実篤の作品は数多く文庫化されましたが、またその多くが絶版になってしまいました。2001年3月時点に調べた結果を以下に示します。
なお、コメントも2001年3月時点のもの。現在の出版状況については、「文庫で読む白樺派」を参照願います。
「著者:武者小路実篤」を検索→「在庫のない商品」を表示。
#なお、このオンライン書店はもうなくなっている(2002-05-02)。
「ある彫刻家」角川文庫791(昭和43年12月30日 19版)
巻末 角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)1967年9月
★この中で残っているのは、「人生論」と「武者小路実篤詩集」だけ。
新潮文庫「愛慾・その妹」(昭和50年2月25日 33刷)カバー裏見返し
★この中で残っているのは「友情」「愛と死」「真理先生」「棘まで美し」「武者小路実篤詩集」「人生論・愛について」。
昔話になってしまいますが、私が実篤を読み始めた中学の頃は、新潮文庫でおもだった作品はすべて読むことができて、角川文庫の一部が絶版になり始めた頃でした。新潮文庫の古いものや角川文庫の絶版の一部は古本屋で入手できて、自転車で走りまわって文庫本のコレクションを増やしたものでした。また新書サイズの人生論の類もまだ古本屋で安く手に入る時代でした。今ではそのいずれもかなわなくなってしまいました。
私は小学館版の全集を持っているから良いのですが、初めて読んでみようという人には接しにくくなってしまいました。実篤に関してはまだ新潮文庫が健闘しているので期待したいと思いますが、他の作家も同じような傾向にあると思います。
減少する一方の文庫。このままでは新しい読者も増えないし、手軽に読んでもらえる機会がなくなってしまうのを心配しています。