたことをする。

交代される側の衛兵は恐らく1時間立ちっぱなしだったわけで、軍服が身体に張り付くくらいの汗をかいていた。

夕方ならともかく、この時期の炎天下や真冬や雨風の日も立ちっぱなしなんだとしたら衛兵も楽じゃない。

この場所は正確には国会前にある無名戦士の墓という場所。

衛兵はそこを守るために配置されているテイのようだ。

微動だにしない衛兵と並んで写真を撮る観光客が多数。

近くに衛兵とは別の警官だか軍人だかに見える係員がいるのだが注意しないところを見ると暗黙の了解のよう。

しかし衛兵を挟んで2人で記念撮影をしようとした観光客には「Stop!One by One!」と注意をしていたので何らかの基準はあるようだ。

ひょんなことから見ることが出来た衛兵交代儀式を終えて、タベルナが集まるキダシネオン通りへ。

地球の歩き方に載っている店で行こうかなと思えた所があったが、休日が「日曜日と8月」というスペインでも目にした客商売とは思えない店。

翌日から8月だからギリギリ営業しているかと思ったが、ギリシャ的というか既に休みだった。

この辺も経済復興の鍵のような気がするな。

仕方ないのでタベルナだらけのその通りを歩いていて客引きの対応と店を見て良いだろうと思えた店へ。

メニューの写真を見てチーズグラタンみたいな料理を注文。

チーズと卵とホワイトソースとサラミをグラタン風にした料理、なんだったんだろう。

ビール2本と共にいただき11.5ユーロ(≒1,599円)。

クレジットカードが使えるか聞くとメカニカルプロブレムでダメだという。

旅前にネットで見た情報だとこのご時世でクレジットカードがメカニカルプロブレムで使えないことがあるという情報があった。

初めてその事態に当たったが、まあ現金も持っていたので問題なし。

店を出て、この日はもう1軒行きたい店があった。

同じ通りにあるバーで、自家製のウゾを出している。

ウゾというのはギリシャの伝統的な蒸留酒。

ワインを作った後の葡萄の絞りかすにアニスという香草を加えて作るものらしい。

ギリシャ名物なのになんとなく飲みそびれてこの日まで来ていた。

店は地元のバーみたいな所で現地人か観光客か分からない西洋人が多くてワイワイやっていて、タバコの煙も多くて1人ではあまり長居したくない雰囲気。

アルコール度数40%の自家製ウゾがショットグラス50mlで3.5ユーロ(≒487円)と値段は良心的。

飲んでみると何よりも強い香草が印象的。

蒸留酒特有のカーッとくるアルコールの強さよりも香草の方が強烈。

独特な味、まぁなんというか美味いとは言い難い、独特の味。

なんかに似ているなと思って考えていたらカンパリの薬臭さに似ているんだと気が付いた。

ウゾを飲んだ後にチェイサーの水を飲むと、香りが柔らかく口中に広がって水が美味しい。

少し時間が経つとグラスの中の氷が溶けてきて飲みやすい味に変化した。

ウゾは透明なのだが、温度が下がると濁るのが特徴で、その珍しさもギリシャ名物となっている所以だとか。

確かに氷が溶けて温度が下がったウゾは濁ってきた。

後半は割りとスムーズに飲めたが1杯飲めば充分、飲む人を選ぶ酒だろう。

そんなわけで1杯だけ飲んで3.5ユーロ(≒487円)払って退散。

サービス料みたいなものを取らないのは良心的。

もう少し店内が静かならより良かった。

さすがに40%の酒、ビールとは明らかに酔いの回りが違い、席を立った瞬間に少しクラッと来る。

酔い醒ましとゆっくり出来る最後の夜ということでアクロポリスの麓までブラブラ歩く。

丘の上ではパルテノン神殿がライトアップされて夜空に浮かび上がる。

昼間は強烈な暑さだが、夜になるとそれほどでもないのが東京とは違う。

そのままブラブラしつつシンタグマ広場へ。

ここでも広場の噴水が数秒おきに7色に変化するライトアップが美しい。

シンタグマ広場
傾いているのはウゾの酔いのせい…か?

本当に経済危機に直面している国なのか、僅か1ヶ月前にデモが行われた場所なのか分からなくなる。

旅立つ前はどうなるかと思ったが、ここまでギリシャショックを感じさせるような事態に遭っていない。

観光地と不況は関係ないということか。

あと1日、油断はしないがもう大丈夫な気がする。

 

 

2015年8月1日 土曜日 ↓次へ ↑前へ ↑↑トップへ

前夜は就寝前に最後の晩餐500mlビールを飲んだのに1度も起きずに8時過ぎまで眠っていた。

これまでの疲れと、高級ホテルのベッドや空調での快適な眠りだったからだろう。

高級ホテルの楽しみで大きいのが朝食ビュッフェ。

そして今回もまた期待に違わぬ内容。

ギリシャ各地の名物を集めているようで、単なるオリーブだけでも産地別に4種類。

それぞれクレタの何々とかテッサロニキの何々とか他にもどこどこ地方の何々みたいな表示が料理にはあった。

当然色々と大量に取ってしまい、どれも美味。

コーヒーもいわゆる高級ホテルのコーヒーでブラックでも美味しく飲める。

フルーツも安いホテルのメロンだと瓜っぽいの味がするのだが、ココはしっかり甘いメロン。

ケーキまでもいただき、 今回の旅で最も食べた1食になった。

高級ホテルの朝食はこれだから良い。

今回のホテルは予約サイトを見ても朝食は別料金というのが多かった。

そんな中で楽天トラベルが16,900円で朝食付きプランがあった。

他のサイトの朝食無しプランに別料金で朝食を付けるよりも安い。

今回の航空券はH.I.Sだったし、最終日のホテルは楽天。

大手の旅行代理店はあまり安くない印象だが、色々比較するとそこが最安ということもあるから侮れない。

朝食後、チェックアウトまでは時間があったので午前の散策へ。

一切の荷物を持たずにブラブラし、帰りに買うための土産物屋などを冷やかす。

土産はいつもならスーパーで適当なものを買うことが多いが、さすがは観光立国ギリシャ。

シンタグマ広場からも程近く、観光客も多く集まるモナスティラキ広場の土産物屋通りにはお菓子の土産も揃っている。

海外だと探すのに苦労することもある個包装のお菓子も色々ある。

なんとなく買い物の目星を付けて歩いているうちに前日に行けなかったアドリアノスの図書館の近くまで来たのでついでに寄ることに。

しかしそこで気が付いたのが入場券となるアクロポリスの半券を持っていないこと。

何も考えず荷物を持たずにブラブラしていたのが失敗だった。

午前中に小一時間ほど歩いていただけでも汗をかく暑さ。

11時頃にホテルに戻り風呂にも入っておく。

これから1日ブラついてまた汗かくだろうし、そのまま飛行機に乗って帰路につくので今後24時間以上も風呂に入れないだろうからせめてもの…という感じ。

チェックアウトは制限時間の12時ギリギリ、バックパックをフロントに預けてギリシャ最終日の行動開始。

まずは帰国のための準備としてシンタグマ広場から出ている空港行きバスの時間を調べる。

帰りの飛行機は翌1時10分発、2時間前に空港と考えると23時には空港に着いていたい、空港まで1時間の移動と考えると22時までにはバスに乗っていたい。

21時台のバスが20分35分50分とあったのでそのどれかに乗れば問題ないだろう。

余裕をもって21時にホテルに戻る計算で良さそうだ。

残り時間は9時間、最終日にアテネをブラつくには充分な時間。

まずは先ほど行きそびれたアドリアノスの図書館。

図書館と行っても図書館があった跡というだけで実体は広場に建物の跡があるくらい。

何かコレという目玉があるわけでも無く、少々物足りない。

まぁアクロポリス共通券の一環だし、というレベル。

共通券巡りの次は少し歩いてゼウス神殿という、アクロポリスの東側にある神殿跡へ。

ここはだだっ広い広場の真ん中に神殿の石柱が大きく立っている。

アドリアノスの図書館よりは分かり易いシンボルがあるだけに観光地っぽい。

背後にはアクロポリスが綺麗に見え、そういえば今回の旅は全日程100%晴れといって良い好天だった。

とはいえココもそれくらいしか見所が無い。

まぁアクロポリス共通券の一環だし、というレベル。

↓巧く表示されなかったらココをクリック。

ゼウス神殿を出てからは小休止。

アセンズゲートというホテルにある屋上レストランからの展望が良いということで行ってみる。

ホテルのフロントやロビー、エレベーターを見る限りホテルのレベルは最高級では無さそうだが、8階にある(0階があるアテネの8階だから厳密には9階)レストランからの眺めは確かに素晴らしい。

見渡すと右からゼウス神殿、リカヴィトス、アクロポリス、フィロパポス、地中海とこれまで行ってきた所が全部見渡せる。

ビール500mlが5ユーロ(≒695円)も景観代込みと考えれば高くない。

小休止を終えて次の共通券スポットはディオニュソス劇場。

前日に危うく入りかけた、アクロポリスの麓にある劇場跡とその周囲に点在する遺跡群。

劇場跡の舞台にあたる部分へはさすがに入れないが、客席にあたる階段状の場所は自由に歩ける。

その他にもアクロポリスの麓なのでアップダウンがある敷地内。

色々歩いているとアクロポリスはコッチみたいな案内が出ている。

もしかしてそのままアクロポリスまで行けるのか?と思って行ってみる。

するとアクロポリスに繋がる通路があり、そのまま行けそう…と思ったが接続口ではちゃんとチケットチェックをしていた。

さすがに前日のチケットだとダメだろうなと思って諦める。

共通入場券で行ける場所はあと2つ。

1つは先ほど行ったアドリアノスの図書館の近くにあったローマンアゴラという所だったが気付かずに見落としていた。

その気になれば行けないことはないが、距離的に少し歩くのと閉館が15時だったのでまぁイイや。

もう1つはケラミコスの遺跡というところだが、ココは更に歩かないと行けない所だったのでまぁイイや。

どちらもその気になれば行けるが、そこまでして行かなくても良いだろうと思うのはここまで色々見てきたから。

これが前日でいくら汗をかいてもシャワー浴びられるのなら行ったかもしれないが、この日は無理をしないのがテーマ。

どれだけ控え目に行動していても暑くて汗かいて体力を削られる。

クールダウンと観光を兼ねてディオニュソス劇場のすぐ前にある新アクロポリス博物館へ。

1番の目的は展示品よりも文字通り汗を引かせるクールダウンと、最も暑い時間帯に外にいるのを避けること。

アクロポリスからの発掘品を中心とした博物館で入館料は5ユーロ(≒695円)。

2009年にオープンしたというだけあって近代的な建物はクーラーも効いて快適。

ガラス張りの博物館、入り口の下には遺跡の発掘跡(本物か?)が見られる。

そして館内の通路もガラス張りで吹き抜けのような所があり、1階から見上げると2階にいる客の足が下から丸見え。

物珍しくて眺めていたが、スカートを履いた女性の…ということもあるのであまり派手には眺められず。

広々と開放感のある館内は大型の展示が沢山。

主に彫刻が多く、神殿の壁の一部みたいなのも多数展示。

勿論色々な展示も見たが、1番面白かったのはアクロポリスをレゴブロックで再現した展示物だった。

実物との違いはともかく、あのレゴだけでそれっぽく作られている様は見事。

レゴでもアートになるということを感じさせた。

中世を再現しているとか
レゴロポリス

新しい博物館なので綺麗だし、休憩所兼読書スペースみたいな場所があり、机とイスがあるスペースも。

そこは人も殆どいなかったので、これまでの旅記を執筆。

博物館の休憩スペースでタブレットPCにブルートゥースキーボードを使って…うむ、意識高い系。

陽射しが弱まってきたであろう18時過ぎ、満を持して博物館を出る。

最後のイベントは土産の購入だろうとアクロポリス近くの土産物屋を回る。

午前中の土産物屋巡りで個包装のクッキーのようなものが20個入って4ユーロ(≒556円)というお菓子を見つけていたので職場のばらまき土産はそれで良いだろうと思っていた。

値段と数と重さも考えるとそれが最適だった。

アクロポリス近くの土産物屋へ行くと同じお菓子が5.5ユーロ(≒765円)。

あれ、確か午前中に見たモナスティラキ広場周辺では4ユーロ(≒556円)だったような。

試しに他の土産物屋にも入ってみると同じ商品なのに値段に幅があることがわかった。

全く同じ商品なのに4.5ユーロ(≒626円)のところもあれば最高は6ユーロ(≒834円)。

日本の土産物屋だと考えられないような事態。

でも確か午前中の所だと4ユーロ(≒556円)だったと信じて改めてモナスティラキ広場へ。

複数の土産物屋があるのでそれぞれ見て回る。

モナスティラキ広場周辺の土産物屋でも値段に幅がある。

しかしアクロポリス周辺よりは安く、買おうと思っていたお菓子も改めて色々な店を回ると3.5ユーロ(≒487円)の店があった。

バラマキ用のお菓子の他に一部の人にはウゾの小瓶50ml〜100ml(国際線で機内持ち込みが出来るサイズ)を買おうと思っていた。

これも買うべきものを決めて土産物屋を覗くと同じ商品でも店によって値段が違う。

それぞれ1番安い店で買おうと思ったが、全ての品が満遍なく安い店は見て回った中では無かった。

この店だとアレは安いけどコレは高いみたいなのばかり。

その辺は土産物屋の暗黙の了解なのか談合なのか。

欧州でちゃんと値札の付いたお土産物屋だし値下げ交渉などはしなかったが、値下げ交渉ではなくて安い店を見つけて買うという楽しみがあるということか。

店に入る度に店員さん(しかも大体が若い姉ちゃん)が声をかけてきてくれ、丁寧に商品の案内をしてくれるから買わないとなんだか申し訳ない。

でも何も買わずにByeと言って店を出ても笑顔で「また来てね」みたいなことを言うあたりがさすがは観光立国。

どの店で何を買うかを決めて、購入前に最後の晩餐(食事前に買うと土産が荷物になるので)。

行ったことのない店ならどこでも良かったのでモナスティラキ広場前にあるグリルが有名だと地球の歩き方に紹介されていた店へ。

ラムチョップ9.5ユーロ(≒1,321円)とビール500ml2本という定番で15ユーロ(≒2,085円)強。

最後の晩餐だけどいたって普通だった。

そして本日最後のイベント、お土産物の購入をそれぞれ1番安い店で済ませる。

いくつか回った店の中で値段の面から落選した店の前を通るのが申し訳なかったので、その店の前を通らなくて済むような一筆書きのルートで買い物を済ませる。

観光地の土産物屋相手にそこまで気を遣わなくても良いんだろうけど。

残る現地での予定は空港へ向かうだけになり、ホテルに戻ったのは21時過ぎ。

ロビーで土産物をバックパックに詰め込む。

なんとか全てを詰め込むことに成功したが、最も苦労したのはウゾのミニボトルを液体機内持ち込み用の小型透明バッグに入れることだった。

アテネに到着したのと同じ場所から出ているシンタグマ広場のバス停で21時20分発の空港行きバスに乗る(5ユーロ≒695円)。

定刻通りに発車し、22時10分には空港に到着。

地球の歩き方には所要1時間10分とあったが50分で到着。

夜だし道も空いていたんだろうけど、サントリーニ島でバスの所要時間を信じて乗り過ごしたことを考えるとこの時間はあまり信用出来ない。

短めの時間よりは長めの時間を記載しておいた方がトラブルが少ないからなんだろうなと思う。

とはいえ旅の総括として考えるとメテオラまでの列車の遅れや、サントリーニ島のバスでの自滅はあったが、どちらも大したことは無い。

ギリシャで使った交通機関は何事も無かったと言って良いレベル。

後はちゃんと飛行機が飛んでくれれば良いだけだが、さすがにこれはもうギリシャ情勢は関係ないか。

カタール航空のチェックイン待ちの列では既に日本人がチラホラ。

チェックインを済ませ、空港内を少しうろつく。

22時過ぎという時間的な問題もあって開いている店が少ない。

空港内にアクロポリス博物館のスケールを小さくしたダイジェスト版みたいな博物館スペースがあったのがギリシャらしい。

出国審査も無事に済ませて残るはセキュリティチェック。

ウゾ4本はギリギリ機内持ち込み透明バッグに収まった。

しかしセキュリティチェックではそのバッグをやたら念入りにチェックされた。

買った時の中身が見えない紙袋に入れたままだったから怪しまれたのだろうか。

イヤイヤ、それアンタらの国の酒だから。

思わず「It’s Ouzo No Problem」と声をかけたおかげか、無事にセキュリティチェックを通過し、後は搭乗を待つばかり。

落ち着いたところでフェイシャルペーパーを使って顔と身体は勿論、足も拭く。

前回のスリランカ旅もそうだったが、最終日にひたすら行動した後の足は異常なほどに臭い。

足だけでなく、サンダルの中まで拭いて飛行機での長時間移動に備える。

待ち時間でビールといきたいところではあったが、帰りはそこまでテンションが上がらない。

ユーロ圏を旅して良いことは帰りの通貨を気にしなくて良いこと。

昨年のスリランカしかり、一昨年のペルーしかり、旅の終盤になると通貨を出来るだけ使い切ろうと計画的になる。

空港までの交通費と何かがあった時の予備、さらには旅の記念に現地通貨を少し残しておきたい願掛けの気持ち。

その辺の微妙な計算が強いられていた。

ところがユーロなら近い将来またユーロ圏の国に来るだろうと思えるため、次に取っておくことが出来る。

実際、今回の旅も大部分の清算はクレジットカードで出来たため、恐らく使った現金は2012年にユーラシア大陸最西端へ行ったときの1ユーロ100円時代に両替したモノだったと思う。

今回の旅用に新たに両替したユーロは次のユーロ圏の旅で使うことになるのだろう。

ギリシャの物価は高くも安くもない感じだったが、1ユーロが140円弱だからそう感じられた気がする。

これが2012年のように1ユーロが100円なら安く感じられたかもしれない。

通貨レートばかりは旅するときに選択できないから運になる。

レートが高いから旅をしないなんて本末転倒だし。

そんなわけで空港ではお金を使わないまま帰国便に搭乗。

飛行機の出発は1時10分過ぎ、深夜のギリシャを飛び立って帰路に。

 

 

2015年8月2日 日曜日 ↓次へ ↑前へ ↑↑トップへ

1日行動した後で乗る深夜便の飛行機の利点は疲れているので寝心地の悪さなど気にならずに眠れること。

今回も機内食以外は殆ど寝ているだけでカタールのドーハに到着。

往路と同じく約4時間のフライト、現地時間(とはいえアテネとドーハの時差は無い)で朝5時30分に到着。

羽田行きの飛行機は7時10分発予定なので最適な時間。

往路では出来なかった空港散策をするも、派手に動き回るには疲れていたので中心部分だけ。

新興国の空港らしく、最近出来たのか綺麗で立派。

乗り継ぎの待ち時間が長かったらドーハ市街の無料ツアーに参加できたようだ。

基本的に乗り継ぎでは効率を最優先に考えてしまうが、そうしたオプションがあれば別の楽しみ方もあるんだな。

帰国便の飛行機は往路と同じ最新のボーイング787機。

そして幸いなことに3人席の真ん中が空席だったので圧迫感が少ない。

つまらない帰国便でのせめてもの救い。

現地時間で朝の7時30分頃に離陸し、時差も考えると殆ど丸1日飛行機の中。

帰りの飛行機は機内エンターテイメントくらいしか楽しみが無いのに、その機械が動かない。

隣の空席の機械を試しても動かないし、その隣に座っている東洋人(中国人?)のも動いていない模様。

10時間以上のフライトでこれはキツイ。

CAを呼んで英語でどうにか状況を説明すると機械の再起動をしてみるという。

それでも状況は改善しないので後は寝るしかない。

少しすると「機内エンターテイメントが動かなくて申し訳ない云々」という機内アナウンスがあった。

どうやら私の列だけでなく、全機内的にダメらしい。

往路の旅なら地球の歩き方を読んで予習が出来るも、復路で地球の歩き方を読んでも面白くもなんともない。

こんな時のためにタブレットPCにゲームや音楽でも入れておけば良いのかもしれないが、今のところそれはしたくない。

そういう逃げ道があると旅中でも使ってしまいそうで、日本にいるのと変わらない気分になりそう。

例えば機内エンターテイメントの音楽でも、最初から自分が持ち込んだ曲を聞いた方が良いことは分かっている。

でも機内で聴くつもりもなかった音楽を流しで聴いていて「あ、コレ良いな」と思った曲が少なからずあったりする。

そういう些細な出会い(なのか?)を楽しむのも旅だと思う。

旅の間の非日常の一環として、退屈も味わうのも一興。

少し経つと「復旧した」とのアナウンスがあり、なんとか退屈な時間が少しでも軽減できそう。

フライトの後半にもなると映画を見るのも面倒になり(画面が小さいので見るのも疲れる)、音楽を聴きつつ画面はフライトマップを垂れ流しておく。

旅のネタになるようなことも無く淡々と日本へ向かう。

そろそろ到着だろうと思った頃、異変に気が付く。

フライトマップに表示されている現地到着予定時間が23時過ぎになっている。

当初の予定では22時45分着だったはずだが…

その後もじわじわと現地到着予定時間が遅れていく。

そこで不安になったのが帰りのバス。

地元行きの最終バスが23時30分だったはず。

それを逃すと電車を乗り継いで帰らないといけない。

ヤキモキしながら飛行機が着陸したのが当初の予定から30分遅れの23時15分。

勿論着陸した直後にすぐ降りられるわけでもなく、逸る気分をあざ笑うかのようにゆっくりと滑走路を進んで搭乗口へ向かう。

これはどう考えても最終バスに間に合わない。

到着アナウンスでは「遅れて申し訳ございません」と言われたものの、深夜に近い到着便が遅れることの重大性が分かっているのかと文句を言いたくなる。

結局飛行機から降りられたのが23時25分、入国審査やらを終えて到着ロビーから外に出られたのが23時35分。

もはやバスが無いのは分かっている、残るは電車。

タブレットPCで検索しようにも羽田のWi-Fiがなかなか繋がらない。

ケータイは海外で無駄に接続されてしまうのを避けるため、SIMカードを抜いたままなのですぐには使えない。

試しに空港の総合案内所で聞いてみたらその場で終電を調べてくれた。

しかし私の地元まで行く電車は既に無いと言う。

全てが巧く行ったと言って良いギリシャでは何も無く、最後に日本でトラブルに遭うとは想定外だった。

とはいえココは日本、トラブルの回避方法はいくらでもある。

飛行機内で遅れに気付いた頃からいくつかの対処法を考えていた。

その中で最も有益だろうと思ったのが今回の航空券を買ったH.I.Sのキャンペーン。

カタール航空で深夜に羽田着の航空券を買うと平和島にある健康ランドに無料で宿泊できるというもの。

予定では最終バスに間に合う時間だったから航空券を買った時は気にしていなかったが、それが使えるのならそうしたい。

タブレットPCでその情報を検索すると「必ず日本出発前に予約をお願いします」という文言が。

これはダメかもしれないと思いつつも健康ランドに電話をしてみる。

今日これからでも大丈夫かを聞くと、問題無いとのこと。

羽田空港から送迎バスもあって至れり尽くせり。

指定されたバスの発着場へ行くと10人弱の乗客。

いずれもさっきまで同じ飛行機に乗っていたのだろう。

10時間以上のフライトを経て日本時間で深夜の0時40分過ぎ、車内は疲労感が漂う。

約15分で到着した健康ランド、航空券の半券を提示して無料で使える。

当たり前だが全部日本語で話が通じるのが良い。

バックパックはフロントに預け、早速風呂へ。

深夜1時近かったので浴室はガラガラで複数の温泉施設をほぼ一人占め。

丸1日シャワーすら浴びていない状況だったので、最適な状況。

深夜に帰宅してシャワーだけを浴びるよりもコッチの方が良い気がする。

いくつかの温泉を堪能して上がる。

これで生ビールでもあれば完璧だったが、施設内の食堂は閉っていたので缶ビールで我慢。

健康ランドなので寝床がリクライニングソファしか無いのは惜しいが、飛行機内の座席や羽田空港のベンチで寝ることを考えれば快適な状況で就寝。

 

 

2015年8月3日 月曜日 ↑前へ ↑↑トップへ

朝、他の客のケータイアラームでコッチまで起こされるのがこういう場所での不快なこと。

まぁ寝過すよりは良いだろうが。

健康ランドのバスが羽田空港まで送ってくれるというのでそれに乗る。

帰りの地元行きバスに乗るために羽田空港まで行くというのも妙な感じ。

バスを乗り継いで帰宅したのは9時過ぎ。

午前中から既に暑いが、単純な暑さならギリシャの方が上だった。

但し、湿気は日本に軍配。

思わぬトラブルによるアディショナルタイムはあったが、今回の旅も無事に遂行出来た。

ギリシャ神話から伝説のアトランティスを経て、最後は現実へ…

 

 

国際的なニュースにもなり、出発前はどうなることかと思ったギリシャ旅。

終わってみると何事も無いどころか、これまでの旅の中でも高いレベルの満足感。

テロは論外、デモは勿論、日常茶飯事とも言われているストにすら遭わなかった。

ニュースで見たATMの行列も無く、クレジットカードも殆どの所で使えた。

観光立国だけあってどこでも英語が通じるし、英語表記もある。

そして強く感じたのが旅をする上での西欧のインフラレベルの高さ。

諸アジアだと…

・ホテルの質(シャワーが出ないとか、最低限の衛生とか)
・レストラン(ビールが無いとか、クレジットカードが使えないとか)
・街中の客引きとの対決(ぼったくりガイドとか、怪しげな誘いとか)
・移動の面倒さ(大混雑とか、悪路とか、料金交渉とか)

…パッと思いつくだけでも様々な局面で気を張らないといけない。

西欧だとその辺の最低限のレベルが高く、純粋に観光を楽しむことが出来る。

一方で、その辺のゴタゴタを楽しむのも旅の1つの側面ではある。

純粋な観光を楽しむなら西欧、困難も含めた旅全体を楽しむなら発展途上国といったところだろう。

そして旅の印象を良くしたのがギリシャ人。

本文中にも記載しているが、どのギリシャ人も親切で感じが良かった。

旅で接したのは殆ど観光産業に従事している人だからそれが全てとは言えないにしろ、特筆すべき点として挙げられる。

今回のギリシャ危機ではギリシャ人の怠惰な性格が招いた自業自得といったような報道を見たこともあった。

国民の気質としてはそうなのかもしれないが、個人個人は当たり前だが全く違う。

ギリシャ危機に負けずに頑張ってほしいと思った。

土産物屋で売っていたTシャツに書かれていた文言がギリシャ人気質を巧く表している気がして面白かった。

旅前なら一笑に付したかもしれないが、旅後だと微笑ましい。

その文言で〆たいと思う。

Greek Crisis
No Job
No Money
No Problem

 

 

旅の費用

ギリシャ往復航空券(カタール航空、羽田〜ドーハ〜アテネ)
69,000円

航空券関連諸税(空港使用料・現地税・サーチャージ・手数料)
36,760円

往復航空券代合計
105,760円

7/25
アテネのホテル(Arethusa Hotel)
6,841円

現地使用
3,350円

7/26
カランバカのホテル(Hotel Kosta Famissi)
4,448円

アテネ〜カランバカ、列車
1,557円

現地使用
3,030円

7/27
アテネのホテル(Ariston Hotel)
5,398円

カランバカ〜アテネ、列車
1,557円

現地使用
5,407円

7/28
イラクリオンのホテル(Iraklion Hotel)
6,807円

アテネ〜イラクリオン、飛行機
8,012円

現地使用
5,089円

7/29
サントリーニ島のホテル(Antonia Hotel)
11,676円

イラクリオン〜サントリーニ、フェリー
8,298円

現地使用
7,257円

7/30
サントリーニ〜アテネ、フェリー
5,421円

現地使用
8,202円

7/31
ホテル(NJV Athens Plaza Hotel)
16,900円

現地使用
7,675円

8/1
現地使用
7,090円

その他
海外旅行保険
2,220円

合計
231,995円

最近では20万円超えが当たり前になってきた。

いかに安く…と思っていた頃を過ぎ、金に糸目を付けない…ほどでもない中途半端さ。

まぁ今のところはこんな調子で。

 

 

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