2.自己記録を出すためのワンポイントアドバイス

目 次

2.自己記録を出すためのワンポイントアドバイス

2.1自己ベストペースを探す
2.2マラソンのペース配分は
2.3自己新を出すベスト・ストライド
2.4マラソン完走の鍵「酸素摂取水準」て何?
2.5 35キロの壁克服には無補給50キロ走
2.6ジョグは簡単で難しいトレーニング
2.7坂道走は効率も良く効果も大きい
2.8風呂の疲労回復効果を積極的に利用しよう
2.9早くなる腹筋
2.10着地の踏ん張る筋肉アップで35キロの壁を乗り越える
2.11故障を乗り越えてどう本番に臨んだか
2.12日常の生活の中で補強を考える
2.13ピッチ、ストライド各走法のここがポイント
2.14レース中のトラブル!お腹がすいて走れない どうする?

何でも雑学講座


2.自己記録を出すためのワンポイントアドバイス

2.1自己ベストペースを探す

5キロのベストタイムを10〜11倍したものがフルマラソンの予想タイム。これを5キロ毎に割り出したペースがフルマラソンを効率的よく走るための理想的なペースと言われている。
目標となる5キロの基礎(ベスト)タイムをコンスタントに出せるようにある程度のスピード練習を行う。
方法は5キロのベストタイムを5等分して1000メートルタイムを算出。たとえば5キロが20分なら1000メートルは4分。これをインターバル形式で5回走る。このトレーニングを週2回行う。これによりスピードを養成し、スタミナトレーニング(20キロ以上)を組み合わせることで、フルマラソンのタイムを上げる事が出来る。
たとえば5キロのベストタイムが20分の場合、
20分×10倍=3時間20分(フルマラソンの予想タイム)
5キロ毎のタイム=23分42秒(5キロ毎のペース)。
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2.2マラソンのペース配分は

マラソンでのペース配分は市民ランナーにとっては特に最大の技術と言えます。
実力に見合った目標記録を設定します。
まず、市民ランナーの5キロと10キロとマラソンの関係
5キロ=18分00秒の場合18分×10〜1 =3時間00分〜3時間18分
10キロ=38分の場合38分×5=3時間10分
10キロ=50分の場合50分×5=4時間10分
ポイントの第2はイーブンペース(一定のペース)で走ることです。
目標の記録を設定したらそれを均等に1キロ毎に、あるいは5キロ毎に予定ペースを作成します。
1km5km10km15km20km25km30km35km40kmマラソン
3:3017:3035:0052:301:10:001:27:301:45:002:02:302:20:002:27:41
3:5019:1038:2057:301:16:401:35:501:55:002:14:102:33:202:41:45
4:1521:1542:301:03:451:25:001:46:152:07:302:28:452:50:002:59:20
4:3022:3045:001:07:301:30:001:52:302:15:002:37:303:00:003:09:53
4:4523:4547:301:11:151:35:001:58:452:22:302:46:153:10:003:20:26
5:0025:0050:001:15:001:40:002:05:002:30:002:55:003:20:003:30:59
5:4028:2056:401:25:001:53:202:21:402:50:003:18:203:46:403:59:06
6:0030:0060:001:30:002:00:002:30:003:00:003:30:004:00:004:13:10

指導/白鴎大学陸上部監督竹島克己
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2.3自己新を出すベスト・ストライド

走る速さはストライド(歩幅)の長さとピッチ(一定時間内の歩数)で決まる。
自分に合った自然で効率のよいストライドが、快適に早く走る事の決め手になる。
ベスト・ストライドを手に入れよう。
よいフォーム(=適正なフトライド)で走ったときはレース後いつもふくらはぎにけいれんが残っている。好調なときはよくひざが良く前に出る。するとひざから下の脚も良く前に出て、着地後前に出るときの地面を蹴り出すキック力が強まり、これが推進力となる。
ふくらはぎが疲れるのは 蹴り出しが良かったことの証明になる。
逆にストライドが伸びずフォームが悪いときは、大腿部が疲れる。
ストライドを無理に伸ばそうと脚に力が入るからだ。
 

・ベストストライドを得るためのトレーニング。

自然な走りを意識することがベスト・ストライドの第一歩。
膝を高く上げるためには、腹筋と背筋のバランスがよく、両方の
筋肉がともに強化されていなければならない。
また、ペースを自由自在に操れるスピードを潜在力として持つこと。
そのためにスピードトレーニングを行う。
また股上げも効果的だ。
長い距離を走るときも100メートルか200メートルの流しを組み込む
事でダイナミックでより大きなストライド走の感覚を体得できる。

・理想的なストライド

腰の位置が高く、骨盤の下が自然に前に出ている。
膝が上がり、膝から下が良く前に出る。
無理に歩幅を広げようとしなくても、
自然に無理なくストライドが伸びている。
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2.4マラソン完走の鍵「酸素摂取水準」て何?

運動を長時間続けるエネルギーを供給するには酸素が必要です。したがって酸素を摂取する能力が大きいほど長い距離を速く走るための能力も高いことになります。
この酸素摂取能力の最大値が最大酸素摂取量という全身持久力の指標で、マラソンの記録とも深く関係しています。マラソンの走行時間を予測する式がいくつか提唱されています。

マラソン記録の推定式FosterとDanielsの式

マラソンの記録(分)=387.3-3.45×最大酸素摂取量(ml/kg・分)

Haganらの式

マラソンの記録(分)=525.9+7.09×1日の平均走行距離(キロ)-0.45×平均走行スピード(m/分)-2.01×最大酸素摂取量(ml/kg・分)-1.24×年齢
最大酸素摂取量レベルでは長くとも10分間程度しか走行できません。マラソンのように長時間走る際には最大酸素摂取量の何%かに当たる酸素摂取量(酸素摂取水準)で走ることになります。
酸素摂取水準が高いということは走行スピードが速くても酸素不足にならず、筋疲労の原因となる乳酸を蓄積させずに長く走れることを意味します。
一般ランナーのランニング中の酸素摂取水準は最大酸素摂取量の45%〜60%、一流ランナーでは80%以上です。

・マラソン完走のために酸素摂取水準を高める

最大酸素摂取量をさらに高めるためにはかなり強度の高いトレーニングが必要です。
たとえば、5分程続く最大スピードでの急走と、スピードを落とした緩走を繰り返すインターバルトレーニングが有効だとされています。 しかしマラソン完走を目指すなら、むしろ酸素摂取水準を高めるトレーニングが重要です。「やや楽である」くらいのペースで長く走ることによって酸素摂取水準の向上があることが知られています。LSDと呼ばれる長い距離をゆっくり走る方法が効果的でしょう。

・12分間走から最大酸素摂取量を推測する。

12分間走距離(m)推定最大酸素
摂取量(ml/kg/分)
160023.7
170025.4
180027.2
190029.1
200030.9
210032.7
220034.6
230036.5
240038.4
250040.3
260042.2
270044.2
280046.1
290048.1
300050.1
参考:横浜市立大学・体育学教室 野坂 和則氏文献より
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2.5 35キロの壁克服には無補給50キロ走

マラソンを走るランナーにとって、永遠の課題は35キロ過ぎの壁をいかにうまくクリアーするかだ。いいかえれば、これはグリコーゲンが枯渇してからどう走るかということになる。
日曜日の早朝6時から朝食を摂らずに走り始め途中は何も補給しないで最長50キロをこなす。走り方は1キロ6分のスロージョグで入り、後半にペースをあげていく。グリコーゲンが無くなってからのエネルギー源となる脂肪を燃焼させて、走る能力を高めるのが狙いだ。

・脂肪燃焼型が一流ランナーの決め手

マラソンのスタミナ切れを抑えるために、糖質よりも脂肪を燃焼しやすい体質作りを工夫している。脂肪燃焼型の運動は、酸素を多量に消費する自給的な運動(有酸素運動)で、疲労物質である乳酸の発生を伴わない。また、脂肪は糖質に較べて2倍以上カロリーが高く、同じ量なら脂肪を燃焼させる方がエネルギー切れを遅らせることが出来断然有利なのだ。
ヴァルサン・ルソー選手(ベルギー)は、血糖値が低い(体内にグリコーゲンが少ない)状態で練習する。「朝食前の空腹時に走ります。グリコーゲンが少ない状態で走る。つまり脂肪をエネルギー源として使うところからスタートするということです。こうして、脂肪燃焼型の筋肉活動を身体に覚えさせます」
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2.6ジョグは簡単で難しいトレーニング

・ジョグが出来ないとランナーは強くならない

ジョギングは一番手軽で難しいトレーニングです。その最大の目的は体調を整える事にあります。歩幅は無理せずやや小さめにして、ゆったりとしたスピードで走ります。トレーニングとしての追い込みは度は、全力時のトレーニングの40〜60%で充分です。浮上にゆっくりだと考えればよいでしょう。なかには勘違いして、ジョグといえども速いほうがいいとばかりにペースを上げ、追い込み度を60%以上に上げてしまう人がいます。ジョグが正しく出来ないランナーは強くなれません。ジョグで充分に休養がとれなければ、けがの危険性も多くなります。

・ジョグを行う際のポイントはそのフォーム

スピード練習ではチェック出来ないフォームに注意して走ります。まず肩の力を抜いて上体をリラックスします。腕を大きく振ってリズムをとります。キック力、ひざ、腰にポイントを置きながら走りましょう。
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2.7坂道走は効率も良く効果も大きい

・効果2倍、疲労小の起伏走

起伏走は、平坦コースの2倍近い効果があります。60分の起伏走は平坦コースの100分走に匹敵するでしょう。しかも疲労が残りにくいという特徴もあります。
起伏走の行い方は、地形に合わせ、スピードに変化を持たせます。たとえば上りと平地では意識的にスピードアップして大きな負荷をかけます。下りはリラックスして走ります。心肺機能への負荷は絶大で、インターバルトレーニング+筋力トレーニングの効果が期待できます。
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2.8風呂の疲労回復効果を積極的に利用しよう

・疲労物質を取り除く法

一般的に38℃前後のぬるい湯は精神疲労、38℃以上では肉体(筋肉)疲労を取り除くのに効果があると言われている。
まずは身体をザッと流し、初めは膝から下の脚部を湯船に浸す。上半身に汗が出始めたら肩まで湯船に浸かる。温まったらいったん上がって、水を脚部、続いて上半身にかける。これを2〜3回繰り返し、風呂を出るときに冷たいと感じるまでに脚に水をかける。血行促進、疲労物質除去にいい入浴法だ。

・熱い風呂は肉体疲労を取る

筋肉中に貯まっている乳酸を取るには、熱い風呂い入ることが有効。実験では短時間でも自分が我慢できる限界に近い暑さの方が、より効果が高いという。また風呂上がりに水をかぶることも湯冷めを防ぎ疲労回復の効果を高める働きがある。
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2.9早くなる腹筋

・腹筋の効果は

・内臓を固定する→呼吸を楽にする
腹筋は内臓をしっかり固定することと、強く息を吐くことを補助しています。
・ランニング中の姿勢を指示安定させる→いいフォームに
人間の軸は脊柱にあります。その脊柱が安定が姿勢の安定につながります。脊柱は前面の腹筋と後面の背筋との引っ張り合いによって真っ直ぐに立っています。ランニング中の姿勢の崩れは、この腹筋と背筋とのアンバランスによって起こります。脊柱は骨盤に付いており、その土台が安定しないことも、姿勢の崩れにつながります。その土台を支えるのに腹筋が大いに働いています。
・膝の引き上げを楽にする→後半も粘れる
腹筋の働きは膝を引き上げるときにも大いに関係します。股関節の屈筋が膝を持ち上げるときに働きますが、上に引き上げれば引き上げるほど腹筋が関わってきます。単純な上体おこしでは腹筋の中央と上部しか使われませんが、膝を引き上げる動作を用いれば、下部の腹筋と股関節の屈筋が強く働くようになります。
・腰痛を防ぐ→継続したトレーニングが可能に
ランナーの腰痛の原因は、姿勢の崩れによるものが多いようです。特に脊柱に歪みがあると、脊柱の局所にランニングでの着地の衝撃を繰り返し受けることになります。着地の衝撃を吸収するのは脊柱のS字カーブ(湾曲)と腹部、背部の筋肉です。正しいS字カーブを支える腹筋と背筋があればうまく衝撃を吸収してくれます。このことがエネルギーの消費を抑えることになります。
・ランニングの効率をよくする→ラクに走れる
ランニングは重心の移動であり、上下に移動したり、左右に蛇行すると、余分な距離を走ることになります。重心を前方に効率良く運ぶためには、左右のストライドの長さや腕振りをそろえたり、左右対称の動きにすることです。そのためには正しい姿勢が必要となります。姿勢の崩れは特に身体のねじれで見られます。身体をひねる腹斜筋のバランスを取ることで正しい姿勢を得られるようになります。
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2.10着地の踏ん張る筋肉アップで35キロの壁を乗り越える

・支える筋肉が終盤物をいう

正月恒例の箱根駅伝。この箱根駅伝の見どころのひとつに山登り区間の5区と山下り区間の6区があります。どちらも脚力を必要とする区間ですが、下り区間の方が最後には足もともおぼつかず、ふらふらになってゴールする選手の姿を多く見かけます。これこそ着地時に支える筋肉(ネガティブの筋肉)の不足なのです。逆に言えばこの支える筋肉をある程度鍛えておけば、終盤も踏ん張りがきき、ペースダウンを免れる事が出来るのです。
膝の痛みや太もも(大腿四頭筋)が痛み出して、大幅なペースダウンをした経験を持つ人は多いはずです。

・なぜキックの筋肉でなく着地の筋肉なのか

山登りランニングなどに必要なのはキックする(筋肉自体は縮む)力です。しかし何故着地時に使われ、支えるネガティブな筋肉の強化を勧めるかと言えば、刺激に対して反応しやすく、効率よく鍛えられ、忙しい人が限られた時間で行うのに適しているからです。また走る練習とあわせ行うことでより効果が得られやすいのです。継続的に走っている人ならば、心肺機能はある程度開発されていますが、終盤脚がふらふらになる人はキックする筋力でなく、着地の衝撃を吸収するように働くネガティブな筋力が必要です。

・筋力アップ法としては

コンセトレーション・スクワット(大腿四頭筋)、コントロール・レッグランジ(大腿四頭筋、大臀筋)、スリーウエイ・カーフレイズ(ひ腹筋、ヒラメ筋)、コントロール・バックエクステンション(背筋)
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2.11故障を乗り越えてどう本番に臨んだか

いずれにしても故障は早い時期に根本的に直しておくことが大切です。痛みのある部分をかばって練習を続けていると、それが原因となって新たな故障を生み出してしまうことがあります。1年も2年も故障している選手の中には、きちんと治療すればよくなるのに、と思える選手も少なくありません。
故障は出来るだけの努力をして予防すべきものです。しかしそれでも、故障が起きることがあります。そのとき、もう一度元気に走るためにはどうしたらよいか、ランナーは正しい選択をしなければなりません。

・疲労は積極的に取り、痛みには慎重に構える

疲労について
身体が重い、走る気持が湧いてこない、身体が硬くなった気がする、脚が張っている気がする、というような自覚症状があったら、走る距離、時間を短くするなどの練習量を落としてください。また多種目(水泳、自転車、エアロバイク、ウエイトトレーニングなどに)を行い積極的に疲労を取ってください。「疲れたときにゴロ寝」ではありません。それでも疲労感があれば完全休養をしてください。無理や我慢の必要はありません。
痛みについて
痛みは身体からの危険信号です。常に。おかしなところがないか自分の身体をチェックしてください。初めはごくわずかに、「痛いかな」という程度で、ウオームアップ中に忘れてしまうほどです。多少の我慢で走れてしまうため、気づかずに練習を続けてしまいます。その後は痛みが進行してシーズンを棒に振るというおきまりのコースをたどることになり、医者に行けば「痛みが取れるまで走らないこと」の一言が待っています。
セルフマッサージをしよう
入浴中のマッサージをおすすめします。方法は簡単。いつものように石鹸で身体を洗い、直ぐに流さず、指の腹の部分でアキレス腱→ふくらはぎ→大腿部前面と後面、これでOKです。こする回数は1カ所につき100回〜200回程度。これだけでも疲労を明日に残すことがありません。
疲れ、痛みは残さず、起こさずが一番。そのためには日頃から自分の身体に注意をしてください。
年中無休では身体が持ちません。1週間に1度は休みを入れましょう。休養も立派なトレーニングなのです。
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2.12日常の生活の中で補強を考える

・自分のランニングを評価する

自分の走るときのクセ、弱点を知り、考えることがトレーニング効果を上げる第一条件と言えるでしょう。
例えば、蹴る力が弱いと思う人は、臀筋群(お尻の筋肉)やハムストリング(膝を曲げる筋肉)、カーフ(ふくらはぎ)、足底筋(土ふまず)等の強化が考えられます。
膝の引きつけが弱いと思う人は大腿四頭筋(腿の前部の筋肉)を鍛えるため、膝を振り出す歩きを心がけます。
臀筋群を強化する、たとえば大臀筋を鍛えたい人は、歩行の時必ず膝を伸ばした状態でかかとが着地するよう心がけます。大臀筋が働くのは、かかと着地のほんの一瞬ですから、その瞬間を意識することが大切です。

・歩行とランニングの筋活動は似ている

歩行時にはハムストリングや大腿四頭筋、脊髄柱立筋など、下肢の筋肉のほとんどが、かかとの接地とつま先が離れる瞬間に集中して活動が活発になります。これらの筋肉はランニング時にも大切な働きをします。つまり歩行時にも、重要な筋肉は働いているのです。正しい歩行を意識することによって筋肉は強化され、生活トレーニングとして生かされていくのです。

・応用歩行で理想の足運び

例えば、上りは苦手だが、下りは得意という人のほとんどは、かかとがひざより後ろで接地している傾向にある(ひざを曲げて走っている)。上りでは身体の重心が前に移動しますが、そのときにかかとがひざよりも後ろにあると、大腿四頭筋に異常に大きな負担がかかることになり、苦しい走りとなるのです。当然下りではストライドも伸び、かかとはひざよりも前方で接地するので、楽に感じるのでしょう。
このようなタイプの方にお勧めなのが、下り坂での走りのテンポで歩くリズム歩行です。これは、ひざから下を振り出す関節の動きをスムーズにするトレーニングになります。平地でも意識をかかと接地に集中した走行が有効でしょう。逆に上りが得意で下りが苦手な人は階段昇りや、足底接地歩行が効果的でしょう。
日常生活を上手に過ごし、あなたの理想的なランニングスタイルを作ってください。
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2.13ピッチ、ストライド各走法のここがポイント

・ピッチ走法ではひざが曲がっている

ストライド走法はひざを大きく伸ばして歩幅を広くし、かかとから接地する傾向が見られます。この走法は、かかとがひざの直下より前方で着地するために、ひざの動きを上手にコントロールしないと、前方へ進もうとする力にブレーキをかけてしまうことになります。ひざの動きをスムーズにするために働くのが、大腿四頭筋の前面と後面の筋肉、下腿の前面と後面の筋肉です。これらが走る際にタイミング良く収縮、弛緩を繰り返して、ひざの曲げ伸ばしをコントロールするのです。ですから、ストライド型のランナーは柔軟性のある筋肉が要求されます。
ピッチ走法では、かかとの軸はひざの直下にあり、かかとというより足底で接地する傾向があります。当然、ひざは屈曲した状態での走行となります。このタイプで注意すべきことは、かかとがひざの直下より前方で着地するとブレーキになり、後方で着地すれば、大腿四頭筋に過剰のストレスが生じることです。このタイプの特徴として、ひざ周囲の筋肉群が硬く、ひざが完全にのびない傾向が見られます。

・各タイプに合致したトレーニングが大切

2つの走法の見極めかたは、微妙なのですが、目安となる方法は、長座(脚を伸ばして床に座る)したとき、床からのひざの浮き具合を見る方法があります。ほぼ床に着くならストライド型、かなり浮くならピッチ型に近いでしょう。
このようにランナーは走法のタイプにより、関節や筋肉の動きに違いがあります。それぞれのランニングスタイルを生かしたトレーニングを紹介しましょう。
ストライド型の人はひざの伸縮を上手にコントロールするためにひざ周囲筋群、主にハムストリングと前頚骨筋の強化。同時にストレッチはひざを伸ばしてのひざの伸展のストレッチが有効でしょう。(図ー1)
ピッチ型の人はひざを伸ばす筋肉、主に大腿四頭筋とふくらはぎの強化。ストレッチはひざを曲げた状態でのストレッチ(ひざをあまり無理に伸ばさない)が良いでしょう。(図ー2)
このようにランニングスタイルによって、身体の動きや筋肉の作用も異なります。自分にあったトレーニング、ストレッチを考えてください。

2.14レース中のトラブル!お腹がすいて走れない どうする?

レース中のトラブル!お腹がすいて走れない

レース出場 走行中、お腹がすいたと思ったら、突然ガクッとペースが落ちて走れなくなった……。これは、走るために必要な体内のエネルギーが底をついた状態です。いわゆる「ガス欠」ですね。  しかし、この時点でいくらスポーツドリンクやジュースなどの糖質の多い飲み物を飲んでもさほど効果は期待できません。また、濃い飲み物ほど吸収に時間がかかってしまいます。給水所に飴、バナナ、おにぎりなどが用意されてあれば、ぜひ取りましょう。気分的にも落ち着き、また走ろうという元気も湧いてきます。  このように、レース中、お腹がすいて走れなくなっても、せいぜい給水所でドリンクを飲むことくらいで(給食があれば取る)有効な対策はあまりありません。大切なことは、レース前からエネルギー切れが起きないような対策を立てておくことです。  レースの3日前から、ご飯、うどん、パン、パスタなどの炭水化物を多めに取って(糖質比75%の高糖質食のカーボローディングが理想、脂肪は取り過ぎない)、体内にグリコーゲンを貯えることが大切です。エネルギー切れは前半のスピードの出し過ぎでも起こるので、前半は意識して抑えましょう。  スタート直前、エネルギー補給ゼリーや大福、カステラ、飴などの甘いものを食べるのもいいでしょう。エネルギー切れが心配なランナーは、飴やエネルギー補給ゼリーを携帯すると安心ですね。 ランニングヒント集(ランナーズより)
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