駒場のお散歩コース


 駒場の東京都近代文学博物館まで来たなら、次のようなところも行ってみてはいかがだろうか。



日本近代文学館

 同じ駒場公園の中にある、近代文学に関する貴重な資料が収められた閉架式の図書館。蔵書には初版本や初出誌、作家の個人文庫(白樺派関連では有島武郎・生馬コレクションという名前がリストにある)等々がある。2階が展示室になっていて、ちょうど「日本の名作−大正−」展をやっていた。量は多くはないが大正の作家を丁寧に取り上げていて、実篤も展示されていた。展示は説明するよりは実物を見せるといった風で、初版本に自筆原稿、新聞小説なら初出の切り抜きと「現物主義」が徹底していた。老紳士2人がいろいろ話しながら回っていて、実篤のところでは「ああ、ジットクさんか」と言っていたが、昔の人はそう呼んでいたのだろうか?
 印象に残ったのは芥川龍之介の「娑婆を逃れる河童の図」だ。横長の和紙に墨で河童と賛が書かれているが、前のめりに遁走する河童に託した芥川の心情はどういうものだったろうかと、ちょうど「河童」を読み返した後だけに少し複雑な気持ちになった。
 これといった目玉はないが、近代文学博物館まで来たならのぞいてみるのもいいだろう。名前が似ているのでその違いを受付の人に聞いてみたら、「向こう(博物館)は都立で、こちら(文学館)は財団です」という答が即座に返ってきたが、そこで働く人にとっては重要な違いなのだろう。

通常展「日本の名作−大正−」
1997年6月7日〜9月27日
日本近代文学館

開館時間:9:00〜16:30(受付は〜16:00)
休館日:日曜・月曜・第4木曜(火〜土曜の祝日は開館)、
    特別整理期間(2月・6月の第3週)、年末年始
入館料:100円(閲覧室利用者は無料)
交通:東京都近代文学博物館の項参照。博物館の北側に位置する。

→日本近代文学館のホームページを見る


日本民藝館

 駒場公園正門と東大駒場駅の間にある、柳宗悦が収集した民芸品を展示している博物館。入館料が1,000円とやや高いが、すぐれた民芸品は一見の価値あり。ただ私自身最近民芸にどう接してよいかわからなくなっているため(その価値自体に疑問が出てきている)、コメントは差し控える。いずれ考えをまとめて「レポート用紙」のページに書いてみたい。

開館時間:10:00〜17:00(入館は〜16:30)
休館日:
 月曜(祝日のときは翌日)、年末年始
 展示替え準備のための臨時休館(年4回)
入館料:大人:1,000円、高校生大学生:500円、小学生中学生:200円
 (20名以上なら団体割引あり)
交通:東京都近代文学博物館の項参照。

→日本民藝館のホームページを見る


ケルネル田圃

 東大駒場駅を出て吉祥寺寄りの踏み切りを渡ると「駒場野」公園(駒場公園の近所なのでまぎらわしい)。その入口に明治時代に駒場農学校(その流れは現在筑波大学へ)のドイツ人教師ケルネルがつくった実習田圃がある。彼の名を取ってケルネル田圃と名づけられ、今は筑波大学附属中学校・高校の生徒が実習を行っている。細長い田圃はまだ青い稲が育っている最中だったが、都内でこんな田圃が残っているのは貴重だ。田圃の向こう側の雑木林はバードサンクチュアリになっていて、昔懐かしい風景を作り出している。駒場に来るたびに立ち寄っているが、ずっと残してほしい風景だ。


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